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第1章 呼び合う魂
5. 魂の歓喜 (レイ)
しおりを挟む時々君は、遠くを見ている。
何を怖がっているのか?
私では、その不安を取り除くことはできないのだろうか?
尋ねると、君はいつも「何でもないよ」と言う。
でも気付いてる?
抱きしめるその体が、ずっと震えていることに。
私がずっと側にいるから。
震えが止むまで、君の不安がなくなるまで、ずっと抱きしめていてあげるから。
何があっても、離さないから。
・・・だから、お願いだ。
ずっと笑ってそばにいて。
君を必ず幸せにしてみせるから。
毎年のように、広場には王宮専属魔導士たちと王宮騎士団たちが隊をつくって並んでいる。
王宮騎士団は、第一師団から第十師団まであり、戦がない今の時期にこうして全部が集まるとさすがに圧巻といってもいい具合に、広場が埋まる。
みんな、それぞれに武器を持ち、見るからに屈強そうな者たちがぞろぞろといる。
今は他国との戦もなく、日々町の治安と魔獣などの討伐に力をふるっているが、いざ戦になった時には勇猛果敢に、持ち得る最大の力でもってこの国を守る精鋭たちである。
一方、王宮専属魔導士たちは騎士団に比べて人数も少なく、もともと師団などの部隊もなく、
一応団長と呼ばれるトップと副団長のツートップでまとめられている団体だ。
一見バラバラな雰囲気だが、人数が少ない彼らは結束力が強く、特に部隊をつくらなくても団長と副団長の一声で全てが迅速に行動する。
一人一人の能力も高く、そのなかでも魔力の高い者は騎士団の一師団を一人で相手にできるとか・・・。
実際は、いつも騎士団のフォローやケアなどをしている彼らだが、敵には回したくない相手であるのは間違いない。
そんな魔導士たちと騎士たちは、通常の業務でも何かと一緒に行動することも多く、毎年この時期には魔導士と騎士、共に新人を紹介し、コミュニケーションをはかる場としての顔合わせは、ここ数年の公式行事になっている。
とはいえ、王の前ではすでに新人たちも紹介が済んでいるので、あくまでこれは魔導士たちと騎士団だけのコミュニケーションを兼ねた顔合わせの会となっているのである。
そんな中で、それぞれが新人を紹介するのだが、まずは今年の魔導士の新人5人が団長の指示で前に出て来て、通例になっている魔導士副団長によって紹介が始まろうとしていた。
俺は、師団長として次に騎士団の新人たちを紹介するため、一歩前へ出た。
・・・その瞬間。
“ドクンッ”
鼓動がはねる。
(・・・!?何だ?)
“ドクンッ”
“ドクンッ”
心がざわつく。
(まさか・・・?!)
俺は、新人魔導士たちの方を凝視する。
そして、一番奥に立っていた青年が顔をこちらに向けたその瞬間・・・。
心が、魂が、悲鳴をあげた。
歓喜の悲鳴だ。
(ユーリ!!!)
そこには、物心ついた時から求めていた唯一の存在がいた。彼もこちらを見て少し驚いた様子だったがすぐに視線を外した。
俺は、あまりの衝撃に一瞬立ち竦んだが、今の自分の立ち位置を思い出し、心を鎮めるよう努力した。
おそらく、ここが公けの場でなく、彼と二人きりであったならば、俺は彼を脇目もふらずに抱きしめていたに違いない。
(あぁ、ようやく見つけた・・・)
俺は魔導士たちや騎士団の紹介をしている最中、意識を彼に向けながらも、なんとか顔合わせを最後まで無事に終わらせたのだが、まだ出会えた瞬間の衝撃が強すぎて心が落ちつかなかった。
紹介された彼の名は、ユーリィ・ブランシュ。
彼とすぐにでも話をしたかったが、この後魔導士団長たちと大事な打ち合わせが入っていたので、後ろ髪引かれながらも俺はその場を後にした。
(ついに。ついに見つけた・・・。
居場所はわかっているんだ。あせることはない)
落ちつかない心の中で、自問自答した。
(彼は俺のことを覚えているだろうか?普通、前世の記憶などないのが当たり前だが。
・・・いや、覚えていなくてもかまわない。俺が彼を覚えているんだ。もう一度、彼のそばに行き、彼に認めてもらい、今度こそ彼を守ってみせる!)
俺は新たに心に誓い、魔導士団長たちの待つ会議室へと足を進めて行った。
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