55 / 107
55.出来るオオカミ
しおりを挟む
香織が自ら自分の胸にそっと顔を埋めた時、陽一は一瞬だけ頭が真っ白になった。
あれだけ自分から挑発しておいて、いざ、香織から身を任せられると、一気に気持ちが上昇した。
それと同時に、やっと振り向いてもらえた安堵感も広がり、ホッと溜息を付いた。
優しく香織の髪を撫でると、そっと抱きしめた。
香織の両手もおずおずと自分の背中に回される。
その行為が嬉しくて、香織を抱きしめる腕に力を込めた。
暫く抱きしめた後、ゆっくり体を離すと、香織の顎をすくい上げた。
香織は熱を帯びて目で自分を見ている。でも、すぐに目を閉じた。
陽一はすぐには口づけを落とさずに、その顔に見入った。
優しく親指で香織の唇を撫でる。
香織が不思議そうに眼を開けた時、陽一はやっと香織にキスを落とした。
何度も角度を変えて唇を重ねる。
最初は触れるだけだった優しい口づけも少しずつ深くなっていく。
ゆっくりと入ってくる舌は以前と違って、優しく香織の舌を絡めとった。
そして、お互いの存在を確かめ合うように深く深く合わさっていく。
口から洩れる香織の吐息と可愛らしい喘ぎ声が、ますます陽一を掻き立てる。
止めることができずに、口づけに夢中になった。
香織が立っていられないとばかりに、陽一の腕を握りしめた時、やっと香織を解放した。
とろけるような瞳で自分を見つめている香織の耳元に、
「家に行くぞ」
と囁いた。
香織は黙ってコクンと頷いた。
その可愛らしい態度に、堪らずもう一度口づけすると、香織の手を引いて、駐車場を後にした。
☆
香織が目を覚ましたのは、10時をとうに過ぎていた。
顔を上げて隣を見ると、陽一の姿はない。もう起きているようだ。
(い、生きてる・・・)
香織は目の前に両手を広げてまじまじと見た。
そして昨日の夜の事を思い出して、カーっと熱くなり、枕に顔を埋めた。
(食べつくされるかと思った・・・)
駐車場での優しい口づけから一転、部屋に戻った陽一は獣に豹変した。
香織を乱暴にベッドに押し倒すと、
「悪いけど、優しくはできないから。限界を超えてるんで」
そう言って、オオカミのように香織を襲ってきた。
まるで骨の髄までしゃぶるように全身を隈なく愛され、ドロドロに溶かされてしまった。
最後の方は昇天してしまったようで、記憶がない。
確かに、今までじらしたのは自分だ。
だが、その反動とは言え、
「ここまですごいとは・・・」
香織はヨロヨロとベッドから起きると、ブランケットで全身を包んで、ノソノソと廊下に出た。
そっとリビングを覗き込むと、陽一はどこかに電話している最中だった。
だが、香織に気が付くと中断して、呆れたような目線を向けると、
「やっと起きたのか。いつまで寝てるのかと思ったよ」
と、どこかで聞いたことのあるフレーズを口にした。
(さすが親子・・・)
「シャワールーム、勝手に使っていいぞ」
と香織が聞こうとしたことを先に言って、また電話に戻った。
邪魔しては悪いと、香織はそっとリビングの扉を閉め、シャワールームへ向かった。
シャワーから上がると、香織はおずおずとリビングに入って来た。
陽一はもう電話を終えていて、ソファに座って新聞を読んでいた。
「・・・シャワーありがとうございました・・・」
「ああ」
「・・・」
香織は昨日の夜の事を思い出して、まともに陽一の顔が見れない。
澄ました顔して新聞を読む陽一の顔が眩しく見えて、ますます目のやり場に困った。
どうしていいか分からず、もじもじと立ち尽くしている香織に、
「?? 何してるんだよ? こっちに座れば?」
陽一は、最初は不思議そうに見てたが、香織の顔がほのかに赤いのに気が付くと、新聞を置いて、香織に近づいてきた。
そして、香織の顔を覗き込むと、
「あれ? もしかして照れてる?」
と意地悪そうに笑って聞いてきた。
香織はボンッと真っ赤な顔になると、慌ててそっぽを向いた。
そんな香織の頭を撫でると、
「もう、朝食っていうよりブランチだな。さっきデリバリー頼んだからもう来るだろ。今、コーヒー淹れてやる」
そう言い、キッチンに向かった。
(で、出来過ぎる・・・。ホントにこんな人と釣り合うの?私・・・)
いきなり陽一の艶気に当てられ、クラクラしながらソファに座り込んだ。
あれだけ自分から挑発しておいて、いざ、香織から身を任せられると、一気に気持ちが上昇した。
それと同時に、やっと振り向いてもらえた安堵感も広がり、ホッと溜息を付いた。
優しく香織の髪を撫でると、そっと抱きしめた。
香織の両手もおずおずと自分の背中に回される。
その行為が嬉しくて、香織を抱きしめる腕に力を込めた。
暫く抱きしめた後、ゆっくり体を離すと、香織の顎をすくい上げた。
香織は熱を帯びて目で自分を見ている。でも、すぐに目を閉じた。
陽一はすぐには口づけを落とさずに、その顔に見入った。
優しく親指で香織の唇を撫でる。
香織が不思議そうに眼を開けた時、陽一はやっと香織にキスを落とした。
何度も角度を変えて唇を重ねる。
最初は触れるだけだった優しい口づけも少しずつ深くなっていく。
ゆっくりと入ってくる舌は以前と違って、優しく香織の舌を絡めとった。
そして、お互いの存在を確かめ合うように深く深く合わさっていく。
口から洩れる香織の吐息と可愛らしい喘ぎ声が、ますます陽一を掻き立てる。
止めることができずに、口づけに夢中になった。
香織が立っていられないとばかりに、陽一の腕を握りしめた時、やっと香織を解放した。
とろけるような瞳で自分を見つめている香織の耳元に、
「家に行くぞ」
と囁いた。
香織は黙ってコクンと頷いた。
その可愛らしい態度に、堪らずもう一度口づけすると、香織の手を引いて、駐車場を後にした。
☆
香織が目を覚ましたのは、10時をとうに過ぎていた。
顔を上げて隣を見ると、陽一の姿はない。もう起きているようだ。
(い、生きてる・・・)
香織は目の前に両手を広げてまじまじと見た。
そして昨日の夜の事を思い出して、カーっと熱くなり、枕に顔を埋めた。
(食べつくされるかと思った・・・)
駐車場での優しい口づけから一転、部屋に戻った陽一は獣に豹変した。
香織を乱暴にベッドに押し倒すと、
「悪いけど、優しくはできないから。限界を超えてるんで」
そう言って、オオカミのように香織を襲ってきた。
まるで骨の髄までしゃぶるように全身を隈なく愛され、ドロドロに溶かされてしまった。
最後の方は昇天してしまったようで、記憶がない。
確かに、今までじらしたのは自分だ。
だが、その反動とは言え、
「ここまですごいとは・・・」
香織はヨロヨロとベッドから起きると、ブランケットで全身を包んで、ノソノソと廊下に出た。
そっとリビングを覗き込むと、陽一はどこかに電話している最中だった。
だが、香織に気が付くと中断して、呆れたような目線を向けると、
「やっと起きたのか。いつまで寝てるのかと思ったよ」
と、どこかで聞いたことのあるフレーズを口にした。
(さすが親子・・・)
「シャワールーム、勝手に使っていいぞ」
と香織が聞こうとしたことを先に言って、また電話に戻った。
邪魔しては悪いと、香織はそっとリビングの扉を閉め、シャワールームへ向かった。
シャワーから上がると、香織はおずおずとリビングに入って来た。
陽一はもう電話を終えていて、ソファに座って新聞を読んでいた。
「・・・シャワーありがとうございました・・・」
「ああ」
「・・・」
香織は昨日の夜の事を思い出して、まともに陽一の顔が見れない。
澄ました顔して新聞を読む陽一の顔が眩しく見えて、ますます目のやり場に困った。
どうしていいか分からず、もじもじと立ち尽くしている香織に、
「?? 何してるんだよ? こっちに座れば?」
陽一は、最初は不思議そうに見てたが、香織の顔がほのかに赤いのに気が付くと、新聞を置いて、香織に近づいてきた。
そして、香織の顔を覗き込むと、
「あれ? もしかして照れてる?」
と意地悪そうに笑って聞いてきた。
香織はボンッと真っ赤な顔になると、慌ててそっぽを向いた。
そんな香織の頭を撫でると、
「もう、朝食っていうよりブランチだな。さっきデリバリー頼んだからもう来るだろ。今、コーヒー淹れてやる」
そう言い、キッチンに向かった。
(で、出来過ぎる・・・。ホントにこんな人と釣り合うの?私・・・)
いきなり陽一の艶気に当てられ、クラクラしながらソファに座り込んだ。
3
あなたにおすすめの小説
ブラック企業で倒れた私を、ネトゲ仲間の社長が強制保護して溺愛しています
紅 与一
恋愛
過労で倒れた私を救ったのは、
ネトゲ仲間――そしてIT企業の若き社長。
「もう君は、僕の管理下だよ」
退院と同時に退職手続きは完了。
住む場所も、生活も、すべて彼に囲われた。
外出制限、健康管理、過保護な独占欲。
甘くて危険な“保護生活”の中で、
私は少しずつ彼に心を奪われていく――。
元社畜OL×執着気味の溺愛社長
囲い込み同棲ラブストーリー。
会社のイケメン先輩がなぜか夜な夜な私のアパートにやって来る件について(※付き合っていません)
久留茶
恋愛
地味で陰キャでぽっちゃり体型の小森菜乃(24)は、会社の飲み会で女子一番人気のイケメン社員・五十嵐大和(26)を、ひょんなことから自分のアパートに泊めることに。
しかし五十嵐は表の顔とは別に、腹黒でひと癖もふた癖もある男だった。
「お前は俺の恋愛対象外。ヤル気も全く起きない安全地帯」
――酷い言葉に、菜乃は呆然。二度と関わるまいと決める。
なのに、それを境に彼は夜な夜な菜乃のもとへ現れるようになり……?
溺愛×性格に難ありの執着男子 × 冴えない自分から変身する健気ヒロイン。
王道と刺激が詰まったオフィスラブコメディ!
*全28話完結
*辛口で過激な発言あり。苦手な方はご注意ください。
*他誌にも掲載中です。
たとえ夜が姿を変えても ―過保護な兄の親友は、私を逃がさない―
佐竹りふれ
恋愛
重なる吐息、耳元を掠める熱、そして——兄の親友の、隠しきれない独占欲。
19歳のジャスミンにとって、過保護な兄の親友・セバスチャンは、自分を子供扱いする「第二の兄」のような存在だった。
しかし、初めてのパーティーの夜、その関係は一変する。
突然降ってきた、深く、すべてを奪うような口づけ。
「焦らず、お前のペースで進もう」
そう余裕たっぷりに微笑んだセバスチャン。
けれど、彼の言う「ゆっくり」は、翌朝には早くも崩れ始めていた。
学内の視線、兄の沈黙、そして二人きりのアパート――。
外堀が埋まっていくスピードに戸惑いながらも、ジャスミンは彼が隠し持つ「男」の顔に、抗えない好奇心を抱き始める。
「……どうする? 俺と一緒に、いけないことするか?」
余裕の仮面を被るセバスチャンに、あどけない顔で、けれど大胆に踏み込んでいくジャスミン。
理性を繋ぎ止めようとする彼を、翻弄し、追い詰めていくのは彼女の方で……。
「ゆっくり」なんて、ただの建前。
一度火がついた熱は、誰にも止められない。
兄の親友という境界線を軽々と飛び越え、加速しすぎる二人の溺愛ラブストーリー。
復讐の悪女になるはずが、天使系義兄からピュアな執着と溺愛で邪魔されてます!
鈴宮(すずみや)
恋愛
サウジェリアンナ王国の王女エルシャは、不幸だった前世の記憶を持って生まれてきた。現世ではみんなから愛され、幸せになれると信じていたエルシャだったが、生後五ヶ月で城が襲撃されてしまう。
絶体絶命かと思いきや、エルシャは魔術師の男性から救出された上『リビー』という新たな名前を与えられ、養女として生きることに。
襲撃がジルヴィロスキー王国によるものと気づいたリビーは、復讐のため王太子妃になることを思いつく。けれど、義理の兄であるゼリックがあまりにもリビーを溺愛するため、せっかく王太子アインハードに近づくことに成功しても、無邪気に邪魔され計画がうまく進まない。
ゼリックの干渉を減らすためリビーは彼の婚約者を探したり、ゼリック抜きでアインハードとお茶をして復讐を成功させようと画策する。
そんな中、十六歳に成長したリビーはアインハードと同じ学園に入学し、本格的なアプローチを開始する。しかし、ゼリックが講師として学園へ来てしまい、チャンスをことごとく潰されてしまう。
(わたしは復讐がしたいのに!)
そう思うリビーだったが、ゼリックから溺愛される日々はとても幸せで……?
半年間、俺の妻になれ〜幼馴染CEOのありえない求婚から始まる仮初の溺愛新婚生活〜 崖っぷち元社畜、会社が倒産したら玉の輿に乗りました!?
とろみ
恋愛
出勤したら会社が無くなっていた。
高瀬由衣(たかせゆい)二十七歳。金ナシ、職ナシ、彼氏ナシ。ついでに結婚願望も丸でナシ。
明日までに家賃を用意できなければ更に家も無くなってしまう。でも絶対田舎の実家には帰りたくない!!
そんな崖っぷちの由衣に救いの手を差し伸べたのは、幼なじみで大企業CEOの宮坂直人(みやさかなおと)。
「なぁ、俺と結婚しないか?」
直人は縁談よけのため、由衣に仮初の花嫁役を打診する。その代わりその間の生活費は全て直人が持つという。
便利な仮初の妻が欲しい直人と、金は無いけど東京に居続けたい由衣。
利害の一致から始まった愛のない結婚生活のはずが、気付けばいつの間にか世話焼きで独占欲強めな幼なじみCEOに囲い込まれていて――。
二十年以上無視してきた夫が、今さら文通を申し込んできました
小豆缶
恋愛
「お願いです。文通から始めてもらえませんか?」
二十年以上会話もなかった夫――この国の王が、ある日突然そう言ってきた。
第一王妃マリアは、公爵家出身の正妃。だが夫はかつて、寵愛する第三王妃の話のみを信じ、彼女を殴ったことがある。その事件が原因で、マリアは男性恐怖症が悪化して、夫と二人きりでは会話すらできなくなっていた。
それから二十年。
第三王妃はとある事故で亡くなり、夫は反省したらしい。だからといって――今さら夫婦関係をやり直したいと言われても遅すぎる。
なのに王は諦めない。毎日の手紙。花を一輪。夜食の差し入れ。
不器用すぎる求愛に振り回されるうち、マリアの中で止まっていた感情が少しずつ動き始める。
これは、冷えきった政略夫婦が「文通」からやり直す恋の話。
※本作は「存在されていないことにされていた管理ギフトの少女王宮で真の家族に出会う」のスピンオフですが、単体で読めます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる