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邪術師コウキ
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僕は邪術師。
名をコウキという。
凶悪な犯罪者をゴブリンやオークに転生させている張本人だ。
魔王に転生させるにふさわしい悪人を探しているわけだが、いまいち適した人材が見つからない。
何故こんなことをしているのか?というと「つまらないから」だ。
僕は元々は佐久間聖という地球の日本人だった。
両親にとっては僕は『出来てしまった子供』だったらしく、僕には興味がなかったらしい。
物心についた時には施設で育てられていた。
子供らしい心を持っていなかった僕は遊びも退屈で常に1人でいた。
淋しいとかそんな感覚は全くなく、ただただ「つまらないなぁ」と感じていた。
中学生になる歳には施設を出て独り暮らしを始めた。
エスカレーター式に高校生にもなれたが、退屈な日々は続いていた。
周りの皆が楽しい、嬉しいと感じることに全く共感ができない。いわゆるサイコパスなのだろうと自分で納得した。
僕が醸し出していた冷めた空気、態度が気に入らないのか、不良っぽい奴らによく殴られた。
痛いけど恐くもないしムカつきもしなかった。
けど、ふと興味が湧いた。
「僕がこいつらを殴ったらどんな感じなんだろう?」
ただ手が痛いのか、不快なのか、何も感じないのか…楽しいのか。
気がついたら不良ども全員を殴り倒していた。
僕けっこう強かったんだ、と思った。
顔面が血だらけになった不良どもは僕に怯えていた。
その様を見て僕は今まで感じたことのない爽快感を覚えた。生きる喜びさえ感じた。
破壊、力で支配するということ。
なんて気持ちいいんだろう。楽しい。
初めて感じた喜と楽の感覚。
それから僕は『地下格闘技場』という違法な賭け格闘技が行われているところへ出入りしていた。
そこで選手として登録して『殺す以外ならなんでもあり』という格闘技とは名ばかりの破壊活動を楽しんでいた。
治療を担当していたのは闇医者、選手は全員闇バイトと無法地帯だった。
それなりに楽しんでいたが、直ぐに物足りなくなった。
『殺してはいけない』(壊してはいけない)という縛りが僕には邪魔に思えた。
そして僕は地下格闘技も辞めた。
何か、何かないか?と考えていた。
辿り着いたのはインターネットで見つけた爆弾の作り方。
思ったより簡単に出来そうだと感じた。
早速、地下格闘技で稼いだお金を使って材料を大量に買ってきた。
失敗することもなく、ほんの数時間で試作品が完成した。
その試作の時限爆弾はマンションのゴミ庫に仕掛けた。
あくまでも試作品なので威力はだいぶ抑えてある。
仕掛けて30分、ドンッという音が響いた。
大きな音に驚いてマンションの住人達がゴミ庫へ集まった。
ゴミ庫は屋根と扉が吹き飛び、中は燃えていた。
住人達が消火器やバケツの水で消火した。
誰かが呼んだ消防車も来たが、住人達の手で既に鎮火済みだった。
威力の加減も絶妙だったようだ。
時間も業者が来る時間、住人が捨てにいく時間帯を避けた。
死人、怪我人を出さなかったのはまだこの時点で大きな事件にはしたくなかったからだ。
そして一週間。ターゲットとしたのはライブハウス。
規模は100人ほどが入る小さめな箱。
それでも爆破すれば大量の死者がでる。
僕はそれを想像して高揚していた。
一度に沢山の人間を『破壊』できる。
そしてそれがメディアで報じられる。
僕にとっては快感でしかない。
人々は見えない敵となる僕に怒りと憎悪を向け、嘆き悲しむことだろう。
僕の破壊が生み出す数々の現象を思うと心が踊った。
このライブハウスの爆破が成功したらもっと規模を拡げよう。有名なアイドルのドーム公演を狙ったら面白そうだ。
人類史上最悪の大量虐殺となるだろう。
想像が、妄想が膨らみ、笑みがこぼれた。
生まれて初めて『夢』を持った。
まぁ他人から見れば狂気でしかないのだろうけど。
ある地下アイドルとロックバンドのジョイントコンサートの日に決行することにした。
当日、開演時間が近づいてきた。
僕は普通に客としてチケットを買い、入場した。
爆発物はポーチに入れて持っていた。
そして荷物を預けるロッカーの中にセットした。
威力は少なくともライブハウスが半壊はするよう火薬を調合した。
僕は「なんとなく」の感覚で調整してるので、もしかしたら威力は思ったより弱いかもしれないし強いかもしれない。
試さず初見の結果を楽しむのだ。
アイドルもバンドもパフォーマンスを終えてアンコールの時間に。
ファンの「アンコール!」の掛け声が響く中、僕はライブハウスを出た。
「さて、と。もうすぐかな?」
ライブハウスを出て歩きながらスマホで時間を確認した。
少し離れた商業施設のデッキでスマホを見ながら『その時』を待った。
午後7時57分、ライブの最後の曲が終わった頃、ロッカーの爆弾が炸裂した。
「ドーン」という音と共に火と煙がライブハウスから立ち上る。
「おぉ!思ったよりちょっと強かったかなぁ?」
街行く人々はざわめき、パトカー、救急車、消防車と騒然とするライブハウス周辺。
消火活動が行われて助けだされる人、運び出される人。
さて、どんな結果になるかな?
どうやら全滅とはいかなかったようだけど。
それでもなかなかの『記録』では?
自分のこういう感覚が異常だとはわかるが罪悪感も後悔もなく、ただワクワクしていた。
後日、あの爆発で死者52名、重軽傷者95名と報道された。
その後、僕によるあの事件がどうなったのかはわからない。
何故なら僕はそれから間もなく自らが作った爆弾で死んだから。
シンプルに失敗したのだ。ダサっ。
そして気がついたらこの異世界アースティアに転移していた。
死んだ筈なのに転生ではなかった。
邪術師サディオによって僕は召還されて回復術で治癒されていた。
サディオ曰く、自らの余命を覚り、跡継ぎとして邪悪なる存在を探していたとのこと。
そして目に止まったのが日本で沢山の人間を爆殺した僕だったそうだ。
その後に僕がやろうとしていたこともサディオは知っていた。
その天性の邪悪さに邪術師の才を見たと。
サディオは全ての知識と力を僕に託して死んだ。
今、僕は邪術を使って地球の犯罪者をゴブリンとして、オークとして、魔族として転生させている。
魔王の器を探しながら。
名をコウキという。
凶悪な犯罪者をゴブリンやオークに転生させている張本人だ。
魔王に転生させるにふさわしい悪人を探しているわけだが、いまいち適した人材が見つからない。
何故こんなことをしているのか?というと「つまらないから」だ。
僕は元々は佐久間聖という地球の日本人だった。
両親にとっては僕は『出来てしまった子供』だったらしく、僕には興味がなかったらしい。
物心についた時には施設で育てられていた。
子供らしい心を持っていなかった僕は遊びも退屈で常に1人でいた。
淋しいとかそんな感覚は全くなく、ただただ「つまらないなぁ」と感じていた。
中学生になる歳には施設を出て独り暮らしを始めた。
エスカレーター式に高校生にもなれたが、退屈な日々は続いていた。
周りの皆が楽しい、嬉しいと感じることに全く共感ができない。いわゆるサイコパスなのだろうと自分で納得した。
僕が醸し出していた冷めた空気、態度が気に入らないのか、不良っぽい奴らによく殴られた。
痛いけど恐くもないしムカつきもしなかった。
けど、ふと興味が湧いた。
「僕がこいつらを殴ったらどんな感じなんだろう?」
ただ手が痛いのか、不快なのか、何も感じないのか…楽しいのか。
気がついたら不良ども全員を殴り倒していた。
僕けっこう強かったんだ、と思った。
顔面が血だらけになった不良どもは僕に怯えていた。
その様を見て僕は今まで感じたことのない爽快感を覚えた。生きる喜びさえ感じた。
破壊、力で支配するということ。
なんて気持ちいいんだろう。楽しい。
初めて感じた喜と楽の感覚。
それから僕は『地下格闘技場』という違法な賭け格闘技が行われているところへ出入りしていた。
そこで選手として登録して『殺す以外ならなんでもあり』という格闘技とは名ばかりの破壊活動を楽しんでいた。
治療を担当していたのは闇医者、選手は全員闇バイトと無法地帯だった。
それなりに楽しんでいたが、直ぐに物足りなくなった。
『殺してはいけない』(壊してはいけない)という縛りが僕には邪魔に思えた。
そして僕は地下格闘技も辞めた。
何か、何かないか?と考えていた。
辿り着いたのはインターネットで見つけた爆弾の作り方。
思ったより簡単に出来そうだと感じた。
早速、地下格闘技で稼いだお金を使って材料を大量に買ってきた。
失敗することもなく、ほんの数時間で試作品が完成した。
その試作の時限爆弾はマンションのゴミ庫に仕掛けた。
あくまでも試作品なので威力はだいぶ抑えてある。
仕掛けて30分、ドンッという音が響いた。
大きな音に驚いてマンションの住人達がゴミ庫へ集まった。
ゴミ庫は屋根と扉が吹き飛び、中は燃えていた。
住人達が消火器やバケツの水で消火した。
誰かが呼んだ消防車も来たが、住人達の手で既に鎮火済みだった。
威力の加減も絶妙だったようだ。
時間も業者が来る時間、住人が捨てにいく時間帯を避けた。
死人、怪我人を出さなかったのはまだこの時点で大きな事件にはしたくなかったからだ。
そして一週間。ターゲットとしたのはライブハウス。
規模は100人ほどが入る小さめな箱。
それでも爆破すれば大量の死者がでる。
僕はそれを想像して高揚していた。
一度に沢山の人間を『破壊』できる。
そしてそれがメディアで報じられる。
僕にとっては快感でしかない。
人々は見えない敵となる僕に怒りと憎悪を向け、嘆き悲しむことだろう。
僕の破壊が生み出す数々の現象を思うと心が踊った。
このライブハウスの爆破が成功したらもっと規模を拡げよう。有名なアイドルのドーム公演を狙ったら面白そうだ。
人類史上最悪の大量虐殺となるだろう。
想像が、妄想が膨らみ、笑みがこぼれた。
生まれて初めて『夢』を持った。
まぁ他人から見れば狂気でしかないのだろうけど。
ある地下アイドルとロックバンドのジョイントコンサートの日に決行することにした。
当日、開演時間が近づいてきた。
僕は普通に客としてチケットを買い、入場した。
爆発物はポーチに入れて持っていた。
そして荷物を預けるロッカーの中にセットした。
威力は少なくともライブハウスが半壊はするよう火薬を調合した。
僕は「なんとなく」の感覚で調整してるので、もしかしたら威力は思ったより弱いかもしれないし強いかもしれない。
試さず初見の結果を楽しむのだ。
アイドルもバンドもパフォーマンスを終えてアンコールの時間に。
ファンの「アンコール!」の掛け声が響く中、僕はライブハウスを出た。
「さて、と。もうすぐかな?」
ライブハウスを出て歩きながらスマホで時間を確認した。
少し離れた商業施設のデッキでスマホを見ながら『その時』を待った。
午後7時57分、ライブの最後の曲が終わった頃、ロッカーの爆弾が炸裂した。
「ドーン」という音と共に火と煙がライブハウスから立ち上る。
「おぉ!思ったよりちょっと強かったかなぁ?」
街行く人々はざわめき、パトカー、救急車、消防車と騒然とするライブハウス周辺。
消火活動が行われて助けだされる人、運び出される人。
さて、どんな結果になるかな?
どうやら全滅とはいかなかったようだけど。
それでもなかなかの『記録』では?
自分のこういう感覚が異常だとはわかるが罪悪感も後悔もなく、ただワクワクしていた。
後日、あの爆発で死者52名、重軽傷者95名と報道された。
その後、僕によるあの事件がどうなったのかはわからない。
何故なら僕はそれから間もなく自らが作った爆弾で死んだから。
シンプルに失敗したのだ。ダサっ。
そして気がついたらこの異世界アースティアに転移していた。
死んだ筈なのに転生ではなかった。
邪術師サディオによって僕は召還されて回復術で治癒されていた。
サディオ曰く、自らの余命を覚り、跡継ぎとして邪悪なる存在を探していたとのこと。
そして目に止まったのが日本で沢山の人間を爆殺した僕だったそうだ。
その後に僕がやろうとしていたこともサディオは知っていた。
その天性の邪悪さに邪術師の才を見たと。
サディオは全ての知識と力を僕に託して死んだ。
今、僕は邪術を使って地球の犯罪者をゴブリンとして、オークとして、魔族として転生させている。
魔王の器を探しながら。
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