撲滅の僕

クロとき

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撲滅の僕

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いつもと変わらない日々。
ガタンガタン
くたびれたスーツの会社員。
談笑してる学生。

みなそれぞれの人生。

奴隷を運ぶ電車という乗り物に揺られながら''ボク''はこう思った。

「寝るっ!!!」

心の声が思わず声となって出てしまった。
静まり返る車内。

すると一人の少女が近づいてきてこう言った。

「うるさいんですけど!」

「あ、どうもはじめまして。神です」

顔を真っ赤にしてる少女に自己紹介してあげた。

いや、違う。
自己紹介なんてそんな簡単なものじゃない。ボクはただ存在を認めてほしいんだ。

ボクは承認欲求を捨てる勇気を持てない、ただの臆病者だ。

少女はそんな弱いボクに微笑みながらこう叫んだ。

「みょーん!」

!?
聞き間違いか?いや、たしかにこの少女はボクに訳の分からない奇声をあげてきた。
戸惑いながら聞いてみた。
「ケンカ売ってます?」

暗い外が突然明るくなった。
「なんだ なんだ!」
車内が騒然とし出した。


その隙に少女はボクにつばを吐きかけなにくわぬ顔で別の車両に去っていった。
ボクはにやける顔を抑えられなかった。

舐めた。
僕は顔に付いた唾液舐めた。1つになったんだ。

興奮がおさまらない。
外の明るさなんてもうどうでもいい。
こうしてボクの最初で最後の恋が始まった。

~タイトル流れる~

「かわはらくーん 今日の荷物これだけね!」

「今日も荷物少ないんですね。ここの会社大丈夫なんですかね。アマゾンもうちから撤退しちゃいましたし。あはは。」

僕は運送会社で働いているしがないサラリーマンだ。サラリーマンというかただのアルバイトだ。

終身雇用終了だなんてよく言ったものだ。

「時間指定したのに遅いじゃないですか!」

「あ、あ、すみません。」

ガチャン!

「まったく。どいつもこいつも。俺がいるから社会は周ってるんだ」

世の中なんてくだらない。人類を撲滅するのが幼い頃からの夢であった。
客から文句を言われるたびに「お前なんて殺ろうと思えばいつでも殺れるんだからな」と心で思えば少しは気持ちが楽になれる。
僕にとって人を見下すことが精神安定剤である。

「次の配達場所はここか」

築50年はありそうなとても古いアパートだ。
目の前にもアパートはあるが目的地は奥の2階建てのアパート。
右側の今にも崩れそうな階段を上がって、奥のゴミ屋敷? と思える部屋。

ドアには 

    いつも御苦労です。
 荷物はドアの前に置いといて下さい。 

と。

「こんなことわざわざ玄関にはって恥ずかしくないのか。
変わった人もいるもんだな。」

呆れた表情でそう呟いたが、僕はここの住人がどんな人なのかが気になった。
荷物をドアの前に置くべきなのか迷ったが、気づいたときにはチャイムを鳴らしていた。

ピンポーン

返事がない。よし、もう1回。

ピポンピポンピンポーン

緊張していたのか指が震え、三回もチャイムを押してしまった。

すると住人が出てきた。

ガチャ

小汚い女。髪はぐちゃぐちゃ。足元には酒瓶が転がっており、なんと言ってもこの刺激臭。
でも分かった。あいつだ。

僕は仕事だと割り切って対応した。

「三澤瑠美さんですね。」

「はい。御苦労様。」

「こちらにサインお願いします。」

カキカキ

表情を崩さない。女。

「また宜しくお願いします」

愛想悪いなー。

相手は気付いてなかったか。

ちょっとは片付けろよ。ブス。
でも世間は狭いな。

俺は直ぐに次の配達に向けてトラックに乗り込んだ。

あれ!? 免許証がない。

無くしてしまったのか。だとするとこれで4回目である。
落ち着いて思い出せ。冷静になろうと思えば思うほど焦ってしまう。
汗がとまらない。

まっいっか。酒飲んで忘れよう。
そのまま会社の車で自宅に帰った。

家に帰ると郵便受けに無くした免許証とメモ用紙が入っていた。

そのメモ用紙にはこう書いてあった。
「相変わらず間抜けね。これは貸しよ   Rより」
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