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最強者_依頼
~フルトロン 集会場~
「バ、バロンさん?」
「ここでは話せねえ。来てくれるか?」
俺は何が始まるのか、何を話されるのか……分からなかったが、受け入れる覚悟をし頷いた。
するとバロン達は集会場を後にし出て行った。
いつも俺達と出会ったら笑って接してくれるバロン。
そんな楽観的でフルトロンの代表が……悲しい顔をしていた。
ゾエラとガルドは俺を見る。彼女達も覚悟は出来ていた。
~バロン達の宿~
時間はもう21:00になろうとしていた。
「座ってくれ」
リビングに案内され、俺達はソファーに座った。
ロイがお茶を入れに台所に向かっていった所でバロンは口を開いた。
「単刀直入に言う。ウィドウを探してくれねえか?」
「ウィドウさんを……!?」
俺はその時、ウィドウが再び俺に戦いを挑んできたのを思い出した。
考え直して頭を冷やしたと思っていたが……。
「俺達、一度ファステルで会っただろ?その帰った後に行方が不明になったんだ。こんな紙を残してな」
バロンはポケットから紙を取り出し俺たちに見せた。
(バロン、ロイ。ごめんなさい。私は冒険者を辞めようと思う。1度会ったスズキタケルという男に目を覚まさせて貰ったわ。)
冒険者を辞める……!?
俺はその時、戦う前に耳にした言葉を思い出した。
『もし私が負けたらバロンのパーティを脱退し冒険者を辞めるわ。』
有言実行しやがったのか……ウィドウさん……!!
「もしかして前の……?」
ゾエラが俺に悲しげな顔で話しかけてきた。
「……あそこでもう決意は固まってたんだ」
俺は紙をギュッと握り自分の弱さに腹を立てた。
「タケル、続きが書いておるぞ」
俺はガルドの言葉を聞き、紙の下の方を見る。
(どうせ辞めるなら、せめてもの償いとして魔王城に乗り込んで儚く散るとするわ。今までありがとう。私を拾ってくれてありがとう。バロン。)
その文章の下には涙の跡がうっすらと残っていた。
何やってんだよ……1人で戦おうとすんじゃねえよ……!
ロイがお茶を出し、俺達の答えを待っていた。
バロンは下を向いて、ロイは手を強く握り俺達に顔を見せずに震えていた。
こんな状況……こんなんでウィドウさんを死なせてたまるかよ!!
「依頼、受けます」
するとゾエラとガルドは緊張がほぐれたのか顔が緩くなり笑顔になった。
きっと俺が受けることを分かってたかのように。
「「ほ、本当か?!」」
バロンとロイ俺達を見て、驚いていた。
「こうなった責任は俺です……絶対助けます」
「私達に任せてください!」
「ワシは配下を蹴ったガルド様じゃから余裕じゃ!」
バロンは俺達を見て下を向きフッと笑い、ロイはそんなバロンを見て笑顔になっていた。
「お前ら最高だ。最高の冒険者だ!」
~バロン達の宿・玄関前~
「俺達は重要な任務があるから、兄ちゃん達に任せる」
バロンは俺の肩を叩き笑顔で言った。
「兄ちゃん。絶対に死ぬなよ」
「はい、任せてください」
バロンは健闘を祈り、俺たちを見送った。
「いい戦友を持ったよ。ロイ。」
「必ず助け出す目をしていたこの記憶は残すとするよ」
~フルトロン入口前~
「魔王城ってどこじゃ!」
俺をおんぶし走るガルドにそれを頑張って追いつこうとするゾエラ。
「おい!ゾエラ死にかけてんぞ!」
ゾエラの顔がもう凄いことになっていた。
「なんじゃ~ゾエラ。そんなんじゃワシに追いつかんぞ~?ワシの速さ舐めちゃいかんぞ~?」
「勝てるわけないよ……ハァハァ……」
めちゃめちゃ息切れているゾエラに対して、ガルドは腕を組み熱血教師みたいなことを言い出した。
「走れ!ヌシの力はそんなもんか!!!」
ハッと気付くゾエラ。目がメラメラしだし、立ち上がった。
「違うよ!もっと走れるよ私!!!」
……なんだこいつら。
「改めて聞くけど魔王城ってどこにあるんじゃ?」
「いや全くわからん。聞けばよかったな」
バロン達は現在最重要任務に行っている。
深夜で冒険者達は就寝、集会場も上級冒険者しか入れない。
完全詰みである。
「ウィドウ助けるって言ってたヌシが1番困ってるってどういうことじゃ……」
「と、とにかく!フルトロンを出て探してみよ!」
フルトロンを出たところで城がどこにあるかも分からないし……。
周りも夜で真っ暗だから見つける事さえ困難だ。
「ファステルに行くのはどうじゃ?」
「ガルド!それだ!」
ここからファステルまで片道6分程。走って集会場が空いてれば完璧だ!!
「ファステルはガルドちゃんを尊敬してるから入れてくれるかもしれないよ!」
ここでガルドの戦績が生きた……!
俺はガルドに抱っこしてもらい、すぐさまファステルに向かった。
~ファステル入口前~
「ボルザーク族のガルドじゃ!ここを開けてはくれんか?」
門番に交渉をするガルド。だが門番もすぐには通してくれない。
「すみませんが変装の可能性もあるのですぐには通せません。なにか身分を証明できるものがあれば……」
流石に口だけは無理か、じゃあもう直接……!
「魔王城の場所って何処にあるか知ってますか?」
タケルは切り出して門番に言った。
「……なぜ君達がそんな事を知りたがるんだ?」
「良いから教えてください!急いでるんです!」
俺は必死だった。次の言葉なんて考えてなかった。
一刻も早くウィドウさんを助けるためで必死だった。
「……そんな事教えるわけないだろう。危険すぎる」
門番はギラっと俺の方を見る。
「助けたい人がいるんだ!急がないと死んでるかもしれないんだよ!」
ゾエラとガルドは俺の方を見て悲しい顔をする。
「ダメだ、魔王城に行っていいのは村の代表しか行ってはいけない決まりがあるんだ。冒険者始めたての君達が行けるわけないだろう」
「その代表から依頼されてるんだよ!」
バロンはフルトロンの代表冒険者だ。魔王城に行ける権利がある代表冒険者はフルトロンを合わせ6つ存在する。
フルトロン・ファステル・チャルエ・ダイオース・アルミテル・エルザルの6つだ。
バロンパーティーにいたウィドウは魔王城の場所を知っている。
権利を使ったバカな行為を彼女は行っていたのだ。
「……証拠はあるのか?」
「ちっ……!」
怒りのボルテージがマックスになる寸前、ゾエラが声を荒らげて門番に怒鳴った。
「いい加減にして下さい!私達は覚悟してるんです!代表からの依頼なんてそうそうないんですよ!?」
門番は少し引きゾエラの圧に負けていた。
「私達はバロンさん達から"信用"されてるんです!」
完全に圧に負けた門番は尻もちを付いてわなわなしていた。
俺達にも伝わるこの威圧感はとても必死で…それでいて本気で助けたい気持ちが伝わってきた。
「ゾエラ……」
「これぐらい言わないと門番は破れません。さぁ!言ってください!」
負けを確信した門番は俺達に口を開く。
「魔王城の場所は教えるよ……ただしこの約束は守ってくれ」
「……なんだ?」
「この事は俺たちの秘密……そしてもう1つは死なないでくれよ?」
門番はそう言うと俺達は顔を見合わせニヤリと笑う。
「当たり前だ!俺達を舐めんなって!」
~魔王城 入口前~
「……遠っ!」
「仕方ないよ……魔王城なんだから……」
俺達は入口前にある草むらに隠れて様子を伺っている。
「のぅ、門番寝ておるのか?あれ」
入口前の門番がぐったりと床についている。
「寝てるか……もしくはウィドウにやられたか?」
「ワシにやってきた|気絶寝(スリープショック)って奴か?あれ割と寝るから可能性はあるのぅ」
ウィドウの攻撃を受けたガルドはうんうんと頷く。
すると魔王城の中から爆発音が聞こえてきた。
「……こ、この音って!?」
ゾエラは焦って俺に聞いてきた。
ウィドウさん……!!
「急ごう……爆発音が聞こえるってことは生きてる可能性が高い……!」
草むらから顔を出し入口から入った。
そこにはゴロゴロと転がっている手下達がいた。
「これ全部あのウィドウがやったのかのぅ?」
「気にしてる場合じゃない!行くぞ!」
~魔王城内部~
「貴様弱いな。フルトロンの代表とは聞いたが……」
仮面を被った黒マントの男が、ウィドウに近づく。
そこには既にボロボロで瀕死状態のウィドウがいた。
「うるさいわ……よ!」
杖も折れて魔法を使うスキルも限られている。
「かれこれ2時間以上経っているが……私に傷を付けたか?魔法使いよ。」
ズズっとどす黒いオーラを出す仮面男。
「四天王の2番目に強い私に負けるようでは魔王様に出会うことすら出来ない!」
どす黒いオーラは鋭利なナイフに変わり、ウィドウに向かって投げる。
「くっ……!」
ウィドウは魔法を使って防いだ。ナイフはオーラに変わり消えていった。
「しぶとい……何故こんな弱い冒険者が代表なんです?」
弱いと聞いたウィドウはピクっと眉間を動かす。
「うっ……あああぁぁああぁああ!!!!!!!!」
苛立ちが収まらないがその苛立ちを仮面男にぶつける事は出来なかった。
己の弱さに余計苛立ちを覚えるウィドウ。
侮辱される怒りと弱い自分に対する苛立ち。
感情がぐちゃぐちゃになりウィドウは泣いた。
「……くっ……動いてよ……動けよ!」
仮面男は同情する余地もなかった。オーラをナイフに変え再び刺そうとする。
「その感情を抱いたまま死になさい。弱き冒険者。」
するとウィドウは指パッチンをする。
仮面男はその光景を不思議そうに見る。
ゴオッと後ろから仮面男に槍魔法が飛んできた。
「なっ……!?」
仮面男の心臓に後ろからグサッと刺さる。
ニヤリと笑うウィドウ。だがその笑顔もすぐに絶望に変わった。
今のトラップも見通してたかのように、オーラで身を守っていた。
「こすい。」
再びナイフで瀕死状態のウィドウを刺そうとする。
「バロン、私……やれることは……やっ」
その時、2人がいる階層から爆音が聞こえた。
「……ちっ、今度はなんです!」
ウィドウは驚いていた。
「……私の魔法じゃない。バロン達が助けに……!?」
硬くて開きづらい扉をゾエラが殴って開けた。
「よぉ、魔王配下さん。随分と俺達の代表者を痛めつけたようだな」
聞き覚えのある声。見覚えのある顔。
ウィドウは安心したのか自然と涙が出ていた。
「こっからは俺達のターンだぜ」
24:15
魔王配下討伐開始。
「バ、バロンさん?」
「ここでは話せねえ。来てくれるか?」
俺は何が始まるのか、何を話されるのか……分からなかったが、受け入れる覚悟をし頷いた。
するとバロン達は集会場を後にし出て行った。
いつも俺達と出会ったら笑って接してくれるバロン。
そんな楽観的でフルトロンの代表が……悲しい顔をしていた。
ゾエラとガルドは俺を見る。彼女達も覚悟は出来ていた。
~バロン達の宿~
時間はもう21:00になろうとしていた。
「座ってくれ」
リビングに案内され、俺達はソファーに座った。
ロイがお茶を入れに台所に向かっていった所でバロンは口を開いた。
「単刀直入に言う。ウィドウを探してくれねえか?」
「ウィドウさんを……!?」
俺はその時、ウィドウが再び俺に戦いを挑んできたのを思い出した。
考え直して頭を冷やしたと思っていたが……。
「俺達、一度ファステルで会っただろ?その帰った後に行方が不明になったんだ。こんな紙を残してな」
バロンはポケットから紙を取り出し俺たちに見せた。
(バロン、ロイ。ごめんなさい。私は冒険者を辞めようと思う。1度会ったスズキタケルという男に目を覚まさせて貰ったわ。)
冒険者を辞める……!?
俺はその時、戦う前に耳にした言葉を思い出した。
『もし私が負けたらバロンのパーティを脱退し冒険者を辞めるわ。』
有言実行しやがったのか……ウィドウさん……!!
「もしかして前の……?」
ゾエラが俺に悲しげな顔で話しかけてきた。
「……あそこでもう決意は固まってたんだ」
俺は紙をギュッと握り自分の弱さに腹を立てた。
「タケル、続きが書いておるぞ」
俺はガルドの言葉を聞き、紙の下の方を見る。
(どうせ辞めるなら、せめてもの償いとして魔王城に乗り込んで儚く散るとするわ。今までありがとう。私を拾ってくれてありがとう。バロン。)
その文章の下には涙の跡がうっすらと残っていた。
何やってんだよ……1人で戦おうとすんじゃねえよ……!
ロイがお茶を出し、俺達の答えを待っていた。
バロンは下を向いて、ロイは手を強く握り俺達に顔を見せずに震えていた。
こんな状況……こんなんでウィドウさんを死なせてたまるかよ!!
「依頼、受けます」
するとゾエラとガルドは緊張がほぐれたのか顔が緩くなり笑顔になった。
きっと俺が受けることを分かってたかのように。
「「ほ、本当か?!」」
バロンとロイ俺達を見て、驚いていた。
「こうなった責任は俺です……絶対助けます」
「私達に任せてください!」
「ワシは配下を蹴ったガルド様じゃから余裕じゃ!」
バロンは俺達を見て下を向きフッと笑い、ロイはそんなバロンを見て笑顔になっていた。
「お前ら最高だ。最高の冒険者だ!」
~バロン達の宿・玄関前~
「俺達は重要な任務があるから、兄ちゃん達に任せる」
バロンは俺の肩を叩き笑顔で言った。
「兄ちゃん。絶対に死ぬなよ」
「はい、任せてください」
バロンは健闘を祈り、俺たちを見送った。
「いい戦友を持ったよ。ロイ。」
「必ず助け出す目をしていたこの記憶は残すとするよ」
~フルトロン入口前~
「魔王城ってどこじゃ!」
俺をおんぶし走るガルドにそれを頑張って追いつこうとするゾエラ。
「おい!ゾエラ死にかけてんぞ!」
ゾエラの顔がもう凄いことになっていた。
「なんじゃ~ゾエラ。そんなんじゃワシに追いつかんぞ~?ワシの速さ舐めちゃいかんぞ~?」
「勝てるわけないよ……ハァハァ……」
めちゃめちゃ息切れているゾエラに対して、ガルドは腕を組み熱血教師みたいなことを言い出した。
「走れ!ヌシの力はそんなもんか!!!」
ハッと気付くゾエラ。目がメラメラしだし、立ち上がった。
「違うよ!もっと走れるよ私!!!」
……なんだこいつら。
「改めて聞くけど魔王城ってどこにあるんじゃ?」
「いや全くわからん。聞けばよかったな」
バロン達は現在最重要任務に行っている。
深夜で冒険者達は就寝、集会場も上級冒険者しか入れない。
完全詰みである。
「ウィドウ助けるって言ってたヌシが1番困ってるってどういうことじゃ……」
「と、とにかく!フルトロンを出て探してみよ!」
フルトロンを出たところで城がどこにあるかも分からないし……。
周りも夜で真っ暗だから見つける事さえ困難だ。
「ファステルに行くのはどうじゃ?」
「ガルド!それだ!」
ここからファステルまで片道6分程。走って集会場が空いてれば完璧だ!!
「ファステルはガルドちゃんを尊敬してるから入れてくれるかもしれないよ!」
ここでガルドの戦績が生きた……!
俺はガルドに抱っこしてもらい、すぐさまファステルに向かった。
~ファステル入口前~
「ボルザーク族のガルドじゃ!ここを開けてはくれんか?」
門番に交渉をするガルド。だが門番もすぐには通してくれない。
「すみませんが変装の可能性もあるのですぐには通せません。なにか身分を証明できるものがあれば……」
流石に口だけは無理か、じゃあもう直接……!
「魔王城の場所って何処にあるか知ってますか?」
タケルは切り出して門番に言った。
「……なぜ君達がそんな事を知りたがるんだ?」
「良いから教えてください!急いでるんです!」
俺は必死だった。次の言葉なんて考えてなかった。
一刻も早くウィドウさんを助けるためで必死だった。
「……そんな事教えるわけないだろう。危険すぎる」
門番はギラっと俺の方を見る。
「助けたい人がいるんだ!急がないと死んでるかもしれないんだよ!」
ゾエラとガルドは俺の方を見て悲しい顔をする。
「ダメだ、魔王城に行っていいのは村の代表しか行ってはいけない決まりがあるんだ。冒険者始めたての君達が行けるわけないだろう」
「その代表から依頼されてるんだよ!」
バロンはフルトロンの代表冒険者だ。魔王城に行ける権利がある代表冒険者はフルトロンを合わせ6つ存在する。
フルトロン・ファステル・チャルエ・ダイオース・アルミテル・エルザルの6つだ。
バロンパーティーにいたウィドウは魔王城の場所を知っている。
権利を使ったバカな行為を彼女は行っていたのだ。
「……証拠はあるのか?」
「ちっ……!」
怒りのボルテージがマックスになる寸前、ゾエラが声を荒らげて門番に怒鳴った。
「いい加減にして下さい!私達は覚悟してるんです!代表からの依頼なんてそうそうないんですよ!?」
門番は少し引きゾエラの圧に負けていた。
「私達はバロンさん達から"信用"されてるんです!」
完全に圧に負けた門番は尻もちを付いてわなわなしていた。
俺達にも伝わるこの威圧感はとても必死で…それでいて本気で助けたい気持ちが伝わってきた。
「ゾエラ……」
「これぐらい言わないと門番は破れません。さぁ!言ってください!」
負けを確信した門番は俺達に口を開く。
「魔王城の場所は教えるよ……ただしこの約束は守ってくれ」
「……なんだ?」
「この事は俺たちの秘密……そしてもう1つは死なないでくれよ?」
門番はそう言うと俺達は顔を見合わせニヤリと笑う。
「当たり前だ!俺達を舐めんなって!」
~魔王城 入口前~
「……遠っ!」
「仕方ないよ……魔王城なんだから……」
俺達は入口前にある草むらに隠れて様子を伺っている。
「のぅ、門番寝ておるのか?あれ」
入口前の門番がぐったりと床についている。
「寝てるか……もしくはウィドウにやられたか?」
「ワシにやってきた|気絶寝(スリープショック)って奴か?あれ割と寝るから可能性はあるのぅ」
ウィドウの攻撃を受けたガルドはうんうんと頷く。
すると魔王城の中から爆発音が聞こえてきた。
「……こ、この音って!?」
ゾエラは焦って俺に聞いてきた。
ウィドウさん……!!
「急ごう……爆発音が聞こえるってことは生きてる可能性が高い……!」
草むらから顔を出し入口から入った。
そこにはゴロゴロと転がっている手下達がいた。
「これ全部あのウィドウがやったのかのぅ?」
「気にしてる場合じゃない!行くぞ!」
~魔王城内部~
「貴様弱いな。フルトロンの代表とは聞いたが……」
仮面を被った黒マントの男が、ウィドウに近づく。
そこには既にボロボロで瀕死状態のウィドウがいた。
「うるさいわ……よ!」
杖も折れて魔法を使うスキルも限られている。
「かれこれ2時間以上経っているが……私に傷を付けたか?魔法使いよ。」
ズズっとどす黒いオーラを出す仮面男。
「四天王の2番目に強い私に負けるようでは魔王様に出会うことすら出来ない!」
どす黒いオーラは鋭利なナイフに変わり、ウィドウに向かって投げる。
「くっ……!」
ウィドウは魔法を使って防いだ。ナイフはオーラに変わり消えていった。
「しぶとい……何故こんな弱い冒険者が代表なんです?」
弱いと聞いたウィドウはピクっと眉間を動かす。
「うっ……あああぁぁああぁああ!!!!!!!!」
苛立ちが収まらないがその苛立ちを仮面男にぶつける事は出来なかった。
己の弱さに余計苛立ちを覚えるウィドウ。
侮辱される怒りと弱い自分に対する苛立ち。
感情がぐちゃぐちゃになりウィドウは泣いた。
「……くっ……動いてよ……動けよ!」
仮面男は同情する余地もなかった。オーラをナイフに変え再び刺そうとする。
「その感情を抱いたまま死になさい。弱き冒険者。」
するとウィドウは指パッチンをする。
仮面男はその光景を不思議そうに見る。
ゴオッと後ろから仮面男に槍魔法が飛んできた。
「なっ……!?」
仮面男の心臓に後ろからグサッと刺さる。
ニヤリと笑うウィドウ。だがその笑顔もすぐに絶望に変わった。
今のトラップも見通してたかのように、オーラで身を守っていた。
「こすい。」
再びナイフで瀕死状態のウィドウを刺そうとする。
「バロン、私……やれることは……やっ」
その時、2人がいる階層から爆音が聞こえた。
「……ちっ、今度はなんです!」
ウィドウは驚いていた。
「……私の魔法じゃない。バロン達が助けに……!?」
硬くて開きづらい扉をゾエラが殴って開けた。
「よぉ、魔王配下さん。随分と俺達の代表者を痛めつけたようだな」
聞き覚えのある声。見覚えのある顔。
ウィドウは安心したのか自然と涙が出ていた。
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