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ろくぱいめ
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はあはあはあっ…はあっ、げほっ、なんとか時間に間に合った…!さ、さてインターホンを…押す前に玄関の扉が開かれた。
ガチャッ
「遅いよお…!あ、あれ!?いらっしゃい花文くん!時間通り、だ、ね…?どうしてそんなに息荒いの?」
「はあはあっ…ごめん、駅でトラブっちゃって、遅れないよう走って来た!」
「わっ、大変だったね!」
出迎えてくれたエプロン姿の高橋さんはその体格の小ささには不釣り合いでおままごとのお母さん、って感じだけど似合ってて可愛かった。
「すぐ、息整えるから…!」
「うん、汗冷えるし上がってどうぞ?」
あれ?
あ、あああしまった…失敗した!
風邪気味と嘘ついて即帰るつもりだったのに駅から全力ダッシュした奴が具合悪いわけない!急いでて考えが至らなかったけど最悪の失敗だ!
「ご、ご両親いるの…!?」
「ううん、まだ。大丈夫、そのまま入っても変な子って思われたりしないよ。」
「う、うう…ああ、そっか…。」
プランB…プランBを決行だ!プランBなんてないけど今から考えるしかない。彼女の家に慎重にお邪魔して、リビングに導かれながら真剣に考える。
「もう少し時間かかるから待っててね。」
「うん、分かった。」
急に用事が出来たことにするか…?サイトーにメールして電話してもらう?でも彼女よりも優先する用事って何だ、演技とはいえサイトーに死んでもらうしかないか…?悪いやつだったよ、サイトー……いや、そういう嘘は後々の埋め合わせが面倒だ。後日うっかり彼の話をしたら、亀裂が大きくなる!
自分の交遊関係の薄さが悲しくなる。
恋をしちゃうから男友達は作らないようにしていたし、女子からも憧れるばかりで対等な関係の人はいない、強いて言えば高橋さんくらいだ。プランC、Dもことごとくダメで…
ガチャッ
う"っ!帰ってきた!?
ほんの10分ほどで、良案が浮かぶわけもなく蒼雨の胃腸は切なくきゅんと痛んだ。
オナカイタイ、アイサツコワイ。
「よつは、ただいま。」
「あー!お父さん遅いーー!」
「!!!!!」
厳格そうな声が玄関から聞こえた。気まずい…気まずいディナーだ。どうして母親がいないんだ!父親にとって娘の彼氏なんて憎むべき存在で…きっと夜ご飯はお通夜みたくなるだろう。ああ参加…したくなかった…。もう今はただただ帰りたいと駄々こねたい。
ぺたぺたぺた…
どすっどすっどすっ
ああ…彼女と共に足音が近付いてくる。
座っていられないな、席を立って跳ねる心臓を押さえ、深呼吸をして、入り口を凝視する。もう、来るなら来いの精神だ。
そしてまず高橋さんの元気な姿が見え…
「お父さん紹介するね、彼の花文くん!」
「っ…!彼だと、聞いてないぞ!?」
扉前で超怒ってる~~~ですよね~~~。
声がハキハキしてて厳しそうだし…会うなり殴られることも覚悟しとこう。なんで…どうしてこんなことに…。親子喧嘩怖い。僕肩身狭い。
「私は認めないぞ、出ていきなさい!」
扉がバーンと勢いつけて開かれた。
ああ殴られる…!?
あれ…。
「………。」
「………。」
彼女の父親と蒼雨はお互いを1分以上見つめあった。それがまるで運命の出会いであるかのように視線を外すことは不可能だった。続けて彼女がフォローに入るため、父親を宥めていた。
「お父さん怒らないで…!ご飯食べに来ただけなんだから!」
「………あ、ああ…そう、なのか…。」
「………。」
浅黒い肌に不似合いな白シャツ。
ムキムキの高身長。
眉の間の濃いシワのすぐ下には黒縁メガネ。
いや、そんな見た目情報不要だ。
先ほどの手の甲の傷…僕は彼を知っている。
高橋皆人…!!!
彼女の…オトウサン!?!?
えええええええええええええええええ!?
脳内はパニックになっているが相手は流石社会人、目が死んだままでも挨拶してきた。
「………こんばんわ。」
「どうも………。」
蒼雨はこの時の記憶がない。それくらい緊張と動揺していた。
「あれ?はじめましては?もしかしてもう二人は知り合いだったの?」
徐々に冷静さを取り戻すと…ずる賢い選択をした。
「…まあね、さっき話してた駅でのトラブーー」
「花文くん!改めて私からもよつはの夕飯に招待しよう!さあ座りなさい!」
直前まで出てけ!と言っていた家主がこの変わり身、ああ快感…♡
「…はーい♡」
これは…これは、フル勃起する…!!プランHを実行する!既にピーンとしててテーブルに座らなければバキバキのムスコを見られてしまうところだった。
「はいはい、お父さんお疲れ様♪座って座って~。」
高橋さ…四葉さんは父親が怒ってると思っているのか宥めつつ先にリビングのソファーに誘導していた。この距離感が逆に気まずいまである。
いやそもそもまさか、こんなに再会が早いなんて…!
「ねえ、高橋さん。」
「なんだ!」
「なぁに~?」
やっぱ二人とも反応するんだw面白いw
敢えて父親には目もくれず情熱的な視線を彼女の方へ送り、甘ったるい声をかけた。
「四葉さんって呼んでもいいかな?」
「……っ!い、いいよー。」
お父さんの嫉妬の眼差しが背中に刺さるの気持ちいい…!でも僕の本当の狙いはあなたなんです!
ガチャッ
「遅いよお…!あ、あれ!?いらっしゃい花文くん!時間通り、だ、ね…?どうしてそんなに息荒いの?」
「はあはあっ…ごめん、駅でトラブっちゃって、遅れないよう走って来た!」
「わっ、大変だったね!」
出迎えてくれたエプロン姿の高橋さんはその体格の小ささには不釣り合いでおままごとのお母さん、って感じだけど似合ってて可愛かった。
「すぐ、息整えるから…!」
「うん、汗冷えるし上がってどうぞ?」
あれ?
あ、あああしまった…失敗した!
風邪気味と嘘ついて即帰るつもりだったのに駅から全力ダッシュした奴が具合悪いわけない!急いでて考えが至らなかったけど最悪の失敗だ!
「ご、ご両親いるの…!?」
「ううん、まだ。大丈夫、そのまま入っても変な子って思われたりしないよ。」
「う、うう…ああ、そっか…。」
プランB…プランBを決行だ!プランBなんてないけど今から考えるしかない。彼女の家に慎重にお邪魔して、リビングに導かれながら真剣に考える。
「もう少し時間かかるから待っててね。」
「うん、分かった。」
急に用事が出来たことにするか…?サイトーにメールして電話してもらう?でも彼女よりも優先する用事って何だ、演技とはいえサイトーに死んでもらうしかないか…?悪いやつだったよ、サイトー……いや、そういう嘘は後々の埋め合わせが面倒だ。後日うっかり彼の話をしたら、亀裂が大きくなる!
自分の交遊関係の薄さが悲しくなる。
恋をしちゃうから男友達は作らないようにしていたし、女子からも憧れるばかりで対等な関係の人はいない、強いて言えば高橋さんくらいだ。プランC、Dもことごとくダメで…
ガチャッ
う"っ!帰ってきた!?
ほんの10分ほどで、良案が浮かぶわけもなく蒼雨の胃腸は切なくきゅんと痛んだ。
オナカイタイ、アイサツコワイ。
「よつは、ただいま。」
「あー!お父さん遅いーー!」
「!!!!!」
厳格そうな声が玄関から聞こえた。気まずい…気まずいディナーだ。どうして母親がいないんだ!父親にとって娘の彼氏なんて憎むべき存在で…きっと夜ご飯はお通夜みたくなるだろう。ああ参加…したくなかった…。もう今はただただ帰りたいと駄々こねたい。
ぺたぺたぺた…
どすっどすっどすっ
ああ…彼女と共に足音が近付いてくる。
座っていられないな、席を立って跳ねる心臓を押さえ、深呼吸をして、入り口を凝視する。もう、来るなら来いの精神だ。
そしてまず高橋さんの元気な姿が見え…
「お父さん紹介するね、彼の花文くん!」
「っ…!彼だと、聞いてないぞ!?」
扉前で超怒ってる~~~ですよね~~~。
声がハキハキしてて厳しそうだし…会うなり殴られることも覚悟しとこう。なんで…どうしてこんなことに…。親子喧嘩怖い。僕肩身狭い。
「私は認めないぞ、出ていきなさい!」
扉がバーンと勢いつけて開かれた。
ああ殴られる…!?
あれ…。
「………。」
「………。」
彼女の父親と蒼雨はお互いを1分以上見つめあった。それがまるで運命の出会いであるかのように視線を外すことは不可能だった。続けて彼女がフォローに入るため、父親を宥めていた。
「お父さん怒らないで…!ご飯食べに来ただけなんだから!」
「………あ、ああ…そう、なのか…。」
「………。」
浅黒い肌に不似合いな白シャツ。
ムキムキの高身長。
眉の間の濃いシワのすぐ下には黒縁メガネ。
いや、そんな見た目情報不要だ。
先ほどの手の甲の傷…僕は彼を知っている。
高橋皆人…!!!
彼女の…オトウサン!?!?
えええええええええええええええええ!?
脳内はパニックになっているが相手は流石社会人、目が死んだままでも挨拶してきた。
「………こんばんわ。」
「どうも………。」
蒼雨はこの時の記憶がない。それくらい緊張と動揺していた。
「あれ?はじめましては?もしかしてもう二人は知り合いだったの?」
徐々に冷静さを取り戻すと…ずる賢い選択をした。
「…まあね、さっき話してた駅でのトラブーー」
「花文くん!改めて私からもよつはの夕飯に招待しよう!さあ座りなさい!」
直前まで出てけ!と言っていた家主がこの変わり身、ああ快感…♡
「…はーい♡」
これは…これは、フル勃起する…!!プランHを実行する!既にピーンとしててテーブルに座らなければバキバキのムスコを見られてしまうところだった。
「はいはい、お父さんお疲れ様♪座って座って~。」
高橋さ…四葉さんは父親が怒ってると思っているのか宥めつつ先にリビングのソファーに誘導していた。この距離感が逆に気まずいまである。
いやそもそもまさか、こんなに再会が早いなんて…!
「ねえ、高橋さん。」
「なんだ!」
「なぁに~?」
やっぱ二人とも反応するんだw面白いw
敢えて父親には目もくれず情熱的な視線を彼女の方へ送り、甘ったるい声をかけた。
「四葉さんって呼んでもいいかな?」
「……っ!い、いいよー。」
お父さんの嫉妬の眼差しが背中に刺さるの気持ちいい…!でも僕の本当の狙いはあなたなんです!
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