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144.ジェントルⅢ
スマホをポケットにしまいながら工藤さんは椅子を元の位置に戻した。
機能性を重視したような黒くてシンプルなコートを手にしてこちらに目を向けてくる。俺も慌てて腰を上げたら、丁寧な会釈で返された。
「じゃあ、私はこれで。わざわざ来てくださったのに慌ただしくてごめんなさい」
「とんでもない。こちらこそ突然すみませんでした」
「いえ。お元気そうで良かったです。あなたのことは私もずっと彼から聞いていたので」
ハキハキした口調でニコリと言われる。快活な女性の印象そのものであるのだが、まさか犯罪者を秒で取り押さえるような人にはとても思えない。
工藤さんが仕事の呼び出しを受けたのは今しがたのこと。
紅茶一杯が出てきただけでロクに口もつけていない。けれども注文した分の紙幣がそれとなくテーブルに置かれた。
「せっかくなので赤川さんはごゆっくり」
「あの、せめてここは俺が……」
「ありがとう。お気持ちだけ頂きますね」
「あ……はい」
それだけ言い残して去っていった。愛想がいいのにキリッとしいる。後ろ姿に隙はない。
あれが本物の刑事さんか。刑事ドラマで見る刑事さんより数百倍はカッコイイ。カッコいい人がカッコよく店から出ていくのをここから目で追った。
丸テーブルへとゆっくり視線を戻せば、今度は榊さんから席を促されて再びその場で腰を下ろした。
店に入っておいてタダで居座るわけにもいかないから俺もホットティーだけ注文してあった。見下ろすカップの中身の赤茶色は、俺の動作に合わせて少しだけユラユラ揺れている。
「すみません、本当に邪魔してしまって……」
「いえいえ。真紀さんはいつもあの感じですから」
「刑事さんてやっぱり忙しいですよね」
「休みはあってないようなものですね。現場仕事よりデスクワークに時間取られるってよく言っています」
「へえ……」
工藤さんが刑事一課に配属になったのは三年前のことだそうだ。考えるまでもなく優秀な人なのだろう。人生で刑事さんに助けられる瞬間を経験するとは思っていなかった。
あの日は結果として仕事をしてくれたわけだが、二人が俺の部屋を訪ねてくれたのは純粋な親切心だったに違いない。小銭しか入っていないような、小さな財布を届けるために。
そんな工藤さんと待ち合わせていた榊さんを疑って、パニクって逃げ惑った間抜けな男が俺なわけだが。
「…………」
分かっている。その件については話すべきでない。それだけは心の内にしまっておかねば。なんでもかんでも正直であればいいってもんじゃないのがこの世の中だ。
残念ながら俺たちは単純きわまりない動物ではなく、時として知らない方がいい真実もある。相手を尊重する気持ちがあるならなおさら飲み込んでおくべきことだが、しかしその相手が善人であればあるほど、黙っているのは、自分が苦しい。
大昔の人類はこの感情に的確な名前を付けた。罪悪感。罪の意識だ。
これを一人で抱えるくらいなら、むしろ積極的に怒られに行く場合すらある厄介な感情。
「あの……」
そんなものを自分の中にじっとり封印しておけるほど、俺はできた人間ではない。
「そうでしたか……」
そして罪悪感に負けた。自分が楽になる道を選んだ。
躊躇いつつもまっさらに白状。実のところあなたがストーカー犯なんじゃないかとちょっとだけ疑っていましたごめんなさい。
そんな告白をされた方はたまったもんじゃないだろう。ストーカー犯どころか救世主だったこの人は一瞬程度ポカンとし、なんとも言えない表情で苦笑いして、かと思えばどういうわけか、徐々に深刻そうな顔になっていく。
「……ではあれは、そもそも僕が原因だったんですね」
「っとんでもない! 決してそういうことではッ……」
「いえ。思い返してみれば確かに軽率でした。あの時はあなたをお見かけしてつい、深く考えずに声をかけてしまって」
ごめんなさいを言いたいがために白状した。それがなぜか、反対に申し訳なさそうな顔をされている。
「怖がらせるような真似をして本当にすみませんでした」
「そんな……俺が勝手にその、失礼な誤解を……」
さらに元々の原因を辿って行きつくのは鍵を閉めなかった俺自身。なのに、謝られた。なぜこうなるんだ。困った。土下座くらいすべきは俺だろうに。
なんの罪もない人、いやそれどころか、善意に満ち溢れている人を。あろうことかストーカー犯扱い。
「……すみません」
「赤川さんは何も悪くないですよ。理由も分からないまま長いこと被害に遭っていたんですから周りを疑うのも仕方ありません」
慈愛の精神百パーセントの穏やかな表情を向けられる。天使。神か。都会にこんな人がいるのか。
顔見知りの花屋の店員に気遣いを示してくれるような人に、疑惑なんて持ったことがただひたすら心苦しい。
「僕は花屋さんでいつも赤川さんにばかりお願いしていましたし、ああいうのも怪しく見られて当然だと思います」
「そんな……」
「実際ここしばらく気になってはいたんです。ずいぶん疲れているように見えたので、もしかして何か困っているんじゃないかと」
「あ……」
ならばあの時の大丈夫ですかは、やっぱり。花屋のカウンター越しに聞かれた。ぼんやりしている店員への嫌味には全く感じなかった。
気をつかってそう言ってくれた榊さんは、なぜかまた申し訳なさそうに小さく笑っている。
「どうしても職業がらと言いますか、何かとご事情のある方々とお会いすることが多いもので」
「職業……?」
「家裁調査官をしてまして」
「……かさい……?」
「家庭裁判所の職員です。そうですね……記録係のようなものでしょうか」
「はぁ……」
いまいちピンと来ていない俺のため、家庭裁判所が下す判断のための調査をする仕事だと説明してくれた。
家庭裁判所が扱う法律問題は大きく分けて二種類あり、一つは家庭内などで起こったトラブルの家事審判、もう一つは未成年が犯した少年事件だ。
たとえば親の離婚問題に挟まれた子供の面談だったり、法に触れることをした少年少女の動機や生活環境の把握だったり、バックグラウンドの確認作業から最適解の検討までを一貫して行ったうえで裁判官に報告する。裁判官はこの報告に基づいて判断を行うことになるが、少年事件だと場合によっては処分決定の前に様子見の期間を設けるそうだ。これを試験観察と言って、その期間中の援助や指導なども調査官の役割だと言う。
格好からしてきちんとした職業の人だろうと思ってはいたが、想定以上にきちんとしていた。
そういえば以前にチラッと、少年事件の記録の廃棄問題がどうのとかいうニュースを聞いたことがあったかもしれない。榊さんはその記録をまとめる役割の人のなのか。
これまでは関心を示すどころか見向きもしなかった社会問題だ。けれども身近な人が関わっているなら話は違う。
こんな一生懸命な人がせっかく作った記録を簡単に廃棄しちゃうとは何事か。どうなってんだよ、大丈夫かこの国。
「難しいお仕事なさってるんですね……」
「僕はまだまだ学ぶことばかりです」
丁寧な謙遜でにこやかに返ってきた。榊さんはこうやって親しみを感じさせてくれるが、家庭裁判所という機関は一般的に身近とは言い難い。
高校時代にダチから聞いたそいつの兄貴についての話で、原付を取った三ヶ月後に人身事故を起こしてしまい、双方とも怪我は軽度で済んだものの家裁から初心運転者講習の通知が送られて来たそうだ。
同じクラスのダチの兄貴にはそんな過去があったけれども、裁判所なんて大多数にとっては縁もゆかりもない場所だろう。
しかし中には事情のある人もいる。俺みたいに何不自由のない生活をしている人間にとっては、想像が難しいような環境もある。
そういう人たちの話を聞くのが榊さんのしている仕事だ。誰かと日々深く関わるこの人は、俺のことにも気付いてくれた。
「真紀さんにも職務上という面はあったかもしれませんが、あの日のことはきっと僕と同じです。あなたの様子を見て放ってはおけなかったんだと思います」
工藤さんに衝突しかけた俺がマンションに駆け込んだ後、その場に到着した榊さんは俺のことを聞いたらしい。今ここを若い男性が通らなかったかと。
そんな確認を彼女さん相手にしようと思うくらいには様子がおかしいように見えたのかもしれない。俺が落っことした小銭入れを手にしていた工藤さんも、同じような印象を受けたのだろう。
「だから来てくれたんですね……」
「僕一人ならそこまではできませんでした。あなたを訪ねてみようと言ったのは真紀さんなんですよ。落とし物の件もあったでしょうけど、昔から彼女のそういう勘は当たりますから」
現役警察官から見ればきっとあの時の俺は何かやらかした奴か、よくて挙動不審者か。怪しまれてもおかしくなかっただろうに、二人は心配して来てくれた。
「あ、ポストから勝手に部屋番号を確認したことは反省しています」
「それがなかったら確実に無事じゃありませんでした」
こちらが思わず笑ってしまえば同じようにして返されている。榊さんも工藤さんも、感謝される気などさらさらなかった。
それを思わせる笑顔をくれるが、感謝以外に何もしようがない。ありがとうとしか言いようがない。あの部屋まで来てくれたことも、俺の名前を、覚えていてくれたことも。
機能性を重視したような黒くてシンプルなコートを手にしてこちらに目を向けてくる。俺も慌てて腰を上げたら、丁寧な会釈で返された。
「じゃあ、私はこれで。わざわざ来てくださったのに慌ただしくてごめんなさい」
「とんでもない。こちらこそ突然すみませんでした」
「いえ。お元気そうで良かったです。あなたのことは私もずっと彼から聞いていたので」
ハキハキした口調でニコリと言われる。快活な女性の印象そのものであるのだが、まさか犯罪者を秒で取り押さえるような人にはとても思えない。
工藤さんが仕事の呼び出しを受けたのは今しがたのこと。
紅茶一杯が出てきただけでロクに口もつけていない。けれども注文した分の紙幣がそれとなくテーブルに置かれた。
「せっかくなので赤川さんはごゆっくり」
「あの、せめてここは俺が……」
「ありがとう。お気持ちだけ頂きますね」
「あ……はい」
それだけ言い残して去っていった。愛想がいいのにキリッとしいる。後ろ姿に隙はない。
あれが本物の刑事さんか。刑事ドラマで見る刑事さんより数百倍はカッコイイ。カッコいい人がカッコよく店から出ていくのをここから目で追った。
丸テーブルへとゆっくり視線を戻せば、今度は榊さんから席を促されて再びその場で腰を下ろした。
店に入っておいてタダで居座るわけにもいかないから俺もホットティーだけ注文してあった。見下ろすカップの中身の赤茶色は、俺の動作に合わせて少しだけユラユラ揺れている。
「すみません、本当に邪魔してしまって……」
「いえいえ。真紀さんはいつもあの感じですから」
「刑事さんてやっぱり忙しいですよね」
「休みはあってないようなものですね。現場仕事よりデスクワークに時間取られるってよく言っています」
「へえ……」
工藤さんが刑事一課に配属になったのは三年前のことだそうだ。考えるまでもなく優秀な人なのだろう。人生で刑事さんに助けられる瞬間を経験するとは思っていなかった。
あの日は結果として仕事をしてくれたわけだが、二人が俺の部屋を訪ねてくれたのは純粋な親切心だったに違いない。小銭しか入っていないような、小さな財布を届けるために。
そんな工藤さんと待ち合わせていた榊さんを疑って、パニクって逃げ惑った間抜けな男が俺なわけだが。
「…………」
分かっている。その件については話すべきでない。それだけは心の内にしまっておかねば。なんでもかんでも正直であればいいってもんじゃないのがこの世の中だ。
残念ながら俺たちは単純きわまりない動物ではなく、時として知らない方がいい真実もある。相手を尊重する気持ちがあるならなおさら飲み込んでおくべきことだが、しかしその相手が善人であればあるほど、黙っているのは、自分が苦しい。
大昔の人類はこの感情に的確な名前を付けた。罪悪感。罪の意識だ。
これを一人で抱えるくらいなら、むしろ積極的に怒られに行く場合すらある厄介な感情。
「あの……」
そんなものを自分の中にじっとり封印しておけるほど、俺はできた人間ではない。
「そうでしたか……」
そして罪悪感に負けた。自分が楽になる道を選んだ。
躊躇いつつもまっさらに白状。実のところあなたがストーカー犯なんじゃないかとちょっとだけ疑っていましたごめんなさい。
そんな告白をされた方はたまったもんじゃないだろう。ストーカー犯どころか救世主だったこの人は一瞬程度ポカンとし、なんとも言えない表情で苦笑いして、かと思えばどういうわけか、徐々に深刻そうな顔になっていく。
「……ではあれは、そもそも僕が原因だったんですね」
「っとんでもない! 決してそういうことではッ……」
「いえ。思い返してみれば確かに軽率でした。あの時はあなたをお見かけしてつい、深く考えずに声をかけてしまって」
ごめんなさいを言いたいがために白状した。それがなぜか、反対に申し訳なさそうな顔をされている。
「怖がらせるような真似をして本当にすみませんでした」
「そんな……俺が勝手にその、失礼な誤解を……」
さらに元々の原因を辿って行きつくのは鍵を閉めなかった俺自身。なのに、謝られた。なぜこうなるんだ。困った。土下座くらいすべきは俺だろうに。
なんの罪もない人、いやそれどころか、善意に満ち溢れている人を。あろうことかストーカー犯扱い。
「……すみません」
「赤川さんは何も悪くないですよ。理由も分からないまま長いこと被害に遭っていたんですから周りを疑うのも仕方ありません」
慈愛の精神百パーセントの穏やかな表情を向けられる。天使。神か。都会にこんな人がいるのか。
顔見知りの花屋の店員に気遣いを示してくれるような人に、疑惑なんて持ったことがただひたすら心苦しい。
「僕は花屋さんでいつも赤川さんにばかりお願いしていましたし、ああいうのも怪しく見られて当然だと思います」
「そんな……」
「実際ここしばらく気になってはいたんです。ずいぶん疲れているように見えたので、もしかして何か困っているんじゃないかと」
「あ……」
ならばあの時の大丈夫ですかは、やっぱり。花屋のカウンター越しに聞かれた。ぼんやりしている店員への嫌味には全く感じなかった。
気をつかってそう言ってくれた榊さんは、なぜかまた申し訳なさそうに小さく笑っている。
「どうしても職業がらと言いますか、何かとご事情のある方々とお会いすることが多いもので」
「職業……?」
「家裁調査官をしてまして」
「……かさい……?」
「家庭裁判所の職員です。そうですね……記録係のようなものでしょうか」
「はぁ……」
いまいちピンと来ていない俺のため、家庭裁判所が下す判断のための調査をする仕事だと説明してくれた。
家庭裁判所が扱う法律問題は大きく分けて二種類あり、一つは家庭内などで起こったトラブルの家事審判、もう一つは未成年が犯した少年事件だ。
たとえば親の離婚問題に挟まれた子供の面談だったり、法に触れることをした少年少女の動機や生活環境の把握だったり、バックグラウンドの確認作業から最適解の検討までを一貫して行ったうえで裁判官に報告する。裁判官はこの報告に基づいて判断を行うことになるが、少年事件だと場合によっては処分決定の前に様子見の期間を設けるそうだ。これを試験観察と言って、その期間中の援助や指導なども調査官の役割だと言う。
格好からしてきちんとした職業の人だろうと思ってはいたが、想定以上にきちんとしていた。
そういえば以前にチラッと、少年事件の記録の廃棄問題がどうのとかいうニュースを聞いたことがあったかもしれない。榊さんはその記録をまとめる役割の人のなのか。
これまでは関心を示すどころか見向きもしなかった社会問題だ。けれども身近な人が関わっているなら話は違う。
こんな一生懸命な人がせっかく作った記録を簡単に廃棄しちゃうとは何事か。どうなってんだよ、大丈夫かこの国。
「難しいお仕事なさってるんですね……」
「僕はまだまだ学ぶことばかりです」
丁寧な謙遜でにこやかに返ってきた。榊さんはこうやって親しみを感じさせてくれるが、家庭裁判所という機関は一般的に身近とは言い難い。
高校時代にダチから聞いたそいつの兄貴についての話で、原付を取った三ヶ月後に人身事故を起こしてしまい、双方とも怪我は軽度で済んだものの家裁から初心運転者講習の通知が送られて来たそうだ。
同じクラスのダチの兄貴にはそんな過去があったけれども、裁判所なんて大多数にとっては縁もゆかりもない場所だろう。
しかし中には事情のある人もいる。俺みたいに何不自由のない生活をしている人間にとっては、想像が難しいような環境もある。
そういう人たちの話を聞くのが榊さんのしている仕事だ。誰かと日々深く関わるこの人は、俺のことにも気付いてくれた。
「真紀さんにも職務上という面はあったかもしれませんが、あの日のことはきっと僕と同じです。あなたの様子を見て放ってはおけなかったんだと思います」
工藤さんに衝突しかけた俺がマンションに駆け込んだ後、その場に到着した榊さんは俺のことを聞いたらしい。今ここを若い男性が通らなかったかと。
そんな確認を彼女さん相手にしようと思うくらいには様子がおかしいように見えたのかもしれない。俺が落っことした小銭入れを手にしていた工藤さんも、同じような印象を受けたのだろう。
「だから来てくれたんですね……」
「僕一人ならそこまではできませんでした。あなたを訪ねてみようと言ったのは真紀さんなんですよ。落とし物の件もあったでしょうけど、昔から彼女のそういう勘は当たりますから」
現役警察官から見ればきっとあの時の俺は何かやらかした奴か、よくて挙動不審者か。怪しまれてもおかしくなかっただろうに、二人は心配して来てくれた。
「あ、ポストから勝手に部屋番号を確認したことは反省しています」
「それがなかったら確実に無事じゃありませんでした」
こちらが思わず笑ってしまえば同じようにして返されている。榊さんも工藤さんも、感謝される気などさらさらなかった。
それを思わせる笑顔をくれるが、感謝以外に何もしようがない。ありがとうとしか言いようがない。あの部屋まで来てくれたことも、俺の名前を、覚えていてくれたことも。
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