IDIOM.異世界の落ちこぼれ魔女は、現代でクーデレなエージェントに管理される

るりたては

文字の大きさ
1 / 35
第0章 二人の少女

01. ティーセットの思い出

しおりを挟む
――この宇宙セカイは一つとは限らない。

 無限に広がる宇宙セカイは互いに入り混じり、時にはその境界を越えて迷い込むモノを生みだすことさえあるという。

 そんな混沌の中、もし秩序を守る者がいるとしたら――それは静かに宇宙セカイを見守っているのだろう。




 とある住宅街の路地裏、そこに紺色のローブを身に纏った少女がひっそりと塀に身を隠していた。

 少女の緊張した視線の先には、ゆっくりと歩く“小さな影”がある。

「……今だ!!」

 隙を突いた少女が、美しい白い髪をなびかせながら飛び掛かる。影が逃げ出すよりも早く、彼女の手は影についた“取っ手”を握りしめていた。

「捕まえた!」

 寂れた路地裏に、少女の嬉しそうな声が響き渡る。

 そこに握られていたのは、モーモーと牛のような鳴き声を発しながら暴れる“ミルクポット”だった

「確保できましたか、フェティ?」

 遅れて彼女に駆け寄ってきたのは、トランクケースを持ったスーツ姿の黒い髪の少女だ。スラリとした細身の体系で、髪を後ろで結んでいる。

 少女の姿を見て、フェリエッタが叫ぶ。

「い、唯月さん……は、早く鞄を……!」

 黒薙唯月くろなぎいつきがトランクに開くと同時に、フェリエッタは暴れる“ミルクポット”を急いで押し込んだ。

 彼女は手を離すと、安堵するように息を吐いた。

「ふぅ……これで今回出現した“アイテム”は全部なんでしたっけ?」

 ミルクポットが大人しくなると、黒薙は静かにケースを閉じる。

「いえ、情報にあった“ティーセット”は6点。最後にもう一つ、残っています。」

「ま、まだ、あるんですか。……あと何が残ってましたっけ?」

 フェリエッタは大きく肩をすくめると、指を折りながら一つ一つ数えていく。

「えーと、お茶を入れる“ティーポット”、飲むための“ティーカップ”、カップを置く“プレート”、砂糖の“シュガーポット”と牛乳の“ミルクポット”、それから……」

「――かき混ぜる“スプーン”、です。」

「ああ!」

 黒薙の静かな補足に、フェリエッタは納得するように頷いた。彼女は疲れた表情を浮かばせながら、黒薙の方を見上げる。

「ス、スプーン……流石に動き回るものじゃないですよね?」

「それは分かりません。私たちが追いかけている“ティーセット”は、いずれも別の世界から迷い込んできた特異な力を持つ存在――“アイテム”です。」
 
 フェリエッタの問いかけに、黒薙は冷静に返答した。彼女の瞳を見た黒薙は、肩をすくめながら話を続ける。

「彼らに、この世界の理屈は通用しない。そのことは“あなた”が一番よく知っているのではありませんか?……“異世界の魔女フェリエッタ”。」

 黒薙の突き刺すような視線に、フェリエッタは青く光る瞳を思わず見開いた。手に持っていた“魔法の杖”を握りしめると、彼女は少しムッとした表情になる。

「……いやいや、私が“元いた世界”でも、食器は生きてなかったからですね!」

 フェリエッタは真剣な眼差しで、首を横に振るのだった。



 ミルクポットを回収した黒薙とフェリエッタが、人気ひとけのない路地裏で一息ついていた。その時だった。

――彼女たちの視界に、銀色に輝く“何か”が映り込む。

「フェティ!見ましたか、“アイテム”です!」

 黒薙が隣にいるフェリエッタに声をかけると、素早く行動を開始する。

「追いかけましょう!」

 裏路地を出た二人は、まるでハチドリのように空を素早く飛び回る“スプーン”を追いかけて走る。だが、その距離はなかなか縮まらない。

 ふと横を見たフェリエッタは、そこによじ登れそうな塀があることに気が付く。

「唯月さん、私、先回りします!」

 彼女はそう言い終えるや否や、黒薙の返事も待たずに塀をよじ登っていった。

「フェティ!勝手な行動は――!」

 黒薙が声をかけた時には、フェリエッタの姿はすでに消えていた。スプーンを追いかけながら、黒薙は大きく肩をすくめる。

「……全く、もう。」

 ため息を吐いた黒薙がスーツのポケットに手を伸ばすと、そこから“ある物”を取り出す。それは金色の装飾が施された黒い“万年筆”だった。

「“特別認可アイテム”の使用を申請……」

『許可します。』

 低いシステムボイスが鳴ると同時に、万年筆の蓋に設けられていたロックが解除される。蓋を外すと、黒薙は煌めくペン先を目の前を飛んでいるスプーンへ向けた。

「“理の介さず綴る筆オートマティスム追跡する散弾スタブ”!!」

 彼女が万年筆を大きく一振りすると、空中に描かれたインクの軌跡がまたたく間に無数の小さなインクの弾へと変わる。

「……行け。」

 発射されたインクの弾はスプーンの動きを追尾し、狭い空間を埋め尽す。空飛ぶスプーンは黒薙の操る弾を次々と躱しながら、小道の方へと逃げていく。

――その瞬間、スプーンの頭上に人影が現れた。

『水流よ、汝を包む壁となれ、“流水の防壁ロウネア”!!』

 フェリエッタが手に持った杖を振るうと同時に、渦巻く水流が勢いよくスプーンを包み込む。水流はスプーンの動きを止め、その動きを完全に封じ込めた。

「やった……!」

 フェリエッタが喜びの声を上げたのも束の間、屋根から飛び降りた彼女は着地に失敗し、大きく倒れ込んでしまう。

「きゃっ……!い、痛た……」

 尻もちをついたフェリエッタを見て、黒薙は呆れた様子で駆け寄る。

「全く、本当にあなたは無茶ばかりしますね。……ほら、立てますか?」

「す、すいません……。」

 黒薙に手を引っ張られたフェリエッタが、ゆっくりと立ち上がる。

 彼女は恥ずかしそうに顔を赤らめていたが、すぐに水流の中に捕らえたスプーンを見せびらかす。

「……でも、これで全部回収できましたよ、唯月さん!」

 黒薙はスプーンを受け取ると、トランクケースの中にしまった。カチリとケースに鍵をかけた彼女は、静かに頷いた。

「はい、“ティーセット”はこれですべて回収できました。任務はこれで終了しても問題ないでしょう。」

「やった!」

 黒薙の言葉を聞いたフェリエッタが、勢いよく両手を上げて喜ぶ。立ち上がった彼女の横を、春の風が花びらを運びながら通り過ぎていった。

「……そう言えば、“ティーセット”は一体どこに向かってたんだろ?」

 飛んでいく花びらを眺めていたフェリエッタが小さな呟くのを聞いて、黒薙が不思議そうに顔を上げる。

「……はい?」

「発見者さんから逃げ出した“ティーセット”は、すべてこの辺りにいたじゃないですか。進んでいく方向も同じで、まるでどこかに向かっているみたいで……」

 スプーンが進んでいた跡を追いかけるように、彼女の視線が小道の奥に向けられる。そこで彼女は一軒の古びたお店を見つけた。

「もしかして……!」

 そこに並ぶ商品を見たフェリエッタは、大きく声を上げるのだった。




 “スプーン”を捕まえた少女たちは、とある一軒の住宅を訪れていた。暖かい日差しの差し込む部屋の中にはもう一人、腰の曲がった高齢の女性が座っている。

 女性は机の上に置かれたトランクケースを見て、大きく安堵する。

「私が失くした“ティーセット”、無事に見つかったのね。本当に良かったわ……。」

「はい、お婆ちゃんのおかげです。ご協力、ありがとうございました。」

 満面の笑みで答えるフェリエッタを見て、女性は辛そうに表情を歪ませた。彼女は申し訳なさそうな顔をすると、小さく下を向いた。

「そんな……道端で見つけたその鞄を勝手に持ち帰った私が悪いの。中に亡くなった夫が昔大切にしていたものとそっくりな“ティーセット”があって、私、つい……」

 震える声で語りながら、女性は深く頭を下げる。

「もとは“あなた達”のものだったのでしょ?……返します、本当にごめんなさい。」

 謝罪する彼女に、黒薙は身体を乗り出すと穏やかな口調で話しかけた。

「いえ、お気になさらなくて大丈夫です。……それより、お湯も沸いたみたいですので、そろそろお茶をご一緒にいかがでしょうか?」

「え、ええ。」

「私、持ってきますね!……お婆ちゃん、台所をお借りします。」

 フェリエッタは元気よく椅子から立ち上がると、台所の方に姿を消す。次に彼女が姿を現した時には、湯気をたてる “ティーポット”を持っていた。

 フェリエッタは白鳥があしらわれた“ティーポット”のお茶を、子猫が描かれた“ティーカップ”に注ぎ入れると、亀を模した“プレート”に乗せて女性に渡す。

 机には、リスの“シュガーポット”と牛の“ミルクポット”も置いてあった。

 女性がティーカップのお茶を一口飲むと、ふわりとした香りとともに柔らかい味わいが口の中に広がる。その瞬間、彼女は驚きに満ちた表情を浮かべた。

「これ……夫が入れてくれたお茶の味と同じだわ。」

 彼女は両手でカップを握りしめると、机の上にうずくまり、そっと涙を流す。

「あ、あの人、どこで買ってきていたのかも一言も教えてくれなかったから……もう飲めないと思っていたのに……どうして――」

 泣き崩れる女性を、フェリエッタはそっと見守っていた。

「見つけて来てくれたんです……“彼ら”が。」

 その手の中には、ハチドリが彫られた“スプーン”が優しく握られていたのだった。




 女性の家を後にした二人はトランクケースを片手に、夕日に照らされた道を歩く。フェリエッタが手に持ったトランクを見つめながら、ぽつりと呟いた。

「お婆ちゃんの記憶、消えちゃったんですよね……。」

 それを聞いた黒薙は、静かに返答する。

「ええ。“アイテム”の存在は、混乱を避けるために世間から秘匿されなければなりません。残念ですが、関係者の記憶は消すのが組織のルールです。」

「それでも……最後に飲んだお茶の味は忘れてないといいなぁ。」

「……そうですね。」

 フェリエッタの呟きに、黒薙は小さな声で頷く。黒薙が隣で切なげに目を伏せているのに気が付き、フェリエッタはいたずらっぽく笑みを浮かべた。

「へぇ……それにしても、唯月さんも変わりましたよね。」

「え?」

「昔の唯月さんだったら、『任務外の勝手な行動は許されない』とか言って、最後にお茶なんて絶対に作らせてくれませんでしたよ。」

 フェリエッタの言葉に、黒薙は少し動揺したように視線を逸らしてしまう。

「そ、そのようなこと…………無い、とは言い切れませんね。」

「ふふふ、あの時の唯月さん、もっと冷たい感じでしたもんね。」

「え……!フェティ、そんな言い方は――」

 眉をひそめて言い返そうとする黒薙をよそに、フェリエッタは嬉しそうに微笑みながら彼女の前へと駆け出す。

「でも、そういうとこも唯月さんらしくて、私、結構好きですよー。」

「フェ、フェティ……!?」

 顔を赤くした黒薙は、慌ててフェリエッタを追いかける。淡い夕焼けに染まった道には、二人の影が肩を並べて長く伸びていたのだった。



――これは課せられた運命と与えられた選択肢に翻弄される、二人の少女の“始まり”と“終わり”の物語である。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜

深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。 処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。 なぜなら彼女は―― 前世で“トップインフルエンサー”だったから。 処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。 空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。 タイトルは―― 『断罪なう』。 王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。 すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、 国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。 そして宣言される、前代未聞のルール。 支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。 処刑台は舞台へ。 断罪はエンタメへ。 悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。 これは、 処刑されるはずだった悪役令嬢が、 “ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。 支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、 それとも――自由か。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない

宍戸亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。 不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。 そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。 帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。 そして邂逅する謎の組織。 萌の物語が始まる。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

ラストアタック!〜御者のオッサン、棚ぼたで最強になる〜

KeyBow
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞 ディノッゾ、36歳。職業、馬車の御者。 諸国を旅するのを生き甲斐としながらも、その実態は、酒と女が好きで、いつかは楽して暮らしたいと願う、どこにでもいる平凡なオッサンだ。 そんな男が、ある日、傲慢なSランクパーティーが挑むドラゴンの討伐に、くじ引きによって理不尽な捨て駒として巻き込まれる。 捨て駒として先行させられたディノッゾの馬車。竜との遭遇地点として聞かされていた場所より、遥か手前でそれは起こった。天を覆う巨大な影―――ドラゴンの襲撃。馬車は木っ端微塵に砕け散り、ディノッゾは、同乗していたメイドの少女リリアと共に、死の淵へと叩き落された―――はずだった。 腕には、守るべきメイドの少女。 眼下には、Sランクパーティーさえも圧倒する、伝説のドラゴン。 ―――それは、ただの不運な落下のはずだった。 崩れ落ちる崖から転落する際、杖代わりにしていただけの槍が、本当に、ただ偶然にも、ドラゴンのたった一つの弱点である『逆鱗』を貫いた。 その、あまりにも幸運な事故こそが、竜の命を絶つ『最後の一撃(ラストアタック)』となったことを、彼はまだ知らない。 死の淵から生還した彼が手に入れたのは、神の如き規格外の力と、彼を「師」と慕う、新たな仲間たちだった。 だが、その力の代償は、あまりにも大きい。 彼が何よりも愛していた“酒と女と気楽な旅”―― つまり平和で自堕落な生活そのものだった。 これは、英雄になるつもりのなかった「ただのオッサン」が、 守るべき者たちのため、そして亡き友との誓いのために、 いつしか、世界を救う伝説へと祭り上げられていく物語。 ―――その勘違いと優しさが、やがて世界を揺るがす。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

処理中です...