とある者達の短編集

ぴよ

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最期の雨

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ポツポツ


おじいさん、元気ですか?

今、雨が降っているみたいですよ

懐かしいですね…

あれは60年以上も昔のこと

───────────────────


ザァーザァー


あの日は

お昼から急に降ってきましたね

私は傘を持っていなくて

下足室であたふたしていました

するとあの人が隣に来て

スッと自分の傘を私の前に差し出して、


あの人『はい、これ

使っていいよ』


そう言って、

走っていってしまったんですよ

不思議に思いながらも

せっかく借して下さったので

その日はその傘をさして帰りました

次の日、傘を返そうと思ったのですが、

私はあの人が誰なのか

知りませんでした

ですから、あの人に傘を返すことが

できませんでした

数日後、また雨が降ってきました

私は、

あの人に借りた傘と

自分の傘を持っていました


もしかしたら…


いつもそう思い、

持ち歩いていました

近くを見渡すと、

空と雨を見ながら、

難しい顔をしている男の子がいたんですよ

私はその人に、

あの人に貸してもらった傘を

差し出しました

あの人にしてもらったように…


あの人『あ、これ…』


よく見るとあの人でした

それからはよくふたりで帰りましたね

───────────────────


孫「あ、虹だ!

おばあちゃん、虹が出てるよー!」


どうやら

あなたとの思い出話をしているうちに

雨が上がったみたいですね

今から、おじいさんに会いに行きますね


《おわり》
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