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邂逅
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しおりを挟む「―――っ……」
「これ、洋助の家族写真ですよね、
返さないといけないと思って、個人的に預かっていました」
「あー……あー、いやいい、捨てておいて」
「そうゆう訳にもいけません」
「なら、今はいいよ、預かってて」
「―――洋助がそう言うなら、分かりました……」
そっと戻された写真には、幼少の頃の洋助と彼の両親が映り幸せそうであった。
しかし、それを見た彼の顔は悲痛に歪み、酷く物悲しい。
「なぁ、あい」
「なんでしょう」
「俺は、人の家庭事情をとやかく言える立場じゃないけど、
……俺は、俺は絶対、あいを見捨てたりしないよ」
「それも、嘘、ですか」
「いや、これは嘘じゃない」
「どうすれば、信じられるのでしょうか……私は、怖いんです」
「そうだなぁ……人を信じるのは怖いよな、だから―――」
だから、人は人を求め、支え合う。
それは裏切りかもしれず、傷付くかもしれなくても。
「だから、たまには甘えてもいいんだ」
穢れをすくって、取りこぼし、汚く這いつくばってきたこの手。
それでも、彼女には救いの手であり、抱き締められた感触はかけがえのない暖かさを伴って少女を守った。
「今まで、よく頑張ったな……悪かった、思い出せなくて」
「―――うぅ……今更、保護者みたいなっ……ぐすっ……」
「ごめんって、今日からはちゃんとする、信じてくれ」
「……絶対に、っぐす……絶対ですよ?」
「ああ、絶対だ」
約束を守らない詐欺師。
だが、たった一つの約束を守る為に彼は変わってゆく。
能力によって、自身を肯定するしか出来ない人間。
だが、目の前の少女と、かつての母親だけは心から嘘を叱ってくれる。
媚びを売る訳でもなく、好かれるための行動でもなく、彼を一人の人間として扱ってくれるかけがえのない存在。
だからこそ、洋助はあいに対して真摯に向き合う。
もう二度と、大切な人を失わないように。
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