ブレイクソード

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六十八話 Q&A&0

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Qオリジンについて詳しく知りたい

Aこの物語の基盤でそれぞれの人物にオリジンが居るな。あとオリジンはその人物にしか干渉できない。ブレイクだったら俺。アクセルだったらアクセルに、みたいな感じだな。



Qなんでお前は俺のところに?

A調停者が動き始めたからだな。あいつは目的のためなら手段を問わないからな。



Qお前は作者と繋がっているのか?

A繋がっている。でも不必要な動きは出来ない。他のオリジンも同じだな。物語に、世界に大きな損傷が出そうなときに抗体として俺たちが手を差し出す。



Q作者と調停者は繋がっているのか?

A繋がっているが、もう見切りが付いているな。今は作者が軸の精査をしていて、調停者がそのことを妨害している。調停者にもオリジンが付いているから、自由に行動している。



Qなんで俺はブランのことを忘れていた?

A調停者の手のよって殺害されたから。要は世界からの抹消だな。世界図書館からも存在が消されているな。この軸にはもう存在しないな。



Q軸に戻す方法は?

Aゼロ・ポイント。終わりなき交差点。忘却の墓場のどっかにいる魂か意識を持ってくるしかないな。俺も詳しくは分からないな。お前が動いた自由に動いたせいで出来上がった場所だからな。まぁ、本来は死んだら終わりだったからな。謝りたい奴でもいたらそこで謝っておけばいいな。



オリジンとの会話を搔い摘むとこんな感じだ。ブランを助けるに最高で三か所も回らないといけないと駄目なのか。



「まぁ、お前次第だよ。それじゃ俺は戻るからな」オリジンはそういうと、空間い裂け目を作り、中に入っていった。



「魂か意識,,,か。とりあえず次の目標はこの三か所の行き方の調査だな」落ちていく空島の上で次の目的地を考える。この世界地図もほんの一部にすぎないもんな。



全ての大陸が書かれた地図を見てじいちゃんの言葉を思い出す。世界は果てが見えない位広大だと。俺の地図は未完成なのが未練だなと。



「とりあえずアクセルと会って、世界の外に行くか」青い霧に包まれていく。城に戻るみたいだな。最後にこの景色を見ておくか。原初が作った理想の場所を。



「戻ったみたいだな」見慣れた廊下を見て帰ってきたことを確認する。それにしてもあそこは本当にいい場所だったな。俺も力があったら似たものを作って余生を優雅に過ごしたいもんだ。



「時間が無いから行動しないとな」早足で城の中を走る。前に蒼で加速して走ったらプロティスに馬鹿みたいに怒られたからな。それ以来俺は城の中ではスキル魔法が基本禁止されている。



本当に最悪だよ。魔法を使ってメイドさんのスカートの中を観測することもできないからおかずの入手に時間が掛かる。歓楽街も出入りできないし、溜まりに溜まったこの息子のエネルギーを訓練と称して兵隊にぶつけている。



「でもそんな日常も今日で一区切りか」廊下から見える訓練兵を見てそう思う。これからの計画を考えるとこんな生活は出来ないだろうな。常に死と隣り合わせで、生きるのに必死な日常に変わってしまう。



「それでもアイツが世界が来るのなら___」門から出た俺はリジンの蒼の使い方を真似して天高く駆け上がる。見様見真似でも案外できるもんだな。後は加速を組み合わせるだけだな。



「アクセラレーション」魔法を唱えた途端俺は明後日の方向に吹っ飛んでしまった。こいつ,,,魔法と相性が悪い!!制御できないと悟った俺は身を勢いに任せた。



一時間ほど空の旅を楽しんでいると、いきなり地面に引き寄せられた。誰かがスキルか何かで俺との接触を試みているようだ。



このままだと意味の分からないところに行くところだったから助かったな。



「っておいおい!加速がやべぇ!」減速そころかどんどん速くなっている。せっかくスピードが落ちってきたってのに。ていうかこの状態で地面にぶつかったら死ぬ!



「くそっ!もうどうにでもなれ」蒼とアクセラレーションを発動させて吹き飛ぼうとした。しかしスキルの力が強かったのか、俺の力が甘かったのか、そのまま地面に墜落してしまった。



「いってぇ,,,早く,,,治さねぇと」砂塵が舞う中で、回復魔法を展開していく。ここ一年で魔法にはかなり精を出して研究していた。理由は色々あるが、こういった不測の事態でも、何とかできる可能性があるからだ。



「すみません!!魔法が当たってしまって!!」魔方陣を展開していると一人の女性が走ってくるのが見えた。ていうかこいつの魔法に当たったのか。運が悪いな。



「まじで,,,洒落にならん,,,」ボロボロの体になりながらでも剣を取り出して戦えるようにしておく。敵意は感じられないが念のためだ。



「本当にすみません!!今治しますから!エクス・ヒーリング!」女はそういうと即座の回復魔法を展開して俺の体を治療した。いくら何でも魔法の展開が早すぎる。こいつは何者なんだ。



「魔法の腕がいいんだな」ふらつきながら俺は立ち上がって女の顔を見る。さっきは遠くだったから良く見えなかったが、中々綺麗な顔をしていた。



「それだけが取り柄で,,,本当にすみません。空を飛ぶ人なんていないと思っていないと,,,」女は申し訳なさそうにに頭を下げてきた。確かにそうだよな。空を飛んでるって異常だよな。



「気にしなくていいぞ。ほんとに。それよりあんたはなんでこんなとこに?」頭を掻きながら頭を上げるように促す。しっかりと体治してもらったし責める必要は無いだろう。なんなら助かったから感謝するところだ。



「魔法の練習でここに,,,あとは村が近くなので」女は頭を上げていろんな教えてくれた。



彼女の名前はオーラン。青緑色の髪を三つ編みにして腰のあたりでまとめている。顔は全体がはっきりとしていて綺麗という印象が持てる。何よりエメラルド色をした目が彼女の美しさを際立たせている。



出身はグロリア王国から遥か南に位置する大陸の端の方にある群島の一つである、ここエインエル島だ。特産品などは無いが、侵略も無く登伸びと暮らしているようだ。



「色々教えてくれて助かった」彼女にお礼を言う。教えてくれなかったら地図とにらめっこをして歩き回るところだった。



「いえいえそんな,,,」彼女が何か言おうとしたところに横やりを入れるように声をかぶせる。



「で、お前、魔族だろ?」魔法空間から大剣を取り出して戦闘態勢を取る。この世界の魔族というのは、亜人の中でも特に人間に危害を及ぼした種族や、魔界からやってきた種族のことを指す。



オーランの魔法展開の速さと頭部に隠している小さな角が魔界から来たものを教えてくれている。



「そうです。よくわかりましたね。殺すんですか?」幾百の魔方陣が展開されていく。一つ一つが違う模様をしているってことは違う魔法ってことだろうな。



「お前次第だな」不敵に笑うと、魔法が撃ち込まれた。炎、雷、氷、様々な魔法が俺を殺そうと迫ってくる。



「やっぱあいつは天才みたいだな」剣を軽く振って魔法をかき消していく。ブランの魔法は型にはまらない複雑なものだったから対応が難しかった記憶がある。



対してこいつの魔法は単純で魔力だけで押し切ろうとしている。このくらいだったら俺でも出来そうだ。



「余裕そうですね?」魔方陣に魔方陣が重なり攻撃が激しくなった。こいつも全力じゃないか。まぁ、初めから全開だとつまらないからな。この感じで言ってくれると嬉しいな。



「当たり前だろ?俺は強いんでね」剣を振って魔法と魔方陣を断ち切っていく。炎が雷を纏たって、雷が刃になっても、氷が弾丸の様に飛んできても関係ない。俺に大きなダメージが入らないからな。



とはいっても蓄積していったらやばいか。炎で皮膚が爛れたり、氷が張りついてしもやけになったり、動きが鈍くなっている。雷は蒼でかき消せるから鬱陶しいだけだな。



「ここまでの力ならこちら側にくればいいじゃないですか?」オーランは攻撃の手を緩め、魔族の方に来るように促してきた。魔族の方に付く。それは人類の敵になるのと同時に、魔王の配下になる。縛られるのはグロリア王国のプロティスだけで十分だ。



「断る。自由が無くなるのは嫌いだからな」身を翻し、加速しオーランに急接近する。攻撃を緩めたのがこいつの敗因だな。俺は勢いに任せて大剣を振り下ろす。肉、骨が切れる感触が剣を伝って手に来る。



「そうですか,,,ちょっと残念です」オーランはそう言い残すと、灰になって死んでしまった。はぁ、魔族とはいえ、女を殺すなんてな。



オリジンが言っていた場所があって、奇跡的にオーランと出会えたら心から謝ろう。善意を完全に悪意で返してしまったからな。



胸が重いが俺の旅は始まったばかりだ。こんなところで落ち込んでいる暇はない。



その後俺はオーランの墓を建てた。石と名前が彫られた簡単なものだ。彼女が生きた証をここに立てよう。次があれば___
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