❰完結済!❱堅物牛乳(ウシチチ)お父さんと激しくラブしたい!

蒼い色鉛筆

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いっぱいめ

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夏の匂いが微かに残る、静かな夜…とあるマンションの窓にはまだ明かりが残っていた。

「はあ…」

ため息の1つも出るさ。
ピカピカのフローリングの上に雑多に積まれた段ボールの山…そのくぼみに苦労して組んだ愛用のベッドの上で生活するのに最近、慣れてきたんだから。
父さんの仕事が変わるのが変な時期だったせいで夏休み突入ギリギリで引っ越しを始め、なんとか最低限の生活スペースを確保して早二週間、母さんは早く片付けろってうるさい。押し入れはがらんどうで新品のカーテンも綺麗に畳んだままだけどさ、もうそれでも良くない~~~?ベッドの上で、ゴロ~ン。

prrrr prrrr

片付けをやらない理由を探してちんたらしていると不意にスマホの着信音が鳴る。
まだ大体段ボールに入ってるせいか、やけに反響音が鳴り響いて、深夜のマンションのご近所迷惑になるんじゃないかって神経質になってしまう。慌ててポケットに入ったままのスマホを手に取り、スピーカーに急ぎ耳を当てた。

「よ、元気?」

「おっ!おお、ぼちぼちだな。そっちはどうだサイトー。」

サイトーはいわゆるオタク友達。たまたまゲームの話をしたらお互い好きなゲームだったってきっかけで仲良くなった、今では僕にとって「数少ない普通の友達」。
そいつはスナック菓子を食べながら皮肉っぽく笑っていた。

「平和も平和よ。なんつったって疫病神のお前が引っ越ししてくれたからな~~。ったく、お前があのゲーム好きじゃなかったら親友にはならなかっただろうな、なんたって『男食いのアメ』と言ったらーー」

「っ!しーっ!声がでけえ!」

声を絞るようにして制し、10秒くらい辺りの物音に集中する、大丈夫っぽい。
…通話の声くらいじゃ隣の部屋の両親には聞こえないだろうがその話は無し!親の前では天才肌のイイコチャンしてるんだからもしもバレたら人生詰む!
バクバクうるさい心臓を鎮めようと、体を小さく丸めて受話器に手を当て、小声で話す。

「もういいかサイトー。お喋りなら昼間にしようぜ。それとも大事な話があるのか?」

「ああ、忘れるとこだった…マジ大切な話しようと電話したんだった。」

「っ…な、なんだよ。」

身に覚えがありすぎて怖ぇ。でも聞かないわけにはいかないよな…冷や汗がツツ、と顎を伝った。受話器越しにサイトーがバリボリぽてちを食べてる音がする。

「真っ当に女遊びするって約束したよな?もう二週間経ったんだし彼女は何人出来た?あー『彼女以外』でもいいけどメッチャ可愛い娘いたらぜひ俺にも紹介ーーー」

プッ(電話を切る)

「………。」

急に疲れてシワの寄った目元を摘まむ。
は~~~ビビった…あれで心配してんのか茶化してんのか?まあ、前の学校では性的に暴れすぎて大変だったからなぁ。百人切り以上(男相手だけでも)ヤッたしなぁ。なんか冷めちゃうんだよ。ある程度開発したら興奮が冷めて別の男に手を出しちゃう。それで相手の彼女にブチ切られて修羅場学級裁判…思い出すだけで心がっ…

高校早々、クラスが険悪になったところで父親の転勤に付き添わなければ僕は変わろうとしなかっただろう。修羅場はもう懲り懲りさ、男子の前立腺を開拓せず健全に女子と突き合おう、うんうん。

「よぉし…ヤルか。」

気合いの入った眼差しに、袖まくりして腕をぐるぐる回す。

新たな生活で新たな目標を胸に渋々部屋の片付けを始め…懐かしいゲームが見つかり…休憩しようと座ったら…結局徹夜で学校に行くことになったとさ。
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