5 / 12
第5話 クソガキのお守ですわ。
しおりを挟む
「サフィア、訓練場で先に待っていてくれ」
その日は朝から騎士団見習いの訓練生達の相手を任せれました。
クソガキに会うの嫌だなーと思いながら鉄扉を開けると、モスクが華奢な身体で素振りの練習をしていました。
「あら、早いのね」
「ああ、他の奴らより早く訓練して、立派な騎士になんなきゃいけないしな」
ふーん意外に真面目な所もあるのね。
「なにしにきたの、ちっぱいは」
「ちっぱいじゃなくて、サフィアお姉さんよ!」
「じゃあブス姉」
殺すなら今ね、と頭で悪魔が囁きました。
でもこの子が死んだらアルガス様が悲しむのか……と思って思いとどまりました。
「もうちょっとで他の奴らくるから、そこに座ってちょっと待ってろよ」
とモスクが指を差す。
あら、意外に気が利くのね。
「その石の蓋がしてある所あるだろ。そこの蓋を開けると空洞になってヒンヤリして気持ちいいから、そこで休んでろよ」
「ええ、解ったわ」
意外に可愛い所もあるんじゃないの、そう微笑ましく思ってモスクの指示通り、蓋を外して座る。
はぁーたしかにヒンヤリするわ、でも何か液体っていうか、くさっ!
「マジウケる、この女。そこ便所だよw」
「キィーッ、あんたハメたわね!?」
「はめたも何も普通気づくだろw」
すぅーっと深く深呼吸をしてから詠唱を始める。
「悪しき群れのなす場所に一筋の光差しこまん、汝の願いが絶たれる事なく汝の願いが形となりて――」
胸の前で手を組み天に掲げる。
「ビーストソング」
くきゃっ、と少し頼りなさそうな声が聞こえてくる。
「うわっ、コブリンじゃん」
そこには3体の子供のゴブリン、通称コブリンが出現したのです。
魔物の襲来に見せかけて、モスクを暗殺する計画だったのですが期待外れでした。
ですがコブリンと言えどもゴブリンの子供、その鋭い牙や爪には殺傷能力が備わっているはず。
さぁ、モスクどうするのかしら?
命乞いしたら助けてあげても良くってよw
「お前さー、変なの呼び寄せんなよ。本当疫病神みてぇーな女」
くきゃっ、とコブリンがモスクに向かって突進する。
素早い跳躍でそれを避けたモスクは、空ちゅうで回転しながらコブリンの背中を蹴る。
ギャギャギャッと声を上げてバランスを崩したコブリンが顔面から転倒する。
事の成り行きを見守っていた両脇のコブリン達が心配そうに転倒したコブリンを起こす。
モスクは模造の剣をコブリン達に突きつけると
「命までは取らねえよ! それが俺のルールなんでね。その代わり早く目の前から消えろ!」
そう言って、ゴブリンの鼻先をかすめるように模造の剣をふるう。
コブリン達は両手を合わせて『助けて!』と言わんばかりのポーズをする。
「だから命はとらねぇよ。お前らも子供だろ、親の元に帰りな」
コブリン達はありがとうとでも言うかのように頭を下げると、一目散に逃げていく。
突如歓声と共に手を叩く音が聞こえてくる。
「大したもんだなモスク偉いぞ! そして……どういう事か説明してもらおうかサフィアよ」
そこには嬉しそうな表情をしつつも、目だけでわたくしを睨んでいるアルガス様がいたのです。
¥
「なるほど」
アルガス様が腕を組みながらモスクから事情を聴いている。
「何故急にモンスターを呼び寄せたのだサフィアよ」
「団長、まぁ許してやってくれよ。ちっぱいは恐らく俺を殺す為にモンスターを呼びよせたんだと思うんだ。わざとだし嫌な女だけど、そういう性格だから仕方ないよw」
全部事実でした。
ぐうの音も出ないわたくしは項垂れました。
婚約破棄という言葉が脳裏をちらつきました。
「恐ろしい女だな……」
アルガス様が呟く。
あー、わたくしの人生積んだ。
ゲームオーバーでーす、と思った矢先
「サフィアが聖女ではなく悪女だという事は良く解った。けれど、その特異な性質が我が騎士団にとっては得難いものでもあるのだ」
「……それはどういう事でしょう。騎士団を壊滅に追い込む要素満載ですが……」
もう自暴自棄でした。
夢破れ状態でした。
「その魔物呼び寄せの力で、我が愛する騎士団員達に安全な環境で実戦経験を積ませたい。わたしがそなたをスカウトしたのもそういった理由からなのだ」
「あ、ほーなのでふかー」
完全にキャラ崩壊したわたくしは、耳から通り抜ける言葉を正しく認識出来ていませんでした。
「ただ、必ず私がいる場所でその力を使ってくれ。かけがえのない団員達を危険な目に合わせたくないからな。これからもよろしく頼むぞ!」
『ただ、その力は私だけの為に使ってくれ、かけがえのないサフィアを危険な目に遭わせたくないんだ。これからもよろしく頼むぞ!(サフィアの脳内変換)』
「は、ははははは、はいー! かしこまりました! アルガス様!!」
サフィア大復活です!
アルガス様は悪女も好き、意外な性癖を知って更に愛がパワーアップですわ。
その日は朝から騎士団見習いの訓練生達の相手を任せれました。
クソガキに会うの嫌だなーと思いながら鉄扉を開けると、モスクが華奢な身体で素振りの練習をしていました。
「あら、早いのね」
「ああ、他の奴らより早く訓練して、立派な騎士になんなきゃいけないしな」
ふーん意外に真面目な所もあるのね。
「なにしにきたの、ちっぱいは」
「ちっぱいじゃなくて、サフィアお姉さんよ!」
「じゃあブス姉」
殺すなら今ね、と頭で悪魔が囁きました。
でもこの子が死んだらアルガス様が悲しむのか……と思って思いとどまりました。
「もうちょっとで他の奴らくるから、そこに座ってちょっと待ってろよ」
とモスクが指を差す。
あら、意外に気が利くのね。
「その石の蓋がしてある所あるだろ。そこの蓋を開けると空洞になってヒンヤリして気持ちいいから、そこで休んでろよ」
「ええ、解ったわ」
意外に可愛い所もあるんじゃないの、そう微笑ましく思ってモスクの指示通り、蓋を外して座る。
はぁーたしかにヒンヤリするわ、でも何か液体っていうか、くさっ!
「マジウケる、この女。そこ便所だよw」
「キィーッ、あんたハメたわね!?」
「はめたも何も普通気づくだろw」
すぅーっと深く深呼吸をしてから詠唱を始める。
「悪しき群れのなす場所に一筋の光差しこまん、汝の願いが絶たれる事なく汝の願いが形となりて――」
胸の前で手を組み天に掲げる。
「ビーストソング」
くきゃっ、と少し頼りなさそうな声が聞こえてくる。
「うわっ、コブリンじゃん」
そこには3体の子供のゴブリン、通称コブリンが出現したのです。
魔物の襲来に見せかけて、モスクを暗殺する計画だったのですが期待外れでした。
ですがコブリンと言えどもゴブリンの子供、その鋭い牙や爪には殺傷能力が備わっているはず。
さぁ、モスクどうするのかしら?
命乞いしたら助けてあげても良くってよw
「お前さー、変なの呼び寄せんなよ。本当疫病神みてぇーな女」
くきゃっ、とコブリンがモスクに向かって突進する。
素早い跳躍でそれを避けたモスクは、空ちゅうで回転しながらコブリンの背中を蹴る。
ギャギャギャッと声を上げてバランスを崩したコブリンが顔面から転倒する。
事の成り行きを見守っていた両脇のコブリン達が心配そうに転倒したコブリンを起こす。
モスクは模造の剣をコブリン達に突きつけると
「命までは取らねえよ! それが俺のルールなんでね。その代わり早く目の前から消えろ!」
そう言って、ゴブリンの鼻先をかすめるように模造の剣をふるう。
コブリン達は両手を合わせて『助けて!』と言わんばかりのポーズをする。
「だから命はとらねぇよ。お前らも子供だろ、親の元に帰りな」
コブリン達はありがとうとでも言うかのように頭を下げると、一目散に逃げていく。
突如歓声と共に手を叩く音が聞こえてくる。
「大したもんだなモスク偉いぞ! そして……どういう事か説明してもらおうかサフィアよ」
そこには嬉しそうな表情をしつつも、目だけでわたくしを睨んでいるアルガス様がいたのです。
¥
「なるほど」
アルガス様が腕を組みながらモスクから事情を聴いている。
「何故急にモンスターを呼び寄せたのだサフィアよ」
「団長、まぁ許してやってくれよ。ちっぱいは恐らく俺を殺す為にモンスターを呼びよせたんだと思うんだ。わざとだし嫌な女だけど、そういう性格だから仕方ないよw」
全部事実でした。
ぐうの音も出ないわたくしは項垂れました。
婚約破棄という言葉が脳裏をちらつきました。
「恐ろしい女だな……」
アルガス様が呟く。
あー、わたくしの人生積んだ。
ゲームオーバーでーす、と思った矢先
「サフィアが聖女ではなく悪女だという事は良く解った。けれど、その特異な性質が我が騎士団にとっては得難いものでもあるのだ」
「……それはどういう事でしょう。騎士団を壊滅に追い込む要素満載ですが……」
もう自暴自棄でした。
夢破れ状態でした。
「その魔物呼び寄せの力で、我が愛する騎士団員達に安全な環境で実戦経験を積ませたい。わたしがそなたをスカウトしたのもそういった理由からなのだ」
「あ、ほーなのでふかー」
完全にキャラ崩壊したわたくしは、耳から通り抜ける言葉を正しく認識出来ていませんでした。
「ただ、必ず私がいる場所でその力を使ってくれ。かけがえのない団員達を危険な目に合わせたくないからな。これからもよろしく頼むぞ!」
『ただ、その力は私だけの為に使ってくれ、かけがえのないサフィアを危険な目に遭わせたくないんだ。これからもよろしく頼むぞ!(サフィアの脳内変換)』
「は、ははははは、はいー! かしこまりました! アルガス様!!」
サフィア大復活です!
アルガス様は悪女も好き、意外な性癖を知って更に愛がパワーアップですわ。
0
あなたにおすすめの小説
主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します
白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。
あなたは【真実の愛】を信じますか?
そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。
だって・・・そうでしょ?
ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!?
それだけではない。
何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!!
私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。
それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。
しかも!
ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!!
マジかーーーっ!!!
前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!!
思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。
世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。
【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます
腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった!
私が死ぬまでには完結させます。
追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。
追記2:ひとまず完結しました!
【完結】悪役令嬢ですが、元官僚スキルで断罪も陰謀も処理します。
かおり
ファンタジー
異世界で悪役令嬢に転生した元官僚。婚約破棄? 断罪? 全部ルールと書類で処理します。
謝罪してないのに謝ったことになる“限定謝罪”で、婚約者も貴族も黙らせる――バリキャリ令嬢の逆転劇!
※読んでいただき、ありがとうございます。ささやかな物語ですが、どこか少しでも楽しんでいただけたら幸いです。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。
渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。
しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。
「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」
※※※
虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる