14 / 21
謝罪
待て待て待て待て待てーー!!!
パチリと目が覚め、ガバッと体を起こす。
いきなり動いたことで視界がグラリと揺らいで片手で額を押さえる。多少の目眩など些末事項だ。
そ・ん・な・こ・と・よ・り・も!
チビの俺、出会ったその日にプロポーズとか何事だ?!
なんなんだ?!虹よりも君の瞳が美しいって?!イケメン気取りか?!恥ずか死ねる!
言っていることは全く間違ってはいないがな!
はぁはぁと肩で息をする。
忘れていた記憶がトレースされて、まるで昨日体験した出来事のように鮮明に思い起こされた。
間違いなく全て過去の自分の言動であったと体感しているだけに羞恥心も半端ない。
しかし、俺はともかく、ジストは本当に可愛いかった…。女の子と間違えてもあれは仕方がない…。
ひとつ思い出せば堰を切ったようにどんどん記憶がよみがえってくる。
あれから何度も頻繁にレーベン邸に通い、色々な魔法を駆使してジストの気をひいていた。そういえばあの頃確かに全ての属性魔法が使えていた。あの様に自在に魔法を扱っていたのを思うと、魔力自体も今より相当高かったはずだ。それが使えなくなったのは…
ジストは潜在魔力が高すぎてコントロールが難しい為、もう少し体が成長するまではと魔法を使うのを禁じられていた。無意識のうちに使ってしまわないように、ピアス型の制御アクセサリーを使い、魔力も封じられて。
周りの皆が当たり前のように魔法を使っている中、自分だけが魔法を使えないことで気鬱になり、俺に会うまでは部屋に閉じこもっていたのだ。
そんなジストが外に出て明るく笑うようにもなり、俺は随分感謝されたし、レーベン家の長男であるジストを嫁にもらうなどと公言していても微笑ましく受け止められてもいた。
ジストにすっかりメロメロだった俺は、かなり無理を言って、最低でも週に一度は必ず隣の領地に足を運んでいた。
そういう生活が3ヶ月程続いた後、兄に山籠りの訓練に駆り出された俺は、ひと月もの間レーベン邸を訪れることが出来なかった。
久しぶりに訪れたレーベン邸で、あれが起こってしまった。
俺に会えない寂しさに耐えかねたジストが、俺と二人で見た虹を作ろうと、制御ピアスを外して魔法を使ってしまったのだ。
何も訓練を行っていないままに魔法を使ってしまったので、当然魔力暴走してしまう。
ジストを探して庭に来た俺は、暴走しているジストを見つけ、助けようと全魔力を使って近づき、ピアスを拾って暴走を止めた。
それが記憶とほとんどの属性魔法を失うこととなった事故だったというわけだ。
「ヴィルフラン様!お目覚めになられたのですね!」
長年我が家に勤めてくれているメイドが起きている俺に気付き、持ってきた水差しを慌てて置いて、大声を上げながら部屋を走り出て行く。
「旦那様っ!大旦那様っ!坊っちゃまがお目覚になられましたっ!」
そういえばここは自邸の見慣れた俺の部屋だ。騎士養成学校の寮ではない。
ジストの魔力暴走を止めた後、自邸の方に運ばれたということか?
バタバタと駆けつけた現領主である上の兄と父がまずは俺を医者に診察させた。体の内外の傷は意識のないうちに治療されていたのか痛むところは無い。意識と身体に異常なしという診断がついたところで、二人に叱られることとなった。
「ヴィル、無茶をしすぎだ」
「申し訳ございません」
「もうあいつとは関わるなっ」
父は憎々しげにジストのことをあいつ呼ばわりして眉根を寄せる。
「それは承服しかねます」
「お前は忘れているかもしれないが、あいつのせいでお前が死にかけたのはこれで二度目だ」
「その件は先ほど思い出しましたが、それでも気持ちは変わりません」
頭をかかえた父が、はぁ、と深いため息をつく。
「わかっているのか?今回は二週間も意識が戻らなかったのだぞ。生命維持の限界まで魔力を使い果たしていたんだ!」
それがどんなに危険なことかわかるか?と強く迫られる。
心から心配してくれているのがわかるので申し訳ない気持ちで一杯だが、どうしても引くことはできない。
「申し訳ございません。こればかりは引くわけにはまいりません」
「お前はっ!」
怒りに震える父の肩をを兄が押さえる。
「ヴィルは何を言っても引きませんよ」
さすが兄上、よくわかっていらっしゃる。
「ジストが大切なんです。今も昔も。どうしても守りたいのです」
絶対に曲げられないと父の目を真っ直ぐ見据えて言い切ると、父はまた深く深くため息をついた。
私がどんな気持ちで…とか、傷ついて魔力まで失って…とか、ヴィルが気鬱の病にかかってしまったのもあいつのせいだ…とか、色々父がぶつぶつと不満を口にしていたが…。『気鬱の件は、前世の記憶と股間のモザイクのせいです』などという申し開きもできず、黙って父の不満を受け止めるしかない。
小一時間ほどそうしていた後、兄が父を部屋から追い出した。
「ヴィルはまだ意識を取り戻したばかりなのですから、そろそろ休ませてやりましょう」
そう言って兄が背を押すと、父は渋々部屋を出て行った。
「さて…君の大切なあの子だが。この一週間毎日通ってきているよ。もっとも…父上に門前払いされているのだがな」
部屋に残った兄が現況を教えてくれる。
事故後、騎士養成学校に併設されている医院に一旦運ばれ処置を受けた。容態は安定したものの5日経っても意識が戻らなかった為、自領の屋敷に移され療養することとなったらしい。
事故の原因となった小手だが、案の定アグスの仕業だと判明した。金に物をいわせて準備した魔法陣をジストの装備に仕込んだのだ。
ジストが万年首位であることを面白く思っていなかった為、ジストの強力な魔力を利用すれば試合は台無しになるだろうし、上手くいけば同時間に戦っている俺共々痛い目に合わせられると目論んだようだ。
それにしてもジストが攻撃対象にされると予測出来なかった自分が不甲斐ない。もし予測して注意を促していれば、ジストをあんな目にあわせずに済んだかもしれない。
結果、これほど大事になるとは仕掛けたアグス本人も思っていなかったようで、バレた後には反省の色を見せていたそうだ。謹慎を命じられ、意外にも大人しく従っているらしい。
ジストはというと、俺がこちらに移されてから毎日見舞いに訪れてくれているようだ。
ということは……
「ジストは無事だったのですね?」
「ああ、外傷もなく魔力なども問題無かったそうだ。お前の対処が早かったからだな」
それを聞いて心底ほっとする。
しかしジストは辛い思いをしているだろう。
「兄上、ジストに会いたいです」
「なんとかしてやりたいが、父上の気持ちも蔑ろにはできないからな…」
そう、父にはかなり心配をかけてしまっている。普段言葉少ない父が長々と不満を言い続ける程に。
少し考えた後、兄が折衷案を出す。
「手紙を書け。渡してやる。お前の無事を知ればあの子も安心するだろう」
本当は無理矢理にでも会いに行きたいが、心配と迷惑をかけ通しなのもわかっているのでその案に頷く。
兄が部屋を出た後、早速ジストへの手紙を書き始めた。
意識が戻り無事であること。数日で学校に戻るつもりなので心配せずに待っていて欲しいこと。などを書いた後、魔力の方はどんな感じなのか自分でも確認していないことに気づく。昔の事故では最大魔力は大幅に減退し、属性魔法もほとんどを失っていたが。もしも更に減退していれば騎士への道は閉ざされるかもしれない。手紙を出す前に確認しておくべきだ。学校に戻ると言って戻れなかった場合ジストに辛い思いをさせてしまう。
無理をして倒れては、また父の心配と怒りをかってしまうので、魔法を使う前に目を閉じて自分の魔力を探ってみる。
著しく減少している時のような怠さも感じないし異常もないような気がする。むしろ以前よりも力がみなぎっているような手応えさえある。
問題なさそうだとみて、属性魔法を試してみる。室内で派手に使用して汚したり壊したりしてはいけないので、小さな石ころをひとつ出してみる。
思惑通りに手のひらにコロンと石ころが現れる。
今回は属性魔法を失わずに済んだようだ。
ほっとして次に結界魔法を試してみる。
こちらは周辺に被害を及ぼす心配もないので普通に試す。
まずはこの部屋全体に目くらましの魔法をかける。下位魔法に問題はない。
次にベッドの周辺に結界をかける。魔獣避けの効果を編み、その上に属性魔法を防御する効果を重ねていく。土、水、風、火、雷、氷、光、闇…。
これだけの種類を重ねがけすると、いつもならそろそろ魔力に限界がくるのだが、何故かまだ余裕がある感じがする。
続けて物理防御の効果も重ねる。圧力、刺力、切断力、摩擦力、振動力…。
これでもまだ余裕を感じる。
このまま範囲を広げてみる。まずは部屋全体に。
まだ余裕だ。こんどはフロア全体に。
まだいける。次は屋敷全体に。
ーーーーまだ余裕を感じる。
これは一体全体どういうことだ?
結界を解いて首をひねる。
あらかじめ決めた範囲に結界をはって固定するよりも、伸縮性を持たせ、範囲を変更できるようにする方がより魔力を必要とする。今やったのは、より魔力を使うやり方であるというのに余裕さえ感じるとは……
「ヴィル!」
兄が扉を開けて部屋に飛び込んでくる。
「何をやっているんだ!安静にしてろ!」
「すみません。しかし兄上、おかしいのです」
「どうした?!どこか具合を悪くしたか?」
「魔力がどうなったのか確かめていたのですが…。以前より魔力が増えているようで…」
兄が動きを止めて少し考えてから呟いた。
「確かに…。今の結界は相当緻密に組まれていたようだが…。俺のいた執務室はこの部屋とはフロアも違う。どのくらいの範囲を設定したんだ?」
「最初はベッド周辺にはったのですが、そのあと徐々に広げていって屋敷全体に…」
「あの緻密さで屋敷全体?!そんな馬鹿な!」
兄が驚くのはもっともだ。俺も信じられない。以前であればあれの半分くらいの効果の物を人ひとりを覆う範囲にはるので精一杯だった。それなのに精度を上げたものを屋敷全体を覆うまで張り巡らせてもまだ余裕すらあったのだ。
「とにかくだ。何か体に悪影響が無いとも限らない。明日調べてもらうことにするからそれまで無理はせずにおけ」
「わかりました」
もう少し自分でも確かめてみたかったが、ジストへの手紙を渡してもらえなくなっても困るのであきらめることにした。
パチリと目が覚め、ガバッと体を起こす。
いきなり動いたことで視界がグラリと揺らいで片手で額を押さえる。多少の目眩など些末事項だ。
そ・ん・な・こ・と・よ・り・も!
チビの俺、出会ったその日にプロポーズとか何事だ?!
なんなんだ?!虹よりも君の瞳が美しいって?!イケメン気取りか?!恥ずか死ねる!
言っていることは全く間違ってはいないがな!
はぁはぁと肩で息をする。
忘れていた記憶がトレースされて、まるで昨日体験した出来事のように鮮明に思い起こされた。
間違いなく全て過去の自分の言動であったと体感しているだけに羞恥心も半端ない。
しかし、俺はともかく、ジストは本当に可愛いかった…。女の子と間違えてもあれは仕方がない…。
ひとつ思い出せば堰を切ったようにどんどん記憶がよみがえってくる。
あれから何度も頻繁にレーベン邸に通い、色々な魔法を駆使してジストの気をひいていた。そういえばあの頃確かに全ての属性魔法が使えていた。あの様に自在に魔法を扱っていたのを思うと、魔力自体も今より相当高かったはずだ。それが使えなくなったのは…
ジストは潜在魔力が高すぎてコントロールが難しい為、もう少し体が成長するまではと魔法を使うのを禁じられていた。無意識のうちに使ってしまわないように、ピアス型の制御アクセサリーを使い、魔力も封じられて。
周りの皆が当たり前のように魔法を使っている中、自分だけが魔法を使えないことで気鬱になり、俺に会うまでは部屋に閉じこもっていたのだ。
そんなジストが外に出て明るく笑うようにもなり、俺は随分感謝されたし、レーベン家の長男であるジストを嫁にもらうなどと公言していても微笑ましく受け止められてもいた。
ジストにすっかりメロメロだった俺は、かなり無理を言って、最低でも週に一度は必ず隣の領地に足を運んでいた。
そういう生活が3ヶ月程続いた後、兄に山籠りの訓練に駆り出された俺は、ひと月もの間レーベン邸を訪れることが出来なかった。
久しぶりに訪れたレーベン邸で、あれが起こってしまった。
俺に会えない寂しさに耐えかねたジストが、俺と二人で見た虹を作ろうと、制御ピアスを外して魔法を使ってしまったのだ。
何も訓練を行っていないままに魔法を使ってしまったので、当然魔力暴走してしまう。
ジストを探して庭に来た俺は、暴走しているジストを見つけ、助けようと全魔力を使って近づき、ピアスを拾って暴走を止めた。
それが記憶とほとんどの属性魔法を失うこととなった事故だったというわけだ。
「ヴィルフラン様!お目覚めになられたのですね!」
長年我が家に勤めてくれているメイドが起きている俺に気付き、持ってきた水差しを慌てて置いて、大声を上げながら部屋を走り出て行く。
「旦那様っ!大旦那様っ!坊っちゃまがお目覚になられましたっ!」
そういえばここは自邸の見慣れた俺の部屋だ。騎士養成学校の寮ではない。
ジストの魔力暴走を止めた後、自邸の方に運ばれたということか?
バタバタと駆けつけた現領主である上の兄と父がまずは俺を医者に診察させた。体の内外の傷は意識のないうちに治療されていたのか痛むところは無い。意識と身体に異常なしという診断がついたところで、二人に叱られることとなった。
「ヴィル、無茶をしすぎだ」
「申し訳ございません」
「もうあいつとは関わるなっ」
父は憎々しげにジストのことをあいつ呼ばわりして眉根を寄せる。
「それは承服しかねます」
「お前は忘れているかもしれないが、あいつのせいでお前が死にかけたのはこれで二度目だ」
「その件は先ほど思い出しましたが、それでも気持ちは変わりません」
頭をかかえた父が、はぁ、と深いため息をつく。
「わかっているのか?今回は二週間も意識が戻らなかったのだぞ。生命維持の限界まで魔力を使い果たしていたんだ!」
それがどんなに危険なことかわかるか?と強く迫られる。
心から心配してくれているのがわかるので申し訳ない気持ちで一杯だが、どうしても引くことはできない。
「申し訳ございません。こればかりは引くわけにはまいりません」
「お前はっ!」
怒りに震える父の肩をを兄が押さえる。
「ヴィルは何を言っても引きませんよ」
さすが兄上、よくわかっていらっしゃる。
「ジストが大切なんです。今も昔も。どうしても守りたいのです」
絶対に曲げられないと父の目を真っ直ぐ見据えて言い切ると、父はまた深く深くため息をついた。
私がどんな気持ちで…とか、傷ついて魔力まで失って…とか、ヴィルが気鬱の病にかかってしまったのもあいつのせいだ…とか、色々父がぶつぶつと不満を口にしていたが…。『気鬱の件は、前世の記憶と股間のモザイクのせいです』などという申し開きもできず、黙って父の不満を受け止めるしかない。
小一時間ほどそうしていた後、兄が父を部屋から追い出した。
「ヴィルはまだ意識を取り戻したばかりなのですから、そろそろ休ませてやりましょう」
そう言って兄が背を押すと、父は渋々部屋を出て行った。
「さて…君の大切なあの子だが。この一週間毎日通ってきているよ。もっとも…父上に門前払いされているのだがな」
部屋に残った兄が現況を教えてくれる。
事故後、騎士養成学校に併設されている医院に一旦運ばれ処置を受けた。容態は安定したものの5日経っても意識が戻らなかった為、自領の屋敷に移され療養することとなったらしい。
事故の原因となった小手だが、案の定アグスの仕業だと判明した。金に物をいわせて準備した魔法陣をジストの装備に仕込んだのだ。
ジストが万年首位であることを面白く思っていなかった為、ジストの強力な魔力を利用すれば試合は台無しになるだろうし、上手くいけば同時間に戦っている俺共々痛い目に合わせられると目論んだようだ。
それにしてもジストが攻撃対象にされると予測出来なかった自分が不甲斐ない。もし予測して注意を促していれば、ジストをあんな目にあわせずに済んだかもしれない。
結果、これほど大事になるとは仕掛けたアグス本人も思っていなかったようで、バレた後には反省の色を見せていたそうだ。謹慎を命じられ、意外にも大人しく従っているらしい。
ジストはというと、俺がこちらに移されてから毎日見舞いに訪れてくれているようだ。
ということは……
「ジストは無事だったのですね?」
「ああ、外傷もなく魔力なども問題無かったそうだ。お前の対処が早かったからだな」
それを聞いて心底ほっとする。
しかしジストは辛い思いをしているだろう。
「兄上、ジストに会いたいです」
「なんとかしてやりたいが、父上の気持ちも蔑ろにはできないからな…」
そう、父にはかなり心配をかけてしまっている。普段言葉少ない父が長々と不満を言い続ける程に。
少し考えた後、兄が折衷案を出す。
「手紙を書け。渡してやる。お前の無事を知ればあの子も安心するだろう」
本当は無理矢理にでも会いに行きたいが、心配と迷惑をかけ通しなのもわかっているのでその案に頷く。
兄が部屋を出た後、早速ジストへの手紙を書き始めた。
意識が戻り無事であること。数日で学校に戻るつもりなので心配せずに待っていて欲しいこと。などを書いた後、魔力の方はどんな感じなのか自分でも確認していないことに気づく。昔の事故では最大魔力は大幅に減退し、属性魔法もほとんどを失っていたが。もしも更に減退していれば騎士への道は閉ざされるかもしれない。手紙を出す前に確認しておくべきだ。学校に戻ると言って戻れなかった場合ジストに辛い思いをさせてしまう。
無理をして倒れては、また父の心配と怒りをかってしまうので、魔法を使う前に目を閉じて自分の魔力を探ってみる。
著しく減少している時のような怠さも感じないし異常もないような気がする。むしろ以前よりも力がみなぎっているような手応えさえある。
問題なさそうだとみて、属性魔法を試してみる。室内で派手に使用して汚したり壊したりしてはいけないので、小さな石ころをひとつ出してみる。
思惑通りに手のひらにコロンと石ころが現れる。
今回は属性魔法を失わずに済んだようだ。
ほっとして次に結界魔法を試してみる。
こちらは周辺に被害を及ぼす心配もないので普通に試す。
まずはこの部屋全体に目くらましの魔法をかける。下位魔法に問題はない。
次にベッドの周辺に結界をかける。魔獣避けの効果を編み、その上に属性魔法を防御する効果を重ねていく。土、水、風、火、雷、氷、光、闇…。
これだけの種類を重ねがけすると、いつもならそろそろ魔力に限界がくるのだが、何故かまだ余裕がある感じがする。
続けて物理防御の効果も重ねる。圧力、刺力、切断力、摩擦力、振動力…。
これでもまだ余裕を感じる。
このまま範囲を広げてみる。まずは部屋全体に。
まだ余裕だ。こんどはフロア全体に。
まだいける。次は屋敷全体に。
ーーーーまだ余裕を感じる。
これは一体全体どういうことだ?
結界を解いて首をひねる。
あらかじめ決めた範囲に結界をはって固定するよりも、伸縮性を持たせ、範囲を変更できるようにする方がより魔力を必要とする。今やったのは、より魔力を使うやり方であるというのに余裕さえ感じるとは……
「ヴィル!」
兄が扉を開けて部屋に飛び込んでくる。
「何をやっているんだ!安静にしてろ!」
「すみません。しかし兄上、おかしいのです」
「どうした?!どこか具合を悪くしたか?」
「魔力がどうなったのか確かめていたのですが…。以前より魔力が増えているようで…」
兄が動きを止めて少し考えてから呟いた。
「確かに…。今の結界は相当緻密に組まれていたようだが…。俺のいた執務室はこの部屋とはフロアも違う。どのくらいの範囲を設定したんだ?」
「最初はベッド周辺にはったのですが、そのあと徐々に広げていって屋敷全体に…」
「あの緻密さで屋敷全体?!そんな馬鹿な!」
兄が驚くのはもっともだ。俺も信じられない。以前であればあれの半分くらいの効果の物を人ひとりを覆う範囲にはるので精一杯だった。それなのに精度を上げたものを屋敷全体を覆うまで張り巡らせてもまだ余裕すらあったのだ。
「とにかくだ。何か体に悪影響が無いとも限らない。明日調べてもらうことにするからそれまで無理はせずにおけ」
「わかりました」
もう少し自分でも確かめてみたかったが、ジストへの手紙を渡してもらえなくなっても困るのであきらめることにした。
あなたにおすすめの小説
転移先で辺境伯の跡継ぎとなる予定の第四王子様に愛される
Hazuki
BL
五歳で父親が無くなり、七歳の時新しい父親が出来た。
中1の雨の日熱を出した。
義父は大工なので雨の日はほぼ休み、パートに行く母の代わりに俺の看病をしてくれた。
それだけなら良かったのだが、義父は俺を犯した、何日も。
晴れた日にやっと解放された俺は散歩に出掛けた。
連日の性交で身体は疲れていたようで道を渡っているときにふらつき、車に轢かれて、、、。
目覚めたら豪華な部屋!?
異世界転移して森に倒れていた俺を助けてくれた次期辺境伯の第四王子に愛される、そんな話、にする予定。
⚠️最初から義父に犯されます。
嫌な方はお戻りくださいませ。
久しぶりに書きました。
続きはぼちぼち書いていきます。
不定期更新で、すみません。
【BLーR18】箱入り王子(プリンス)は俺サマ情報屋(実は上級貴族)に心奪われる
奏音 美都
BL
<あらすじ>
エレンザードの正統な王位継承者である王子、ジュリアンは、城の情報屋であるリアムと秘密の恋人関係にあった。城内でしか逢瀬できないジュリアンは、最近顔を見せないリアムを寂しく思っていた。
そんなある日、幼馴染であり、執事のエリックからリアムが治安の悪いザード地区の居酒屋で働いているらしいと聞き、いても立ってもいられず、夜中城を抜け出してリアムに会いに行くが……
俺様意地悪ちょいS情報屋攻め×可愛い健気流され王子受け
塔の魔術師と騎士の献身
倉くらの
BL
かつて勇者の一行として魔王討伐を果たした魔術師のエーティアは、その時の後遺症で魔力欠乏症に陥っていた。
そこへ世話人兼護衛役として派遣されてきたのは、国の第三王子であり騎士でもあるフレンという男だった。
男の説明では性交による魔力供給が必要なのだという。
それを聞いたエーティアは怒り、最後の魔力を使って攻撃するがすでに魔力のほとんどを消失していたためフレンにダメージを与えることはできなかった。
悔しさと息苦しさから涙して「こんなみじめな姿で生きていたくない」と思うエーティアだったが、「あなたを助けたい」とフレンによってやさしく抱き寄せられる。
献身的に尽くす元騎士と、能力の高さ故にチヤホヤされて生きてきたため無自覚でやや高慢気味の魔術師の話。
愛するあまりいつも抱っこしていたい攻め&体がしんどくて楽だから抱っこされて運ばれたい受け。
一人称。
完結しました!
テメェを離すのは死ぬ時だってわかってるよな?~美貌の恋人は捕まらない~
ちろる
BL
美貌の恋人、一華 由貴(いっか ゆき)を持つ風早 颯(かざはや はやて)は
何故か一途に愛されず、奔放に他に女や男を作るバイセクシャルの由貴に
それでも執着にまみれて耐え忍びながら捕まえておくことを選んでいた。
素直になれない自分に嫌気が差していた頃――。
表紙画はミカスケ様(https://www.instagram.com/mikasuke.free/)の
フリーイラストを拝借させて頂いています。
生まれ変わったら知ってるモブだった
マロン
BL
僕はとある田舎に小さな領地を持つ貧乏男爵の3男として生まれた。
貧乏だけど一応貴族で本来なら王都の学園へ進学するんだけど、とある理由で進学していない。
毎日領民のお仕事のお手伝いをして平民の困り事を聞いて回るのが僕のしごとだ。
この日も牧場のお手伝いに向かっていたんだ。
その時そばに立っていた大きな樹に雷が落ちた。ビックリして転んで頭を打った。
その瞬間に思い出したんだ。
僕の前世のことを・・・この世界は僕の奥さんが描いてたBL漫画の世界でモーブル・テスカはその中に出てきたモブだったということを。
ヤンデレ王子と哀れなおっさん辺境伯 恋も人生も二度目なら
音無野ウサギ
BL
ある日おっさん辺境伯ゲオハルトは美貌の第三王子リヒトにぺろりと食べられてしまいました。
しかも貴族たちに濡れ場を聞かれてしまい……
ところが権力者による性的搾取かと思われた出来事には実はもう少し深いわけが……
だって第三王子には前世の記憶があったから!
といった感じの話です。おっさんがグチョグチョにされていても許してくださる方どうぞ。
濡れ場回にはタイトルに※をいれています
おっさん企画を知ってから自分なりのおっさん受けってどんな形かなって考えていて生まれた話です。
この作品はムーンライトノベルズでも公開しています。
【完結】生まれ変わってもΩの俺は二度目の人生でキセキを起こす!
天白
BL
【あらすじ】バース性診断にてΩと判明した青年・田井中圭介は将来を悲観し、生きる意味を見出せずにいた。そんな圭介を憐れに思った曾祖父の陸郎が彼と家族を引き離すように命じ、圭介は父から紹介されたαの男・里中宗佑の下へ預けられることになる。
顔も見知らぬ男の下へ行くことをしぶしぶ承諾した圭介だったが、陸郎の危篤に何かが目覚めてしまったのか、前世の記憶が甦った。
「田井中圭介。十八歳。Ω。それから現当主である田井中陸郎の母であり、今日まで田井中家で語り継がれてきただろう、不幸で不憫でかわいそ~なΩこと田井中恵の生まれ変わりだ。改めてよろしくな!」
これは肝っ玉母ちゃん(♂)だった前世の記憶を持ちつつも獣人が苦手なΩの青年と、紳士で一途なスパダリ獣人αが小さなキセキを起こすまでのお話。
※オメガバースもの。拙作「生まれ変わりΩはキセキを起こす」のリメイク作品です。登場人物の設定、文体、内容等が大きく変わっております。アルファポリス版としてお楽しみください。