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少女少年
×××××××少女と×××××××少年 side一六八
しおりを挟むコンコンと扉をノックされて少ししてナースの如月さんが入ってきた。
「一六八ちゃんお昼な検温と点滴交換しにきたよ。」
如月さんに体温計を渡されたので読んでいた本を閉じて体温計を受け取り脇に挟んだ。
「今日はだいぶ良さそうね」
「はい、今日は体も軽くて」
「この状態がキープ出来たら退院できるんだけどね。」
今日は確かに朝から体調がいい。
だけどこの状態をキープできない事は自分がよくわかっている為苦笑いしか出なかった。
体温計からピピッと小さな音が鳴った為脇から外し如月さんに渡した。
受け取ってから書き込みや点滴の準備を始めていたので私は読書を再開した。
この本ももう何回読んだだろう。
もう先の展開をわかっているのに。
「よし、終わったよ。何かあったらナースコール鳴らしてね。今日先生が来るから。」
如月さんが片付けをしながらいう。
そうか今日は診察の日か。
どうせ何も変わらない、治らない。
生まれつき喘息持ちでよく発作を起こして入退院を繰り返してたし今では奇病(×××××)も患い余計に体調は悪化していて今みたいに普通にしていられるのが珍しい。
「わかりました。」
本から顔もあげずに返事だけした。
如月さんも私の態度はいつものことなので気にせずに出て行ってしまった。
本当はこんな素っ気ない態度を取りたいわけじゃない、、、
でも、どう話したらいいかもわからない。
多分私は世間一般でいう人見知りになるのだろう。
閉まった扉を見つめながらため息を吐くことしかできなかった。
少しして本を読んでいるときだった。
勢いよく扉が開いたのだ。
そこには彼が立っていた。
左右にぴょんぴょんと跳ねている黒髪の癖っ毛に少し低めの身長をした男の子。
私は彼を知っている。
だけど彼は私を覚えていないだろう。
私がジーと見ていると彼は口を開いた。
「あっはじめまちって」と盛大に噛んでいた。
どんどん顔に熱が集まってか真っ赤になっていた可愛い。
笑っては失礼だと思った為口を押さえて必死に笑うのを堪えたが無理だ。
ふっと声が漏れる。
栓が抜けた様に笑い声がどんどん漏れた。
もう我慢するのをやめて声を出して笑った。
こんなに笑ったのは久しぶりだ。
やっと笑いが治ると少し呼吸がヒューヒューなってしまったがこのぐらいならすぐ治るだろうと軽く深呼吸した。
そうしてる間も彼はぽかーんとした表情で私を見ていた。
「もー発作起こすとこだったじゃない!」
と態とらしく頬を膨らませて怒ったようなそぶりをした。
別に怒ることわないし逆に彼が笑われた事を怒る方だと思う。
「でっ君は誰?」
私は知っているが彼が覚えていないなら聞いとくべきだろう。
私だけ覚えているとゆうのは悲しいし彼が忘れているのは残念で仕方ない。
でも、あの時のはパタパタしていたし。
「たまたまこの病室の前通って、、、あの俺と友達になってください。」
彼はそう言って勢いよく頭を下げた。
最初は何を言ってるのか理解が追いつかなかったが徐々に理解して目を見開いて驚いた。
大はしゃぎするのもなんだみっともない気がしてちょっと余裕ぶってクスクスと笑った後に「君面白いね。うん、いいよ友達になっても。」なんて少し上から目線な返事をしてしまった。
私は何様だなんて心の中でツッコミを入れてしまった。
私のその返事に驚きいたのか先程と同じぐらいの勢いで彼が頭をあげた。
「本当に!?」
「嘘言ってどうするの?」
信じられないのか噛みつくような勢いで確認されたので私は不思議そうに首を傾げる事しか出来なかった。
「だってどう考えても今の俺不審者じゃん!!」
言われてみれば確かにいきなり人の病室に入ってきた不審者ではある。
彼以外だったら私もすぐさまナースコールを押して人を呼んだと思う。
でも、私も彼と前から話したかったからこのチャンスを逃すわけにはいかないのだ。
「まあ確かに。
じゃあまずはお互い自己紹介しましょう!
先に私から。
病室前のネームプレートで知ってると思うけど名前は神無月 一六八。年は15の中学三年生です!」
話が進まなず帰られるのは嫌でとにかく話を進めた。
「俺は桜田泉。年は君と同じ15で中3。
一六八ちゃんって呼んでいいかな?」
知ってはいる。
それに彼が陸上部で大会で優勝するぐらい凄い人なのも。
彼が嬉しそうに笑ってくれるから見てる私も嬉しかったし。
ずっと話したかった泉くんに下の名前を呼ばれるのは嬉しくて仕方なかった。
誰もいなかったら踊り出したいぐらいだ。
顔がニヤニヤしてないか心配である。
「私の事はその呼び方でいいよ!
よろしくね、泉くん。」
泉くんに手を差し出しら恐る恐るといった感じに手を握ってくれたのでいきよいよくぶんぶんと降った。
嬉しくてずっと笑ってしまった。
少しして満足したので手を離した。
本当は握っていたいが泉くんには確認しなきゃいけないことがある。
「聞きたかったんだけど泉くんはここの病棟の患者さんじゃないよね?とゆうか、見舞いかなにか?あんまり普通近寄らない病棟だと思うけど、、、」
首を傾げながら問いかける。
「ここの病棟なんだっけ?俺は普通病棟に今日から入院なんだけど、確かにここ俺が入院してる病棟から離れてた気がするけど。」
「やっぱり知らないんだ。」
「?」
ふーと息が漏れた。
やっぱり泉くんは知らなかったのだ普通ここには来ないし仕方ないとは思う。
「ここは奇病患者用の病棟だよ。
一般の人はあんまり来ないように普通病棟から離れてたでしょここ。
普通は近寄りたがらないし。
泉くんはふらふらと来たみたいだけど。
他の患者さんたちも病室からあんまりでたがらないから私の所に来るまでに他の患者さんには合わなかったでしょ。」
「奇病、、、」
「例年増えてるからね。
最近多いのだとカニバリズム症とか半獣症とかだっけ。」
「、、、一六八ちゃんはなんの奇病なの?」
ここの病棟にいるのだから奇病なのはバレてしまう。
でもなんのかまでは知られたくなかった。
だから「んー、、、ただ教えるのもつまらないし当ててみてよ!
あっ因みにカニバリズム症ではないよ!
安心して。」と言ったのだ。
泉くんに危険が及ぶものではないそれをちゃをと知って欲しくて笑いながら鎖骨あたりを見えるようにボタンを外し見せた。
カニバリズム症とは名前の通り人の肉を食べたくなる病気で症状は二種ある。
その説目はいずれ必要な時が来るなら。
それに患っているかどうかの見分けは簡単で患ってる人は鎖骨に薔薇の痣が浮かび上がる。
「本当だ。」とまじまじと鎖骨のあたりを泉くんが見る。
「恥ずかしいからそんな見ないで」
流石に恥ずかしくて急いでボタンを締めていく。
なんの奇病か気になったのか頭の先から下まで隅々まで見られる。
んーと声を上げながら悩んでいる。
その様子を私は眺めていた。
「まあゆっくり答えを探すといいよ!」
「、、、そうする。」
当てて欲しくないしこの話はここで切った。
その後は泉くんが足の怪我で入院し明日手術し明後日退院であること。
学校はどうでなど外の事をいろいろ話してくれた。
泉くんは話し上手でとても楽しかった。
しばらくしてコンコンてノックをする音がしてドアが開いた。
そういえば今日は診察と言っていたななんてぼんやり思いながらドアの方を見ていた。
「失礼するよ。」
先生が入ってきた。
「先生。」
「お見舞いなんて珍しい。
初めまして、彼女の主治医の結衣城です。」
ニコッと笑って泉くんにお辞儀をしていた。
「診察?」
わかってはいたが一応聞いた。
「そうだよ、だから申し訳ないけどそろそろ」
先生がそう言ってチラッと泉くんを見る。
何を言いたいのか察したのか泉くんが慌ててドアの方に向かう。
「あっ俺もそろそろ戻りましす。
またくるね一六八ちゃん!」
そう言って頭を下げて出て行く泉くんに向かってひらひらと手を振った。
「ごめんね一六八ちゃん」
申し訳なさそうにされたが診察は仕方ない事である。
「気にしないで、先生」
私は笑うしかできなかった。
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