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第三章 チタニア教帝領~教帝聖下救出編~
生還
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俺は海岸の浅瀬を泳いでいる。チタニア海岸と呼ばれているらしい。
目の前をハクがバルーンを突っつきながら歩いている。ちょうど、足が届くぐらいの深さのようだ。それを見守るように教帝聖下が、斜め後ろを歩いていた。
「ハク、もう、そのバルーン流してしまってもいいんじゃないか」
明らかに邪魔そうなので、そう提案する。
「いやだ。これが、皆の命を救ったんだ。僕の宝物だ」
ハクが強い口調でいった。
「そんなに大きいの、置く場所ないんじゃないか」
「でも……」
俺の正論に、ハクが項垂れる。
「ハクの言う通り、このバルーンがチタニアを救った。私は神殿に安置しようと思うのだが、ハクはそれでいいか。もちろん、いつでも見に来ていい」
「やったぁ! 教帝聖下、ありがとうございます! 」
ハクが、教帝聖下に飛びつく。
教帝聖下はハクの頭を優しく撫でた。
「ただ、このままでは無理だな。少し手を加えるから、さがりなさい」
教帝聖下はそう言うと、バルーンに手をかざした。周囲を歩いていた領民が、距離を取り動きを止めた。俺達もそれに交ざる。
バルーンが輝き出した。上部から微粒子へと変化していき、教帝聖下の手の内へと集まって行く。領民達のバルーンも光の粒子となり、四方から飛びゆく。
教帝聖下の手元で一塊りとなった粒子は、より一層強い光を放った。
枢機卿団が慌てて教帝聖下の元へ集う。次第に光が弱まり、30センチ大の水晶が出現した。14人で支えても重いようで、取り敢えずその場に安置された。
「うわっ、きれい! 」
ハクが水の中を見つめ、嬉しそうにいった。しかし、直ぐに顔が曇った。その様子をみて、教帝聖下が必ず神殿に運ぶことを約束する。
あとから聞いた話によると、救援部隊の屈強な男達により、無事神殿に届けられたらしい。誰が1番長い距離運べるか、競い合ったという。
視界の先に、砂浜がみえてきた。数十名のチタニア領民と、各国の救援部隊が此方に手を振っている。
領民が走り出した。家族や知り合いを見つけて抱き合う者、ここまでの頑張りを互いに讃え合う者らで、砂浜が埋め尽くされた。救援部隊がタオルを差し出し、広場へと誘導していく。マスターが、食事を用意しているようだ。
俺はピロロを見つけ駆け寄った。抱きしめられた。久しぶりのピロロの温もりと香りに、胸がみたされる。
ピロロが視線を俺の背後に移した。つられるように振り向く。ハクが1人海の方に体を向け俯いていた。
心がギュッと締め付けられた。ハクはまだ、父親と再開できていないのだ。それどかろか、安否すら分かっていない。それなのに、今まで笑って過ごしてきたのだ。他人の喜ぶ姿など、見たくないに違いない。教帝聖下が、そっと後ろから抱きしめた。ハクは相変わらず、海をみつめたままだった。
視線を感じた。海へと目をやると、白スラリーが水面からこちらを覗いている。何か言いたげだ。よく見ると、バルーンを体内に隠し持っているようだ。
「教帝聖下、スラリーにお力を貸してあげてください! 」
俺は、そう叫んだ。教帝聖下もスラリーに気付いたようだ。視線を合わせると頷いた。
スラリー調査団は、また、海へと消えていった。
目の前をハクがバルーンを突っつきながら歩いている。ちょうど、足が届くぐらいの深さのようだ。それを見守るように教帝聖下が、斜め後ろを歩いていた。
「ハク、もう、そのバルーン流してしまってもいいんじゃないか」
明らかに邪魔そうなので、そう提案する。
「いやだ。これが、皆の命を救ったんだ。僕の宝物だ」
ハクが強い口調でいった。
「そんなに大きいの、置く場所ないんじゃないか」
「でも……」
俺の正論に、ハクが項垂れる。
「ハクの言う通り、このバルーンがチタニアを救った。私は神殿に安置しようと思うのだが、ハクはそれでいいか。もちろん、いつでも見に来ていい」
「やったぁ! 教帝聖下、ありがとうございます! 」
ハクが、教帝聖下に飛びつく。
教帝聖下はハクの頭を優しく撫でた。
「ただ、このままでは無理だな。少し手を加えるから、さがりなさい」
教帝聖下はそう言うと、バルーンに手をかざした。周囲を歩いていた領民が、距離を取り動きを止めた。俺達もそれに交ざる。
バルーンが輝き出した。上部から微粒子へと変化していき、教帝聖下の手の内へと集まって行く。領民達のバルーンも光の粒子となり、四方から飛びゆく。
教帝聖下の手元で一塊りとなった粒子は、より一層強い光を放った。
枢機卿団が慌てて教帝聖下の元へ集う。次第に光が弱まり、30センチ大の水晶が出現した。14人で支えても重いようで、取り敢えずその場に安置された。
「うわっ、きれい! 」
ハクが水の中を見つめ、嬉しそうにいった。しかし、直ぐに顔が曇った。その様子をみて、教帝聖下が必ず神殿に運ぶことを約束する。
あとから聞いた話によると、救援部隊の屈強な男達により、無事神殿に届けられたらしい。誰が1番長い距離運べるか、競い合ったという。
視界の先に、砂浜がみえてきた。数十名のチタニア領民と、各国の救援部隊が此方に手を振っている。
領民が走り出した。家族や知り合いを見つけて抱き合う者、ここまでの頑張りを互いに讃え合う者らで、砂浜が埋め尽くされた。救援部隊がタオルを差し出し、広場へと誘導していく。マスターが、食事を用意しているようだ。
俺はピロロを見つけ駆け寄った。抱きしめられた。久しぶりのピロロの温もりと香りに、胸がみたされる。
ピロロが視線を俺の背後に移した。つられるように振り向く。ハクが1人海の方に体を向け俯いていた。
心がギュッと締め付けられた。ハクはまだ、父親と再開できていないのだ。それどかろか、安否すら分かっていない。それなのに、今まで笑って過ごしてきたのだ。他人の喜ぶ姿など、見たくないに違いない。教帝聖下が、そっと後ろから抱きしめた。ハクは相変わらず、海をみつめたままだった。
視線を感じた。海へと目をやると、白スラリーが水面からこちらを覗いている。何か言いたげだ。よく見ると、バルーンを体内に隠し持っているようだ。
「教帝聖下、スラリーにお力を貸してあげてください! 」
俺は、そう叫んだ。教帝聖下もスラリーに気付いたようだ。視線を合わせると頷いた。
スラリー調査団は、また、海へと消えていった。
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