目が覚めたら奇妙な同居生活が始まりました。気にしたら負けなのでこのまま生きます。

kei

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異界ー2

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「この場所は…‥俺の生まれ故郷に似ている」
「…そうか」

お互い呟くような小声ではちびっ子アイナには届かないのだがそれに気付かない二人は黄昏たまま。アイナにしてみれば聞こえなかった会話よりも今目の前で起こった怪奇現象?を是非とも共有したい気持ちで溢れている。そう、一人よりも三人で分かち合いたいのだ。だから遠慮はしない。

「あれ~この建物、サイズ的におかしくないですか?」
「「……」」

お前いたの?みたいな視線を向けられたアイナは、グッと詰まる。二人のしんみりムードに水を差した自覚はある、あるけれど。
これは口で説明するより見せた方が早いかと思い直す。

「ほら、よーく見てください。奥行きがあるんです!」

ものすごーく嫌そうな顔をした髭オジと訝しむクルクカーンをせっついて内部に入った。

「は? これは…どういうことだ?」
「あ…れ? こんな部屋でしたっけ?」(何か変だよね?)

先に入ったクルクカーンは驚きで硬直し、アイナも自分の記憶と照らし合わせてどうだったか頭を傾げる。
後から入ってきたラグザスは、何かに気づいたか警戒心露わに二人を守ろうと前に出た。彼にしてみればクルクカーンとアイナは守る対象なのだ。

「…お前ら俺の傍を離れるなよ。それと騒ぐな。…どうやら俺達は招かれたみたいだぞ」

ゴクリと嚥下の音が聞こえる。クルクカーンだろう。ラグザスはこの事態に思う事があるのか音量を抑えた声音で二人に注意した。だがアイナは招かれた発言を聞き漏らさなかった。

「あ…オジサ…師匠のお知り合いのお家ですか? もしかしてカラクリ屋敷ですか? すごい、私初めて見ました! 手が込んでますねー。大がかりじゃないですか! へーどういう仕組みなんだろ?」
「クソガキィィ今すぐその口を閉ざせ。出なければお前の口に物を突っ込むぞ」

(うひゃ、怒られた)

低い怒りの沸点の髭オジに大人げないなーとアイナは両手を口に当てお口チャックの仕草で肩を竦める。その様を見たラグザスが内心で呑気でアホな幼女を本気で猿轡してやろうかと苛立っているなど思いもしないで、アイナは隈なく周囲を見渡し、目覚めた場所がどこだったかな? と意外と冷静だ。

「おい、ラグザス。このように変化できるものなのか? …一度、建物から出た方がよくはないか?」
「…いや様子を見た方がいい」

この場の異常性に緊張する二人は気付いていないのかと、アイナはちろりと上目遣いでラグザスを見る。お口チャック中なのだ、目で語ろうとアイナは視線で訴える。

「…何だ? クソガキ。言いたいことがあるのか? お前、ふざけたことぬかせばその口縫うぞ」
「おい、ラグザス。そのような幼子にきつい物言いをするではない。アイナよ、構わぬ、話しなさい」
「あ、お許しでたので。私たちが入ってきた入口は消えてます。壁になってます。ここから移動するならあっちに向かうしかないみたいですよ」

そういってアイナは視線の先にある扉を指さす。入ってきた入口とは違う扉なのは誰が見ても明白。このままここに留まるのがいいのかいつの間にか現れた扉の先に向かうのがいいのか。判断は…

(んー、こういうの何だっけ? 小瓶の液体飲んで体が小っちゃくなって、お茶会に誘われて時計を持ったウサギが走ってる物語)

「ラグザス、お前さきほど口にしていたな…あれは」
「…ああ、転移の前に見た。嘆きの女神が招いた…実は導師の間で語られる伝承があるんだ。神話の時代、神々の争いが起こり世界が分断された…」

(え? 唐突に語り出したよこの人)

アイナはギョッと目を瞬き、思わずといった感じでラグザスを見た。

(壊れちゃった?)

この人、ヤバい人だったかと顔が引きつるアイナ。同調するかのように聞き入るクルクカーンを見上げて溜息がこぼれた。

(私がしっかりしないと!)

アイナは無事元の場所に戻るためには自分が頑張るしかないと。そう決意した。

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