いつぞやの者です

Beckham

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一説 どこかで

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「なぁ、今度コンビニ行かね?」
スマホにLINE#ライン#の通知が来た。
幼なじみの霧矢#きりや#だ。
「無理」
そう返して閉じた。
俺はやる気が起きない。
だから出歩く気もない。
めんどくさい、ただそれだけ。
小学校とかはバカしてたし、中学は不良、高校は普通に過ごして恋愛もした。
でも、両親と兄妹は事故で死亡。遺体も見た。
それっきりだった。
どうでもよかった。
どうにでもなれって思った。
だからやる気が起きない。そんなこんなで俺は29歳。独身で仕事もまともに就いていない。生活保護で生きていくのがやっと。でもこれでいいと思っている。俺が出るだけ邪魔だろうし。
「えー、だったらお前ん家行くわ。」
なんでこのタイミングで来るんだよ。来んな。
「来なくていい。めんどくさい。」
「嫌だ、今日こそお前を家から出てやる。」
なんなんだこいつ。だるくて仕方がない。
「支度するか………」
ピンポーン
きやがった。まじかよ。
「なんだよ。」
「支度済ませてるじゃん、ツンデレだなぁ。」
「うるせぇよ、さっさと行くぞ。」
どこに行くかも分からない中、とりあえずついて行く。
そういえば、霧矢について何も話してなかったな。こいつは、IT企業の社長のくせに暇を持て余してるバカ。そのくせ顔はそれなりに良いし、金もあるから女は寄ってたかって集まる。嫌なやつだ。
「社員見てやれよ。」
「いいんだよ、勝手に働いてくれるし。」
無責任。これが一番こいつにあっているだろう。
そんなこんなで着いたのはやはり学校。しかも2人ともでた高校だった。嫌な思い出しかないのになんでここに連れてくるんだろうか。今でも泣きたくなるよ。
「紹介したい人がいるんだ。」
何そのテンプレ。迷惑極まりないんだけど。
「あの、初めまして。」
女性の声、でもなんか聞いたことある。
「は…初めまして。」
向こうも気づいたらしい。目を細めてこっちを見る。舐めまわすように見てきて少し戸惑ったがこっちも同じことをしていた。
「あの、あなたどこかで……」
「そ、そうですかね?」
普段以上に緊張する。ただでさえ女性と話すのは3年振りくらいなのに、見たことあるから尚更だ。
「なんで気づかないんだよw」
あーくそ、最悪だ。こいつは、空気が読めない。読めなさすぎる。
「この人は笠原楓#かざはらかえで#だよ。覚えてない?高校の時にお前が興味あるって言った子。」
何年前だよ。覚えてるわけないやん。馬鹿だわ。
「あーえっとね、こいつが阿佐美隼#あざみしゅん#で、俺の幼なじみ。仲良くしてやってくれ。」
満面の笑み。殴ってやりたい。
「そうなのね、よろしくね隼さん。」
「あ、はい。よろしくお願いします……」
乗り気じゃない外出でこんなことされるのかよ。あいつ絶対に恨むわ。末代までだ。
「でさ、お願いがあるんだけど……」
こいつ次はなに話す気?内容次第じゃ黙ってないぞ。
「こいつの社会復帰を手伝ってくんね?俺じゃこいつウザがって動かないからさ。」
こいつ何言い出すかと思ったら社会復帰だぁ?余計なお世話だよ。何もしたくないから縮こまって部屋にこもってたのに。
「え、もしかして前科持ち?」
「いや違う!」
しまった。つい突っ込んでしまった。やばい。
「あ、すいま……」
「フフっ、あなたツッコミキャラなのね。」
えっ?受け入れてる?すご。この人まじで包容力凄いんだけど。尊敬に値するわ。そりゃ過去の俺でも気になるよ。
「わかりました。引き受けます。その代わり、隼さんの家におじゃまさせてもらいます。」
へ?
「えぇぇぇぇぇぇぇ!!!???」
なぜ?なぜなの?なぜそういう考えに至るんだ?え?えぇ!?
「えっ、あの、えっ、なんで!?」
「フフっ、やっぱり動揺してる。」
そりゃぁ同様もするでしょうよ。
「家事は私が基本しますから、隼さんは働いてください。」
いやハードル高いところにいきなり突っ込ませるってどういうお考えで?僕また退職しますよ?
「お、進みそうだね、じゃぁ後はよろしく~。」
お前はどこへ行く気だ!逃げんじゃねぇよ!
「では隼さん、家まで案内してください。」
えぇ……
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