32 / 45
女騎士ローズ
女騎士ローズ-6
しおりを挟む
扉を開いた先にあったのはさっきまでいた場所と同じ赤い蝶の花畑だった。
当然だがローズの頭の上にはてなマークが浮かぶ。
「ここは……。さっきまでと同じ、ではない?」
(私の空間の中です。今は私の好きなものになっています)
「なるほど」
まだ時空間を変えておらず、好き放題の状態になっていると。いくら一助をしてくれると言っても多少は時間を寄こせというのは当然か。
少しずつ赤い蝶たちが消えていく。空間を一瞬で変えることもできるだろうに。……何かしら意味があるのだろうか。
そんな私の心情に気づいたのか、赤い羽根から返事が届く。
(……あの赤い蝶はただの蝶ではありません。力を求め、制御に失敗した末路です)
「大きすぎる力の制御。失敗したら同じものとなる。なるほど、道理だ」
つまり私があの蝶になってもおかしくない訳だ。花畑にいた蝶は十や百といった数ではなかった。だがそれほど挑戦した者がいるのだから―
(制御は5割程度まではできたのが最高記録です)
―成功した者がいる、という淡い希望はないようだ。例外なく全てあの蝶になったということであり、届いたことのない記録に届かねばならないというのは中々に挑戦的だ。
「なら唯一の成功例が私だな」
(ふふふ……そうなることを祈りますよ。それでは始めますね。あなたが制御に成功したなら解放しましょう)
「閉じ込めたというより閉じ込めてもらった、だがな」
後ろに開いていた扉が閉まり、赤い羽根の言葉も聞こえなくなる。これで実質一人になったわけだが、孤独という状況はローズには届かない。
「あり余る時間に成長できるだけ成長可能な環境……!。これほど欲しかったものはないな」
ローズは既に人の限界に到達しつつあった。その限界を壊せるという環境と時間をくれるというのだ。ならば当然、感情の高ぶりが抑えきれない程に高揚するだろう。
意識を胸に向け、その力の源を確認する。まるで火山の源に触れるかのような感覚。これを解放するのに制御が千年単位で必要というのも納得がいく。
爆発物の威力を自らの身体で検証しながら爆発の威力の制御をさせろと言っているようなものだ。しかも傾向も何も分かったものではない。
念のため魔力による身体強化を行い、制御を試みる。
「ほんの少し。針のような細さでほんの一瞬吸い上げるような……!」
最大限の制御にて吸い上げた力は、たったそれだけで全開で行った魔力による身体強化と同等程度まであった。
「ぐっ!?」
即座に制御を停止する。……だが吸い上げられた魔力は供給の停止が動かず、身体に魔力が供給され続ける。
「なっ!?。なら……!」
魔力による身体強化を暴走させるほどに行使する。魔力を無駄に消費するような使い方だが、これを常に行う以外にこの状況を乗り切れない。
「ごぶっ!がはっ!?」
長時間行使し続けることで身体が悲鳴を上げ、さらには吐血が続く。身体に本来不可能なことをさせ続けているのだ。当然の反応だった。
だがそこでローズは気づいた。これは言うなれば無限に近い魔力の使い方を知れ、ということなのだと。
「なら……がふっ……身体も…作り変える必要が……はっ……ある」
そのための暴走状態。そしてこの魔力なのだ。
制御を行い魔力を抽出。その量に応じて少しずつ身体を作り変えつつ、この魔力に適応する。これを安全に行うともなれば千年単位の時間がかかって当然だろう。
もし失敗するとすれば要因は……時間があるのに制御を焦ったとか、適応に失敗したとかだろう。そのどれも制御にかかるものだ。
数日程かけ吐血も収まった頃、ローズの魔力の色が少しだけ赤く変わる。それと同時にローズは1%にすら満たないほどの制御に成功した。
「たったこれだけで数日。先を考えると呆れかえるほど遠い時間だな」
(いいえ。恐ろしく早い時間ですよ)
数日の間聞こえなかった赤い羽根の声が頭の中に響く。集中していたから何も言わなかったのだろうが、こうも突然聞こえると驚きすら出てくる。
「赤い羽根。……早いとは?」
(だいたいの者は最初の制御に失敗します。限界まで制御して自分に合った魔力量を抽出する必要があるにもかかわらず抽出できなかった、というものですね)
「……運が良かっただけとも言えそうなのだが?」
(いいえ、違います。私の渡した魔力はあくまでその時の限界を極めるもの。……暴走も含めた、ね)
つまりは暴走も含めた自分自身の限界を突き詰めろということか。本来なら暴走させること自体が困難なことな上、やっても一分程度だ。長時間使うともなれば魔力の制御を限界まで極めてもほぼ不可能なことだ。
……ほぼ、な。死ぬかどうかのギリギリで可能とも言える。
「限界を極める……身体を作り変える必要があるというところは?」
(それはあなたがそれだけ強いということ。人の限界であるなら、人を辞めなければ限界を超えられないでしょう?。ジルクが女性のようになっていったのはこれが原因です)
その言葉に憤慨を覚える。あのヤギが行っていたことと同じことを行っている。その事実が許せなかった。
「お前の好きなように変われと?」
(あなたの好きなように、ですよ。あくまで無限の魔力は私があげるのだからそれにつられて近くなるのは仕方のないこと)
「それは確かに。ということはつまり……」
落ち着きを取り戻して一瞬で頭の中を整理し、要点をまとめる。……こんな思考速度になっているのも少し変わったからだろうか?
「自分自身の意志で魔力を限界まで制御し暴走させ、赤い羽根の魔力で身体を適応するように人を辞める。その結果変わる身体は自分の好きなようになるが、赤い羽根の姿に近くなっても仕方ない」
(そういうことです)
結局のところは自分の好きなように身体を作り変えて強くなって行け、ということだ。その供給源に影響を受けるのも当然。なるほどだいたいのことは分かった。
だが一つだけ疑問が残る。姿形が供給源に近づくということは、だ。
「姿形を赤い蝶にしたら」
(魔力の供給速度が上がりますね。赤い羽根の姿の制御できるのは私だけですよ)
やはりか。というかそれは罠だろう。指摘しなかったら助言してくれたとは思えないことから引っ掛かった者も多そうだ。
気を付けるべきことは確認し、やるべきことは分かった。ならばあとはそれに邁進するだけだ。
あとはこれを数万回くらい繰り返せばいい。年単位の時間こそかかるのは承知の上だ。
「赤い羽根。機会をくれたことに先に感謝だけ述べておこう。ありがとう」
(受け取っておきましょう。その先に訪れる未来を楽しみにしておきますよ)
その言葉と共に赤い羽根の言葉は消えた。災害獣は裏に何も隠すことがないから話す上では楽でいい。
さて、力を求めよう。
当然だがローズの頭の上にはてなマークが浮かぶ。
「ここは……。さっきまでと同じ、ではない?」
(私の空間の中です。今は私の好きなものになっています)
「なるほど」
まだ時空間を変えておらず、好き放題の状態になっていると。いくら一助をしてくれると言っても多少は時間を寄こせというのは当然か。
少しずつ赤い蝶たちが消えていく。空間を一瞬で変えることもできるだろうに。……何かしら意味があるのだろうか。
そんな私の心情に気づいたのか、赤い羽根から返事が届く。
(……あの赤い蝶はただの蝶ではありません。力を求め、制御に失敗した末路です)
「大きすぎる力の制御。失敗したら同じものとなる。なるほど、道理だ」
つまり私があの蝶になってもおかしくない訳だ。花畑にいた蝶は十や百といった数ではなかった。だがそれほど挑戦した者がいるのだから―
(制御は5割程度まではできたのが最高記録です)
―成功した者がいる、という淡い希望はないようだ。例外なく全てあの蝶になったということであり、届いたことのない記録に届かねばならないというのは中々に挑戦的だ。
「なら唯一の成功例が私だな」
(ふふふ……そうなることを祈りますよ。それでは始めますね。あなたが制御に成功したなら解放しましょう)
「閉じ込めたというより閉じ込めてもらった、だがな」
後ろに開いていた扉が閉まり、赤い羽根の言葉も聞こえなくなる。これで実質一人になったわけだが、孤独という状況はローズには届かない。
「あり余る時間に成長できるだけ成長可能な環境……!。これほど欲しかったものはないな」
ローズは既に人の限界に到達しつつあった。その限界を壊せるという環境と時間をくれるというのだ。ならば当然、感情の高ぶりが抑えきれない程に高揚するだろう。
意識を胸に向け、その力の源を確認する。まるで火山の源に触れるかのような感覚。これを解放するのに制御が千年単位で必要というのも納得がいく。
爆発物の威力を自らの身体で検証しながら爆発の威力の制御をさせろと言っているようなものだ。しかも傾向も何も分かったものではない。
念のため魔力による身体強化を行い、制御を試みる。
「ほんの少し。針のような細さでほんの一瞬吸い上げるような……!」
最大限の制御にて吸い上げた力は、たったそれだけで全開で行った魔力による身体強化と同等程度まであった。
「ぐっ!?」
即座に制御を停止する。……だが吸い上げられた魔力は供給の停止が動かず、身体に魔力が供給され続ける。
「なっ!?。なら……!」
魔力による身体強化を暴走させるほどに行使する。魔力を無駄に消費するような使い方だが、これを常に行う以外にこの状況を乗り切れない。
「ごぶっ!がはっ!?」
長時間行使し続けることで身体が悲鳴を上げ、さらには吐血が続く。身体に本来不可能なことをさせ続けているのだ。当然の反応だった。
だがそこでローズは気づいた。これは言うなれば無限に近い魔力の使い方を知れ、ということなのだと。
「なら……がふっ……身体も…作り変える必要が……はっ……ある」
そのための暴走状態。そしてこの魔力なのだ。
制御を行い魔力を抽出。その量に応じて少しずつ身体を作り変えつつ、この魔力に適応する。これを安全に行うともなれば千年単位の時間がかかって当然だろう。
もし失敗するとすれば要因は……時間があるのに制御を焦ったとか、適応に失敗したとかだろう。そのどれも制御にかかるものだ。
数日程かけ吐血も収まった頃、ローズの魔力の色が少しだけ赤く変わる。それと同時にローズは1%にすら満たないほどの制御に成功した。
「たったこれだけで数日。先を考えると呆れかえるほど遠い時間だな」
(いいえ。恐ろしく早い時間ですよ)
数日の間聞こえなかった赤い羽根の声が頭の中に響く。集中していたから何も言わなかったのだろうが、こうも突然聞こえると驚きすら出てくる。
「赤い羽根。……早いとは?」
(だいたいの者は最初の制御に失敗します。限界まで制御して自分に合った魔力量を抽出する必要があるにもかかわらず抽出できなかった、というものですね)
「……運が良かっただけとも言えそうなのだが?」
(いいえ、違います。私の渡した魔力はあくまでその時の限界を極めるもの。……暴走も含めた、ね)
つまりは暴走も含めた自分自身の限界を突き詰めろということか。本来なら暴走させること自体が困難なことな上、やっても一分程度だ。長時間使うともなれば魔力の制御を限界まで極めてもほぼ不可能なことだ。
……ほぼ、な。死ぬかどうかのギリギリで可能とも言える。
「限界を極める……身体を作り変える必要があるというところは?」
(それはあなたがそれだけ強いということ。人の限界であるなら、人を辞めなければ限界を超えられないでしょう?。ジルクが女性のようになっていったのはこれが原因です)
その言葉に憤慨を覚える。あのヤギが行っていたことと同じことを行っている。その事実が許せなかった。
「お前の好きなように変われと?」
(あなたの好きなように、ですよ。あくまで無限の魔力は私があげるのだからそれにつられて近くなるのは仕方のないこと)
「それは確かに。ということはつまり……」
落ち着きを取り戻して一瞬で頭の中を整理し、要点をまとめる。……こんな思考速度になっているのも少し変わったからだろうか?
「自分自身の意志で魔力を限界まで制御し暴走させ、赤い羽根の魔力で身体を適応するように人を辞める。その結果変わる身体は自分の好きなようになるが、赤い羽根の姿に近くなっても仕方ない」
(そういうことです)
結局のところは自分の好きなように身体を作り変えて強くなって行け、ということだ。その供給源に影響を受けるのも当然。なるほどだいたいのことは分かった。
だが一つだけ疑問が残る。姿形が供給源に近づくということは、だ。
「姿形を赤い蝶にしたら」
(魔力の供給速度が上がりますね。赤い羽根の姿の制御できるのは私だけですよ)
やはりか。というかそれは罠だろう。指摘しなかったら助言してくれたとは思えないことから引っ掛かった者も多そうだ。
気を付けるべきことは確認し、やるべきことは分かった。ならばあとはそれに邁進するだけだ。
あとはこれを数万回くらい繰り返せばいい。年単位の時間こそかかるのは承知の上だ。
「赤い羽根。機会をくれたことに先に感謝だけ述べておこう。ありがとう」
(受け取っておきましょう。その先に訪れる未来を楽しみにしておきますよ)
その言葉と共に赤い羽根の言葉は消えた。災害獣は裏に何も隠すことがないから話す上では楽でいい。
さて、力を求めよう。
0
あなたにおすすめの小説
無魔力の令嬢、婚約者に裏切られた瞬間、契約竜が激怒して王宮を吹き飛ばしたんですが……
タマ マコト
ファンタジー
王宮の祝賀会で、無魔力と蔑まれてきた伯爵令嬢エリーナは、王太子アレクシオンから突然「婚約破棄」を宣告される。侍女上がりの聖女セレスが“新たな妃”として選ばれ、貴族たちの嘲笑がエリーナを包む。絶望に胸が沈んだ瞬間、彼女の奥底で眠っていた“竜との契約”が目を覚まし、空から白銀竜アークヴァンが降臨。彼はエリーナの涙に激怒し、王宮を半壊させるほどの力で彼女を守る。王国は震え、エリーナは自分が竜の真の主であるという運命に巻き込まれていく。
【完結】辺境に飛ばされた子爵令嬢、前世の経営知識で大商会を作ったら王都がひれ伏したし、隣国のハイスペ王子とも結婚できました
いっぺいちゃん
ファンタジー
婚約破棄、そして辺境送り――。
子爵令嬢マリエールの運命は、結婚式直前に無惨にも断ち切られた。
「辺境の館で余生を送れ。もうお前は必要ない」
冷酷に告げた婚約者により、社交界から追放された彼女。
しかし、マリエールには秘密があった。
――前世の彼女は、一流企業で辣腕を振るった経営コンサルタント。
未開拓の農産物、眠る鉱山資源、誠実で働き者の人々。
「必要ない」と切り捨てられた辺境には、未来を切り拓く力があった。
物流網を整え、作物をブランド化し、やがて「大商会」を設立!
数年で辺境は“商業帝国”と呼ばれるまでに発展していく。
さらに隣国の完璧王子から熱烈な求婚を受け、愛も手に入れるマリエール。
一方で、税収激減に苦しむ王都は彼女に救いを求めて――
「必要ないとおっしゃったのは、そちらでしょう?」
これは、追放令嬢が“経営知識”で国を動かし、
ざまぁと恋と繁栄を手に入れる逆転サクセスストーリー!
※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。
俺に王太子の側近なんて無理です!
クレハ
ファンタジー
5歳の時公爵家の家の庭にある木から落ちて前世の記憶を思い出した俺。
そう、ここは剣と魔法の世界!
友達の呪いを解くために悪魔召喚をしたりその友達の側近になったりして大忙し。
ハイスペックなちゃらんぽらんな人間を演じる俺の奮闘記、ここに開幕。
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね
竹井ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。
元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、
王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。
代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。
父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。
カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。
その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。
ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。
「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」
そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。
もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
主婦が役立たず? どう思うかは勝手だけど、こっちも勝手にやらせて貰うから
渡里あずま
ファンタジー
安藤舞は、専業主婦である。ちなみに現在、三十二歳だ。
朝、夫と幼稚園児の子供を見送り、さて掃除と洗濯をしようとしたところで――気づけば、石造りの知らない部屋で座り込んでいた。そして映画で見たような古めかしいコスプレをした、外国人集団に囲まれていた。
「我々が召喚したかったのは、そちらの世界での『学者』や『医者』だ。それを『主婦』だと!? そんなごく潰しが、聖女になどなれるものか! 役立たずなどいらんっ」
「いや、理不尽!」
初対面の見た目だけ美青年に暴言を吐かれ、舞はそのまま無一文で追い出されてしまう。腹を立てながらも、舞は何としても元の世界に戻ることを決意する。
「主婦が役立たず? どう思うかは勝手だけど、こっちも勝手にやらせて貰うから」
※※※
専業主婦の舞が、主婦力・大人力を駆使して元の世界に戻ろうとする話です(ざまぁあり)
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
【完結】異世界で魔道具チートでのんびり商売生活
シマセイ
ファンタジー
大学生・誠也は工事現場の穴に落ちて異世界へ。 物体に魔力を付与できるチートスキルを見つけ、 能力を隠しつつ魔道具を作って商業ギルドで商売開始。 のんびりスローライフを目指す毎日が幕を開ける!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる