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異世界転生して無双するはずだったのに
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トラックが突っ込んでくる。俺の地球の人生はそこで終わった。
「何であなた死んでるんですか?」
「俺が聞きたいんですがね?」
目が覚めたら目の前にふざけた質問をする女がいた。後光を纏い、天女のような姿をしておりまるで神様のようだ。
「ええ。神様です。春川雄太、あなたがふざけたタイミングで死んだせいで運命神から怒られた神様ですよ。アルカとでも呼んでください。」
「意外と気安いね?それでアルカ……死んだ?俺は死んだのか?」
何度も確認する雄太の言葉に面倒くさそうに肯定するアルカ。一度目は穏やかな視線をしていたあたり、仕事だからやっているような風にも見えた。
「死にましたよ。ここは死んだあとの魂の世界です」
「運がないな……」
はぁと溜息をつくも、ならばどうしてこんなところにいるのかと疑問に思う。死んだ後なら輪廻転生だったかで次の生に移るのではないのだろうか?
疑問に答えるようにアルカから答えが出された。
「あなたには二つの選択肢があります。一つはこのまま消えて輪廻転生に戻ること。もう一つは別の世界の輪廻に移動し転生すること」
「後者はどういう」
「あなたに分かりやすくいうならチート貰って異世界転生ってやつですね」
「じゃあそっちで」
もちろんそっちだ。というか分かりやすいもいいところだ。地球では異世界転生してチートなんて小説が跋扈している。その当事者になれるっていうのなら、なる以外の選択肢なんてない。
「チートはここから選んでください」
「なんか一杯あるな」
ファンタジー世界に転生するのか、魔法や魔法武術といったところまで網羅されている。所謂スキルというやつだ。これがあれば適性があるだとか、大魔法が使えるようになるだとか、そういった技能を得られる。
ウィンドウのように現れた画面をスクロールさせていくが、一番下にたどり着く様子はない。数多過ぎでは?
「要望多いですね……あなたの思考からこの辺りにまとめましたよ」
「すげぇ少なくなったな」
思考を読めるなんて今更だし気にしないことにする。
まとめられたジャンルからして『不老不死』だの『英雄』だの『大賢者』だの……確かにチートだ。こんなもん生まれた時から持ってれば人生確約されてるようなもんだ。
「ん?何だこれ」
そのチート性能は『魂の不死化(劣)』。簡単に言えば不老不死なのだが、対処方法としてよくある殺し続けるとか封印するといった方法から回避できる代物だ。まず殺せば死ぬ。が、身体が死んだような状態になっているだけであり、魂だけ抜き出して魔法で蘇らせてまた動けるようになる。封印されても魂だけは身体から抜け出せる。そして魂だけの状態で死ぬことはない。しかも魂だけの状態で魔法を使えるから封印も解除できる。
しかもこのチート、封印解除用の魔法だの身体の復活や生成魔法といったところまで完備されている。死なないという意味なら最強では?
「『魂の不死化(劣)』ですか。転生したら赤子ですからね、劣なのも当然です」
「大人になれば外れるってことか?」
「ええ」
身体に合わせてチートはあるのか。……いや当然か、赤子なのに大人のスペックがありますなんて化け物だしな。よくよくスキルを見ていくと赤子仕様になっており、成長すると同時にスキルも適用されていくものばかりだ。
決めるのは死なない方向かより強くなる方向か、んなもん決まってる。
「ジャンルは『不老不死』で絞ってくれ」
「はい」
強くなるなんて死ななければなれる。そもそも不老不死は他のと違って自身の体質とか特性そのものに影響するだろう。それ以外は適正的な話だ。
と思って探してみるものの中々良いものがない。完全なる不老不死もあるんだが、完全過ぎてすぐさま回復する以上、敵対者は間違いなく封印魔法を扱うのが避けられん。かといって命に残機つけると殺し続ければ死ぬ。直感的に見つけた『魂の不死化(劣)』が一番良さそうだ。ゾンビ扱いされるかもしれないが、不老不死の研究扱いされるよりかはマシだ。
「『魂の不死化(劣)』で」
「はいはい。生まれとかは輪廻に乗せるのでランダムになります」
まぁそこまで期待はしていない。というかそれはこのチートあれば関係ないレベルの問題だ。
そこで雄太はふと思いつく。どうせならもう一つくらい欲しいなぁ、と。
「なぁ、チートって一つだけ?」
「……所謂無双ってものでもしたいんですか?」
「したくないやつっているのか?」
人間だれしも優越感に浸り続けることをやりたいものだ。否定するのは仙人とかの世捨て人くらいのものだろ。
頭をかしげる雄太にアルカは指をパチンと鳴らした。
「それならこの中からどうぞ」
再びウィンドウが現れ、スクロールできるような数が表示される。さっきよりかは遥かに少なく、『成長速度増』だの『魔法適正値最大』だの自身の強さという意味での成長に関係するもののようだ。明確に強くなれるものなら選択肢は簡単だ。一番効果が強いものを選べばいい。
「『英雄(大人時)』で」
「はいはい。それじゃ良い人生を」
アルカが指を鳴らし、雄太の身体は光に包まれていく。頭から光の粒子になっていき、足の先が消え、この世界から雄太は消えた。
はぁとアルカは溜息をつく。背後にもう一人の神様がいると分かっていて、だ。
「ねぇ運命神、遊ぶにしても酷くない?」
「作った玩具で遊ぶのは神様として在るべき姿だよ」
「……それもそっか。今度私もしていい?」
彼らは神。被造物なぞ扱い方は乱雑になるのも当然のことだ。人が玩具を扱い、最後には壊すように。髪もまた玩具を扱い、最後には壊す。人が崇めるが故に人のように動く神なのだった。
光が皮膚を突き刺す感覚。おぎゃあおぎゃあと叫ぶ声が転生したのだと認識させる。
「魔法使い殿、息子に問題は?」
「言いにくいのじゃが……悪魔憑きじゃ。滅ぼさねばならん」
「なっ!?で、ですが」
「必ず不幸をまき散らし、この子でさえも……。いや、この子はお主の息子ではない。悪魔じゃ、悪魔が受肉したものじゃ」
「……妻には……死産と……」
「分かってくれ、お主らのためなのじゃ」
どういうことだ!?何故俺は火であぶられている!?赤子に向ける悪意ではな
転生した雄太の人生は、そこで全てが終わった。
この世界における人間やエルフといった社会生命体では、赤子に灯る魂は魔法使いによって無垢なものであるか確認される。前世の記憶や意識を伴った転生などがあれば、それは悪魔が憑りついたとされ殺されるのが常だった。
夢のように朧げにしかなく、いつしか消えていく程度の記憶や意識ならともかく、明確に人生に影響を与える可能性があるとなれば赤子の時点で消されるのだ。悪魔が憑いたとされ、産んだ女性には知らされずに燃やされる。
赤子には罪はない、それは正しくない。正しくは何も知らない無垢な赤子には罪はない、だ。生まれたばかりから悪意しかない赤子は殺した方が社会からすれば幸せなのだ。
そして雄太の人として扱われない生はここから始まった。
「……悪魔憑きだな、殺せ」
再び赤子として生まれ、殺される。視線は人を見るそれではなく、人外か悪魔か、どちらにせよ人以外の悪い何かとしてみるものだった。
これは『魂の不死化(劣)』の影響だった。肉体が燃やされても再生成して戻ることができるというのは、魔法が使えればの話だ。赤子は魔法が使おうにも肉体が耐えられないのだ。
故に抜け出した魂は再び似たような身体を求めて彷徨う。そして似た身体とはイコールで赤子だった。
「弱っているが悪魔憑きだ」
何で!?俺は悪魔なんかじゃない!松明をこっちに向けるなやめろ!ああああああああああああああ!!!!!!!
「悪魔め、何故赤子に憑りつくのだ!」
止めてくれ、死にたくない。生きたくない。こんなことになるなら不死なんて
「お願いだから死んでくれ。二度と俺の子の過ちを他で犯させてくれるな」
何度も何度も殺され、彷徨い、また殺され。少しずつ魂が壊れていく。
意識を伴った魂の移動というのは出血がありながら病院を探しているようなものなのだ。病院から弾き出され、再び探すことを続ければ出血で身体がマトモに動かなくなるのも当然だ。それと同じことが魂にも起こっていた。
「何故俺の子に…!死ね!死ね!百を超えてもなお地獄の中に堕ちて消え去れ!」
夥しい程の憎悪を向けられ、何度殺されたのかも覚えていない程に殺された雄太の魂はボロボロだった。ひび割れ、一部は剥がれ、動くこともできない程に弱まっていた。
何故こんな目に合うのか?それは神のいたずらだと言えれば楽だっただろう。だが雄太は自身で選んでこの世界に来たのだ。与えられるものを十分を超えるだけ与えられてこの世界に来た。
だからこうなったのだ、とは気づきたくても気づけなかっただろう。別の世界には別の世界の人間がいるのだ。彼らからすれば雄太は侵略者にも等しい。その対策を行わないなどという選択をこの世界の生命体は行わなかった。たったそれだけの話だが、何も知らない雄太からすれば罠に引っ掛かったようなものである。
一つだけ可能性があったとすれば、チートと言っても大したものでなければ可能性はあっただろう。まだこの世界では強すぎるチートでなければ悪魔憑きとは判断できないのだ。
「悪魔がそこら中で赤子に憑りつき魂を散らばらせたせいでそこら中で魔物が増えています」
「超広範囲浄化魔法で散らばった悪魔の魂を消滅させよ」
動けない雄太の魂に、剥がれ落ちた魂、それら全てが教会から放たれる魔法で少しずつ浄化され、消滅していく。魂ごと消え去ったことにより輪廻にさえも乗ることさえも許されなかった。
こうして雄太の魂は消滅した。不死なのは間違いではなかったが、あくまで肉体があればの話だった。魂だけで動けない状態の雄太には浄化魔法を放つだけで消え去る。その程度の技能だったのだ。とはいってもチートと呼ぶにふさわしいものだ。赤子の段階で気づかれなければ、スキルを持っていると気づかれなければ、雄太はこの世界で英雄と呼べる存在になれただろう。
「悪魔は浄化された!赤子に憑りつく下衆はこの世界より消え去ったのだ!」
教会から声明が発表され、民は歓喜に震える。この悪魔騒動により次の年以降の出生率は上昇していった。現れても必ず殺してくれるという安心がそこにはあった。
「ね、いい玩具だったでしょ」
「何であなた死んでるんですか?」
「俺が聞きたいんですがね?」
目が覚めたら目の前にふざけた質問をする女がいた。後光を纏い、天女のような姿をしておりまるで神様のようだ。
「ええ。神様です。春川雄太、あなたがふざけたタイミングで死んだせいで運命神から怒られた神様ですよ。アルカとでも呼んでください。」
「意外と気安いね?それでアルカ……死んだ?俺は死んだのか?」
何度も確認する雄太の言葉に面倒くさそうに肯定するアルカ。一度目は穏やかな視線をしていたあたり、仕事だからやっているような風にも見えた。
「死にましたよ。ここは死んだあとの魂の世界です」
「運がないな……」
はぁと溜息をつくも、ならばどうしてこんなところにいるのかと疑問に思う。死んだ後なら輪廻転生だったかで次の生に移るのではないのだろうか?
疑問に答えるようにアルカから答えが出された。
「あなたには二つの選択肢があります。一つはこのまま消えて輪廻転生に戻ること。もう一つは別の世界の輪廻に移動し転生すること」
「後者はどういう」
「あなたに分かりやすくいうならチート貰って異世界転生ってやつですね」
「じゃあそっちで」
もちろんそっちだ。というか分かりやすいもいいところだ。地球では異世界転生してチートなんて小説が跋扈している。その当事者になれるっていうのなら、なる以外の選択肢なんてない。
「チートはここから選んでください」
「なんか一杯あるな」
ファンタジー世界に転生するのか、魔法や魔法武術といったところまで網羅されている。所謂スキルというやつだ。これがあれば適性があるだとか、大魔法が使えるようになるだとか、そういった技能を得られる。
ウィンドウのように現れた画面をスクロールさせていくが、一番下にたどり着く様子はない。数多過ぎでは?
「要望多いですね……あなたの思考からこの辺りにまとめましたよ」
「すげぇ少なくなったな」
思考を読めるなんて今更だし気にしないことにする。
まとめられたジャンルからして『不老不死』だの『英雄』だの『大賢者』だの……確かにチートだ。こんなもん生まれた時から持ってれば人生確約されてるようなもんだ。
「ん?何だこれ」
そのチート性能は『魂の不死化(劣)』。簡単に言えば不老不死なのだが、対処方法としてよくある殺し続けるとか封印するといった方法から回避できる代物だ。まず殺せば死ぬ。が、身体が死んだような状態になっているだけであり、魂だけ抜き出して魔法で蘇らせてまた動けるようになる。封印されても魂だけは身体から抜け出せる。そして魂だけの状態で死ぬことはない。しかも魂だけの状態で魔法を使えるから封印も解除できる。
しかもこのチート、封印解除用の魔法だの身体の復活や生成魔法といったところまで完備されている。死なないという意味なら最強では?
「『魂の不死化(劣)』ですか。転生したら赤子ですからね、劣なのも当然です」
「大人になれば外れるってことか?」
「ええ」
身体に合わせてチートはあるのか。……いや当然か、赤子なのに大人のスペックがありますなんて化け物だしな。よくよくスキルを見ていくと赤子仕様になっており、成長すると同時にスキルも適用されていくものばかりだ。
決めるのは死なない方向かより強くなる方向か、んなもん決まってる。
「ジャンルは『不老不死』で絞ってくれ」
「はい」
強くなるなんて死ななければなれる。そもそも不老不死は他のと違って自身の体質とか特性そのものに影響するだろう。それ以外は適正的な話だ。
と思って探してみるものの中々良いものがない。完全なる不老不死もあるんだが、完全過ぎてすぐさま回復する以上、敵対者は間違いなく封印魔法を扱うのが避けられん。かといって命に残機つけると殺し続ければ死ぬ。直感的に見つけた『魂の不死化(劣)』が一番良さそうだ。ゾンビ扱いされるかもしれないが、不老不死の研究扱いされるよりかはマシだ。
「『魂の不死化(劣)』で」
「はいはい。生まれとかは輪廻に乗せるのでランダムになります」
まぁそこまで期待はしていない。というかそれはこのチートあれば関係ないレベルの問題だ。
そこで雄太はふと思いつく。どうせならもう一つくらい欲しいなぁ、と。
「なぁ、チートって一つだけ?」
「……所謂無双ってものでもしたいんですか?」
「したくないやつっているのか?」
人間だれしも優越感に浸り続けることをやりたいものだ。否定するのは仙人とかの世捨て人くらいのものだろ。
頭をかしげる雄太にアルカは指をパチンと鳴らした。
「それならこの中からどうぞ」
再びウィンドウが現れ、スクロールできるような数が表示される。さっきよりかは遥かに少なく、『成長速度増』だの『魔法適正値最大』だの自身の強さという意味での成長に関係するもののようだ。明確に強くなれるものなら選択肢は簡単だ。一番効果が強いものを選べばいい。
「『英雄(大人時)』で」
「はいはい。それじゃ良い人生を」
アルカが指を鳴らし、雄太の身体は光に包まれていく。頭から光の粒子になっていき、足の先が消え、この世界から雄太は消えた。
はぁとアルカは溜息をつく。背後にもう一人の神様がいると分かっていて、だ。
「ねぇ運命神、遊ぶにしても酷くない?」
「作った玩具で遊ぶのは神様として在るべき姿だよ」
「……それもそっか。今度私もしていい?」
彼らは神。被造物なぞ扱い方は乱雑になるのも当然のことだ。人が玩具を扱い、最後には壊すように。髪もまた玩具を扱い、最後には壊す。人が崇めるが故に人のように動く神なのだった。
光が皮膚を突き刺す感覚。おぎゃあおぎゃあと叫ぶ声が転生したのだと認識させる。
「魔法使い殿、息子に問題は?」
「言いにくいのじゃが……悪魔憑きじゃ。滅ぼさねばならん」
「なっ!?で、ですが」
「必ず不幸をまき散らし、この子でさえも……。いや、この子はお主の息子ではない。悪魔じゃ、悪魔が受肉したものじゃ」
「……妻には……死産と……」
「分かってくれ、お主らのためなのじゃ」
どういうことだ!?何故俺は火であぶられている!?赤子に向ける悪意ではな
転生した雄太の人生は、そこで全てが終わった。
この世界における人間やエルフといった社会生命体では、赤子に灯る魂は魔法使いによって無垢なものであるか確認される。前世の記憶や意識を伴った転生などがあれば、それは悪魔が憑りついたとされ殺されるのが常だった。
夢のように朧げにしかなく、いつしか消えていく程度の記憶や意識ならともかく、明確に人生に影響を与える可能性があるとなれば赤子の時点で消されるのだ。悪魔が憑いたとされ、産んだ女性には知らされずに燃やされる。
赤子には罪はない、それは正しくない。正しくは何も知らない無垢な赤子には罪はない、だ。生まれたばかりから悪意しかない赤子は殺した方が社会からすれば幸せなのだ。
そして雄太の人として扱われない生はここから始まった。
「……悪魔憑きだな、殺せ」
再び赤子として生まれ、殺される。視線は人を見るそれではなく、人外か悪魔か、どちらにせよ人以外の悪い何かとしてみるものだった。
これは『魂の不死化(劣)』の影響だった。肉体が燃やされても再生成して戻ることができるというのは、魔法が使えればの話だ。赤子は魔法が使おうにも肉体が耐えられないのだ。
故に抜け出した魂は再び似たような身体を求めて彷徨う。そして似た身体とはイコールで赤子だった。
「弱っているが悪魔憑きだ」
何で!?俺は悪魔なんかじゃない!松明をこっちに向けるなやめろ!ああああああああああああああ!!!!!!!
「悪魔め、何故赤子に憑りつくのだ!」
止めてくれ、死にたくない。生きたくない。こんなことになるなら不死なんて
「お願いだから死んでくれ。二度と俺の子の過ちを他で犯させてくれるな」
何度も何度も殺され、彷徨い、また殺され。少しずつ魂が壊れていく。
意識を伴った魂の移動というのは出血がありながら病院を探しているようなものなのだ。病院から弾き出され、再び探すことを続ければ出血で身体がマトモに動かなくなるのも当然だ。それと同じことが魂にも起こっていた。
「何故俺の子に…!死ね!死ね!百を超えてもなお地獄の中に堕ちて消え去れ!」
夥しい程の憎悪を向けられ、何度殺されたのかも覚えていない程に殺された雄太の魂はボロボロだった。ひび割れ、一部は剥がれ、動くこともできない程に弱まっていた。
何故こんな目に合うのか?それは神のいたずらだと言えれば楽だっただろう。だが雄太は自身で選んでこの世界に来たのだ。与えられるものを十分を超えるだけ与えられてこの世界に来た。
だからこうなったのだ、とは気づきたくても気づけなかっただろう。別の世界には別の世界の人間がいるのだ。彼らからすれば雄太は侵略者にも等しい。その対策を行わないなどという選択をこの世界の生命体は行わなかった。たったそれだけの話だが、何も知らない雄太からすれば罠に引っ掛かったようなものである。
一つだけ可能性があったとすれば、チートと言っても大したものでなければ可能性はあっただろう。まだこの世界では強すぎるチートでなければ悪魔憑きとは判断できないのだ。
「悪魔がそこら中で赤子に憑りつき魂を散らばらせたせいでそこら中で魔物が増えています」
「超広範囲浄化魔法で散らばった悪魔の魂を消滅させよ」
動けない雄太の魂に、剥がれ落ちた魂、それら全てが教会から放たれる魔法で少しずつ浄化され、消滅していく。魂ごと消え去ったことにより輪廻にさえも乗ることさえも許されなかった。
こうして雄太の魂は消滅した。不死なのは間違いではなかったが、あくまで肉体があればの話だった。魂だけで動けない状態の雄太には浄化魔法を放つだけで消え去る。その程度の技能だったのだ。とはいってもチートと呼ぶにふさわしいものだ。赤子の段階で気づかれなければ、スキルを持っていると気づかれなければ、雄太はこの世界で英雄と呼べる存在になれただろう。
「悪魔は浄化された!赤子に憑りつく下衆はこの世界より消え去ったのだ!」
教会から声明が発表され、民は歓喜に震える。この悪魔騒動により次の年以降の出生率は上昇していった。現れても必ず殺してくれるという安心がそこにはあった。
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