19 / 32
第19話 悪い知らせ
しおりを挟む
魔王湊山くんとの魔力制御訓練を始めて一週間ほどが経った。
少しずつではあるが、魔王湊山くんも私との接触にも慣れてきたようだ。
私が手を握ったり、体を寄せてくっついたりすると、顔を赤くしたりオロオロしたりはするのは変わらない。
たが、魔力が膨張することはほとんど無くなってきた。
(そろそろ新しい手を考えようかしら)
などと私は意地の悪いことを考えていた。すると、騎士隊長ギールが相談したいことがあるとやってきた。
「我が王国にも闘技場を作ろうと思うのです」
と、私の部屋に入ってくるなりギールが話し始めた。
この前の武闘競技で騎士隊の隊員達に火がついたらしい。
「なので、ミリア様にも色々と相談に乗ってもらいたいのです」
「私の意見なんて参考になるの?」
「勿論です、あなたは勇者ですから!」
(そんなもんなのかな?)
などと思ったがギールの熱心さにほだされて私は了解した。
(湊山くんの訓練はしばらくお休みかな)
闘技場といっても観客席に囲まれた本格的なものを造るには相当な時間がかかる。
なので、とりあえずは適度に広さがある平地を探し、岩や木々などを除く作業から始まった。
(ますます私いらなくね?)
整地作業に勤しむ作業員の方々を見ていると、ただぼうっと見ているだけなのが申し訳なくなる。
だが、ギールに言わせれば、
「ミリア様が見ていてくれると、皆の気合の入り方が違うんですよ!」
ということらしい。
その上、作業の合間合間に私の所に進捗状況を報告に来るのだ。
「大きな岩を三つ取り除きました!」
「闘技場予定地中央にあった巨木を移植しました!」
「闘技場用の川砂を運んでまいりました!」
などなど、別にいちいち私に報告するまでもないだろうということまで知らせに来てくれる。
「そう、ご苦労さま」
と、そのたびに私は笑顔で答えてあげる。
それで皆にやる気が出て作業が捗るなら、勇者としても協力しなければという気持ちになる。
(私も何か手伝おうかな)
やはり見ているだけで何もしないというのは気が引ける。
今は闘技場に砂を撒き終わって、石のローラーで整地をしているところだ。
あれなら私でも手伝えるだろう。
「ねえ、それ、私にやらせてもらえる?」
私は近くでローラーを引いていた女性に声をかけた。
作業には騎士隊副隊長のクリスを始めとする女性の騎士隊員も加わっていた。
「え、でも……」
突然の申し出に女性隊員も戸惑ってしまっているようだ。
「私も何か手伝いたいの、ね?」
そう言いながら私はローラーのバーに手をかけた。
すると、
「ミリア様!」
と、叫びながらクリスが駆け寄ってきた。
「いけません、ミリア様がそのようなことをなさっては!」
「いいのよ、ていうかやらせてほしいの。ね、お願い」
そう言いながら私はクリスの手にそっと手をのせた。
(魔王には効いたけど……)
「はっ……!」
息をのんだクリスの顔が真っ赤になった。
「ミリア様がそこまで仰《おっしゃ》るなら♡」
(よし、効いた!)
これもきっと勇者の能力のひとつなのだろう、多分。
私はローラーのバーを掴んで軽く引いてみた。
(え、軽っ!)
「重くはないですか、ミリア様……?」
クリスが心配そうに聞いてきた。
「全然大丈夫よ」
強がりでも何でもない。片腕でどころか指一本でも引けそうだった。
(勇者の凄さってこういうところなのね)
私は足取りも軽く闘技場をローラーを引いて回った。
そして私が引くところを見ている女性隊員たちに笑顔で手を振った。
全然重くもないし大変でもないのだ、ということを見せるために。
すると、
「「「「きゃぁあああーーーー♡」」」」
と女性隊員たちが黄色い声を上げた。
(え、これも勇者の能力のおかげ?)
「ローラーを引くミリア様のなんて麗しいことでしょう!」
「麗しの勇者様!」
「もう私達、心を鷲掴みにされてしまいましたわ!」
(うわ、なんだか思ってたのと違う状況に……)
そんなことを考えているうちにもどんどんと女性隊員達が集まってきた。
(これはさっさと終わらせたほうがよさそうね)
私は魔力で身体強化をかけ一気にスピードを上げた。
そして、瞬く間に闘技場を一廻りして整地を終えた。
「ふう……」
疲れたわけではなかったが、小さなため息が私の口から出た。
「「「「ミリア様ーーーー♡」」」」
女性隊員達が駆け寄ってきて私に抱きついてきた。
「ちょっ……」
私が女性隊員達にもみくちゃにされていると、
「あなた達、ミリア様から離れなさい!」
クリスか群がる女性隊員達を引っ剥《ぺ》がした。
「ありがとう、クリス……て」
「とっても素敵でしたわ、ミリア様♡」
今度はクリスが私に抱きついて頬をスリスリしてきた。
「えっと、クリス……?」
私が、なんと言えばいいのか分からないでいると、
「ずるいですわ、副隊長!」
「そうですわ、ミリア様を独り占めなんて!」
と、引っ剥がされた女性隊員達がまたもや私とクリスを取り囲んだ。
「ちょっとあなた達、ミリア様が困ってらっしゃるでしょ!」
「副隊長こそ!」
「そうですわ!」
「「「「わーわーぎゃーぎゃー!」」」」
そんなこんなで大騒ぎになったが、とりあえずはその日の作業はなんとか終わった。
その後も整備を進めつつ、合間に試験的に武闘訓練をやったりした。
こうして一週間くらいの間、私は魔王湊山くんに会うことなく過ごした。
(そろそろ会いに行ってみようかな)
などと思い始めたある日のこと、気になる知らせが入った。
「オローギル様がお話したいことがあるとのことです」
メイドのレギナが知らせに来た。
「オローギル?誰それ?」
「宮廷魔術師のオローギル様です」
「ああ、魔法使いじいさんね!」
(結構偉そうな名前なのね、あのじいさん)
などと思いながら、レギナに連れて行かれたのは玉座の間ではなかった。
中央に四角い大きなテーブルが置かれた会議室のようなところだ。
部屋に入ると、既に王国の主要な者達が集まっていた。
宮廷魔術師オローギルを始め、妖精女王エルファ、闇の女帝トーラ、トーラの兄グルヌ、騎士隊長ギール、そして騎士隊副隊長クリスがそれぞれ席についている。
(随分と物々《ものもの》しいわね)
「ミリア殿、どうぞこちらへ」
オローギルがテーブルの中央の席を指し示した。
「何か大変なことでもあったの?」
私は腰掛けるとすぐにオローギルに聞いた。
「そうなのです」
深刻な表情のオローギル。
「玉座の間ではないのね」
「はい、まずは皆で情報を共有してからがよろしいかと」
「まあ、そのへんは私が口を出すことではないけれど」
そう言いながら他の者たちを見ると、皆の深刻な表情で私を見ている。
「実は魔王国から書状が届きまして」
「書状?」
「はい、つい先ほど使い魔を送ってよこしたのです」
そう言ってオローギルは目の前に畳んで置いてある書状を、テーブル越しに私へと差し出した。
「魔王から?」
私は書状に手を伸ばしながら言った。
「いえ、魔王側近の宰相ドーガと悪魔卿アスウスの連名です」
「え……?」
(あの人たちが私になんの用?)
訝《いぶか》しく思いながら私は書状を開いた。そこには確かにドーガとアスウスの名が書かれていた。
そして書状にはこう書かれていた。
――勇者ミリア殿
魔王様に異変が起きています。
勇者ミリア殿が来られなくなって以降、魔王様は徐々に口数が減っておられました。
そして昨日からは一切お言葉を発せられなくなりました。
魔王様の異変は魔王国の危機を意味します。
魔王国の危機は王国の危機にも繋がる重大なことと考えます。
どうかすぐにでも魔王様にお会いいただくようお願い致します。
魔王国には、いえ、魔王様には勇者ミリア殿の助けが必要なのです。
魔王国宰相ドーガ
魔王国悪魔卿アスウス――
(湊山くんが……)
この前の武闘競技の時のことを思い出して、背筋にじわりと寒気が走った。
すぐにでも湊山くんの様子を見に行きたかった。
だが、ことは王国の重大事でもある。
私は一呼吸入れて気持ちを落ち着かせた。
「もう中身は分かってるのよね?」
私は皆を見回して言った。
皆が頷く。
「で、率直なところどう思う?」
私はオローギルに聞いた。
私の問いにオローギルは困惑を隠せない顔で私を見ている。
そして言葉を選ぶように話し始めた。
「正直に申せば、私共は今の魔王その人に対しては、それほどの脅威は感じておりません」
オローギルの言葉に他のものも控えめに頷いている。
「ですが、魔王である以上、いつ我が王国に対して牙を向くか分かりません」
他の者たちを見てもオローギルの意見に賛同しているようだ。
(やっぱりそう考えちゃうよね)
湊山くんの前世を知っている私と王国の人たちとは根本的に違うのだ。
かと言って、すぐにでも魔王国と事を構えようなどとは考えてはいないだろう。
むしろ、事を構えないですむように私という勇者がいるのだ。
「魔王国の危機が我が王国の危機、というところがいまひとつわからないんだが」
トーラの兄グルヌが疑問を呈した。
「魔王が乱心すれば王国に全面戦争を仕掛けてくるかもしれないってことだろ?ちょっと考えれば分かるじゃないか」
「あ、そうか」
トーラに言われてバツが悪そうなグルヌ。
「やはり、魔王に異変など起こらないに越したことはありませんわね」
「我々も魔王国の者たちと戦争などしたくないです」
「ええ、せっかくいい関係になってきたんですもの」
エルファとギール、クリスも言葉を継いだ。
「分かったわ。そうしたらまずは私が魔王の様子を見てくる」
私は改めて皆を見て言った。
(うん、大丈夫。湊山くんは私に会えばすぐ元気になるから)
心の片隅にほんの少しだけ覗いていた不安な気持ちを押しやって、私は魔王城へと向かった。
少しずつではあるが、魔王湊山くんも私との接触にも慣れてきたようだ。
私が手を握ったり、体を寄せてくっついたりすると、顔を赤くしたりオロオロしたりはするのは変わらない。
たが、魔力が膨張することはほとんど無くなってきた。
(そろそろ新しい手を考えようかしら)
などと私は意地の悪いことを考えていた。すると、騎士隊長ギールが相談したいことがあるとやってきた。
「我が王国にも闘技場を作ろうと思うのです」
と、私の部屋に入ってくるなりギールが話し始めた。
この前の武闘競技で騎士隊の隊員達に火がついたらしい。
「なので、ミリア様にも色々と相談に乗ってもらいたいのです」
「私の意見なんて参考になるの?」
「勿論です、あなたは勇者ですから!」
(そんなもんなのかな?)
などと思ったがギールの熱心さにほだされて私は了解した。
(湊山くんの訓練はしばらくお休みかな)
闘技場といっても観客席に囲まれた本格的なものを造るには相当な時間がかかる。
なので、とりあえずは適度に広さがある平地を探し、岩や木々などを除く作業から始まった。
(ますます私いらなくね?)
整地作業に勤しむ作業員の方々を見ていると、ただぼうっと見ているだけなのが申し訳なくなる。
だが、ギールに言わせれば、
「ミリア様が見ていてくれると、皆の気合の入り方が違うんですよ!」
ということらしい。
その上、作業の合間合間に私の所に進捗状況を報告に来るのだ。
「大きな岩を三つ取り除きました!」
「闘技場予定地中央にあった巨木を移植しました!」
「闘技場用の川砂を運んでまいりました!」
などなど、別にいちいち私に報告するまでもないだろうということまで知らせに来てくれる。
「そう、ご苦労さま」
と、そのたびに私は笑顔で答えてあげる。
それで皆にやる気が出て作業が捗るなら、勇者としても協力しなければという気持ちになる。
(私も何か手伝おうかな)
やはり見ているだけで何もしないというのは気が引ける。
今は闘技場に砂を撒き終わって、石のローラーで整地をしているところだ。
あれなら私でも手伝えるだろう。
「ねえ、それ、私にやらせてもらえる?」
私は近くでローラーを引いていた女性に声をかけた。
作業には騎士隊副隊長のクリスを始めとする女性の騎士隊員も加わっていた。
「え、でも……」
突然の申し出に女性隊員も戸惑ってしまっているようだ。
「私も何か手伝いたいの、ね?」
そう言いながら私はローラーのバーに手をかけた。
すると、
「ミリア様!」
と、叫びながらクリスが駆け寄ってきた。
「いけません、ミリア様がそのようなことをなさっては!」
「いいのよ、ていうかやらせてほしいの。ね、お願い」
そう言いながら私はクリスの手にそっと手をのせた。
(魔王には効いたけど……)
「はっ……!」
息をのんだクリスの顔が真っ赤になった。
「ミリア様がそこまで仰《おっしゃ》るなら♡」
(よし、効いた!)
これもきっと勇者の能力のひとつなのだろう、多分。
私はローラーのバーを掴んで軽く引いてみた。
(え、軽っ!)
「重くはないですか、ミリア様……?」
クリスが心配そうに聞いてきた。
「全然大丈夫よ」
強がりでも何でもない。片腕でどころか指一本でも引けそうだった。
(勇者の凄さってこういうところなのね)
私は足取りも軽く闘技場をローラーを引いて回った。
そして私が引くところを見ている女性隊員たちに笑顔で手を振った。
全然重くもないし大変でもないのだ、ということを見せるために。
すると、
「「「「きゃぁあああーーーー♡」」」」
と女性隊員たちが黄色い声を上げた。
(え、これも勇者の能力のおかげ?)
「ローラーを引くミリア様のなんて麗しいことでしょう!」
「麗しの勇者様!」
「もう私達、心を鷲掴みにされてしまいましたわ!」
(うわ、なんだか思ってたのと違う状況に……)
そんなことを考えているうちにもどんどんと女性隊員達が集まってきた。
(これはさっさと終わらせたほうがよさそうね)
私は魔力で身体強化をかけ一気にスピードを上げた。
そして、瞬く間に闘技場を一廻りして整地を終えた。
「ふう……」
疲れたわけではなかったが、小さなため息が私の口から出た。
「「「「ミリア様ーーーー♡」」」」
女性隊員達が駆け寄ってきて私に抱きついてきた。
「ちょっ……」
私が女性隊員達にもみくちゃにされていると、
「あなた達、ミリア様から離れなさい!」
クリスか群がる女性隊員達を引っ剥《ぺ》がした。
「ありがとう、クリス……て」
「とっても素敵でしたわ、ミリア様♡」
今度はクリスが私に抱きついて頬をスリスリしてきた。
「えっと、クリス……?」
私が、なんと言えばいいのか分からないでいると、
「ずるいですわ、副隊長!」
「そうですわ、ミリア様を独り占めなんて!」
と、引っ剥がされた女性隊員達がまたもや私とクリスを取り囲んだ。
「ちょっとあなた達、ミリア様が困ってらっしゃるでしょ!」
「副隊長こそ!」
「そうですわ!」
「「「「わーわーぎゃーぎゃー!」」」」
そんなこんなで大騒ぎになったが、とりあえずはその日の作業はなんとか終わった。
その後も整備を進めつつ、合間に試験的に武闘訓練をやったりした。
こうして一週間くらいの間、私は魔王湊山くんに会うことなく過ごした。
(そろそろ会いに行ってみようかな)
などと思い始めたある日のこと、気になる知らせが入った。
「オローギル様がお話したいことがあるとのことです」
メイドのレギナが知らせに来た。
「オローギル?誰それ?」
「宮廷魔術師のオローギル様です」
「ああ、魔法使いじいさんね!」
(結構偉そうな名前なのね、あのじいさん)
などと思いながら、レギナに連れて行かれたのは玉座の間ではなかった。
中央に四角い大きなテーブルが置かれた会議室のようなところだ。
部屋に入ると、既に王国の主要な者達が集まっていた。
宮廷魔術師オローギルを始め、妖精女王エルファ、闇の女帝トーラ、トーラの兄グルヌ、騎士隊長ギール、そして騎士隊副隊長クリスがそれぞれ席についている。
(随分と物々《ものもの》しいわね)
「ミリア殿、どうぞこちらへ」
オローギルがテーブルの中央の席を指し示した。
「何か大変なことでもあったの?」
私は腰掛けるとすぐにオローギルに聞いた。
「そうなのです」
深刻な表情のオローギル。
「玉座の間ではないのね」
「はい、まずは皆で情報を共有してからがよろしいかと」
「まあ、そのへんは私が口を出すことではないけれど」
そう言いながら他の者たちを見ると、皆の深刻な表情で私を見ている。
「実は魔王国から書状が届きまして」
「書状?」
「はい、つい先ほど使い魔を送ってよこしたのです」
そう言ってオローギルは目の前に畳んで置いてある書状を、テーブル越しに私へと差し出した。
「魔王から?」
私は書状に手を伸ばしながら言った。
「いえ、魔王側近の宰相ドーガと悪魔卿アスウスの連名です」
「え……?」
(あの人たちが私になんの用?)
訝《いぶか》しく思いながら私は書状を開いた。そこには確かにドーガとアスウスの名が書かれていた。
そして書状にはこう書かれていた。
――勇者ミリア殿
魔王様に異変が起きています。
勇者ミリア殿が来られなくなって以降、魔王様は徐々に口数が減っておられました。
そして昨日からは一切お言葉を発せられなくなりました。
魔王様の異変は魔王国の危機を意味します。
魔王国の危機は王国の危機にも繋がる重大なことと考えます。
どうかすぐにでも魔王様にお会いいただくようお願い致します。
魔王国には、いえ、魔王様には勇者ミリア殿の助けが必要なのです。
魔王国宰相ドーガ
魔王国悪魔卿アスウス――
(湊山くんが……)
この前の武闘競技の時のことを思い出して、背筋にじわりと寒気が走った。
すぐにでも湊山くんの様子を見に行きたかった。
だが、ことは王国の重大事でもある。
私は一呼吸入れて気持ちを落ち着かせた。
「もう中身は分かってるのよね?」
私は皆を見回して言った。
皆が頷く。
「で、率直なところどう思う?」
私はオローギルに聞いた。
私の問いにオローギルは困惑を隠せない顔で私を見ている。
そして言葉を選ぶように話し始めた。
「正直に申せば、私共は今の魔王その人に対しては、それほどの脅威は感じておりません」
オローギルの言葉に他のものも控えめに頷いている。
「ですが、魔王である以上、いつ我が王国に対して牙を向くか分かりません」
他の者たちを見てもオローギルの意見に賛同しているようだ。
(やっぱりそう考えちゃうよね)
湊山くんの前世を知っている私と王国の人たちとは根本的に違うのだ。
かと言って、すぐにでも魔王国と事を構えようなどとは考えてはいないだろう。
むしろ、事を構えないですむように私という勇者がいるのだ。
「魔王国の危機が我が王国の危機、というところがいまひとつわからないんだが」
トーラの兄グルヌが疑問を呈した。
「魔王が乱心すれば王国に全面戦争を仕掛けてくるかもしれないってことだろ?ちょっと考えれば分かるじゃないか」
「あ、そうか」
トーラに言われてバツが悪そうなグルヌ。
「やはり、魔王に異変など起こらないに越したことはありませんわね」
「我々も魔王国の者たちと戦争などしたくないです」
「ええ、せっかくいい関係になってきたんですもの」
エルファとギール、クリスも言葉を継いだ。
「分かったわ。そうしたらまずは私が魔王の様子を見てくる」
私は改めて皆を見て言った。
(うん、大丈夫。湊山くんは私に会えばすぐ元気になるから)
心の片隅にほんの少しだけ覗いていた不安な気持ちを押しやって、私は魔王城へと向かった。
0
あなたにおすすめの小説
転生したら遊び人だったが遊ばず修行をしていたら何故か最強の遊び人になっていた
ぐうのすけ
ファンタジー
カクヨムで先行投稿中。
遊戯遊太(25)は会社帰りにふらっとゲームセンターに入った。昔遊んだユーフォーキャッチャーを見つめながらつぶやく。
「遊んで暮らしたい」その瞬間に頭に声が響き時間が止まる。
「異世界転生に興味はありますか?」
こうして遊太は異世界転生を選択する。
異世界に転生すると最弱と言われるジョブ、遊び人に転生していた。
「最弱なんだから努力は必要だよな!」
こうして雄太は修行を開始するのだが……
痩せる為に不人気のゴブリン狩りを始めたら人生が変わりすぎた件~痩せたらお金もハーレムも色々手に入りました~
ぐうのすけ
ファンタジー
主人公(太田太志)は高校デビューと同時に体重130キロに到達した。
食事制限とハザマ(ダンジョン)ダイエットを勧めれるが、太志は食事制限を後回しにし、ハザマダイエットを開始する。
最初は甘えていた大志だったが、人とのかかわりによって徐々に考えや行動を変えていく。
それによりスキルや人間関係が変化していき、ヒロインとの関係も変わっていくのだった。
※最初は成長メインで描かれますが、徐々にヒロインの展開が多めになっていく……予定です。
カクヨムで先行投稿中!
『ミッドナイトマート 〜異世界コンビニ、ただいま営業中〜』
KAORUwithAI
ファンタジー
深夜0時——街角の小さなコンビニ「ミッドナイトマート」は、異世界と繋がる扉を開く。
日中は普通の客でにぎわう店も、深夜を回ると鎧を着た騎士、魔族の姫、ドラゴンの化身、空飛ぶ商人など、“この世界の住人ではない者たち”が静かにレジへと並び始める。
アルバイト店員・斉藤レンは、バイト先が異世界と繋がっていることに戸惑いながらも、今日もレジに立つ。
「袋いりますか?」「ポイントカードお持ちですか?」——そう、それは異世界相手でも変わらない日常業務。
貯まるのは「ミッドナイトポイントカード(通称ナイポ)」。
集まるのは、どこか訳ありで、ちょっと不器用な異世界の住人たち。
そして、商品一つひとつに込められる、ささやかで温かな物語。
これは、世界の境界を越えて心を繋ぐ、コンビニ接客ファンタジー。
今夜は、どんなお客様が来店されるのでしょう?
※異世界食堂や異世界居酒屋「のぶ」とは
似て非なる物として見て下さい
詠唱? それ、気合を入れるためのおまじないですよね? ~勘違い貴族の規格外魔法譚~
Gaku
ファンタジー
「次の人生は、自由に走り回れる丈夫な体が欲しい」
病室で短い生涯を終えた僕、ガクの切実な願いは、神様のちょっとした(?)サービスで、とんでもなく盛大な形で叶えられた。
気がつけば、そこは剣と魔法が息づく異世界。貴族の三男として、念願の健康な体と、ついでに規格外の魔力を手に入れていた!
これでようやく、平和で自堕落なスローライフが送れる――はずだった。
だが、僕には一つ、致命的な欠点があった。それは、この世界の魔法に関する常識が、綺麗さっぱりゼロだったこと。
皆が必死に唱える「詠唱」を、僕は「気合を入れるためのおまじない」だと勘違い。僕の魔法理論は、いつだって「体内のエネルギーを、ぐわーっと集めて、どーん!」。
その結果、
うっかり放った火の玉で、屋敷の壁に風穴を開けてしまう。
慌てて土魔法で修復すれば、なぜか元の壁より遥かに豪華絢爛な『匠の壁』が爆誕し、屋敷の新たな観光名所に。
「友達が欲しいな」と軽い気持ちで召喚魔法を使えば、天変地異の末に伝説の魔獣フェンリル(ただし、手のひらサイズの超絶可愛い子犬)を呼び出してしまう始末。
僕はただ、健康な体でのんびり暮らしたいだけなのに!
行く先々で無自覚に「やりすぎ」てしまい、気づけば周囲からは「無詠唱の暴君」「歩く災害」など、実に不名誉なあだ名で呼ばれるようになっていた……。
そんな僕が、ついに魔法学園へ入学!
当然のように入学試験では的を“消滅”させて試験官を絶句させ、「関わってはいけないヤバい奴」として輝かしい孤立生活をスタート!
しかし、そんな規格外な僕に興味を持つ、二人の変わり者が現れた。
魔法の真理を探求する理論オタクの「レオ」と、強者との戦いを求める猪突猛進な武闘派女子の「アンナ」。
この二人との出会いが、モノクロだった僕の世界を、一気に鮮やかな色に変えていく――!
勘違いと無自覚チートで、知らず知らずのうちに世界を震撼させる!
腹筋崩壊のドタバタコメディを軸に、個性的な仲間たちとの友情、そして、世界の謎に迫る大冒険が、今、始まる!
異世界翻訳者の想定外な日々 ~静かに読書生活を送る筈が何故か家がハーレム化し金持ちになったあげく黒覆面の最強怪傑となってしまった~
於田縫紀
ファンタジー
図書館の奥である本に出合った時、俺は思い出す。『そうだ、俺はかつて日本人だった』と。
その本をつい翻訳してしまった事がきっかけで俺の人生設計は狂い始める。気がつけば美少女3人に囲まれつつ仕事に追われる毎日。そして時々俺は悩む。本当に俺はこんな暮らしをしてていいのだろうかと。ハーレム状態なのだろうか。単に便利に使われているだけなのだろうかと。
気づいたら美少女ゲーの悪役令息に転生していたのでサブヒロインを救うのに人生を賭けることにした
高坂ナツキ
ファンタジー
衝撃を受けた途端、俺は美少女ゲームの中ボス悪役令息に転生していた!?
これは、自分が制作にかかわっていた美少女ゲームの中ボス悪役令息に転生した主人公が、報われないサブヒロインを救うために人生を賭ける話。
日常あり、恋愛あり、ダンジョンあり、戦闘あり、料理ありの何でもありの話となっています。
レベルアップは異世界がおすすめ!
まったりー
ファンタジー
レベルの上がらない世界にダンジョンが出現し、誰もが装備や技術を鍛えて攻略していました。
そんな中、異世界ではレベルが上がることを記憶で知っていた主人公は、手芸スキルと言う生産スキルで異世界に行ける手段を作り、自分たちだけレベルを上げてダンジョンに挑むお話です。
異世界転生、防御特化能力で彼女たちを英雄にしようと思ったが、そんな彼女たちには俺が英雄のようだ。
Mです。
ファンタジー
異世界学園バトル。
現世で惨めなサラリーマンをしていた……
そんな会社からの帰り道、「転生屋」という見慣れない怪しげな店を見つける。
その転生屋で新たな世界で生きる為の能力を受け取る。
それを自由イメージして良いと言われた為、せめて、新しい世界では苦しまないようにと防御に突出した能力をイメージする。
目を覚ますと見知らぬ世界に居て……学生くらいの年齢に若返っていて……
現実か夢かわからなくて……そんな世界で出会うヒロイン達に……
特殊な能力が当然のように存在するその世界で……
自分の存在も、手に入れた能力も……異世界に来たって俺の人生はそんなもん。
俺は俺の出来ること……
彼女たちを守り……そして俺はその能力を駆使して彼女たちを英雄にする。
だけど、そんな彼女たちにとっては俺が英雄のようだ……。
※※多少意識はしていますが、主人公最強で無双はなく、普通に苦戦します……流行ではないのは承知ですが、登場人物の個性を持たせるためそのキャラの物語(エピソード)や回想のような場面が多いです……後一応理由はありますが、主人公の年上に対する態度がなってません……、後、私(さくしゃ)の変な癖で「……」が凄く多いです。その変ご了承の上で楽しんで頂けると……Mです。の本望です(どうでもいいですよね…)※※
※※楽しかった……続きが気になると思って頂けた場合、お気に入り登録……このエピソード好みだなとか思ったらコメントを貰えたりすると軽い絶頂を覚えるくらいには喜びます……メンタル弱めなので、誹謗中傷てきなものには怯えていますが、気軽に頂けると嬉しいです。※※
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる