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吹雪がいっそう増してきた。ラリーの体も寒気が襲う。
黄色の13・・・。ラリーの父の命を奪った機体。ラリーは今、
それは憎しみではなく、バートレットの事を思いながら、内戦を終わらすため、自分の思いにケリをつけるため、黄色の13との一騎打ちに臨んだ。
ラリーは機体をロールさせた後、黄色の13に向かった。
黄色の13は、それを予期していたか、機体を上昇させる。
トリガーを引き、考えながら、ラリーの機体は正常に戻った。
「ここで、俺が破れても恨みっこ無しだ」ラリーは言う。黄色の13・・・。並の相手ではない。
ラリーは速度を上げ、黄色の13に突進した。かってのベルカ戦争のエースの父を落とした、黄色の13。
ラリーが目にしたことのない最高のパイロット。
父との思い出を少し思い出しながら、操縦桿をラリーは操る。
一瞬の空きをついて、黄色の13に背後をとられた。
短時間で黄色の13のレーダーの射程距離に入る。「逃げ切れるかラリー」管制官の悲鳴が飛ぶ。
風はますます勢いを増し、2人の対決をあざ笑うかのようだ。
「ミサイル、ミサイル。完全に敵戦闘機につかれている」何としても振り切ろうと必殺のエアブレーキを引いて、
急旋回する。そのまま上昇気流に乗って、機体を斜めにして、ミサイルを振り切る。
さすがに今までのやつとは違った。「強い・・・」ラリーは思う。さすがに父を堕としただけのことはある。
「ミサイル、ブレイク、ブレイク」仲間が無線で伝える。
「自分にケリをつけるんだ」ラリーは彼だけでなく自分とも戦っていた。
このまま、堕ちるわけにはいかない・・・。
今のラリーは、父を超えようとしていた・・・。
憧れだった父。それを破った黄色の13。今ラリーの中では何かが変わろうとしていた・・・。
速度を上げて、吹雪がましになり、雪が小降りになる中、ラリーは機体の速度を上げた。操縦桿を使って機首を正常に戻す。黄色の13との芸術のようなドッグファイトは長く続いた。
暗黒の空は、二人のミサイルの打ち合いにより白く染まっていた。
「敵は一時方向。気をつけろ。並の相手じゃない」管制センターの声が届く。
13は近づいてくる。またの後ろをとらせない美しい機動運動。
13により、機体を旋回。ラリーの動きは読まれているのか。それでも13は捉えられない。レーダーロック。
ミサイルを放つ。さすがに機銃では捉えられない。
13は旋回する。
「凄い・・・」若いパイロットは2人の戦闘を見つめていた。もうドッグファイトは数十分を経過していた。
激戦の中、「在ベルカ軍の核ミサイルの発射阻止。停戦合意まで持ちこたえられそうだ」激突の中、ラリーは、軍人としての思い出に浸っていた。操縦桿で高度をかせぐ。
近くに接近すると、機銃を13に叩き込む。それでも、13は仕留めようとする。
「絶対に負けるわけにはいかない。いや、負ければ父の自分の中の気持ちが抑えられない」
推力により、華麗な運動性能を見せるラリー。13からのミサイル掃射は凄い。
「彼をうてるのは自分だ」ラリーはそう思う。さすがベルカの特殊部隊。激戦は芸術のように語り継がれるのか。
ラリーはレーダを見つめ、13のミサイルの応酬、「これを喰らえ!」ラリーは13との接近戦で互い近ずいた。黄色の13が迫る中、ラリーは急旋回をする。黄色の13に正面から近づく。
「ミサイルが後一つしかない・・・」ラリーはミサイルの残量を確認して、その時、ラリーに一瞬の隙ができた。そこを13は見逃さない。だが13は、1瞬、少し機銃掃射をためらった。
ラリーは正面から13にぶつかった・・・。タイミングを掴み、ミサイルを打ち込む。その時、ラリーの頭は白く、スローモーションのようになり、
父や弟の思い出、軍での事を走馬灯のように思い出していた・・・。
近づいた2つの機体は、すれ違い、交錯した。そして13は、ただ、黒煙をあげて堕ちていった、
13と比べで機銃を打ち込まれたラリーのSu37はエンジンにヒドイ損傷をしていた。相打ちだったが、13の機体はミサイルで完全に堕ちていった。「やったか・・・。俺は死ぬのかな・・・」ラリーは覚悟したか瞳を閉じて落ち着いた。大分機体の損傷はヒドイ。
その時、雲が開けた。そこからラリーの機に太陽の光が差し込む。
「朝焼けだ。勝利できた者だけが見る朝焼けはすこし淋しいな」
ラリーの機体は、そのまま天空を目指すかのように機首を上にして、空に向かっていった。
光がラリーの機体を眩しく輝かせた。
「綺麗だ・・・」ラリーはそう思った。
ラリーの機体に連絡が入る。
「中尉、無事ですか!中尉!」と若いパイロットの声。
そんな中ラリーは、そのパイロットに質問した。
「空は好きか?」
若いパイロットは、戸惑い、「好きですが・・・」と答える。
ラリーはそれを聞いて「ああ。俺も好きだ」と呟いた。
それからエンジンの切れた、
ラリーの機は空をめがけてゆっくりと上昇していき、やがて、嵐の雲を抜け、雲の雲海に出た。
雲をぬけると透き通るような青空が広がり、太陽の光がラリーの顔をまぶしく照らす。そして、ラリーの機体は無限の空に落ちていった・・・。
下から見ると、吸い込まれそうな素晴らしい無限の青い空に・・・。
黄色の13・・・。ラリーの父の命を奪った機体。ラリーは今、
それは憎しみではなく、バートレットの事を思いながら、内戦を終わらすため、自分の思いにケリをつけるため、黄色の13との一騎打ちに臨んだ。
ラリーは機体をロールさせた後、黄色の13に向かった。
黄色の13は、それを予期していたか、機体を上昇させる。
トリガーを引き、考えながら、ラリーの機体は正常に戻った。
「ここで、俺が破れても恨みっこ無しだ」ラリーは言う。黄色の13・・・。並の相手ではない。
ラリーは速度を上げ、黄色の13に突進した。かってのベルカ戦争のエースの父を落とした、黄色の13。
ラリーが目にしたことのない最高のパイロット。
父との思い出を少し思い出しながら、操縦桿をラリーは操る。
一瞬の空きをついて、黄色の13に背後をとられた。
短時間で黄色の13のレーダーの射程距離に入る。「逃げ切れるかラリー」管制官の悲鳴が飛ぶ。
風はますます勢いを増し、2人の対決をあざ笑うかのようだ。
「ミサイル、ミサイル。完全に敵戦闘機につかれている」何としても振り切ろうと必殺のエアブレーキを引いて、
急旋回する。そのまま上昇気流に乗って、機体を斜めにして、ミサイルを振り切る。
さすがに今までのやつとは違った。「強い・・・」ラリーは思う。さすがに父を堕としただけのことはある。
「ミサイル、ブレイク、ブレイク」仲間が無線で伝える。
「自分にケリをつけるんだ」ラリーは彼だけでなく自分とも戦っていた。
このまま、堕ちるわけにはいかない・・・。
今のラリーは、父を超えようとしていた・・・。
憧れだった父。それを破った黄色の13。今ラリーの中では何かが変わろうとしていた・・・。
速度を上げて、吹雪がましになり、雪が小降りになる中、ラリーは機体の速度を上げた。操縦桿を使って機首を正常に戻す。黄色の13との芸術のようなドッグファイトは長く続いた。
暗黒の空は、二人のミサイルの打ち合いにより白く染まっていた。
「敵は一時方向。気をつけろ。並の相手じゃない」管制センターの声が届く。
13は近づいてくる。またの後ろをとらせない美しい機動運動。
13により、機体を旋回。ラリーの動きは読まれているのか。それでも13は捉えられない。レーダーロック。
ミサイルを放つ。さすがに機銃では捉えられない。
13は旋回する。
「凄い・・・」若いパイロットは2人の戦闘を見つめていた。もうドッグファイトは数十分を経過していた。
激戦の中、「在ベルカ軍の核ミサイルの発射阻止。停戦合意まで持ちこたえられそうだ」激突の中、ラリーは、軍人としての思い出に浸っていた。操縦桿で高度をかせぐ。
近くに接近すると、機銃を13に叩き込む。それでも、13は仕留めようとする。
「絶対に負けるわけにはいかない。いや、負ければ父の自分の中の気持ちが抑えられない」
推力により、華麗な運動性能を見せるラリー。13からのミサイル掃射は凄い。
「彼をうてるのは自分だ」ラリーはそう思う。さすがベルカの特殊部隊。激戦は芸術のように語り継がれるのか。
ラリーはレーダを見つめ、13のミサイルの応酬、「これを喰らえ!」ラリーは13との接近戦で互い近ずいた。黄色の13が迫る中、ラリーは急旋回をする。黄色の13に正面から近づく。
「ミサイルが後一つしかない・・・」ラリーはミサイルの残量を確認して、その時、ラリーに一瞬の隙ができた。そこを13は見逃さない。だが13は、1瞬、少し機銃掃射をためらった。
ラリーは正面から13にぶつかった・・・。タイミングを掴み、ミサイルを打ち込む。その時、ラリーの頭は白く、スローモーションのようになり、
父や弟の思い出、軍での事を走馬灯のように思い出していた・・・。
近づいた2つの機体は、すれ違い、交錯した。そして13は、ただ、黒煙をあげて堕ちていった、
13と比べで機銃を打ち込まれたラリーのSu37はエンジンにヒドイ損傷をしていた。相打ちだったが、13の機体はミサイルで完全に堕ちていった。「やったか・・・。俺は死ぬのかな・・・」ラリーは覚悟したか瞳を閉じて落ち着いた。大分機体の損傷はヒドイ。
その時、雲が開けた。そこからラリーの機に太陽の光が差し込む。
「朝焼けだ。勝利できた者だけが見る朝焼けはすこし淋しいな」
ラリーの機体は、そのまま天空を目指すかのように機首を上にして、空に向かっていった。
光がラリーの機体を眩しく輝かせた。
「綺麗だ・・・」ラリーはそう思った。
ラリーの機体に連絡が入る。
「中尉、無事ですか!中尉!」と若いパイロットの声。
そんな中ラリーは、そのパイロットに質問した。
「空は好きか?」
若いパイロットは、戸惑い、「好きですが・・・」と答える。
ラリーはそれを聞いて「ああ。俺も好きだ」と呟いた。
それからエンジンの切れた、
ラリーの機は空をめがけてゆっくりと上昇していき、やがて、嵐の雲を抜け、雲の雲海に出た。
雲をぬけると透き通るような青空が広がり、太陽の光がラリーの顔をまぶしく照らす。そして、ラリーの機体は無限の空に落ちていった・・・。
下から見ると、吸い込まれそうな素晴らしい無限の青い空に・・・。
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