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♯5

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俺の想いってそんなものだったか?
俺の惚れた女があんな辱しめ受けているのに俺は黙って見ているのか?それこそ俺は最低なんじゃないか!?
違う、違う…俺は本当に…氷雨君子が、好きなんだ!!!

「レース!」

「ガーター!」

「オレンジ!」

「レッド!」

教室の一角では未だに陽キャの不潔な連中が口汚く卑猥な言葉を罵るのと同じように美少女に詰めよっている。当たるまでやる気だあいつら。そんなのもう…許せん!!

「白!」

気付いた瞬間、俺は叫んでいた。
その声は惨めに裏返った高い声で最高に情けなかった。全身の血液が身体中で沸騰してるのを感じた。「ヤバい」その3文字しか頭になかった。

「………。」

陽キャが、ヤーさんばりにノッシノッシと俺の回りにたかる。やっぱ虫かこいつら。

「あんだおめぇ。」

「空気読めよカス野郎。」

「キショいんダヨ。」

怖い怖い怖い怖い怖い睨み殺される!
縦振動でガタガタ、椅子の上で震える。
首根っこ掴まれて窓から投げられそう。
投げられたら痛いかな、でも俺はやるべきことやりとげた。きっと空は綺麗だ。
全ての覚悟が決まった時…。

「白よ。」

鈴のような綺麗な声が、教室に響き渡った。他でもない氷雨君子の声だった。
風のようにツカツカと俺の机の前までやってきた彼女は脈絡なく俺の腕を掴むと無理やり立たせた。やだ、強引…♡
カッコよく背筋を伸ばして並びたかったが現実の隆一はヘナヘナとへっぴり腰でだらしなかった。

「ゲームは彼の勝ちよ。私、彼とデートしてくる。」

少し、怒ってる?菩薩のように優しい彼女がやけにハキハキと言いきった。
陽キャの…あの顔!写真撮りたかったぜ!
ポカーンと魂抜けてて最高にいい気分!
ざまぁみやがれカス野郎共!と口の中だけで罵ってやった。モゴモゴと変な音が出た。

俺の意思とは全然関係なく足が動いてく。
氷雨君子に強引に誘拐され、優越感に浸っていたらいつの間にか屋上に連れ出されていた。階段横の扉前で、氷雨君子はようやく一息ついたのか肩の力を抜いた。

離された手の温もりに戸惑いを覚えつつ、俺は芋虫のようにモゾモゾ動きながら立っていることしか出来なかった。

「あの男の子達サイテー。」

「さっサイテーだよねー!」

同じ男だが今は乙女の気持ちになりきる!
愚痴を溢す彼女に強く同意した。
すると美少女はいつもの優しい笑顔をみせてくれた。それからとても困る質問をした。

「どうして私の下着の色を知ってたの?」
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