がんばれ勇者くん

うさのり

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第三章

経験の値5

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次の日、誠二が起こされると、エクーディアの姿が見えなかった。ディヤイアンに聞くと、先に湖まで様子を見に行ったらしい。

「しっかし、エクーディアに聞いていたけど、本当に、寝起きが悪いねぇ。誠二君って。」

腕を組んでしきりに感心されたが、誠二はあまり嬉しくなかった。


その後、昨日の残りと、昨日のうちに燻製にしておいたもので、食事をした。
食事が終わると、誠二はディヤイアンと出発した。
ちなみに動物の血や皮や骨や燻製の残りは、誠二が起きる前に、知り合いのところに届けたという。

「魔法って便利だねぇ。」

誠二が感心して言うと、ディヤイアンは苦笑いをしながら答えた。

「魔法は何でも出来る力じゃないよ。誠二君の世界のエネルギーと同じだよ。
昨日の動物の部位は、あらかじめ決められた法則に則って届けたんだ。要は君の世界の郵便と同じだよ。
郵便だって、決められた法則に則って世界中に配られるんでしょ?
あぁ、届くのが早いから、インターネットを通じたメールやその添付ファイルの方が近いかな?」

なるほどと誠二は頷いた。

「まぁ、配達をしてもらうんじゃなくって、わたしが自分の能力で運んだから、ちょっと違うかもしれないけどね。通信であるメールじゃ、物は運べないもんね。」

真剣に考える誠二を、ディヤイアンは面白そうに観察しながら進んだ。


「あ、そー言えば。」

しばらくして、誠二は唐突に話し始めた。

「昨日、ディヤイアンちゃんが薪を集めに行ってる時に、エクーディアさんに聞いたんだけど、今回お姫様を眠らせたのって、この国の人なんでしょ?」

誠二が気付けないほど僅かにためらったディヤイアンは、小さく頷いた。それを見て、誠二は困ったような顔をした。

「それじゃぁ、何でその人はそんなことをしたんだろ?
この国の人って衣食住には困らない生活をしてるんでしょ?それなら、何でお姫様を眠らせてるんだろ?
最初は王様に何か要求をしているのかな?なんて考えてたんだけど、エクーディアさんの話だと、この国の人ってそんなことする必要も意味も無いんじゃないかなって思ってさ。」

「何故?」

「だって、貧富の差がなくて、みんな平等な生活をしてるんでしょ?
物欲も無いみたいだから、そんなことする意味ってあるのかなって。
お姫様を眠らせて、俺みたいなのを召喚させるなんて、意味無いじゃん。」

ディヤイアンは誠二の言葉を聞いてから、ひとつ頷いて、口を開いた。

「確かに、この世界の理はそうだね。でも、仕事をして普通にお金を入手するだけじゃ満足しない者もいるということなの。
仕事をしなければ対価つまりお金は入手できない。ただ、生きていくのは問題ないんだけどね。土地や建物は全て国のものだし、やろうと思えば食事も必要ない。生まれてから食べなくても死にはしないからね。昨日少し話したけど、魔術師になれば、食事はいらない。反対に効率が悪いからね。」

苦笑いするディヤイアンを、誠二はじっと見つめた。
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