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174.疑惑Ⅳ
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「図書館」
「好きだな」
「あなたこそ」
「まあな」
「あそこなんか落ち着くし」
「周りに人がいても静かに過ごせる貴重な場所だ」
「地元のショボい図書館に比べて蔵書数が断然多いのも好き」
「分かる」
「おかげで目移りさせられるけど」
「目移りついでにお前もたまには物語を読め。情緒を鍛えろ」
「瀬名さんだって小説なんか読まねえじゃん」
「俺にはすでに情緒が備わってる」
「情緒備わってる人は小説読むんですよ」
すでに去年のことになる。とある金曜の夜、次の日の約束をした。
行き先は図書館。すぐ近くにある。静かで混雑からも逃れられて温度湿度も常に快適なそこは、俺達にとっての良好なデートスポットだ。
図書館に行こう。なんてことのない約束だった。行かなくても別に困りはしないような。
急ぎでもない。絶対に行かなきゃダメなわけでもない。それが図書館だ。テーマパーク行こうってんじゃない。
それでその翌日の土曜に、瀬名さんに仕事の電話が入った。相手がどの立場の人かは分からなかったが瀬名さんの応答の雰囲気からして目上の人のように思えた。すぐにでも対応してほしい旨を、言われていたようなのもなんとなく察した。
図書館か、仕事か。俺との約束か、上からの命令か。
簡単な二択だ。迷う余地はない。実際に瀬名さんは迷うことなく、俺と図書館に行く約束を取った。
「本当に良かったんですか……?」
バスを降りてから聞いてしまった。ヌケヌケと。今さらもいいとこだ。図書館のすぐ近くまで来てようやく聞いても仕方がないけど、どうしても聞かずにはいられなかった。
嬉しいの半分。申し訳ないの半分。俺の罪悪感をぶっ飛ばすように、瀬名さんは当たり前のように答える。
「今日は休みだ」
「そうですけど……」
「そもそも今から出かけるって時に電話なんか出るべきじゃなかった。ごめんな」
「そんな、俺は全然……。相手の人は急ぎだったんじゃ……」
「やるべき事はやる。けど今はタイミングが悪い」
上からの命令を蹴り飛ばした男はまたしても当たり前のように言った。
務めは果たすが今はタイミングが悪い。先に俺と約束していたから。
「……図書館なんていつでも行けるのに」
「ただの図書館じゃねえ」
「ただの公立図書館ですよ」
「遥希と今日行く公立図書館だ」
ピタッと口を閉じることになった。明らかな特別扱いに、申し訳ないの半分。嬉しいのも半分。それから少々の優越感も。
黙り込んだ俺を見て、瀬名さんはふっと笑った。
「惚れ直したか」
「…………別に」
「俺も愛してる」
「そんなこと言ってない」
長引く残暑のせいで顔は熱かった。足を踏み入れた広い図書館の中が、涼しかったのは幸いだ。
***
ほんの半年前のことだ。あの時の瀬名さんは迷わず俺を取ってくれた。一番にしてもらえて、嬉しくなるなという方が無理だ。
でも今回はそうならなかった。瀬名さんが選んだのは俺じゃない。
本当は今日、どこに行くつもりだったのだろう。知らない。だって、連れて行ってもらえなかった。スマホが鳴って、瀬名さんは俺をうかがいながら応じ、そして急用の方を取った。
その急な用件というのは、仕事とは関係なかったようだが。
どう考えてもあれは仕事ではない。仕事と考えるにはあまりにも無理があった。しかしながら俺が見た光景以外に、裏切りを確信するものがないのも事実。
目にしたものだけが、見たもの全てが、真相じゃない事はよくある。生き物が見通せるのは視界に入る範囲の何かだけ。裏側がどうなっているかは分からない。第一あの人に限って、そんなこと。
しつこく自分に言い聞かせた。そのたびに、昼間の光景が頭をよぎった。
ざわつく内心を抱えながら、壁掛け時計を見上げること数回。六時を過ぎた頃になってようやく、玄関で解錠音が響いた。
その音を耳にするなり慌てて振り向き、そのまま駆け寄ったホールのドアの前。勢いでドアノブに手をかけて、けれど開くのはいったん待った。息をついて落ち着いてからガチャリと静かにそこを開ければ、瀬名さんが目の前で足を止めた。
パチリと絡んだ視線。気まずそうな顔に、俺には見えた。思い過ごしだろうか。
感情を置き去りにして、ただ口だけを無理やりに開いた。
「お帰りなさい」
「……ただいま」
「おつかれさまでした」
「…………」
おつかれさま。それには、答えないんだ。答えないのか、答えられないのか。
二人でダイニングに入るのも、軽く言葉を交わすのもいつも通り。けれど遥希と、控えめに俺を呼んだこの人の目を、きちんと見られなくなった事はいつも通りとは少し違った。
「今日は本当に悪かった」
「大丈夫ですよ。さっきまで俺も出掛けてましたから。ちょうど浩太も暇してたみたいで」
「そうか……」
「ええ」
瀬名さんは嘘をつかずにただ黙っていたが、俺は瀬名さんに今嘘を言った。
浩太は彼女といた。誰も捕まらなかった。だから出掛けた。そしたら見かけた。あなたが女といるところを。
俺がそう言ったらどんな顔をするだろう。慌てるだろうか。言い訳するだろうか。
もしも焦った顔をされたら、その瞬間に疑惑は事実になってしまう。無理だ。そんな顔だけは、見たくない。
玄関で鍵が開くまでずっとハラハラとして落ち着かなかった。今どこにいるのか、何をしているのか、思えば思うほど嫌な考えが浮かぶ。
出掛けて行った時と全く同じ服装で帰ってきた瀬名さんを見て、当然の事なのに思わず安堵した。乱れたふうも直した様子もない。それにホッとして、今もまたその格好をわずかな程度だけ振り返り、しかし顔は直視できない。
不自然に、目を逸らしてしまった。そのまま上に広がらずにいた俺の視界には、白い紙袋が入り込んでくる。
「詫びにもなんねえが……」
申し訳なさそうに差し出されたそれ。小さくてシンプルだが、どこか可愛い贈り物。
今日のお土産を受け取った。これだっていつものこと。瀬名さんはいつも俺に何かをくれる。俺が好きなものを選んでくる。
普段通りの事なのに、ご機嫌取りかと。一瞬でもそんなふうに思ってしまって、指先に少し、力が入った。
「……どうも」
コート紙の固い紙袋は、力の加減によって微かに歪む。
いつもみたいにしよう。自然にしよう。思うけど、できない。変にぎこちない。俺はいつもどんな反応をしていたか。
お菓子の箱をもらったらすぐ、その場で開ける。美味そうって叫んで、そうすると瀬名さんはやわらかく笑う。
今夜もこの人は笑うだろうか。俺が喜べば、それ以上に喜ぶのだろうか。さっきまで別の誰かと、いたくせに。
「遥希……」
「ご飯作りますね」
紙袋の中身は取り出せなかった。コトリと、ダイニングテーブルにそっと置いて、代わりに表情だけは取り繕った。
「今日はピーマンの肉詰めですよ。今から用意するので待っててください」
「……ああ」
これはいつも通りだったか。いつも通りに喋れていたか。作った表情は嘘くさかっただろうか。
そこまで細かく考えるせいで、指先を動かすのさえぎこちない。
手を洗に行った瀬名さんが、ドアから出ていく姿を見てようやく重苦しい溜め息がひとつ。
見慣れているはずなのに、あの顔を見ていると緊張する。自分が明るい人間とは程遠いのは理解しているが、ここまで陰湿だったとは。
瀬名さんが俺との約束をキャンセルするのは初めてだった。無理な約束はしない人だ。代わりに一度した約束は必ず守る。
図書館の約束ですら守ってくれた。あんな、いつでも行けるような、なんてことのない目的地だろうと。俺を二番目にすることは決してなかった。必ず一番に、優先されてきた。
陰湿なだけじゃない。傲慢だ。ずっと大事にされてきたから、いつの間にか付け上がっていた。
見知らぬ女の人といた。何度も何度も頭に過ぎる。昼間見た光景。あの人がいた場所。あの人が、一緒にいた人。
あれは誰だ。あのマンションはなんだ。あの場所で、あの人と何をしていた。
二人で並んでいる姿に違和感なんて全くなかった。あの二人を見たら誰だってきっとこう言う。お似合いだと。羨ましいって。
「…………」
瀬名さんに限って。あの人に限って、それはない。絶対にない。
そう思うなら、そう思いたいなら、いっそのこと聞いてしまえばいい。もしかしたら本当にただの俺の勘違いかもしれない。瀬名さんの顔を見間違えない自信はあっても、その他は何か見間違えたかもしれない。お前の誤解だと、そう言って笑って、なんでもない事にようにあの光景の経緯を話してくれるかもしれない。
間違いだった。俺の勘違いだ。それを確かめる。簡単なことだ。
その簡単な事をするために、なんて聞けばいいだろう。どういうふうに聞いたらいい。
ずっと会社の中にいたんですか。外に出かける予定はありましたか。一人でいましたか。仕事相手とですか。それとも、俺の知らない女といましたか。
「…………」
洗面所から水道の音がキュッと消えた。
瀬名さんが戻って来る前にまな板を見下ろす。今度こそ不自然にならないように。
女といましたか。陰湿どころじゃない。そんな事を聞いてどうする。
そんな、自分でもうんざりする程ひどく嫌味ったらしい聞き方。そんな嫌な聞き方をして俺はあの人に、何を言わせたい。
「好きだな」
「あなたこそ」
「まあな」
「あそこなんか落ち着くし」
「周りに人がいても静かに過ごせる貴重な場所だ」
「地元のショボい図書館に比べて蔵書数が断然多いのも好き」
「分かる」
「おかげで目移りさせられるけど」
「目移りついでにお前もたまには物語を読め。情緒を鍛えろ」
「瀬名さんだって小説なんか読まねえじゃん」
「俺にはすでに情緒が備わってる」
「情緒備わってる人は小説読むんですよ」
すでに去年のことになる。とある金曜の夜、次の日の約束をした。
行き先は図書館。すぐ近くにある。静かで混雑からも逃れられて温度湿度も常に快適なそこは、俺達にとっての良好なデートスポットだ。
図書館に行こう。なんてことのない約束だった。行かなくても別に困りはしないような。
急ぎでもない。絶対に行かなきゃダメなわけでもない。それが図書館だ。テーマパーク行こうってんじゃない。
それでその翌日の土曜に、瀬名さんに仕事の電話が入った。相手がどの立場の人かは分からなかったが瀬名さんの応答の雰囲気からして目上の人のように思えた。すぐにでも対応してほしい旨を、言われていたようなのもなんとなく察した。
図書館か、仕事か。俺との約束か、上からの命令か。
簡単な二択だ。迷う余地はない。実際に瀬名さんは迷うことなく、俺と図書館に行く約束を取った。
「本当に良かったんですか……?」
バスを降りてから聞いてしまった。ヌケヌケと。今さらもいいとこだ。図書館のすぐ近くまで来てようやく聞いても仕方がないけど、どうしても聞かずにはいられなかった。
嬉しいの半分。申し訳ないの半分。俺の罪悪感をぶっ飛ばすように、瀬名さんは当たり前のように答える。
「今日は休みだ」
「そうですけど……」
「そもそも今から出かけるって時に電話なんか出るべきじゃなかった。ごめんな」
「そんな、俺は全然……。相手の人は急ぎだったんじゃ……」
「やるべき事はやる。けど今はタイミングが悪い」
上からの命令を蹴り飛ばした男はまたしても当たり前のように言った。
務めは果たすが今はタイミングが悪い。先に俺と約束していたから。
「……図書館なんていつでも行けるのに」
「ただの図書館じゃねえ」
「ただの公立図書館ですよ」
「遥希と今日行く公立図書館だ」
ピタッと口を閉じることになった。明らかな特別扱いに、申し訳ないの半分。嬉しいのも半分。それから少々の優越感も。
黙り込んだ俺を見て、瀬名さんはふっと笑った。
「惚れ直したか」
「…………別に」
「俺も愛してる」
「そんなこと言ってない」
長引く残暑のせいで顔は熱かった。足を踏み入れた広い図書館の中が、涼しかったのは幸いだ。
***
ほんの半年前のことだ。あの時の瀬名さんは迷わず俺を取ってくれた。一番にしてもらえて、嬉しくなるなという方が無理だ。
でも今回はそうならなかった。瀬名さんが選んだのは俺じゃない。
本当は今日、どこに行くつもりだったのだろう。知らない。だって、連れて行ってもらえなかった。スマホが鳴って、瀬名さんは俺をうかがいながら応じ、そして急用の方を取った。
その急な用件というのは、仕事とは関係なかったようだが。
どう考えてもあれは仕事ではない。仕事と考えるにはあまりにも無理があった。しかしながら俺が見た光景以外に、裏切りを確信するものがないのも事実。
目にしたものだけが、見たもの全てが、真相じゃない事はよくある。生き物が見通せるのは視界に入る範囲の何かだけ。裏側がどうなっているかは分からない。第一あの人に限って、そんなこと。
しつこく自分に言い聞かせた。そのたびに、昼間の光景が頭をよぎった。
ざわつく内心を抱えながら、壁掛け時計を見上げること数回。六時を過ぎた頃になってようやく、玄関で解錠音が響いた。
その音を耳にするなり慌てて振り向き、そのまま駆け寄ったホールのドアの前。勢いでドアノブに手をかけて、けれど開くのはいったん待った。息をついて落ち着いてからガチャリと静かにそこを開ければ、瀬名さんが目の前で足を止めた。
パチリと絡んだ視線。気まずそうな顔に、俺には見えた。思い過ごしだろうか。
感情を置き去りにして、ただ口だけを無理やりに開いた。
「お帰りなさい」
「……ただいま」
「おつかれさまでした」
「…………」
おつかれさま。それには、答えないんだ。答えないのか、答えられないのか。
二人でダイニングに入るのも、軽く言葉を交わすのもいつも通り。けれど遥希と、控えめに俺を呼んだこの人の目を、きちんと見られなくなった事はいつも通りとは少し違った。
「今日は本当に悪かった」
「大丈夫ですよ。さっきまで俺も出掛けてましたから。ちょうど浩太も暇してたみたいで」
「そうか……」
「ええ」
瀬名さんは嘘をつかずにただ黙っていたが、俺は瀬名さんに今嘘を言った。
浩太は彼女といた。誰も捕まらなかった。だから出掛けた。そしたら見かけた。あなたが女といるところを。
俺がそう言ったらどんな顔をするだろう。慌てるだろうか。言い訳するだろうか。
もしも焦った顔をされたら、その瞬間に疑惑は事実になってしまう。無理だ。そんな顔だけは、見たくない。
玄関で鍵が開くまでずっとハラハラとして落ち着かなかった。今どこにいるのか、何をしているのか、思えば思うほど嫌な考えが浮かぶ。
出掛けて行った時と全く同じ服装で帰ってきた瀬名さんを見て、当然の事なのに思わず安堵した。乱れたふうも直した様子もない。それにホッとして、今もまたその格好をわずかな程度だけ振り返り、しかし顔は直視できない。
不自然に、目を逸らしてしまった。そのまま上に広がらずにいた俺の視界には、白い紙袋が入り込んでくる。
「詫びにもなんねえが……」
申し訳なさそうに差し出されたそれ。小さくてシンプルだが、どこか可愛い贈り物。
今日のお土産を受け取った。これだっていつものこと。瀬名さんはいつも俺に何かをくれる。俺が好きなものを選んでくる。
普段通りの事なのに、ご機嫌取りかと。一瞬でもそんなふうに思ってしまって、指先に少し、力が入った。
「……どうも」
コート紙の固い紙袋は、力の加減によって微かに歪む。
いつもみたいにしよう。自然にしよう。思うけど、できない。変にぎこちない。俺はいつもどんな反応をしていたか。
お菓子の箱をもらったらすぐ、その場で開ける。美味そうって叫んで、そうすると瀬名さんはやわらかく笑う。
今夜もこの人は笑うだろうか。俺が喜べば、それ以上に喜ぶのだろうか。さっきまで別の誰かと、いたくせに。
「遥希……」
「ご飯作りますね」
紙袋の中身は取り出せなかった。コトリと、ダイニングテーブルにそっと置いて、代わりに表情だけは取り繕った。
「今日はピーマンの肉詰めですよ。今から用意するので待っててください」
「……ああ」
これはいつも通りだったか。いつも通りに喋れていたか。作った表情は嘘くさかっただろうか。
そこまで細かく考えるせいで、指先を動かすのさえぎこちない。
手を洗に行った瀬名さんが、ドアから出ていく姿を見てようやく重苦しい溜め息がひとつ。
見慣れているはずなのに、あの顔を見ていると緊張する。自分が明るい人間とは程遠いのは理解しているが、ここまで陰湿だったとは。
瀬名さんが俺との約束をキャンセルするのは初めてだった。無理な約束はしない人だ。代わりに一度した約束は必ず守る。
図書館の約束ですら守ってくれた。あんな、いつでも行けるような、なんてことのない目的地だろうと。俺を二番目にすることは決してなかった。必ず一番に、優先されてきた。
陰湿なだけじゃない。傲慢だ。ずっと大事にされてきたから、いつの間にか付け上がっていた。
見知らぬ女の人といた。何度も何度も頭に過ぎる。昼間見た光景。あの人がいた場所。あの人が、一緒にいた人。
あれは誰だ。あのマンションはなんだ。あの場所で、あの人と何をしていた。
二人で並んでいる姿に違和感なんて全くなかった。あの二人を見たら誰だってきっとこう言う。お似合いだと。羨ましいって。
「…………」
瀬名さんに限って。あの人に限って、それはない。絶対にない。
そう思うなら、そう思いたいなら、いっそのこと聞いてしまえばいい。もしかしたら本当にただの俺の勘違いかもしれない。瀬名さんの顔を見間違えない自信はあっても、その他は何か見間違えたかもしれない。お前の誤解だと、そう言って笑って、なんでもない事にようにあの光景の経緯を話してくれるかもしれない。
間違いだった。俺の勘違いだ。それを確かめる。簡単なことだ。
その簡単な事をするために、なんて聞けばいいだろう。どういうふうに聞いたらいい。
ずっと会社の中にいたんですか。外に出かける予定はありましたか。一人でいましたか。仕事相手とですか。それとも、俺の知らない女といましたか。
「…………」
洗面所から水道の音がキュッと消えた。
瀬名さんが戻って来る前にまな板を見下ろす。今度こそ不自然にならないように。
女といましたか。陰湿どころじゃない。そんな事を聞いてどうする。
そんな、自分でもうんざりする程ひどく嫌味ったらしい聞き方。そんな嫌な聞き方をして俺はあの人に、何を言わせたい。
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