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異世界_転生
しおりを挟む2027/08/09
俺の名前は鈴木 タケル(すずき たける)。
現在就職活動中の大学生だ。
朝の支度をしているとメールの通知が一通……。
毎日メールで就職先からのメールが止まない。
こんな憂鬱な日々が続くのが非常に辛い。
でも俺は至って平凡な日々を暮らしている。
この生活には特に困っていない。
だが……俺の学校には。
「カップル」が大量発生している……!!
至る所見渡せば男女がイチャイチャベタベタ……!!!
見てて虫酸が走る。それと同時に少し羨ましい気持ちにもなる俺がいる。
そう、俺は彼女いない歴=年齢。要するに女との接し方が分かってない【童貞】だ。
「はぁ。学校行くか……」
しばらく歩いていると見慣れた道路に辿り着く。
メールを見ながら歩いていると目の前に黒猫が通り過ぎて行った。
「朝一から嫌なもん見たな……」
黒猫を目で追いかけ前を見ると非日常な事が起きていた。
響き渡るクラクションと共に目の前に大型のトラックが走ってきていた。
「……っはぁ!」
目が覚めると周りには暗闇が広がっていた。
「ここは……?つか、俺は……??」
何が起きたか整理がついてない。起き上がり見渡すも何も無い。
それと同時に俺は嫌な言葉が思い浮かんだ。
「……死、死んだ?俺……死んだのか……?!」
「鈴木タケル様、お目覚めですか」
後ろを振り向くとそこには頭に輪っかがついた女性が空からふわりと降りてきた。
「……だ、誰だあんた。俺はどうなった!?」
「大型トラックに引かれて即死。残念です」
少しの間沈黙が続いた。
俺はふと思った疑問を女性に問いかける。
「じゃ、じゃあ俺はなんで今ここにいるんだ……?」
「あなたにはとある村を救ってもらいたく再臨させて頂きました」
再臨?ゲームでしか聞いたことないぞ……そんなの。
「…えーっと…ある世界ってなんだ?」
「フルトロンという現在魔王に狙われている村です」
フルトロン……。要は異世界ってことか?
死んだことによって就職活動やカップルなどの嫌なことが全部忘れれるということか……!!
俺はすんなり受けいれ女性に問いかける。
「要件は分かった、でもなんで俺なんだ?他にいたろ、俺より強そうなやつとか」
「就職活動中でしたよね。鈴木様」
「え、あぁ……」
「就職先、決まりましたね」
「就職先は魔王討伐の勇者って事か……?」
「はい♪おめでとうございます!」
沈黙が続く。
俺はなんか無性にこの女性を殴りたくなった。
「死んでもまだ就活かy」
「では!フルトロンに召喚します!!」
女性は指パッチンをし、俺の足元に魔法陣を出す。
「人の話聞け!!待ておい!能力とかは!?」
女性は俺に指を指しこう言った。
「あるじゃないですか!取っておきの武器が!」
~フルトロン~
路地裏の空中から魔法陣が出るとそこから俺はドサッと落ちた。
「痛ってぇ……!ったく……んぉ?」
路地裏から見える景色は日本とは全く違う景色だった。服装も雰囲気も何もかも。
だが、一つだけ何か違和感があった。
「言語……が聞こえる?!」
異世界なのに会話が全て分かる。路地裏にあったチラシも文字が全て読める。なんでだ!?
ガサッと手の下から音がし、確認すると折りたたみの紙が挟まれていた。
開けて読むとあの女性と思わしき人物から、手紙がいつの間にか握らされてあった。
(言語は魔法陣を召喚した時に分かるようにしました!)
「…紙じゃなくて言えよ…」
紙をポッケに入れると、立ち上がって路地裏を出る。
さて、どうしたもんかな。
魔王討伐って言っても何から進めたらいいのやら…。
考えていると後ろからハゲのゴツイおっちゃんが話しかけてきた。背中にデカい剣を持っている。
「よぉ、兄ちゃん!見ねぇ顔だな!」
剣とか初めて見たし、後ろにはパーティと思わしき人達がたくさんいた。
俺は少し引き気味で返した。
「あ、えーっと……今来たばかりで」
「ねぇバロン、あんたの見た目がこの子を怖がらせているわよ」
後ろにいた杖を持った女性がハゲに言った。
「ガッハッハ!!兄ちゃん怖がらなくていいぜぇ!ここフルトロンは平凡で落ち着いている村だぜ!」
1番うるさいハゲが1番落ち着いてない。
「ま、また会ったら話そうや!じゃあな!」
肩を叩かれ3人ほどのパーティは通っていく。
ガチャガチャと音を鳴らしながら狩ったであろう獲物をズルズルと引きずっていった。
俺はその時ふと思った。
「そうか、パーティ……!いやでも……俺の能力とかも把握しなきゃな」
~集会所~
剣とか持った人達がこっちに行くのを見て来てみたが……。ここが集会所ってやつか。
「……まずは……入会的なあれか」
集会所に入るとテーブルで話し合う人達や、任務依頼の紙を見るパーティ等が山ほどいた。
「おかえりなさ……あれ?見ない顔ですね」
集会所のお姉さんがこちらに来て話しかけてきた。
「えっと……入会とかって出来ます?」
そう言うとお姉さんは笑顔で対応する。
「はい!できますよ~!こちらにどうぞ~」
紙を渡され記入する形。病院かここは。
「スキルは何なのかって知らねえ……。不明っと」
2分程で書き終わりお姉さんに提出をする。
お姉さんは不思議そうな顔で紙を見て質問してきた。
「お兄さん、スキルが分からないんですか?」
「えぇ、まぁ。未だに謎っすね……はは」
俺は頭を掻きながら苦笑いをする。
お姉さんは紙を俺に返し、対応をしてきた。
「スキルが分かり次第またお越しください!すみませんが分からない人は任務依頼等は受けれないんです」
「……まぁそうですよね。分かりました」
俺は紙を持ち集会所を後にする。
大きいため息をつき、これからどうするかを考えた。
「あ、あの。」
後ろから俺と同じぐらいの女性が声をかけてきた。
周りに人がいないことを確認する。
「俺になにか……?」
久しぶりに同い年の女性と喋るため少し緊張する。
「入会、初めてですよね。えっと……その……」
この女性も俺と同じタイプか?俺は内心ドキドキしながら彼女が喋るのを待った。
「わ、私とパーティ組んでくれませんか……?!」
「……え、俺と?」
「はい!私も実は初めてで……」
……急展開すぎる。
「ま、待ってくれ、俺は能力とかまだわかんねえし」
「親にパーティを組んで来いと言われたんです!!」
……あーなるほど。これ逃げれんやつだな。
「俺は能力が不明だ。もし弱かったら君に申し訳ない。俺の能力が分かってから決めてくれないか?」
俺は提案するが彼女の目は絶対に組みたいって目をしている。
何を言っても多分逃げれないやつだ。
「……えっとあんたの能力とかって」
すると彼女は目をキラキラさせペラペラと喋り始めた。
「私の能力は身体強化です!対象の人物の運動神経をぐんと上げるんです!!」
それを聞くと俺は少し羨ましいと思ってしまった。
「割といい能力……。ちょっと欲しいな」
「本当ですか!?嬉しいです!」
彼女は笑顔を見せ喜んでいた。ウキウキしている。
彼女はこちらに近づき自己紹介を始めた。
「私はクロエ・ゾエラです!ゾエラでいいですよ!」
咄嗟に俺も自分の名前を喋った。自己紹介するのも就活を思い出してしまいちょっと詰まる。
「お、俺は鈴木タケル。よろしくな」
ゾエラは悪い奴ではないと思いつつも手を出し握手する。
「あ、えっと……パーティの件は?」
モジモジしながらゾエラは聞いてくる。
「仮でいいか?もし俺の能力が弱かったら抜けてもいいし使えると思ったら正式で構わないぜ」
そう言うとゾエラは顔をパァっと笑顔になり、俺に元気いっぱいに返事をする。
「どんな能力でもパーティです!仲間です!!」
~始まりの平原~
ゾエラと俺は入会していなくても入れる平原フロアに来た。あちこちに練習しているパーティなどがいた。
「……まずはどうすっかなぁ……」
俺は能力を発動するのにどうすればいいか考える。
「なぁ、ゾエラ。ゾエラはどうやって能力出した?」
俺は能力で遊んでいるゾエラに聞いた。
「私ですか?私はふん!!って踏ん張ったらなんか出来ましたよ!」
「聞く相手間違えたわ」
周りを見渡すと能力を発動している冒険者達がたくさんいた。
前を見ると初心者の冒険者達がこちらに逃げてくる。
「ん?なんだ?なんでこっちに逃げてきて……」
「タ……タケル君!初心者狩りですよ!」
ゾエラは俺の手を引っ張り逃げようとする。
「待てゾエラ、いい機会だ。俺の能力がなにか分かるチャンスだ」
俺はそう言うとゾエラはきょとんとした顔で俺を見る。
「ひゃっはぁ!おい逃げねえ初心者がいるぜぇ!」
輩が3人ほどこちらに向かってくる。いかにもヤバいやつだって分かる。
周りの初心者達は次々と逃げていく。
……待ってすげえ怖い。なんで俺かっこつけたんだよ!!
ゾエラごめん。俺死んだかも。
「おい、お前本当にレベル1じゃねえか?」
輩の1人が俺に顔を近づけそう言った。
「そこの女もだぜぇ!!なぁ、俺のパーティに来ねえか?」
ゾエラは俺にしがみつき、涙目になっていた。
ちっ、一か八か……。俺の能力が弱かったら即終了だ……!
ゾエラはしがみついている俺に能力を発動していた。
「能力が出なかったらこれで逃げて下さい……!!」
相手に聞こえない小声でゾエラは俺に言った。
コクっと頷き、ゾエラを見る。
「さぁ!経験値少ねぇけど貰うぜぇ!!」
持っていた金棒を俺に振り落とす。ゾエラは目を瞑り俺は能力を発動することに精一杯だった。
その時俺はある言葉を思い出した。
『あるじゃないですか!取っておきの武器が!』
『私ですか?私はふん!!って踏ん張ったらなんか出来ましたよ!』
一か八か……!!
「出ろ!!俺の能力!!」
ふんっと踏ん張ると俺の頭に金棒がぶつかる。
するとパキパキと金棒が壊れ始める。最後には粉々に砕け散った。
ゾエラ含め逃げていた初心者や輩達も驚く。
「ん?あれ、あんた金棒は……?」
俺は何が起きたか分かっていない状態だ。
「て、てめぇ……!!俺の金棒を壊したな!!!」
輩は俺をぶん殴ってくるが俺はビクともしなかった。
「……は……??」
ようやく俺も理解した。俺の能力は何かがおかしい。
ゾエラの身体能力向上だけではこんなのは起きない。
「な、なんだこいつ……!!」
「タケル君……の能力……!?」
輩はもう一度殴ってきたが俺はゾエラを庇い輩の殴りを受け殴り返す。
「がっはぁ!?」
少し殴っただけで30m程ぶっ飛んで行った。
「な……なにが!?」
俺は自分の拳を見る。見た目は何も変わっていない。
そこにいた全員は驚きの声を上げた。
「この殴りはゾエラの能力……か?」
ふるふるとゾエラは首を横に振る。
……じゃ、じゃあ俺の……!?
「能力の詳細はわかんねえけど……脳筋な能力だな」
俺は残り2人の輩を見ると2人は逃げていった。
「タケル君、その能力は……?」
ゾエラは俺に不思議そうに聞いてきた。
「分かんねえから紙に脳筋って書いておくか……」
俺はもう分からないので変な結論に至った。
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