シンデレラなんてお断り~ハイスペック御曹司にロックオンされました~

夢呼

文字の大きさ
49 / 107

49.綾子宅

しおりを挟む
香織は酷い頭痛で目を覚ますと、見たことのない部屋に目を見張った。

(デ、デジャブ!)

香織は慌ててベッドの隣を見た。
誰もいない。
自分を見ると、ちゃんと服を着ている。

(よ、よかった・・・)

だが、不安は残る。

(ここはどこ・・・?)

香織は恐る恐るベッドから下りると、そっと部屋の扉を開けた
外の廊下を見ると、普通の家のようだ。

(とりあえず、トイレ行きたい・・・)

香織は廊下に出てトイレを探そうと徘徊し始めた。
すると背後から声を掛けられた。

「あら、お目覚めですか? お嬢さん」

「ひゃあ!」

香織は声を上げて、飛び上がった。

「あらあら、ごめんなさい、驚かせちゃって」

香織が振り向くと、中年女性がにこにこしながら立っていた。

「あ、あの、お、おはようございます・・・。えっと、ここは・・・?」

おどおどしながら訪ねると、その中年女性の後ろから綾子が出てきた。

「やっと起きたのね。いつまで寝ているのかと思ったわ」

「お、お母さま?!」

香織はもう一度飛び上がった。
目を白黒させて、綾子と中年女性を交互に見た。
綾子は呆れた果てた目で香織を見ている。

「あの・・・、もしかして、私、やらかしました・・・?」

「話は後よ。シャワー浴びてらっしゃい。サワさん、この子をシャワールームへ案内してあげて」

「はい。奥様」

サワは真っ青になって突っ立っている香織を引っ張るようにシャワールームへ連れて行った。

シャワーから上がってすっきり綺麗になると、香織は綾子の待つ居間に飛び込み、ソファに座る綾子の足元にスライディングするように土下座した。

「ご迷惑をおかけして、申し訳ありませんでしたぁ!」

綾子は呆れるように香織を見下ろすと、

「いいから、まずは朝食を食べてちょうだい。サワさんが用意してるわ」

奥にある食卓のテーブルを指差した。
そのテーブルの横に、サワがにっこりと立っている。

「こちらへどうぞ、お嬢さん」

「・・・はい。ありがとうございます」

香織は立ち上がると、サワに頭を下げながらテーブルに近寄った。
席に着くと、サワが香織の前に朝食のプレートを置いた。

「わぁ! すごーい!! カフェみたい!」

美しいクラブハウスサンドとサラダとオレンジジュース。
デザートに果物のヨーグルト掛けまで付いている。
目の前の朝食に、香織は手をパチパチと叩いた。

「そんなに褒めてもらって嬉しいですね。若いお嬢さんだから、和食よりパンの方がいいと思って」

「すごくおいしそうです! 写真に撮りたいくらいです!」

「あらあら、そこまでじゃないでしょう?」

サワは嬉しそうに笑うと、

「ホント、今の若い子は何でも写真に撮りたがるのね」

綾子はソファに座って新聞を読みながら、呆れたように言った。





香織は朝食を食べ終わると、満足げに腹を摩りながらサワと綾子にお礼を言った。

「めちゃめちゃ美味しかったです。ご馳走様でした!」

「お粗末様でした」

サワはお皿を下げると、コーヒーを入れてくれた。
香織はお礼を言いながら、ちょこんと頭を下げた。

「ところで、昨日の事は覚えているの?」

ソファに座って新聞を広げたまま、綾子が香織に声を掛けた。

「うぐっ・・・」

香織はコーヒーを噴きかけた。
慌てて手で口を拭いて、カップを置くと、恐る恐る綾子を見た。

「実は・・・。その・・・」

「覚えてないの?」

「・・・はい」

綾子は溜息を付くと、新聞を自分の前のローテーブルに置いた。

「・・・あなた。これからは記憶を無くすまで飲むのはもう止めなさいね」

「はい・・・。本当に、最後の最後にご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした」

香織は立ち上がると、綾子に向かって頭を下げた。

(最後って・・・)

本当に昨日の陽一とのやり取りを覚えていないようだ。
綾子は眉間に手を当てた。

「もういいわ。二日酔いはどう? 大丈夫?」

「あ、はい。シャワーを浴びてすっきりしました」

実はまだ頭痛がするが、咄嗟に嘘を付いた。

「そう。・・・じゃあ、コーヒーを飲んだら、もう今日はお帰りなさい」

「・・・はい」

香織は寂し気に俯いた。
だが、ここにいつまでも居座る理由はない。
早くお暇しないと、綾子に迷惑だ。
そう思いながらも、香織はチビチビと時間をかけてゆっくりとコーヒーを飲んだ。





「本当にありがとうございました。お邪魔しました」

香織は玄関に来ると、改めて丁寧にお辞儀をした。

「・・・お元気でね」

綾子は無表情で香織に声を掛けた。

「はい! お母さまもお元気で!」

香織は寂しさを誤魔化すように、にっこりと笑って元気な声を出した、
そしてもう一度頭を下げると、玄関を開けて外に出た。

門から外に出ようとしたところを、サワが走ってきた。

「お嬢さん! ちょっと待って~!」

サワは香織の傍に来ると、手提げの紙袋を香織に手渡した。

「これ、奥様から手土産ですよ」

「え?」

香織は紙袋の中を見た。
包み紙に包まれた高級洋菓子の箱が二箱も入っている。

「そんな・・・、ご迷惑をおかけした上に、こんな高級な物いただくなんて・・・」

「いいじゃないの! 貰っておきなさいな、ね?」

サワは笑いながら、香織の肩をポンと叩いた。

「では、お礼をお伝えください。あと、サワさんも朝食ありがとうございました」

香織はサワに頭を下げた。
そして門から出ると、最寄り駅に向かって歩いて行った。
その背中が見えなくなるまで、サワは香織を見送ってくれた。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

ブラック企業で倒れた私を、ネトゲ仲間の社長が強制保護して溺愛しています

紅 与一
恋愛
過労で倒れた私を救ったのは、 ネトゲ仲間――そしてIT企業の若き社長。 「もう君は、僕の管理下だよ」 退院と同時に退職手続きは完了。 住む場所も、生活も、すべて彼に囲われた。 外出制限、健康管理、過保護な独占欲。 甘くて危険な“保護生活”の中で、 私は少しずつ彼に心を奪われていく――。 元社畜OL×執着気味の溺愛社長 囲い込み同棲ラブストーリー。

会社のイケメン先輩がなぜか夜な夜な私のアパートにやって来る件について(※付き合っていません)

久留茶
恋愛
地味で陰キャでぽっちゃり体型の小森菜乃(24)は、会社の飲み会で女子一番人気のイケメン社員・五十嵐大和(26)を、ひょんなことから自分のアパートに泊めることに。 しかし五十嵐は表の顔とは別に、腹黒でひと癖もふた癖もある男だった。 「お前は俺の恋愛対象外。ヤル気も全く起きない安全地帯」 ――酷い言葉に、菜乃は呆然。二度と関わるまいと決める。 なのに、それを境に彼は夜な夜な菜乃のもとへ現れるようになり……? 溺愛×性格に難ありの執着男子 × 冴えない自分から変身する健気ヒロイン。 王道と刺激が詰まったオフィスラブコメディ! *全28話完結 *辛口で過激な発言あり。苦手な方はご注意ください。 *他誌にも掲載中です。

たとえ夜が姿を変えても ―過保護な兄の親友は、私を逃がさない―

佐竹りふれ
恋愛
重なる吐息、耳元を掠める熱、そして——兄の親友の、隠しきれない独占欲。 19歳のジャスミンにとって、過保護な兄の親友・セバスチャンは、自分を子供扱いする「第二の兄」のような存在だった。 しかし、初めてのパーティーの夜、その関係は一変する。 突然降ってきた、深く、すべてを奪うような口づけ。 「焦らず、お前のペースで進もう」 そう余裕たっぷりに微笑んだセバスチャン。 けれど、彼の言う「ゆっくり」は、翌朝には早くも崩れ始めていた。 学内の視線、兄の沈黙、そして二人きりのアパート――。 外堀が埋まっていくスピードに戸惑いながらも、ジャスミンは彼が隠し持つ「男」の顔に、抗えない好奇心を抱き始める。 「……どうする? 俺と一緒に、いけないことするか?」 余裕の仮面を被るセバスチャンに、あどけない顔で、けれど大胆に踏み込んでいくジャスミン。 理性を繋ぎ止めようとする彼を、翻弄し、追い詰めていくのは彼女の方で……。 「ゆっくり」なんて、ただの建前。 一度火がついた熱は、誰にも止められない。 兄の親友という境界線を軽々と飛び越え、加速しすぎる二人の溺愛ラブストーリー。

君と暮らす事になる365日

家具付
恋愛
いつでもぎりぎりまで疲れている主人公、環依里(たまき より)は、自宅である築28年のアパートの扉の前に立っている、驚くべきスタイルの良さのイケメンを発見する。このイケメンには見覚えがあった。 何故ならば、大学卒業後音信不通になった、無駄に料理がうまい、変人の幼馴染だったのだから。 しかし環依里は、ヤツの職業を知っていた。 ヤツはメディアにすら顔を出すほどの、世間に知られた天才料理人だったのだ! 取扱説明書が必要な変人(世間では天才料理人!?)×どこにでもいる一般人OL(通訳)の、ボケとツッコミがぶつかりあうラブコメディ!(予定)

お兄様「ねえ、イケナイ事をしよっか♡」

小野
恋愛
父が再婚して新しく出来たお兄様と『イケナイ事』をする義妹の話。

ヤンデレ旦那さまに溺愛されてるけど思い出せない

斧名田マニマニ
恋愛
待って待って、どういうこと。 襲い掛かってきた超絶美形が、これから僕たち新婚初夜だよとかいうけれど、全く覚えてない……! この人本当に旦那さま? って疑ってたら、なんか病みはじめちゃった……!

復讐の悪女になるはずが、天使系義兄からピュアな執着と溺愛で邪魔されてます!

鈴宮(すずみや)
恋愛
 サウジェリアンナ王国の王女エルシャは、不幸だった前世の記憶を持って生まれてきた。現世ではみんなから愛され、幸せになれると信じていたエルシャだったが、生後五ヶ月で城が襲撃されてしまう。  絶体絶命かと思いきや、エルシャは魔術師の男性から救出された上『リビー』という新たな名前を与えられ、養女として生きることに。  襲撃がジルヴィロスキー王国によるものと気づいたリビーは、復讐のため王太子妃になることを思いつく。けれど、義理の兄であるゼリックがあまりにもリビーを溺愛するため、せっかく王太子アインハードに近づくことに成功しても、無邪気に邪魔され計画がうまく進まない。  ゼリックの干渉を減らすためリビーは彼の婚約者を探したり、ゼリック抜きでアインハードとお茶をして復讐を成功させようと画策する。  そんな中、十六歳に成長したリビーはアインハードと同じ学園に入学し、本格的なアプローチを開始する。しかし、ゼリックが講師として学園へ来てしまい、チャンスをことごとく潰されてしまう。 (わたしは復讐がしたいのに!)  そう思うリビーだったが、ゼリックから溺愛される日々はとても幸せで……?

【完結】触れた人の心の声が聞こえてしまう私は、王子様の恋人のフリをする事になったのですが甘々過ぎて困っています!

Rohdea
恋愛
──私は、何故か触れた人の心の声が聞こえる。 見た目だけは可愛い姉と比べられて来た伯爵家の次女、セシリナは、 幼い頃に自分が素手で触れた人の心の声が聞こえる事に気付く。 心の声を聞きたくなくて、常に手袋を装着し、最小限の人としか付き合ってこなかったセシリナは、 いつしか“薄気味悪い令嬢”と世間では呼ばれるようになっていた。 そんなある日、セシリナは渋々参加していたお茶会で、 この国の王子様……悪い噂が絶えない第二王子エリオスと偶然出会い、 つい彼の心の声を聞いてしまう。 偶然聞いてしまったエリオスの噂とは違う心の声に戸惑いつつも、 その場はどうにかやり過ごしたはずだったのに…… 「うん。だからね、君に僕の恋人のフリをして欲しいんだよ」 なぜか後日、セシリナを訪ねて来たエリオスは、そんなとんでもないお願い事をして来た! 何やら色々と目的があるらしい王子様とそうして始まった仮の恋人関係だったけれど、 あれ? 何かがおかしい……

処理中です...