徒然話

冬目マコト

文字の大きさ
1 / 9

だって友達だもの

しおりを挟む
今日彼女と別れる。
 特に理由はないというより互いに刺激もなくグダグダと付き合っているのもどうかと思って、思い切って別れ話をしようと決めたのだ。

喫茶店に彼女がいる。私が呼びつけた、大学のころからの付き合いだけど彼女はあいも変わらず笑顔を絶やさず私をみてニッコリと笑っている。

「もう…別れないか…」
 私がすぐさま話を切り出した。 すると彼女はニッコリと笑って「そうね!わかったわ!これからはいい友達でいましょう!」
 あっさりとした返答だった。私はホッとした。その日はそのまま帰った。

次の日、仕事だ。会社でパソコンとにらみ合いをしている。
 疲れて椅子にもたれたとき、声が聞こえた。「おーい!」  彼女の声だ!
  すぐさまオフィスの扉を見ると別れたばかりの彼女がニッコリとしてこちらに手を振っている
私は彼女を廊下に連れ出して問い詰めた「どうして君がここにいるんだ!」
 「だって私たち友達じゃない?友達が友達に会いに行くのに何が問題あるの?」


 ある日私は、会社の女性同僚を食事に誘った。最近できたばかりの洋食店にだ。女性もまんざらな感じじゃなかったので内心ニマニマしながら店に向かった。すると店の前に彼女がニッコリと立っていた・・彼女は私を見つけるとまたニッコリと笑って
 「あら偶然ね!私もここで食事をしようと思っていたの!一緒に食べしょう!友達だもんね」

またある日、合コンに行くことになった。すると酒場に彼女がニッコリと座って待っていた。
 「なんでココに?」思わず聞いた。「私は友人の付き添いでね!ちょうどいいじゃない!昔みたいに飲みましょう、友達だしね!!」
 その場での合コンは隣に常に彼女がいて、はなしてくれなかった…違う女性と話そうとすると彼女が前に出てくるのだ。 2,3次会をおえても彼女は隣にいた、「なぜ腕をつかむんだい?」
「いいじゃん!友達だし!」


年末、やっと実家に帰る事ができた、仙台の家に雪をかき分けながら扉にたどり着く、「ただいまー」 「おかえり~」 彼女の声だった。彼女がニッコリとしながらこたつに入っていとこたちとトランプをやっている、人気者だ。「だって友達だもの!会いに来たよ!!」
 私はつっこむ気もうせていた。

それから毎日、彼女は私の前に現れた、職場、酒場、実家どこにでも…

 私は家にいる・・残業でもうクタクタだ・・・・明かりを消して布団に倒れこむ、足元がもごもごしている。・・・・彼女だ・・・
「何度も家も鍵も変えたのになんで君はココにいるんだい?」

                「だって友達だもの」

               
               彼女はニッコリと笑った・・・
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

性別交換ノート

廣瀬純七
ファンタジー
性別を交換できるノートを手に入れた高校生の山本渚の物語

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

リボーン&リライフ

廣瀬純七
SF
性別を変えて過去に戻って人生をやり直す男の話

リアルメイドドール

廣瀬純七
SF
リアルなメイドドールが届いた西山健太の不思議な共同生活の話

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

処理中です...