❰完結済!❱堅物牛乳(ウシチチ)お父さんと激しくラブしたい!

蒼い色鉛筆

文字の大きさ
6 / 24

ろくぱいめ

しおりを挟む
はあはあはあっ…はあっ、げほっ、なんとか時間に間に合った…!さ、さてインターホンを…押す前に玄関の扉が開かれた。

ガチャッ

「遅いよお…!あ、あれ!?いらっしゃい花文くん!時間通り、だ、ね…?どうしてそんなに息荒いの?」

「はあはあっ…ごめん、駅でトラブっちゃって、遅れないよう走って来た!」

「わっ、大変だったね!」

出迎えてくれたエプロン姿の高橋さんはその体格の小ささには不釣り合いでおままごとのお母さん、って感じだけど似合ってて可愛かった。

「すぐ、息整えるから…!」

「うん、汗冷えるし上がってどうぞ?」

あれ?
あ、あああしまった…失敗した!
風邪気味と嘘ついて即帰るつもりだったのに駅から全力ダッシュした奴が具合悪いわけない!急いでて考えが至らなかったけど最悪の失敗だ!

「ご、ご両親いるの…!?」

「ううん、まだ。大丈夫、そのまま入っても変な子って思われたりしないよ。」

「う、うう…ああ、そっか…。」

プランB…プランBを決行だ!プランBなんてないけど今から考えるしかない。彼女の家に慎重にお邪魔して、リビングに導かれながら真剣に考える。

「もう少し時間かかるから待っててね。」

「うん、分かった。」

急に用事が出来たことにするか…?サイトーにメールして電話してもらう?でも彼女よりも優先する用事って何だ、演技とはいえサイトーに死んでもらうしかないか…?悪いやつだったよ、サイトー……いや、そういう嘘は後々の埋め合わせが面倒だ。後日うっかり彼の話をしたら、亀裂が大きくなる!

自分の交遊関係の薄さが悲しくなる。
恋をしちゃうから男友達は作らないようにしていたし、女子からも憧れるばかりで対等な関係の人はいない、強いて言えば高橋さんくらいだ。プランC、Dもことごとくダメで…

ガチャッ

う"っ!帰ってきた!?
ほんの10分ほどで、良案が浮かぶわけもなく蒼雨の胃腸は切なくきゅんと痛んだ。
オナカイタイ、アイサツコワイ。

「よつは、ただいま。」

「あー!お父さん遅いーー!」

「!!!!!」

厳格そうな声が玄関から聞こえた。気まずい…気まずいディナーだ。どうして母親がいないんだ!父親にとって娘の彼氏なんて憎むべき存在で…きっと夜ご飯はお通夜みたくなるだろう。ああ参加…したくなかった…。もう今はただただ帰りたいと駄々こねたい。

ぺたぺたぺた…
どすっどすっどすっ

ああ…彼女と共に足音が近付いてくる。
座っていられないな、席を立って跳ねる心臓を押さえ、深呼吸をして、入り口を凝視する。もう、来るなら来いの精神だ。
そしてまず高橋さんの元気な姿が見え…

「お父さん紹介するね、彼の花文くん!」

「っ…!彼だと、聞いてないぞ!?」

扉前で超怒ってる~~~ですよね~~~。
声がハキハキしてて厳しそうだし…会うなり殴られることも覚悟しとこう。なんで…どうしてこんなことに…。親子喧嘩怖い。僕肩身狭い。

「私は認めないぞ、出ていきなさい!」

扉がバーンと勢いつけて開かれた。
ああ殴られる…!?
あれ…。

「………。」

「………。」

彼女の父親と蒼雨はお互いを1分以上見つめあった。それがまるで運命の出会いであるかのように視線を外すことは不可能だった。続けて彼女がフォローに入るため、父親を宥めていた。

「お父さん怒らないで…!ご飯食べに来ただけなんだから!」

「………あ、ああ…そう、なのか…。」

「………。」

浅黒い肌に不似合いな白シャツ。
ムキムキの高身長。
眉の間の濃いシワのすぐ下には黒縁メガネ。
いや、そんな見た目情報不要だ。
先ほどの手の甲の傷…僕は彼を知っている。

高橋皆人…!!!

彼女の…オトウサン!?!?

えええええええええええええええええ!?

脳内はパニックになっているが相手は流石社会人、目が死んだままでも挨拶してきた。

「………こんばんわ。」

「どうも………。」

蒼雨はこの時の記憶がない。それくらい緊張と動揺していた。

「あれ?はじめましては?もしかしてもう二人は知り合いだったの?」

徐々に冷静さを取り戻すと…ずる賢い選択をした。

「…まあね、さっき話してた駅でのトラブーー」

「花文くん!改めて私からもよつはの夕飯に招待しよう!さあ座りなさい!」

直前まで出てけ!と言っていた家主がこの変わり身、ああ快感…♡

「…はーい♡」

これは…これは、フル勃起する…!!プランHを実行する!既にピーンとしててテーブルに座らなければバキバキのムスコを見られてしまうところだった。

「はいはい、お父さんお疲れ様♪座って座って~。」

高橋さ…四葉さんは父親が怒ってると思っているのか宥めつつ先にリビングのソファーに誘導していた。この距離感が逆に気まずいまである。
いやそもそもまさか、こんなに再会が早いなんて…!

「ねえ、高橋さん。」

「なんだ!」

「なぁに~?」

やっぱ二人とも反応するんだw面白いw
敢えて父親には目もくれず情熱的な視線を彼女の方へ送り、甘ったるい声をかけた。

「四葉さんって呼んでもいいかな?」

「……っ!い、いいよー。」

お父さんの嫉妬の眼差しが背中に刺さるの気持ちいい…!でも僕の本当の狙いはあなたなんです!
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

今日もBL営業カフェで働いています!?

卵丸
BL
ブラック企業の会社に嫌気がさして、退職した沢良宜 篤は給料が高い、男だけのカフェに面接を受けるが「腐男子ですか?」と聞かれて「腐男子ではない」と答えてしまい。改めて、説明文の「BLカフェ」と見てなかったので不採用と思っていたが次の日に採用通知が届き疑心暗鬼で初日バイトに向かうと、店長とBL営業をして腐女子のお客様を喜ばせて!?ノンケBL初心者のバイトと同性愛者の店長のノンケから始まるBLコメディ ※ 不定期更新です。

魔王の息子を育てることになった俺の話

お鮫
BL
俺が18歳の時森で少年を拾った。その子が将来魔王になることを知りながら俺は今日も息子としてこの子を育てる。そう決意してはや数年。 「今なんつった?よっぽど死にたいんだね。そんなに俺と離れたい?」 現在俺はかわいい息子に殺害予告を受けている。あれ、魔王は?旅に出なくていいの?とりあえず放してくれません? 魔王になる予定の男と育て親のヤンデレBL BLは初めて書きます。見ずらい点多々あるかと思いますが、もしありましたら指摘くださるとありがたいです。 BL大賞エントリー中です。

ざこてん〜初期雑魚モンスターに転生した俺は、勇者にテイムしてもらう〜

キノア9g
BL
「俺の血を啜るとは……それほど俺を愛しているのか?」 (いえ、ただの生存戦略です!!) 【元社畜の雑魚モンスター(うさぎ)】×【勘違い独占欲勇者】 生き残るために媚びを売ったら、最強の勇者に溺愛されました。 ブラック企業で過労死した俺が転生したのは、RPGの最弱モンスター『ダーク・ラビット(黒うさぎ)』だった。 のんびり草を食んでいたある日、目の前に現れたのはゲーム最強の勇者・アレクセイ。 「経験値」として狩られる!と焦った俺は、生き残るために咄嗟の機転で彼と『従魔契約』を結ぶことに成功する。 「殺さないでくれ!」という一心で、傷口を舐めて契約しただけなのに……。 「魔物の分際で、俺にこれほど情熱的な求愛をするとは」 なぜか勇者様、俺のことを「自分に惚れ込んでいる健気な相棒」だと盛大に勘違い!? 勘違いされたまま、勇者の膝の上で可愛がられる日々。 捨てられないために必死で「有能なペット」を演じていたら、勇者の魔力を受けすぎて、なんと人間の姿に進化してしまい――!? 「もう使い魔の枠には収まらない。俺のすべてはお前のものだ」 ま、待ってください勇者様、愛が重すぎます! 元社畜の生存本能が生んだ、すれ違いと溺愛の異世界BLファンタジー!

同僚に密室に連れ込まれてイケナイ状況です

暗黒神ゼブラ
BL
今日僕は同僚にごはんに誘われました

お兄ちゃんができた!!

くものらくえん
BL
ある日お兄ちゃんができた悠は、そのかっこよさに胸を撃ち抜かれた。 お兄ちゃんは律といい、悠を過剰にかわいがる。 「悠くんはえらい子だね。」 「よしよ〜し。悠くん、いい子いい子♡」 「ふふ、かわいいね。」 律のお兄ちゃんな甘さに逃げたり、逃げられなかったりするあまあま義兄弟ラブコメ♡ 「お兄ちゃん以外、見ないでね…♡」 ヤンデレ一途兄 律×人見知り純粋弟 悠の純愛ヤンデレラブ。

強制悪役劣等生、レベル99の超人達の激重愛に逃げられない

砂糖犬
BL
悪名高い乙女ゲームの悪役令息に生まれ変わった主人公。 自分の未来は自分で変えると強制力に抗う事に。 ただ平穏に暮らしたい、それだけだった。 とあるきっかけフラグのせいで、友情ルートは崩れ去っていく。 恋愛ルートを認めない弱々キャラにわからせ愛を仕掛ける攻略キャラクター達。 ヒロインは?悪役令嬢は?それどころではない。 落第が掛かっている大事な時に、主人公は及第点を取れるのか!? 最強の力を内に憑依する時、その力は目覚める。 12人の攻略キャラクター×強制力に苦しむ悪役劣等生

優しい檻に囚われて ―俺のことを好きすぎる彼らから逃げられません―

無玄々
BL
「俺たちから、逃げられると思う?」 卑屈な少年・織理は、三人の男から同時に告白されてしまう。 一人は必死で熱く重い男、一人は常に包んでくれる優しい先輩、一人は「嫌い」と言いながら離れない奇妙な奴。 選べない織理に押し付けられる彼らの恋情――それは優しくも逃げられない檻のようで。 本作は織理と三人の関係性を描いた短編集です。 愛か、束縛か――その境界線の上で揺れる、執着ハーレムBL。 ※この作品は『記憶を失うほどに【https://www.alphapolis.co.jp/novel/364672311/155993505】』のハーレムパロディです。本編未読でも雰囲気は伝わりますが、キャラクターの背景は本編を読むとさらに楽しめます。 ※本作は織理受けのハーレム形式です。 ※一部描写にてそれ以外のカプとも取れるような関係性・心理描写がありますが、明確なカップリング意図はありません。が、ご注意ください

処理中です...