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第8章
第125話 やりすぎ
しおりを挟む「ア゛レ゛グ……あれ……ク………──────」
「さて、こっちは終わったがリュウデリア達は……終わってないことはないだろうな」
純黒なる雷が落ちて、レミィは全身黒く焦げた炭のような状態となっても、死ぬ間際に息子の名を口にしていた。無くしたものを必死に探そうとしている悲痛な声を出しているが、オリヴィアがそれを聞いて何かを思うことはなかった。一瞥すらせず、喋らなくなった事で死んだと判断し、足の部分だろうところを持って引き摺って歩き出した。
戦っている最中に、地面に何かが叩き付けられて小さく揺れるのを感じ取ったので、その方向へ向けて歩いていく。ガレスとレミィが壊した建物の破片で、引き摺っているレミィの死体がガタガタと揺れるが気にした様子は無い。
少し歩いていると、見知った3色の色が目に映った。巻き込んだらいけないと思って離れて戦ってくれたのだろう。同時にレミィを任せても負けることは無いと信じてくれていたと思うと、胸が温かくなっていく。
フードの中で笑みを浮かべて近寄ると、気配で来ていることを察知していたリュウデリア、バルガス、クレアが腕を胸の前で組みながらこちらを見た。何かをしている様子なのだが、近くまで行けばすぐに分かった。
彼等と戦っていたガレスが地面に大の字で置かれ、喉元から臍の下辺りまで切り裂かれて左右に開き、内臓全て引き摺り出されて地面に並べられていた。心臓も肺も腎臓も腸も全てだ。当然死んでいるガレスの顔は、痛みと恐怖によって歪んだまま白濁した目を開けているままだった。
何をやっているのかというと、魔力や魔法とは違った力を使っているのを調べるために、生きたまま解剖した。結局痛みによるショックで死んでしまったが、開いて中を見ることはやめなかった。結局全部引き摺り出してしまった訳なのだが、特に人間と変わったところが無いので首を捻っていたのだ。
「ただいま。念の為殺した女を持ってきたぞ」
「うむ、おかえり。俺達は待っている間に解剖した。まあ、人間と何一つ変わったところは無かったがな」
「そうなのか?魔法ではない力を知りたいとか言っていたが……」
「アレは所詮与えられただけの力だ。気配も人間と同じだったが念の為実際に見て判断しようと思ったが、やるだけ無駄だったな」
「あの変な痣も死んだら消えやがったしよォ」
「中身も……人間と……異なっていれば……面白かったが……そう……上手い話では……なかった」
「はぁ……実に残念だった」
「そうだな。まあ、そう気を落とすな。終わったのだから何か食べよう。好きな肉でもな」
「「「──────よしきた」」」
「ふふっ」
少し肩が下がってガッカリしている様子だったので、1番簡単で手っ取り早い気の取り方をすると、早速飛び付いた。仲良く3匹でハイタッチをしている様子を見てクスリと笑う。足下に解剖された死体があるのに緩い会話だ。
お疲れ様会として肉でも食べようと言えばこの喜びようである。チョロい。まあそれを言うとジト目を向けられそうなので言わないが、残念なことにすぐにお疲れ様会とはいかない。街を襲った元凶は始末したが、肝心の街の一部分は燃えていたりする。その火を消してからでないと、結局手伝うようにと声が掛かるのだ。
元凶を始末した証拠として死体のガレスとレミィは異空間に仕舞われていき、確保が済んだ。さて、ではさっさと火でも消すとしようと声を掛けようとした時、リュウデリアがすぅ……と、空気を吸い込んだ。深呼吸でもしているのかと思いきや、口の中から眩い純黒の光が漏れ出ている。目も眩む光量にフードの中で目を細めると、勢い良く顔を上げて上空に向けて溜めた魔力を解放した。
「──────『總て吞み迃む殲滅の晄』」
「おぉおお……」
「いやー、随分と今回はとんでもねェ魔力籠めたなァ」
「普通に当たれば……大抵は……消し飛ぶ」
口を大きく開けて解放した魔力の奔流は、一条の極大な純黒の光線となって視界を埋め尽くした。近くだと空が全て見えなくなる程の純黒なる光線は、その太さ何と直径500メートル。地上の地平線に向けて放つ訳でもなく、空に向けてなので相当な魔力を籠めた様子。
計り知れない魔力の圧に、隣に居るオリヴィアは見上げながら感嘆とした声を出しながら上を見上げ、クレアとバルガスは目を細めながら同じく上を見上げていた。感じられる魔力から、滅多なことでは撃たない程の魔力であると、こっそりオリヴィアに教える。
純黒なる極大の光線は約10秒ほど照射され、少しずつ細くなって最後は消えた。上を向いて口を開けていたリュウデリアは顔の位置を元に戻し、目を細めて喉を唸らせた。グルル……と、苛ついたような声にオリヴィアが首を傾げると、フードの中に鼻先を突っ込んで頬擦りをしてきた。
唐突な甘えるような行動に、軽く抱き締めるように腕を回して頭を撫で、横にあるリュウデリアの頬に優しく口づけをした。リップ音も出して上げると、背中に腕を回されて抱き締められた。どうしたのだろうかと少し疑問に思って、眺めているクレアとバルガスに視線で説明を求めると、2匹とも人差し指を上に向けながら説明してくれた。
「街に戻る少し前に、なンか見られてるっつって上に攻撃しただろ?今な、それと同じのが居たンだわ」
「襲来した……男が使っていた……力と……同じ感じがした。恐らく……アレが……先の者達に……力を与えた……張本人」
「ンで、リュウデリアが消し飛ばそうとブレスした訳なンだが、ギリッギリのところを避けられて逃げられちまったってワケ」
「……ん?つまりリュウデリアは殺せなかった事に落ち込んで、私に甘えているのか?」
「端的に……言えば……そうなる」
「……~~~~~~~っ!!もぅっ!可愛いなリュウデリアっ。どれだけ私に甘えても大丈夫だぞ。いくらでも受け止めるし、甘やかしてやるからな。ほら、顔を見せてくれ。私とキスをしよう」
「はいはい熱い熱い。……あ、周りマジで燃えてたわ」
「火が……木造の……建物を……通じて……広がろうと……している。適当に……雨でも……降らそう」
「ンじゃ雨よろしこ。オレは風で降水範囲変えっから」
「了解……した」
最高神のプロメスが災厄の獣と戦って重傷を負い、オリヴィアの友神達のレツェル、リーニス、ラファンダが地上に来て治癒を求めた時、上から何者かが覗き見していていると言って3匹で専用武器を使い攻撃した相手だ。
あの時の黒い靄がまたしても上から見ていたので不快となり、リュウデリアは確実に消し飛ばすつもりで純黒なる極大な光線を撃ち放ったのだ。しかし寸前のところで避けられてしまった。後少しで殺せたものを、なまじ気配が無いのと逃げるのが上手い相手だ。
感じる視線と勘で場所を決めて撃ち放ったので、直径500メートルと言えども少しズレたのだろう。彼とて完璧ではない。本当に一撃必殺を常にやっている訳ではないのだから。故に外した。いい加減鬱陶しい奴だと思っているのに、仕留められなかったのだ。
そこまで落ち込んでいる訳ではないのだが、オリヴィアに甘える。頬に手を置かれて正面から見据え、口先にキスをされる。それを甘んじて受けている傍ら、クレアとバルガスが魔法で土砂降りの雨を街全体に降らせた。自分達は魔力障壁で雨が当たらないようにし、木造の建物に移った火が消えていくのを眺める。
「しっかし、あンな雑魚に手も足も出ねェとか、人間はちっと弱すぎンじゃねェの?」
「言って……やるな。人間が……弱いのは……今に……始まった……事では……ない」
「まーな。けどホレ、最近無ェじゃん?めっちゃ強い奴との血湧き肉躍る戦いがよ。……もっかい神界に侵入するかァ?リュウデリアなら瞬間移動でイケるンじゃね?別次元だけど」
「レツェル達が……他の神々は……私達を……恐れていると……言っていた。もしかしたら……言っても……逃げられる……だけかも……知れない」
「神界は無限に続いてるらしいじゃンか。ならちょっと遠出すればいい感じの奴居っかもよ。……って、そこの黒白コンビ!いつまでイチャイチャしてンだよ!火はもうとっくに消えたぞ!?避難した人間共戻って来ちまうだろ!」
「お、すまんすまん。夢中になっていた」
「はぁっ……はぁっ……リュウデリア……っ……キス上手すぎで……はぁっ……激しすぎだっ」
「オリヴィア腰抜けてンじゃねーかッ!!」
「はは。つい興が乗って激しいのを……痛っ!?」
「冒険者として対応してもらわねェといけねェのに何やってんだこのアホッ!!」
激しい雨で燃え盛る炎が完全に消えると、振り向いてリュウデリア達の方を見た。すると、腰を抱えられて後ろに仰け反っているオリヴィアが居た。その時に被っていたフードが外れ、中から恍惚とした蕩けた表情をした顔が出ている。
腰を支えている腕を外せば、踏ん張ることなく地面に女の子座りで座り込んでしまった。完全に腰が抜けている。まさかこっちで炎を消している間に、めちゃくちゃ深いキスをして快楽で動けなくさせるとは思わなかった。それもこれから避難した者達が戻ってくるというのにだ。
どこか誇らしげにしているリュウデリアに近寄って頭をグーで殴った。それも生半可な威力では意味ないと分かっていたので、態々魔力をしっかり纏わせてから殴った。後頭部を擦りながら、流石にやり過ぎたという自覚があったのか、すまん……と謝罪した。が、気配からして街の住人が中へ入ってきたのが分かった。
「うおォいどーすンだっ!?人間共来ちまうぞ!」
「この場から……逃げても……いいが……不自然だ」
「……す、すまん。これは治癒でやって治るものではなくて、単純に気持ちが良くて……」
「ふむ……仕方ない。すまんがオリヴィア、少し我慢してくれ」
「……?」
荒い息を整えたオリヴィアが首を傾げていると、リュウデリア達が使い魔のサイズへと小さくなっていった。しかし肝心の彼女はまだ腰が抜けていて立てない。1回試しに脚へ力を入れてみるも、やはり立ち上がることができない。その事について謝罪をしようとしたその時、彼女は何事もなかったように立ち上がった。
立ち上がり、歩き出して冒険者ギルドへと向かっていったのだ。肩には既にバルガスとクレアが乗っており、リュウデリアは飛んできて腕の中に納まった。彼を受け止めながら、オリヴィアは少し困惑した表情をフードの中で作る。というのも、意図して脚を動かしている訳ではなかったのだ。
脚が勝手に動く。今もなお腰が抜けている訳なのだが、どういうことか脚だけが動いている。その理由をオリヴィアはすぐに察せられた。リュウデリアが魔力の遠隔操作で動かしているのだ。自然に見えるように、これまで何度も見てきた彼女の歩き方、歩幅などを合わせて。
「──────オリヴィアさん!無事でしたか!?」
「……問題ない。無傷だ」
「かなりの戦闘音が聞こえてきましたが、襲撃者はもしかして……」
「案ずるな。しっかりと殺しておいた」
「しっかり!?」
歩き続けること数分。フードを被ったオリヴィアが肩にバルガスとクレアを乗せ、腕の中にリュウデリアを持った状態で受付嬢と冒険者ギルドの前で会った。最後に見た時と全く変わらない様子にホッと胸を撫で下ろしている受付嬢が、念の為負傷の有無を確認すると、無傷だということなので最後まで安心できた。
街を襲った者達はどうなったかと聞こうと思ったが、色々と噂のあるオリヴィアのことなのでもしかしてと思いつつの問い掛けだったのだが、案の定襲撃者は殺されていた。
他にも戦いに出ていた冒険者が居たはずだと言う受付嬢に、その者達は残らず襲撃者の手によって殺されたと報告すれば、そうですかと言いながら悲しそうに顔を俯かせた。しかし悲しんでいる暇は無いと、オリヴィアに教えてもらったことを紙にメモし、襲撃者の遺体を求めた。
求められるがままに異空間からガレスとレミィの遺体を引き摺り出し、受付嬢に見せた。一方は炭のように辛うじて人の形を取っている黒い塊と化し、もう一方は体の前面を切り開かれて内臓を引き摺り出された後の状態。うっ……と吐き気を堪えるために口を手で覆ってどうにか耐え、途切れ途切れながら礼の言葉を口にした。
「えっと……うっぷ……街の火を消してくれたのも……?」
「それはこのバルちゃんとクレちゃんがやってくれた」
「なるほど、分かりました!その内領主様からお礼の言葉等があると思いますが先に言わせて下さい。街を救ってくれてありがとうございました」
「いや、気にするな。私達がやらねばどちらにせよ要請されていただろうからな」
「はい。実力者であるオリヴィアさんの噂は冒険者ギルドで囁かれていますから!きっとお願いしていたと思います。でも、本当にありがとうございました!」
「礼はもういい。少し疲れたからな、宿に帰らせてもらう。襲撃に無事だったならばの話だがな」
「はい!避難した方々の確認は外でやっておきましたので、恐らく宿屋の人は戻っている頃だと思います!お疲れ様でした!」
「ではな」
外で話すのもということで冒険者ギルドの中に入るよう促し、事情を聞いていた受付嬢は、もう聞きたいことを聞き、提供して欲しいものを提供してもらったので、休んでもらうために宿へ帰ってもらってもいいと言った。
一方オリヴィアの方は、リュウデリア、バルガス、クレアを連れて通りを歩いている。建物が倒壊してしまい、中に置いてあった商品などを取り出して無事か見ている従業員や、住んでいた家が壊されてしまって途方に暮れている者達と擦れ違いながら、利用している宿屋の『ノーレイン』を目指す。
そのまま進んでいくと建物の破片などが散らばっていた道が、少しずつ、幾分かの片付きを見せてくる。どうやらガレスとレミィの魔の手がそこまで届いていなかったようだ。不幸中の幸いだろう。
「よし、問題なかったな」
「私が普段普通に歩いているときと変わらないな。流石だ」
「まーそもそも、リュウデリアがやり過ぎなければ何もなかったンだがな」
「タイミングが……悪かった」
いけしゃあしゃあと何も無かったが如く話すリュウデリアに、肩の位置からジト目を向ける2匹に無視を決め込む。目の前に愛しいオリヴィアが居て、自分からキスしてきたらそりゃあ少しやり過ぎてしまうだろうと開き直る。
ホント愛されてるよなというクレアの言葉に、日頃実感していながら照れて頬がほんのりと赤くなる。それを誤魔化すように腕の中に納めているリュウデリアをギュッと抱き締めた。
魔力操作で脚を動かしてもらっていたが、抜けた腰が元に戻ったのでオリヴィアは自分の力で歩き、そんな彼女に付き従いながら宿へ向かう。適当に街を救った後は、皆でゆっくりする為に。
──────────────────
龍ズ
ガレスを生きたまま解剖していた。謎の力については解き明かしているが、肉体的変化がないのかを調べていた。結果、何も変わっていない。死んだら痣も瞳も元に戻ったからだ。
生きたままやったので痛みによるショック死をさせた。が、そんなことは気にせず続行していた。
魔力操作で何時ものように見せるよう、正確にオリヴィアの脚を動かしていたリュウデリア。そんなことが出来るのは……良く見ている彼だからこそ。
オリヴィア
甘えてきたから嬉々として甘えさせてあげていたら、キスがどんどん深くエロくディープになっていき、結果として普通に腰が抜けた。夜のベッドでされていたのと同じなので、覚えてしまった体が反応していたのが原因と思われる。
魔力操作で動かされるとこんな感じなのか……と思っていた。歩き方に違和感が無かったので、自身のことを良く見ているんだなと理解している。ので、ものすごく嬉しい。
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