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村の隠し事
女
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「あの二人楽しそうね」
「やこも次入るだろ?」
お風呂場ではしゃぐかいようとサヨリの声が聞こえる。
シャワーというお湯が出るものや勝手にお湯が湧く風呂釜がある。
この世界は不思議だらけだ。
「これからどうするの?」
「さあな……ただエマの話は聞く必要がある」
研究に協力してくれることを引き換えにこの家に住むことになったが、便利な世界のようだ。
僕らが火を起こすまでの時間はなんだったのか……
ボタンを押すだけで火がつく。
村を出てから驚かされてばかりだ。
「私はエマっていうの。よろしくね」
その女はあの村の研究をしていると言っていたが、僕にはそれは建前の話な気がした。
僕達の生活ぶりを聞いて知らないことが多すぎるからだ。
あまり信用してはいけないと思った。
顔を青ざめたかいようが僕を起こした。
「いつき大変だ……サヨリがいない……!」
かいようは頭を抱えていた。
「あのエマとか言うやつだ!絶対そうだ!」
「ん~……朝から騒がしいわね……」
かいようの声でやこも目が覚めた。
かいようとサヨリが寝ていたベッドには右手に巻いていた包帯だけが残されている。
まさかと思い服に仕込ませておいた拳銃を探したが案の定なくなっていた。しっかり弾はまで無くなっている。
「あの女を探すぞ」
かいようは相当頭にきているようだ。
「どうやって?」
「手当り次第探したって無理だ」
「あ、あのさ……」
やこは昨日誰かと話すエマの会話を聞いていたらしい。
その会話によるとA研究所に待ち合わせとのこと。
「でも場所がわかんないんじゃ……」
「人に聞いてまわればいい。俺たちにはそれしかできないだろ。」
「そうと決まれば行くしかないだろ!」
かいようは足早に家から出た。
僕とやこもそれを追う。
僕達は歩いて人を探した。
無機質なこの町に人はあまりいなかった。
「あそこに人がいるぞ!」
初めて出会う人に僕達はA研究所の場所を聞いた。
「あの、私たちA研究所を探してるんですけど場所知ってませんか?」
かなり老人の女性だ。
優しそうな顔をしているがA研究所と言った瞬間顔色を変える。
「A研究所に関わるな……」
そう言い残して老婆は去っていった。
それからもずっと何人かに聞き回ったが、誰も教えてはくれなかった。
この町も僕達に隠し事をするのか。
疲れきった僕達はまたあの汚い川で休んだ。
「なんなんだよ……」
「もしかして私たちやばい人と関わっちゃったんじゃない?」
「あぁ、なんだかやけに親切だったし、あの化け物のことに関心を寄せていた。」
「なぁ、サヨリの右手は見せてないんだよな?」
「もちろんだ。でも包帯がどうしてもめだつからなあ……」
かいようは俯いてやこは暗い顔をしている。
「よし行こう。きっと親切な人がいるはずだ。ここで休んでいたってサヨリは戻ってこない。」
「~♪」
「いつき!歌声が聞こえない?」
「本当だ。この公園からか?」
かいようは会話を聞くやいなやその歌声の方に走って行っていた。
「私この歌聴いたことある気がするんだけど……」
「は?気の所為だろ」
「そうかな……」
かいようは目をキラキラさせてこちらに手を振っている。
「やあ、初めまして」
歌を歌っていたのは金髪の男性だった。
「俺はそうきって言うんだ。A研究所を探してるんだって?」
にこにこと愛想の良い少年だ。
「A研究所はちょっと遠いから車で送るよ!」
車……?
僕達は奇妙なものに乗せられてA研究所に向かった。
「A研究所は地元の人達に恐れられているからね。怪しい研究をしてるとか噂されてるけど、実際のところは僕もわからない。研究所の人で仲が良い人もいるけど、良い人だよ。」
「もうすぐ着きますか……おえええええ」
やこは車酔いというものをしているらしい。
僕とかいようは平気だったが、女の子というものは繊細なんだろう。
「着いたよ。この階段を下っていくと研究所がある。」
「ありがとうございました!!」
「いえいえ。じゃあ俺は用事があるから先に失礼するよ。」
そうきは車を走らせた。
「良い人もいるもんだな。」
「A研究所……変なところだな。しかもすごく汚い。本当にこんなところに研究所があんのか?」
「確かに看板にもA研究所って書いてある。さっさと行くぞ」
階段を降りると不用心にも扉の鍵は空いていた。
中は真っ暗だった。
かろうじて目が慣れてきた頃に、目を疑う光景が広がっていた。
「なんだよこれ……」
そこには透明の箱に入った目玉があった。
しかも数え切れないほどの量だ。
「私限界……」
車酔いと目玉の気持ち悪さでやこはへたりこんでしまった。
「気持ち悪いなあ」
お前の家も大概だぞと心の中でつっこんだ。
ガッシャン
「うわ!しまった!」
暗闇で足場の見えない建物の中で足に何かが当たってしまった。
部屋の電気が一気についた。
「眩し……」
?!
奥の扉が空くと、そこからエマが出てきた。
「まさかここまでこれるだなんて思ってもいなかったわ」
「おい、このクソアマ!サヨリを返せ!!」
「どうやってきたの?」
「質問に応えろ!」
エマはにこにこと笑う。
僕はあの男のことを思い出した。
彼女は拳銃を取り出した。
「これ、あなたのじゃないでしょ?」
「?!」
「エマ……あいつのこと知ってんのか」
「そんなこと聞いてどうするの?」
彼女は僕に向かって引き金を引いた。
「やこも次入るだろ?」
お風呂場ではしゃぐかいようとサヨリの声が聞こえる。
シャワーというお湯が出るものや勝手にお湯が湧く風呂釜がある。
この世界は不思議だらけだ。
「これからどうするの?」
「さあな……ただエマの話は聞く必要がある」
研究に協力してくれることを引き換えにこの家に住むことになったが、便利な世界のようだ。
僕らが火を起こすまでの時間はなんだったのか……
ボタンを押すだけで火がつく。
村を出てから驚かされてばかりだ。
「私はエマっていうの。よろしくね」
その女はあの村の研究をしていると言っていたが、僕にはそれは建前の話な気がした。
僕達の生活ぶりを聞いて知らないことが多すぎるからだ。
あまり信用してはいけないと思った。
顔を青ざめたかいようが僕を起こした。
「いつき大変だ……サヨリがいない……!」
かいようは頭を抱えていた。
「あのエマとか言うやつだ!絶対そうだ!」
「ん~……朝から騒がしいわね……」
かいようの声でやこも目が覚めた。
かいようとサヨリが寝ていたベッドには右手に巻いていた包帯だけが残されている。
まさかと思い服に仕込ませておいた拳銃を探したが案の定なくなっていた。しっかり弾はまで無くなっている。
「あの女を探すぞ」
かいようは相当頭にきているようだ。
「どうやって?」
「手当り次第探したって無理だ」
「あ、あのさ……」
やこは昨日誰かと話すエマの会話を聞いていたらしい。
その会話によるとA研究所に待ち合わせとのこと。
「でも場所がわかんないんじゃ……」
「人に聞いてまわればいい。俺たちにはそれしかできないだろ。」
「そうと決まれば行くしかないだろ!」
かいようは足早に家から出た。
僕とやこもそれを追う。
僕達は歩いて人を探した。
無機質なこの町に人はあまりいなかった。
「あそこに人がいるぞ!」
初めて出会う人に僕達はA研究所の場所を聞いた。
「あの、私たちA研究所を探してるんですけど場所知ってませんか?」
かなり老人の女性だ。
優しそうな顔をしているがA研究所と言った瞬間顔色を変える。
「A研究所に関わるな……」
そう言い残して老婆は去っていった。
それからもずっと何人かに聞き回ったが、誰も教えてはくれなかった。
この町も僕達に隠し事をするのか。
疲れきった僕達はまたあの汚い川で休んだ。
「なんなんだよ……」
「もしかして私たちやばい人と関わっちゃったんじゃない?」
「あぁ、なんだかやけに親切だったし、あの化け物のことに関心を寄せていた。」
「なぁ、サヨリの右手は見せてないんだよな?」
「もちろんだ。でも包帯がどうしてもめだつからなあ……」
かいようは俯いてやこは暗い顔をしている。
「よし行こう。きっと親切な人がいるはずだ。ここで休んでいたってサヨリは戻ってこない。」
「~♪」
「いつき!歌声が聞こえない?」
「本当だ。この公園からか?」
かいようは会話を聞くやいなやその歌声の方に走って行っていた。
「私この歌聴いたことある気がするんだけど……」
「は?気の所為だろ」
「そうかな……」
かいようは目をキラキラさせてこちらに手を振っている。
「やあ、初めまして」
歌を歌っていたのは金髪の男性だった。
「俺はそうきって言うんだ。A研究所を探してるんだって?」
にこにこと愛想の良い少年だ。
「A研究所はちょっと遠いから車で送るよ!」
車……?
僕達は奇妙なものに乗せられてA研究所に向かった。
「A研究所は地元の人達に恐れられているからね。怪しい研究をしてるとか噂されてるけど、実際のところは僕もわからない。研究所の人で仲が良い人もいるけど、良い人だよ。」
「もうすぐ着きますか……おえええええ」
やこは車酔いというものをしているらしい。
僕とかいようは平気だったが、女の子というものは繊細なんだろう。
「着いたよ。この階段を下っていくと研究所がある。」
「ありがとうございました!!」
「いえいえ。じゃあ俺は用事があるから先に失礼するよ。」
そうきは車を走らせた。
「良い人もいるもんだな。」
「A研究所……変なところだな。しかもすごく汚い。本当にこんなところに研究所があんのか?」
「確かに看板にもA研究所って書いてある。さっさと行くぞ」
階段を降りると不用心にも扉の鍵は空いていた。
中は真っ暗だった。
かろうじて目が慣れてきた頃に、目を疑う光景が広がっていた。
「なんだよこれ……」
そこには透明の箱に入った目玉があった。
しかも数え切れないほどの量だ。
「私限界……」
車酔いと目玉の気持ち悪さでやこはへたりこんでしまった。
「気持ち悪いなあ」
お前の家も大概だぞと心の中でつっこんだ。
ガッシャン
「うわ!しまった!」
暗闇で足場の見えない建物の中で足に何かが当たってしまった。
部屋の電気が一気についた。
「眩し……」
?!
奥の扉が空くと、そこからエマが出てきた。
「まさかここまでこれるだなんて思ってもいなかったわ」
「おい、このクソアマ!サヨリを返せ!!」
「どうやってきたの?」
「質問に応えろ!」
エマはにこにこと笑う。
僕はあの男のことを思い出した。
彼女は拳銃を取り出した。
「これ、あなたのじゃないでしょ?」
「?!」
「エマ……あいつのこと知ってんのか」
「そんなこと聞いてどうするの?」
彼女は僕に向かって引き金を引いた。
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