おさがり彼氏〜おさがりして良いのはモノだけじゃない?!〜

晴屋想華

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遭遇

「一ノ瀬、ありがとう。もう、大丈夫だよ」
「あ、ご、ごめん」
「ありがとね」
「おう」

 一ノ瀬が家まで送ると言ってくれたので、お言葉に甘えることにした。
 一ノ瀬が来てくれて、本当に良かった。もし、あのまま付いていってたらと思うと、恐怖で怯えそうになる。

 駅へ向かいながら歩いていると、なんだか見覚えのある人物を発見してしまった。それも、天地がひっくり返るような光景だった。

「はると、何欲しい?お父さんがなんでも買ってやるぞ」
「ほんとー?じゃあこのロボットが欲しい!」

 それは、家族と一緒に歩いている秋元さんだった。正直、やっぱりそういうことだったかと思う反面、強い怒りが込み上げてきた。

「森川、俺、もう我慢できねー」
「ちょ、一ノ瀬待って!ここで出ていくのは良くないわ!」
「なんでだよ!あいつ、鳳蝶さんを裏切ったやつだぞ?」
「それは分かってるし、殴りたくなる気持ちも分かる。でも、仮にもあちらには罪もない奥さんと息子さんがいる。ここは我慢よ」

 一ノ瀬を落ち着かせ、秋元さんと家族を追ってからしばらくすると、秋元さんと家族がお別れをして、別々の方向へと帰っていった。やはり、秋元さんは単身赴任中ということか。単身赴任中に不倫だなんて、本当に最低な男。

 秋元さんが1人になった瞬間、私はもう飛び出していた。一ノ瀬が一歩前へ出る前に。

「秋元さん!」
「……?あ!鳳蝶ちゃんの妹さんだね。緑ちゃんだったかな?それと……」
「一ノ瀬だ」
「あ、一ノ瀬くんか。どうしたの?この辺で会うなんて初めてだね」
「はい。あなたの後をつけてました」
「え?」
「だから、全部見てましたので、弁解はいりません」
「……」
「お姉ちゃんの前から消えてください」
「俺は、鳳蝶ちゃんのことが真剣に好きなんだ」
「は?この後に及んであんた何言ってんだよ。舐めてんじゃねーよ」
「そんなつもりはない」
「お姉ちゃんは、何も知らないで、あなたのことだけを想っているんですよ。それをあなたは裏切っている」
「そうだね。鳳蝶を騙していた期間は、本当に心苦しかったし、別れようともした。でも、できなかったんだ。だから、家族がいることは鳳蝶に先日話したんだ」
「え……?お姉ちゃんは知ってるんですか?!」
「ああ」
「でも、あなたはご家族を捨てることなんてできないですよね?」
「……実はね」

 秋元さんは姉に話した内容を私たち2人にも話し出した。奥さんが先に不倫していて、そんなときにお姉ちゃんと出会った。





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