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領主と導師ー①
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「その話、間違いないか。診断ミスでは済まされんぞ」
「ああ確かだ」
「‥…そうか。間違いないのだな」
「‥‥‥‥」
俺は今、昔馴染の友と話をしている。主題はクソガキの呪いだ。
今回の事件は不可解な点が多く他人に話すのが憚られるが、こいつは唯一の友であり、この地の領主でもある。どの道話すしかない。
協力して貰わねばクソガキを隠す事が出来ない。俺はこいつも巻き込むと決めた。領主の立場であれば自領の出来事、把握しておかねば後々後悔するだろう。万が一、何かが起こった時に知らなかったでは済まされないからな。
呪術に関する話は避けられないか‥…
一般人には忌避される話だがこいつは‥…大丈夫だろうか。
俺は掻い摘んでクソガキの測定日から今日までの話をした。友は何時も穏やかな表情を崩すことのない男なんだが、今回は流石に貼り付けた笑顔が崩れたか。
ふん、ざまあみろ。
「大体の話は分かった。まだ容疑者も使用された道具も発見されていないか。お前の手に残ったのは‥‥その呪いを受けた幼子とは‥‥何と痛ましい」
「まあそういう事だ」
「で、その子供を弟子としてどうするのだ。それにまだ幼子。お前に子育てが出来るのか?」
「あー俺は子育てしたことないが、ガキなんぞ飯食わせとけば勝手に育つさ。まあ手に余ったら懇意の女に育てさせ「馬鹿者!」‥…ってなんだよ」
「仮にも弟子として引き取ったのなら責任を持て! 相変わら無責任な奴だ」
「ちっ、お前は真面目過ぎんだよ。あのガキはちょっと風変わりでな。見てくれは幼児のソレだが‥‥なんつーか、大人びた喋りをするし会話も充分成り立つ。まるで成人を終えた、そう思わせるぐらいにしっかりしたガキだ。あれは食べ物さえ食べさせときゃ勝手に育つぞ」
「まだ言うか、呆れた奴め。はぁ…お前に引き取られた子供が不運だったと思うべきか。‥…わかった、ここに滞在中は子供の面倒も見よう。このままでは余りにも不憫過ぎる」
「ああ頼む。流石は領主様だ。面倒見が良くて助かるわ~」
「馬鹿者! 何時までもふざけおって」
注がれた酒を飲み交わし、俺はこの先話を進めていいものか頭を巡らす。
‥‥こいつの古傷に影響が出なければいいが。
俺の心配を余所に友との会話は続き愈々呪術に関する話となる。
「その幼子はどんな子だ? 確か女児であったな?」
「ああ、不可解な子供だ。何もかもちぐはぐで。身体の大きさに反して魔力量が桁違いだ。どうすりゃあんな子供が生まれるのかわかりゃしねえ。そんな子供の身体に呪術だ。あのまま何事も無く成長出来ればいいが、場合によっちゃあガキ自体が呪術具となる‥‥」
「お、おい‥‥何を言っている? 子供が呪術具? 何を馬鹿なこと…」
「お前が驚くのも無理はないが実際あったんだよ。非公式の話だから知らないのも無理はない。これは禁術の一つで厄災の特級とされる代物でな。中々お目に掛かれないぜ」
「‥‥何故そのようなモノがこの領地で‥‥しかも幼子の身に?」
「それは‥‥俺が知りたい。でもまあ強いて言えばあの魔力量か?」
「それほど‥‥か。恐ろしい子供なのだな」
「ああ。だからお前に‥‥お前の助けがいる」
「‥‥‥‥」
無言か。こいつは断らないと踏んだんだが‥…
「ふぅ‥…わかった、助けよう。その代わり呪術に付いて詳しく述べてくれ。私にはそっちの知識がないのでな」
「そりゃないだろう、呪術は禁術だ。おいそれと知識は与えれねえよ。‥…お前、痛いとこ突いてくんじゃねえ」
「はは、私を巻き込むのだろう? ならば駄賃替わりだ。話せる範囲で構わんぞ。申せ」
「はぁ、詳しくは俺も知らん。公式の見解でしか話せんがいいか?」
「それでよい。私は公式も知らぬからな」
「‥…世間一般はそうだろうよ。呪術の発端は言霊信仰の類だと言われている。恐らく初期は魔獣除けや災いを祓うために行われていたんだろう。何時からかは知らんが人相手に恨みを晴らす目的で使われたのが呪いの始めだ。それが変異して災いを齎す厄災規模に発展したのだ」
「なんと‥…」
「考えて見れば恐ろし話だと思わんか。個人の恨みを晴らす目的で作られた呪術が気が付けば国を亡ぼす災いになったのだ。数百年前の大戦で呪術師が暗躍した諸説もあるぞ。‥…そう言えば呪術で滅んだ王国があったな」
「呪術でか? 知らんぞ」
「あー、公式では違ったか。公式は王族の血筋が途絶えたため乗っ取られ結局は滅んだ国と語られていたか」
「そうか。だが滅んだ国が多くてどの国の事だかわからぬ。しかし滅しった理由が呪いだとは。間違いないのか? お前、私を騙そうとしていないだろうな」
「馬鹿言え。何が楽しゅうてお前を騙すんだ。俺達導師の間では有名な話だったんだがな。まあいい。お前には耳の痛い話で悪いな。確か事の起こりは王太子が女絡みの呪いを受け死んだ。その後国に災いが生じたんだ」
「‥‥‥確かに耳が痛い。それは‥‥よくある話なのか?」
「どうかな。呪う理由の大半は痴情の縺れや私情絡みだ。今まであったとしてもおかしくはないだろう。ただ特級レベルの大規模となると稀な話だ」
「ああ確かだ」
「‥…そうか。間違いないのだな」
「‥‥‥‥」
俺は今、昔馴染の友と話をしている。主題はクソガキの呪いだ。
今回の事件は不可解な点が多く他人に話すのが憚られるが、こいつは唯一の友であり、この地の領主でもある。どの道話すしかない。
協力して貰わねばクソガキを隠す事が出来ない。俺はこいつも巻き込むと決めた。領主の立場であれば自領の出来事、把握しておかねば後々後悔するだろう。万が一、何かが起こった時に知らなかったでは済まされないからな。
呪術に関する話は避けられないか‥…
一般人には忌避される話だがこいつは‥…大丈夫だろうか。
俺は掻い摘んでクソガキの測定日から今日までの話をした。友は何時も穏やかな表情を崩すことのない男なんだが、今回は流石に貼り付けた笑顔が崩れたか。
ふん、ざまあみろ。
「大体の話は分かった。まだ容疑者も使用された道具も発見されていないか。お前の手に残ったのは‥‥その呪いを受けた幼子とは‥‥何と痛ましい」
「まあそういう事だ」
「で、その子供を弟子としてどうするのだ。それにまだ幼子。お前に子育てが出来るのか?」
「あー俺は子育てしたことないが、ガキなんぞ飯食わせとけば勝手に育つさ。まあ手に余ったら懇意の女に育てさせ「馬鹿者!」‥…ってなんだよ」
「仮にも弟子として引き取ったのなら責任を持て! 相変わら無責任な奴だ」
「ちっ、お前は真面目過ぎんだよ。あのガキはちょっと風変わりでな。見てくれは幼児のソレだが‥‥なんつーか、大人びた喋りをするし会話も充分成り立つ。まるで成人を終えた、そう思わせるぐらいにしっかりしたガキだ。あれは食べ物さえ食べさせときゃ勝手に育つぞ」
「まだ言うか、呆れた奴め。はぁ…お前に引き取られた子供が不運だったと思うべきか。‥…わかった、ここに滞在中は子供の面倒も見よう。このままでは余りにも不憫過ぎる」
「ああ頼む。流石は領主様だ。面倒見が良くて助かるわ~」
「馬鹿者! 何時までもふざけおって」
注がれた酒を飲み交わし、俺はこの先話を進めていいものか頭を巡らす。
‥‥こいつの古傷に影響が出なければいいが。
俺の心配を余所に友との会話は続き愈々呪術に関する話となる。
「その幼子はどんな子だ? 確か女児であったな?」
「ああ、不可解な子供だ。何もかもちぐはぐで。身体の大きさに反して魔力量が桁違いだ。どうすりゃあんな子供が生まれるのかわかりゃしねえ。そんな子供の身体に呪術だ。あのまま何事も無く成長出来ればいいが、場合によっちゃあガキ自体が呪術具となる‥‥」
「お、おい‥‥何を言っている? 子供が呪術具? 何を馬鹿なこと…」
「お前が驚くのも無理はないが実際あったんだよ。非公式の話だから知らないのも無理はない。これは禁術の一つで厄災の特級とされる代物でな。中々お目に掛かれないぜ」
「‥‥何故そのようなモノがこの領地で‥‥しかも幼子の身に?」
「それは‥‥俺が知りたい。でもまあ強いて言えばあの魔力量か?」
「それほど‥‥か。恐ろしい子供なのだな」
「ああ。だからお前に‥‥お前の助けがいる」
「‥‥‥‥」
無言か。こいつは断らないと踏んだんだが‥…
「ふぅ‥…わかった、助けよう。その代わり呪術に付いて詳しく述べてくれ。私にはそっちの知識がないのでな」
「そりゃないだろう、呪術は禁術だ。おいそれと知識は与えれねえよ。‥…お前、痛いとこ突いてくんじゃねえ」
「はは、私を巻き込むのだろう? ならば駄賃替わりだ。話せる範囲で構わんぞ。申せ」
「はぁ、詳しくは俺も知らん。公式の見解でしか話せんがいいか?」
「それでよい。私は公式も知らぬからな」
「‥…世間一般はそうだろうよ。呪術の発端は言霊信仰の類だと言われている。恐らく初期は魔獣除けや災いを祓うために行われていたんだろう。何時からかは知らんが人相手に恨みを晴らす目的で使われたのが呪いの始めだ。それが変異して災いを齎す厄災規模に発展したのだ」
「なんと‥…」
「考えて見れば恐ろし話だと思わんか。個人の恨みを晴らす目的で作られた呪術が気が付けば国を亡ぼす災いになったのだ。数百年前の大戦で呪術師が暗躍した諸説もあるぞ。‥…そう言えば呪術で滅んだ王国があったな」
「呪術でか? 知らんぞ」
「あー、公式では違ったか。公式は王族の血筋が途絶えたため乗っ取られ結局は滅んだ国と語られていたか」
「そうか。だが滅んだ国が多くてどの国の事だかわからぬ。しかし滅しった理由が呪いだとは。間違いないのか? お前、私を騙そうとしていないだろうな」
「馬鹿言え。何が楽しゅうてお前を騙すんだ。俺達導師の間では有名な話だったんだがな。まあいい。お前には耳の痛い話で悪いな。確か事の起こりは王太子が女絡みの呪いを受け死んだ。その後国に災いが生じたんだ」
「‥‥‥確かに耳が痛い。それは‥‥よくある話なのか?」
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