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三十三話 王国に向かって
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「おらぁ!」威勢のいい声と共に、モンスターが倒れていく。この道はモンスターが多いな。俺にはうってつけの場所なんだが。
「この世界は経験値とか無いからな。でも、モンスターを倒すと強くなるんだよな」この世界の仕組みに疑問を抱きながら、戦闘を重ねていく。
「一人旅はなんか寂しいな。ふざけても笑ってくれないしな」改めて自分がいかに恵まれていたかが分かる。
「でも、アイツらを守るための力を手に入れるためだ。弱音なんて吐いていられないな」倒しきったモンスターをばらしては、魔法空間に入れていく。
「あれ、もう入らないのか」モンスターを入れている中で、入らなくなった。どうやら容量の限界が来たみたいだ。
「まじか、いらないものは捨てていかないとな。ていうか、こんなの軽く入れていたブランってやばいんだな」限界を知って、強さを知る。
「ま、これは小さい頃から鍛錬を積んでいないと大きくならないから嘆いていても仕方がないか」要らない物を魔法で焼いていく。
「だいぶすっきりしたかな。これからは考えて入れていかないといけないのか」仲間がいない分、負担は全部一人で持つことになる。やれやれだぜ。
舗装されていた道もいよいよ獣道へと変わっていく。本当にこの先に街があるのか。貰った地図を疑いそうになる。
「なーんか見た景色なんだよな」木々が覆い茂っていて、日影が多い。これ道に迷ったんじゃないか?人に聞こうにも、人がいないしな。自分を信じて歩くか。
楽観的な考えで歩いて数日間。何の成果が得られなかった。あれぇ?地図だと三日以内に着くって書いてあるんだけど?じいちゃんの足が速すぎるだけ?それとも本当に迷ったのか?勘弁してほしいぜ。帰り道も分かんないんだから。
道に迷ってんなって思いながら森の中を歩いて数日、やっと人に出会えた。瀕死の状態だが。
「大丈夫か?いま回復してやるからな!」そう言ってポーションを掛けようとする。
すると、フルアーマーを来た兵士が死にそうな声で「それより,,,あの方を,,,」とその人が入りである場所を指さした。
「あぁ!めんどくさいな!全員回復してやるよ!」覚えたての回復魔法を使う。詠唱をしないといけないんだがそれくらいはもってくれるだろう。
「母なる大地から与えられた命よ!今はまだ尽きる時ではない!奇跡を!神秘を!今その体で感じるがいい!エクスヒール!」
魔法を唱え終わると、俺の周り半径百メートルが緑色の光に包まれた。多分こいつの言っていた奴も回復してるだろ。
「感謝する!!礼は後にさせてくれ!今はお嬢様のほうが大事なんだ!」兵士はそういって森の中へ走っていった。
お嬢様!?気になる言葉やなぁ!行くしかないっしょ!!
俺はこっそりと兵士の跡を追う。ま、すぐ近くだから急ぐ必要もないんだが。なんて思いながら走っていると剣戟が聞こえてきた。誰かが戦っているのか?
そう思って茂みの中から覗くと先ほどの兵士が、赤竜と戦っていた。お嬢様らしき人はその後ろに居る。
もしかして、モンスターも回復させちまったか。自分のケツは自分で拭かないとな。
「邪魔するぞ!」俺は声を上げて、天高く飛翔する。赤竜は地上においては驚異的な強さを見せるが、空中になると途端に弱くなる。この性質を使って頭上から攻撃を仕掛ける。
「星砕!!」俺の斬撃は赤竜の首に向かって放たれる。しかし、鱗が硬い。金属を叩いている感じだ。だが、俺のスキルの前にこんなものはおもちゃに過ぎない。
初撃に続いて大剣が空中から無数に落ちてくる。俺の横をすれすれに落ちていき、赤竜の首に傷を入れていく。
ちょうど、全ての剣が落ち切ったころに、首が落ちた。赤竜は終始困惑した様子で、その場に突っ立ているだけだった。攻略方法が分かっていれば簡単なんだよな。
「大丈夫か?」さっき助けた兵士とお嬢様に聞く。
「おかげで助かりました。栄光兵団団長として、心より礼を言わせてもらいます」その場に片膝を付けられ、頭を下げられた。
マジか。栄光兵団って俺が向かおうとしているグロリアの兵団じゃないか。案内してもらおう。
「当たり前のことをしただけだ。頭も上げてくれ。こっちが困るからよ」笑いながら、頭を上げるように促す。これは本音だ。誰かにこうやって頭を下げられるのは嫌いなんだよな。
「赤竜の討伐が当たり前のことですか。どうやら凄腕の冒険者の様ですね」こいつの討伐ってそんなに難しいのか?じいちゃんは簡単って言っていたから分からないな。
「俺なんかまだまださ、自分に負けてしまうくらいだからな」笑いながら、兵士に言う。
「謙遜もするのですね。おっと、申し忘れていました。私の名前はフェインと言います。そう言って、兜を外した。
声から予想が対いていたが女性だった。しかもとびっきりの美人。短髪の金の髪に青色の目。すっと入っている鼻筋。
俺の鼻の下も伸びてしまうなこりゃ。
「フェイン!私も居るわよ!」彼女の後ろから聞こえてきたのは元気いっぱいの女の子の声だった。
「これはお嬢様申し訳ありません。命の恩人でしたので」そう言って彼女は横に動いた。
目の前に居るのは十歳くらいの女の子だった。可愛いな。どっかの貴族かな?
「俺の名前はブレイクって言うんだ。君の名前は?」しゃがんで目線を同じにする。
「私の名前はグロリア・ホープ・リズレットよ。以後お見知りおきを」この優雅な立ち振る舞いに名前。そして、誰もが目を引く銀の髪に紫の瞳。もしかして。
「王族の方ですか?」恐る恐る聞いてみる。王族だったら死刑確定だ。めちゃんこ無礼な態度をとっているからな。
「そうよ!私はグロリア王国の王女よ!候補だけどね!」はい死んだ。ブレイクの次回作にご期待ください。なんでこんなところにありえないトラップが仕掛けられているんですか。
「もしかして、死刑確定ですか?」ここまで適当なことをしたんだ確定に決まってる。
「そんなことはしないわ!私を救ってくれたもの!」セーフ、何とか助かった。また牢屋に行くのは勘弁だからな。
「でも、条件があるわ!」へ?なんかやばいこと言ってきそうなんですけど!ここで切腹しなさい!とかか?死んじゃうよ俺!
「私をグロリア王国まで護衛して頂戴!」ふんぞり返っていったのは簡単なことだった。
「それだけで許してくれるんですか?」
「そうよ。護衛がフェインしか残っていないからね」言われてみれば確かに、王族を護衛するって言うのに、人があまりにも少なすぎる。何かあったんだろうか」
「なんでって顔をしていますね。私が説明をしますね」彼女が馬鹿な俺でも分かるようにかみ砕いて教えてくれた。
ここに来るまでの間に赤竜の群れに襲われて、残ったのがこの二人というわけだ。
「なんか,,,大変そうですね」かける言葉が分からなくてそんなことしか言えない。本当に情けないな。
「皆が分かって行ったことです。それに、お嬢様も無事で喜んでいるはずです」フェインはそういうと、晴天を仰いでいた。涙が見えたのは気のせいだろうか。
「事情は分かりました。護衛します。ていうかしないと死ぬので」笑いながら言うと、「本当に処すわよ」何て恐ろしい言葉が返ってきた。王族は怖い。
王国に向かう途中で竜に遭遇した。この辺りは本当に竜が多いな。戦闘になると、俺がダメージディーラー兼タンクとして前線を張る。後衛ではフェインがリズレットを守るように動いてくれていた。
「ブレイクさんは本当に強いんですね」戦闘が終わるとにフェインが言ってくる。護衛なんだから倒せなきゃ意味がないだろ、なんて思いながら、「まだまだです」と謙遜しておく。
リズレットのほうは、戦闘を見るのが面白いらしく、声を上げていた。こっちは命がかかっているのに、呑気なお嬢さんだ。
ここからだと、四日はかかるらしく、お嬢様のことを考えると一週間はかかる見込みの様だ。野宿とかしたことあんのかな。そんなことを思いながら、フェインとリズレットの後ろを歩く。
向かい始めて初めての夜が来た。童貞どもそっちの初夜とは違うからな。
「二人はテントをもっているのか?」一応持っているかを確認する。二人とも手ぶらだから、魔法空間は持っていると思うんだが。
「持っていないですね」フェインは申し訳なさそうにしている。リズレットは「持っていないわ!」と何故か誇らしげにしていた。王族だから、なんも言えない。くやちい。
「王国に着く間は俺のテントを使ってくれ。二人だと狭いと思うが」俺は魔法空間からテントを出して、組み立てる。一人旅だと思っていたから、全てが一人用だ。予備でも持てくればよかったかな。
「助けてもらって、その上ここまでのことをしてくれるなんて」フェインは神を崇めるように、感謝をしていた。リズレットはちょっと顔を赤らめて「ありがと」と小声で言っていた。可愛いところがあるじゃあないか。
「料理とかはできるのか?」俺は料理をする気でいるが、念のために聞いておく。やってくれるかもしれないからな。美人の料理、あぁ!そそるぜ!!
「私は戦闘一筋だったので,,,その,,,」もじもじしながら、口をもごもごさせている。可愛いな。
「早く言いなさいよ!私と同じで、料理が出来ないって!」oh,,,美人が料理が出来ないことを恥ずかしいと思っているなんて。
「クッソかっわいいいいいいいぃぃぃぃぃ!!!!」バサバサッ!!近くにいた鳥たちが、一斉に飛び出してしまった。俺の声にびっくりしちゃったのかな?
「ブレイクさん?大丈夫ですか?」顔を近づけてくる。これはどっちなんだ!?声のほうか!?料理のほうか!?ま、声のほうか、急に冷静になってきた、賢者になった気分だ。
「あぁ、ちょっと取り乱してしまいました。料理は俺がしますよ」何もなかったように、料理の準備を始める。
お嬢様を満足させられる料理は出来るかなー。適当な肉を魔法空間から取り出して
、熱したフライパンの上に放り込む。ジュー。気持ちのいい音が鳴る。
きゅー。可愛いおなかの音も聞こえる。「そろそろ出来上がるので、もう少し待ってください」
丸太に腰を掛けて、焚火と俺を眺めている二人に言う。肉がそろそろ焼ける頃だ。サラダも出しておくか。皿とサラダを出して、適当に盛り付ける。見た目より味重視だから、目を瞑って欲しい。
「できましたよ」そう言って、二人の前に、料理を出す。赤竜の肉に、マンドラゴラのサラダ、あとパン。野宿の料理にしては、いい出来だ。
「おいしそう!」「いただきますね」料理を前に二人は、涎を垂らしている。
「冷めないうちに食べましょうか」俺の言葉で、食事が始まった。
誰かと食べる飯はやっぱ美味いな。二人のことを思い出しながら食べる。味付けが少し濃かったかな。
「この世界は経験値とか無いからな。でも、モンスターを倒すと強くなるんだよな」この世界の仕組みに疑問を抱きながら、戦闘を重ねていく。
「一人旅はなんか寂しいな。ふざけても笑ってくれないしな」改めて自分がいかに恵まれていたかが分かる。
「でも、アイツらを守るための力を手に入れるためだ。弱音なんて吐いていられないな」倒しきったモンスターをばらしては、魔法空間に入れていく。
「あれ、もう入らないのか」モンスターを入れている中で、入らなくなった。どうやら容量の限界が来たみたいだ。
「まじか、いらないものは捨てていかないとな。ていうか、こんなの軽く入れていたブランってやばいんだな」限界を知って、強さを知る。
「ま、これは小さい頃から鍛錬を積んでいないと大きくならないから嘆いていても仕方がないか」要らない物を魔法で焼いていく。
「だいぶすっきりしたかな。これからは考えて入れていかないといけないのか」仲間がいない分、負担は全部一人で持つことになる。やれやれだぜ。
舗装されていた道もいよいよ獣道へと変わっていく。本当にこの先に街があるのか。貰った地図を疑いそうになる。
「なーんか見た景色なんだよな」木々が覆い茂っていて、日影が多い。これ道に迷ったんじゃないか?人に聞こうにも、人がいないしな。自分を信じて歩くか。
楽観的な考えで歩いて数日間。何の成果が得られなかった。あれぇ?地図だと三日以内に着くって書いてあるんだけど?じいちゃんの足が速すぎるだけ?それとも本当に迷ったのか?勘弁してほしいぜ。帰り道も分かんないんだから。
道に迷ってんなって思いながら森の中を歩いて数日、やっと人に出会えた。瀕死の状態だが。
「大丈夫か?いま回復してやるからな!」そう言ってポーションを掛けようとする。
すると、フルアーマーを来た兵士が死にそうな声で「それより,,,あの方を,,,」とその人が入りである場所を指さした。
「あぁ!めんどくさいな!全員回復してやるよ!」覚えたての回復魔法を使う。詠唱をしないといけないんだがそれくらいはもってくれるだろう。
「母なる大地から与えられた命よ!今はまだ尽きる時ではない!奇跡を!神秘を!今その体で感じるがいい!エクスヒール!」
魔法を唱え終わると、俺の周り半径百メートルが緑色の光に包まれた。多分こいつの言っていた奴も回復してるだろ。
「感謝する!!礼は後にさせてくれ!今はお嬢様のほうが大事なんだ!」兵士はそういって森の中へ走っていった。
お嬢様!?気になる言葉やなぁ!行くしかないっしょ!!
俺はこっそりと兵士の跡を追う。ま、すぐ近くだから急ぐ必要もないんだが。なんて思いながら走っていると剣戟が聞こえてきた。誰かが戦っているのか?
そう思って茂みの中から覗くと先ほどの兵士が、赤竜と戦っていた。お嬢様らしき人はその後ろに居る。
もしかして、モンスターも回復させちまったか。自分のケツは自分で拭かないとな。
「邪魔するぞ!」俺は声を上げて、天高く飛翔する。赤竜は地上においては驚異的な強さを見せるが、空中になると途端に弱くなる。この性質を使って頭上から攻撃を仕掛ける。
「星砕!!」俺の斬撃は赤竜の首に向かって放たれる。しかし、鱗が硬い。金属を叩いている感じだ。だが、俺のスキルの前にこんなものはおもちゃに過ぎない。
初撃に続いて大剣が空中から無数に落ちてくる。俺の横をすれすれに落ちていき、赤竜の首に傷を入れていく。
ちょうど、全ての剣が落ち切ったころに、首が落ちた。赤竜は終始困惑した様子で、その場に突っ立ているだけだった。攻略方法が分かっていれば簡単なんだよな。
「大丈夫か?」さっき助けた兵士とお嬢様に聞く。
「おかげで助かりました。栄光兵団団長として、心より礼を言わせてもらいます」その場に片膝を付けられ、頭を下げられた。
マジか。栄光兵団って俺が向かおうとしているグロリアの兵団じゃないか。案内してもらおう。
「当たり前のことをしただけだ。頭も上げてくれ。こっちが困るからよ」笑いながら、頭を上げるように促す。これは本音だ。誰かにこうやって頭を下げられるのは嫌いなんだよな。
「赤竜の討伐が当たり前のことですか。どうやら凄腕の冒険者の様ですね」こいつの討伐ってそんなに難しいのか?じいちゃんは簡単って言っていたから分からないな。
「俺なんかまだまださ、自分に負けてしまうくらいだからな」笑いながら、兵士に言う。
「謙遜もするのですね。おっと、申し忘れていました。私の名前はフェインと言います。そう言って、兜を外した。
声から予想が対いていたが女性だった。しかもとびっきりの美人。短髪の金の髪に青色の目。すっと入っている鼻筋。
俺の鼻の下も伸びてしまうなこりゃ。
「フェイン!私も居るわよ!」彼女の後ろから聞こえてきたのは元気いっぱいの女の子の声だった。
「これはお嬢様申し訳ありません。命の恩人でしたので」そう言って彼女は横に動いた。
目の前に居るのは十歳くらいの女の子だった。可愛いな。どっかの貴族かな?
「俺の名前はブレイクって言うんだ。君の名前は?」しゃがんで目線を同じにする。
「私の名前はグロリア・ホープ・リズレットよ。以後お見知りおきを」この優雅な立ち振る舞いに名前。そして、誰もが目を引く銀の髪に紫の瞳。もしかして。
「王族の方ですか?」恐る恐る聞いてみる。王族だったら死刑確定だ。めちゃんこ無礼な態度をとっているからな。
「そうよ!私はグロリア王国の王女よ!候補だけどね!」はい死んだ。ブレイクの次回作にご期待ください。なんでこんなところにありえないトラップが仕掛けられているんですか。
「もしかして、死刑確定ですか?」ここまで適当なことをしたんだ確定に決まってる。
「そんなことはしないわ!私を救ってくれたもの!」セーフ、何とか助かった。また牢屋に行くのは勘弁だからな。
「でも、条件があるわ!」へ?なんかやばいこと言ってきそうなんですけど!ここで切腹しなさい!とかか?死んじゃうよ俺!
「私をグロリア王国まで護衛して頂戴!」ふんぞり返っていったのは簡単なことだった。
「それだけで許してくれるんですか?」
「そうよ。護衛がフェインしか残っていないからね」言われてみれば確かに、王族を護衛するって言うのに、人があまりにも少なすぎる。何かあったんだろうか」
「なんでって顔をしていますね。私が説明をしますね」彼女が馬鹿な俺でも分かるようにかみ砕いて教えてくれた。
ここに来るまでの間に赤竜の群れに襲われて、残ったのがこの二人というわけだ。
「なんか,,,大変そうですね」かける言葉が分からなくてそんなことしか言えない。本当に情けないな。
「皆が分かって行ったことです。それに、お嬢様も無事で喜んでいるはずです」フェインはそういうと、晴天を仰いでいた。涙が見えたのは気のせいだろうか。
「事情は分かりました。護衛します。ていうかしないと死ぬので」笑いながら言うと、「本当に処すわよ」何て恐ろしい言葉が返ってきた。王族は怖い。
王国に向かう途中で竜に遭遇した。この辺りは本当に竜が多いな。戦闘になると、俺がダメージディーラー兼タンクとして前線を張る。後衛ではフェインがリズレットを守るように動いてくれていた。
「ブレイクさんは本当に強いんですね」戦闘が終わるとにフェインが言ってくる。護衛なんだから倒せなきゃ意味がないだろ、なんて思いながら、「まだまだです」と謙遜しておく。
リズレットのほうは、戦闘を見るのが面白いらしく、声を上げていた。こっちは命がかかっているのに、呑気なお嬢さんだ。
ここからだと、四日はかかるらしく、お嬢様のことを考えると一週間はかかる見込みの様だ。野宿とかしたことあんのかな。そんなことを思いながら、フェインとリズレットの後ろを歩く。
向かい始めて初めての夜が来た。童貞どもそっちの初夜とは違うからな。
「二人はテントをもっているのか?」一応持っているかを確認する。二人とも手ぶらだから、魔法空間は持っていると思うんだが。
「持っていないですね」フェインは申し訳なさそうにしている。リズレットは「持っていないわ!」と何故か誇らしげにしていた。王族だから、なんも言えない。くやちい。
「王国に着く間は俺のテントを使ってくれ。二人だと狭いと思うが」俺は魔法空間からテントを出して、組み立てる。一人旅だと思っていたから、全てが一人用だ。予備でも持てくればよかったかな。
「助けてもらって、その上ここまでのことをしてくれるなんて」フェインは神を崇めるように、感謝をしていた。リズレットはちょっと顔を赤らめて「ありがと」と小声で言っていた。可愛いところがあるじゃあないか。
「料理とかはできるのか?」俺は料理をする気でいるが、念のために聞いておく。やってくれるかもしれないからな。美人の料理、あぁ!そそるぜ!!
「私は戦闘一筋だったので,,,その,,,」もじもじしながら、口をもごもごさせている。可愛いな。
「早く言いなさいよ!私と同じで、料理が出来ないって!」oh,,,美人が料理が出来ないことを恥ずかしいと思っているなんて。
「クッソかっわいいいいいいいぃぃぃぃぃ!!!!」バサバサッ!!近くにいた鳥たちが、一斉に飛び出してしまった。俺の声にびっくりしちゃったのかな?
「ブレイクさん?大丈夫ですか?」顔を近づけてくる。これはどっちなんだ!?声のほうか!?料理のほうか!?ま、声のほうか、急に冷静になってきた、賢者になった気分だ。
「あぁ、ちょっと取り乱してしまいました。料理は俺がしますよ」何もなかったように、料理の準備を始める。
お嬢様を満足させられる料理は出来るかなー。適当な肉を魔法空間から取り出して
、熱したフライパンの上に放り込む。ジュー。気持ちのいい音が鳴る。
きゅー。可愛いおなかの音も聞こえる。「そろそろ出来上がるので、もう少し待ってください」
丸太に腰を掛けて、焚火と俺を眺めている二人に言う。肉がそろそろ焼ける頃だ。サラダも出しておくか。皿とサラダを出して、適当に盛り付ける。見た目より味重視だから、目を瞑って欲しい。
「できましたよ」そう言って、二人の前に、料理を出す。赤竜の肉に、マンドラゴラのサラダ、あとパン。野宿の料理にしては、いい出来だ。
「おいしそう!」「いただきますね」料理を前に二人は、涎を垂らしている。
「冷めないうちに食べましょうか」俺の言葉で、食事が始まった。
誰かと食べる飯はやっぱ美味いな。二人のことを思い出しながら食べる。味付けが少し濃かったかな。
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