Future Sight

白黒ちゃん

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前世の記憶

黒い男

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僕には前世の記憶がある。
そんなことを言ったって誰も信じてはくれないとわかっているから秘密にしてある。
変な噂を流されたくもないから。

僕が住んでいるのは人里離れた小さな村だ。
住んでいるのは数百人程度で自給自足の生活をしている。
数十年前までは多くの人が暮らしてたと言うが、今では村以外の人達との交渉は完全に絶たれている。
国によって隔離されたとか迫害を受けて逃げてきたとかいう噂もあるが、そんなこと僕には興味が無い。
村の人達は愉快でみんな優しい。
「いーつき!どうしたの?そんな暗い顔して」
「なんだ……やこか……びっくりさせんなよ……。」
「なんだって何よー!何かあったの?話聞くよ?」
幼馴染のやこ。
いつも僕のところに来ては長々と話しかけてくる。
気さくな性格で可愛いので村で人気者だ。
「なんにもないさ。」
「あ~わかった。今日の儀式の準備抜け出してきたんでしょ!あとでいつきのお母さんに怒られちゃうね!」
「まあな……」
今日は村で年に1回ある儀式。
村人全員が集まって神にお祈りをする。
しかも3日間続けてやるから面倒臭いし準備も大変だ。
何の為にしてるのかも分からないが昔からの風習だから仕方ない。


「いつき!どこ行ってたの!準備大変なんだから手伝いなさい!」
「ごめんって……」
仕方なく母親達のところに戻ったが案の定怒られた。
気が浮かないが手伝うしかないらしい。
「ちょっとこれをおばあちゃんの所まで持って行ってもらっていい?」
「なんだこれ?」
母親は僕に黒い箱を渡してきた。
「中身見たらだめよ?あと、さぼらないこと。」
「はいはい……」
「返事は1回でしょ!」

おばあちゃんの家まで歩いて15分ほどかかる。
田んぼが広がる道をとぼとぼと歩いていく。
(ただのパシリじゃん……)
そんなこと考えながら前を見るとそこには見たことがない黒い服を着た長身の男性が立っていた。
口元を布で覆っていて怖い。
異様なオーラを放っていてこの村で浮くほどの存在感だ。
関わらないように横を通ろうとした時、
「あの……」
男は小さな声で話しかけてきた。
「な、なんですか?」
顔を恐る恐る覗くと男性は怖い雰囲気とは裏腹に綺麗で優しい目をしていた。
「道がわからなくなってしまったので道案内をして欲しいんです。」
村の住人ではないのか?
見たことがない見た目に村の住人であれば道を忘れるなんてことがないはずだ。
「……いいですよ。どこに行きたいんですか?」
「神社です。今日は儀式があるでしょう?」
「神社ですか?そこなら僕が行く場所と近いので助かります。」
不審に思いながらも道案内をすることにした。
道中は男が言葉を発することなく沈黙がつづいていた。
僕の斜め後ろを歩く男が気になって仕方がなかったが足を止めることなく進めた。
気分が悪くなったが、神社まではあっという間だった。
「着きました。ここです。」
「ありがとうございます。助かりました。」
口元は見えなかったが目元で笑顔だとわかった。
男がこの神社に何の用があるのか気になったが、関わりたくないのでお辞儀だけして去ろうとしたその時
「いつきくん」
名前を呼ばれた……気がした。
男はこっちを見ている。
何故僕の名前を知っている?
意味がわからなかった。
胸のざわめきが止まらない。
「なんで……僕の名前……」
そう僕が言いかけると男はまたニコッと笑って神社に向かって行った。
その男が気になって仕方がなくなった。
僕は男にバレないように着いていくことにした。

神社までの長い階段を登っていく。
その後ろをバレないようについていく。
登り切った男は神社の方ではなく奥の森に足を運んだ。
神社には儀式の準備をする村人が集まっていたが、男は神社を避けて村人に隠れるかのように進んでいく。
(どこに向かってるんだ??)
男は神社を通り過ぎて神社の奥にある祠の前で立ち止まった。
僕は大木の後ろに隠れて男を監視する。
バレてない。大丈夫だ。
男は祠に向かってぶつぶつと呟く。
遠くからで何を言っているのかわからない。
耳を澄まそうとした。
その瞬間
「いーつきくん。ついてきちゃったんですかぁ???」
いきなり大声を出した。
男は僕の方にちかづいてきた。
心臓がバクバクして冷や汗をかく。
逃げ出そうとするが足が動かない。
「そこにいるのはわかってるんですよ~!」
もうすぐそこまで来ている。
恐怖で動けない。
ついてきてしまったことを後悔する余裕もない。
「みーつけたっ!!」
僕をにやにやと間近で見つめてくる。
脚の力が抜けて身体が言うことをきかない。
布が取れて口元が露わになっていた。
隠れていた部分には目を疑うほどの光景が広がっていた。
目がついているのだ。
大きさは様々でぎょろぎょろとしているがしっかりとこちらを見ている。
そこで僕は気絶してしまったらしい。
目を開けた頃にはおばあちゃんの家で寝ていた。
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