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冒険者ジルク
絶望-2
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「ローズ。あなたには私が手を下すわ」
「ジルク……」
膝を折り、目から光を失っているローズの首を掴み、持ち上げるシア。翼を翻して少しずつ浮かんでいく。しかしその手には力は入っておらず、ただ持ち上げるだけだ。
「シア。殺してはいけませんよ?」
「もちろんですフィーア様。殺してはフィーア様ともう一度会うこともないですから契約違反になってしまいます」
「ふふふ……愛いですね、シア。では頼みましたよ」
ヤギはそれだけ話し、姿を消していった。
姿を消したのはヤギだけではない。周りの風景が歪み、変わっていく。
変わった先は洞窟の中の鬱屈した環境ではない。青い空が見える地上の光景だ。
「何を……」
「ルダクノまで送ってあげるわ。耐えきれるでしょうけれど……帰ってこなくても構わないわ」
ニコリと笑うシア。その表情にローズは見惚れてしまいかける程に惹かれてしまう。それがジルクではないと分かっていても、ジルクであったことに変わりはないのだから当然のことだった。
シアの魔力がローズを包み、空へと浮かせる。そしてシアは手をローズの首から離した。
「ふぅ……もう会いたくないけど。来るならせめて戦えるくらいにはなってきなさい」
構えるシアの右腕に魔力が込められる。かつてのジルクとは比較にすらならない魔力量であり、どこかヤギの魔力にも似通っているようにも見えた。
さらにシアがつけている腕輪に魔力が灯り、さらに威力を増幅させるように魔力が輝く。
「ジルク」
「じゃあね」
目に見えない速さでシアは正拳を放つ。その衝撃はローズに包まれている魔力を通じ、その全身に通された。
さらにその衝撃は高速で吹き飛ばすには十分過ぎた。全身に骨が折れるほどの衝撃を受けたローズはルダクノのある方角へと空を舞い、飛んでいった。
「名前……何だったっけ?。ってあれ?」
ローズを吹き飛ばしたシアはフィーアのいる洞窟へと移動を始める。しかしその瞳には本人の意志にはない一筋の涙が流れていた。
「ジルク……」
膝を折り、目から光を失っているローズの首を掴み、持ち上げるシア。翼を翻して少しずつ浮かんでいく。しかしその手には力は入っておらず、ただ持ち上げるだけだ。
「シア。殺してはいけませんよ?」
「もちろんですフィーア様。殺してはフィーア様ともう一度会うこともないですから契約違反になってしまいます」
「ふふふ……愛いですね、シア。では頼みましたよ」
ヤギはそれだけ話し、姿を消していった。
姿を消したのはヤギだけではない。周りの風景が歪み、変わっていく。
変わった先は洞窟の中の鬱屈した環境ではない。青い空が見える地上の光景だ。
「何を……」
「ルダクノまで送ってあげるわ。耐えきれるでしょうけれど……帰ってこなくても構わないわ」
ニコリと笑うシア。その表情にローズは見惚れてしまいかける程に惹かれてしまう。それがジルクではないと分かっていても、ジルクであったことに変わりはないのだから当然のことだった。
シアの魔力がローズを包み、空へと浮かせる。そしてシアは手をローズの首から離した。
「ふぅ……もう会いたくないけど。来るならせめて戦えるくらいにはなってきなさい」
構えるシアの右腕に魔力が込められる。かつてのジルクとは比較にすらならない魔力量であり、どこかヤギの魔力にも似通っているようにも見えた。
さらにシアがつけている腕輪に魔力が灯り、さらに威力を増幅させるように魔力が輝く。
「ジルク」
「じゃあね」
目に見えない速さでシアは正拳を放つ。その衝撃はローズに包まれている魔力を通じ、その全身に通された。
さらにその衝撃は高速で吹き飛ばすには十分過ぎた。全身に骨が折れるほどの衝撃を受けたローズはルダクノのある方角へと空を舞い、飛んでいった。
「名前……何だったっけ?。ってあれ?」
ローズを吹き飛ばしたシアはフィーアのいる洞窟へと移動を始める。しかしその瞳には本人の意志にはない一筋の涙が流れていた。
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