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Cadenza 戦士達 ⑤
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「魔力譲渡法、に、プラスアルファしてある。魔力を感じる?」
静かにゆっくりと頷いてくれる、彼の目から伝わってくる、集中力をより高く高く高めているのだと。
「それじゃ、自身の魔力を私が言う場所に集中させてみて」
「どのような場所に?」
返ってきた声に安堵する、とても落ちついている。
「まずは、初歩的な部分、上腕にその後に前腕に」
小さな笑みを浮かべ、彼の魔力が上腕に集まり、一定の量を集めた後は前腕へと集めた魔力が流れていく。
「これくらいは序の口だよね」
静かに研ぎ澄まされた集中力を維持したまま頷てくれる。
「溜め込んだ魔力を前腕から大腿部へ、その後にヒラメ筋、えっと、ふくらはぎに」
言葉を言い終わる前に意図を組んでいたのか、前腕に溜めこんだ魔力が太ももに一瞬だけ停滞したのちふくらはぎに圧縮されるように流し込まれていくのを感じる。
自身の体に流れる魔力をコントールする言うが易し実行するのは難しいってのに、魔力を集中させるだけじゃなく一定量を停滞させるっていう超難易度も意のままに、さすがだね。
その後も、同じように全身の筋肉、背筋や殿筋などに魔力を込めれるのか確認をすると易々と汗一つかくことなく実行してみせてくれる。
なら、その先…最も難しい、内臓への魔力集中が出来るのか試してみると、以外だった、此方もあっさりとやってのけてくれる。
ってことは、どの臓器を犠牲にするのかっていう選択肢も彼なら出来る。
その域に迄、到達してるなんて思ってなかった。
心はともかく、体と技に関しては条件を満たし極地へと到達しているってことだよね…
心に関しては、私じゃどうしようもないけれど、魔力を放出するっという段階までは教えることが出来る。
なら、問題ない、彼に無限の魔力を与えれば何も問題なんて無い。
問題があるとすれば…彼が受け入れてくれるかってことだよね。
「身体強化を極めている、なのにその先がわからないってことだね」
悲しそうな顔で頷いてくれるので
「っじゃ、全身を駆け巡りながらも圧縮し続けてきた魔力を体のどこでもいいから、放出してみせて、手のひらからでも全身からでも、何処からでもいいよ?」
この放出させるってのが非常に厄介、特にベテランさんだとね。
戦士として魔力を無駄にするように放出するなんて
「っぐ、む…」
出来ないよね…
ベテランさんは術者じゃないからその手の感覚が苦手なだけ、ってわけでもないんだなこれが!
まぁ、その一因もあるっちゃあるんだけどね、彼は戦士として魔力を身体強化に使う物って体も心も経験も沁みついちゃってるから、体外へ無駄に魔力が流れないように魔力が外へと流れ出てしまう弁が硬いんだよね!
長年の研鑽によって魔力を使って身体を強化する術には秀でているんだけど、魔力を体外へと放出させるって言う行為。
この限界点を見極めきれてない、簡単に言えば慣れていないだけ。
術者ってのはその逆で体内に流れる魔力を感じることは出来るから、自身に流れている魔力量を何となく感覚で掴めている。
だから、術を使うのに必要な魔力の量はこの程度であれば体外へ放出したとしても命に別状がないって、幾度となく術を発動して来た経験によってわかっている。
でも、戦士である彼は魔力ってやつは肉体を循環させて肉体組織を強化させるもので肉体の回復・強化に必要なモノだから、体外へむやみやたらと放り出す物じゃないって認識して体をそのように鍛え作り変えてしまっている。
無駄にしないために放出するような訓練はしてこなかったから、放出できる量の匙加減もわからない。
こういう日が来るのだとわかっていたら…
何か理由でもつけて戦士達に大型の魔道具とかに魔力を流し込む練習でもさせればよかったかも?
そういった経験があればたぶん、どの程度魔力を外に出してもいいのか、彼らであれば直ぐにでもその感覚を掴めたんじゃないかな?
魔道具に対して幾ばくかの?苦手意識を持っていたベテランさんにもっと此方側の研鑽も積んでもらえればよかったのかも?
参加してくれるかどうかは、置いといてさ、そういう機会も必要だったか…
でもなー…うん、今代の私が言ってる訓練であれば参加するだろうけれど、他の理由だと来てくれないって。
っま、そうだよね。
切羽詰まった状況にでもならない限りなんだかんだと御託を並べて古い戦士達であれば逃げるだろうから、無理かな。
若い子であれば直ぐにでも出来ることを古い戦士であれば出来ないから恥をかくからね、それがわかってるからこそ彼らは逃げる。
こうなってしまった経緯を推察し終えたとしても…彼から魔力が放出される様子はない。
額に大粒の汗を流しながら溜め込んだ魔力を外に放出しようと試みているが…このまま待っていても出来そうもない。
やっぱりっか、予想通り。
たぶんだけど、少量の魔力であれば問題なく放出できるのだろうけれど、圧縮した魔力を一度に放出するのは無理かな…
そこがベテランさんの課題、それが出来ないからこそ、死の一撃が放てないんだよね、体がそう理解しているからこそ、その局面に相対した時でも発動できない、なぜなら無駄に魔力を…ううん、肉体を犠牲にさせないために発動できない。
理由は単純に無駄死にさせないために、心がそれをやらせない、敵を倒すと奮闘するのであれば無駄に肉体を魔力へと昇華させない。
…魔力が空っぽになっても人は死ぬからね。
例えるなら魔力は血液と一緒、体内を循環する血液を致死量と思ってしまう程に大量に一気に体外へと飛び出したら人は生命を維持できない、死んでしまう。
それと同じ、心が、脳が、生きる本能がそれをさせない。
死の一撃は、己が死んでも構わない。
生にしがみついている限り発動は出来ない。
死んでも、死んだとしても!その先を、未来を、繋げる意志が無い限りできやしない。
そこがきっと、ベテランさんにとって至れない…難しい部分なんだろうね。
自分自身でどの程度、魔力を一度に放出しても命に危険性が無いのかその経験が無いからわからない。
未知が故にその一撃に賭けれない、失敗が怖くてできない。
多くの経験を積んでくれば加減が出来るんじゃないかって思うんだけれど、彼はそれが無いから、怖くて出来ないんだろうね。っま、その経験さえ積んでもらえれば問題ないかな。彼だったら、ね。
ふぅっと小さな溜息に近い呼吸音が聞こえてきたので
「はい、もういいよ」「まだ!吾輩はでき」眉間に皺を寄せて懇願してこようするその言葉を遮る
「無くても良いんだよ。ベテランさんがどの程度、魔力を扱えれるのか把握することが出来たから」
慰めだと感じたのか直ぐに口を開き
「それだと!吾輩は!」弁明しようとするのを遮る
「うん、それに関してはね、さっきも言った通り問題ないよ、魔力を放出できないのなら出来るようにするだけだから、問題は魔力をどの程度扱えれるのか、だから…合格だよ。その部分に置いてはね」
最後の言葉が予想外だったのか、弁明しようと開いた口が閉じることなく止まり、飲み込めたのか眉間から皺が取れ、言葉の意味を消化できたのか
「っぬ?っぐ、含みがある言い方である。その先に何があるのか今聞いても良いモノであるか?」
頭に血が上った様子もなく冷静に質問してくる
「うん、説明するつもりだよ。それが今回の会議の目的だから…これからのことは絶対に他言無用、ってわけにはいかないか。悩むと思うし家族も相談して欲しいだろうから、信用できて愛する人にだけ…これから話す内容について相談してもいいからね」
女将の方に視線を向けると神妙な顔で頷いてくれる。
一つ空席を挟んでベテランさんの奥様の顔を見ると何度も瞬きをして此方を見てくるので頷いてみせると頷き返してくれる。
「団長は」
後ろを振り向くと無言で頷いてくれる。私の記憶が流れ込んできたのだからある程度察することが出来ているんだろうね。
「聞くまでも無いってことだよね…」
なら説明しないといけない、なのに…
この後の事を喉に出そうとしても喉が動かない。
たった一言、ほんの一言だって言うのに…
何が私は冷酷で冷徹で人類の為なら何でもできるなんてね、言えたもんだよ。
激しく脈打つ不安定な心臓を意識の外へ放り投げ、喉の奥が震えそうになるのを強引に震えを止めさせる。
思考を、冷静に、冷酷に…シフトしてから口を開き前を向く。
だけど…ベテランさんと視線が交わると喉が閉まり声が出なくなる。
その情けなさに俯いてしまう。
小さく深呼吸をして
顔を上げる、視線の端に女将の顔がみえた瞬間
女将との楽しかった思い出が一気に蘇りこの先の言葉が言えなくなってしまう。
スカートの上にある拳を握り締め目を閉じて軽く深呼吸をすると優しく肩を撫でられ「私が…言おうか?」っと聞こえてきたような気がした。
妹に情けない姿を見せ続けるわけにもいかない。
泥の奥から多くの瞳が涙を流し、此方を見守っているような視線が伝わってくる。
それだけじゃない、
その奥から彼らと共に長年、戦士として歩み、戦場では背中を預け共に戦い、何時如何なる時も人類の未来を勝ち取るために共に切磋琢磨し続けてきた…人としての彼から受け流しきれない感情が伝わってくる。
ごめんね、弱い奥様で…私が強かったら、始祖様のように膨大な魔力を持ち、ありとあらゆる魔術を行使することが出来たのなら、こんな悲しい状況になんてさせないのに
全ての感情を受け止め、それでも、私が、託された私が前へ進む
「みんなの命をちょうだい」
言いたくない情けない言葉に
「あにいってんだい、元より、戦士として前へ出る以上、司令官に命を預けるさ」
「そうである。何をいまさら?」
気軽に励ますように軽口で応えてくれる。
何時も通りに…でも、今回は違う、意味が違うんだよ…
そう言う意味じゃないんだよ
静かにゆっくりと頷いてくれる、彼の目から伝わってくる、集中力をより高く高く高めているのだと。
「それじゃ、自身の魔力を私が言う場所に集中させてみて」
「どのような場所に?」
返ってきた声に安堵する、とても落ちついている。
「まずは、初歩的な部分、上腕にその後に前腕に」
小さな笑みを浮かべ、彼の魔力が上腕に集まり、一定の量を集めた後は前腕へと集めた魔力が流れていく。
「これくらいは序の口だよね」
静かに研ぎ澄まされた集中力を維持したまま頷てくれる。
「溜め込んだ魔力を前腕から大腿部へ、その後にヒラメ筋、えっと、ふくらはぎに」
言葉を言い終わる前に意図を組んでいたのか、前腕に溜めこんだ魔力が太ももに一瞬だけ停滞したのちふくらはぎに圧縮されるように流し込まれていくのを感じる。
自身の体に流れる魔力をコントールする言うが易し実行するのは難しいってのに、魔力を集中させるだけじゃなく一定量を停滞させるっていう超難易度も意のままに、さすがだね。
その後も、同じように全身の筋肉、背筋や殿筋などに魔力を込めれるのか確認をすると易々と汗一つかくことなく実行してみせてくれる。
なら、その先…最も難しい、内臓への魔力集中が出来るのか試してみると、以外だった、此方もあっさりとやってのけてくれる。
ってことは、どの臓器を犠牲にするのかっていう選択肢も彼なら出来る。
その域に迄、到達してるなんて思ってなかった。
心はともかく、体と技に関しては条件を満たし極地へと到達しているってことだよね…
心に関しては、私じゃどうしようもないけれど、魔力を放出するっという段階までは教えることが出来る。
なら、問題ない、彼に無限の魔力を与えれば何も問題なんて無い。
問題があるとすれば…彼が受け入れてくれるかってことだよね。
「身体強化を極めている、なのにその先がわからないってことだね」
悲しそうな顔で頷いてくれるので
「っじゃ、全身を駆け巡りながらも圧縮し続けてきた魔力を体のどこでもいいから、放出してみせて、手のひらからでも全身からでも、何処からでもいいよ?」
この放出させるってのが非常に厄介、特にベテランさんだとね。
戦士として魔力を無駄にするように放出するなんて
「っぐ、む…」
出来ないよね…
ベテランさんは術者じゃないからその手の感覚が苦手なだけ、ってわけでもないんだなこれが!
まぁ、その一因もあるっちゃあるんだけどね、彼は戦士として魔力を身体強化に使う物って体も心も経験も沁みついちゃってるから、体外へ無駄に魔力が流れないように魔力が外へと流れ出てしまう弁が硬いんだよね!
長年の研鑽によって魔力を使って身体を強化する術には秀でているんだけど、魔力を体外へと放出させるって言う行為。
この限界点を見極めきれてない、簡単に言えば慣れていないだけ。
術者ってのはその逆で体内に流れる魔力を感じることは出来るから、自身に流れている魔力量を何となく感覚で掴めている。
だから、術を使うのに必要な魔力の量はこの程度であれば体外へ放出したとしても命に別状がないって、幾度となく術を発動して来た経験によってわかっている。
でも、戦士である彼は魔力ってやつは肉体を循環させて肉体組織を強化させるもので肉体の回復・強化に必要なモノだから、体外へむやみやたらと放り出す物じゃないって認識して体をそのように鍛え作り変えてしまっている。
無駄にしないために放出するような訓練はしてこなかったから、放出できる量の匙加減もわからない。
こういう日が来るのだとわかっていたら…
何か理由でもつけて戦士達に大型の魔道具とかに魔力を流し込む練習でもさせればよかったかも?
そういった経験があればたぶん、どの程度魔力を外に出してもいいのか、彼らであれば直ぐにでもその感覚を掴めたんじゃないかな?
魔道具に対して幾ばくかの?苦手意識を持っていたベテランさんにもっと此方側の研鑽も積んでもらえればよかったのかも?
参加してくれるかどうかは、置いといてさ、そういう機会も必要だったか…
でもなー…うん、今代の私が言ってる訓練であれば参加するだろうけれど、他の理由だと来てくれないって。
っま、そうだよね。
切羽詰まった状況にでもならない限りなんだかんだと御託を並べて古い戦士達であれば逃げるだろうから、無理かな。
若い子であれば直ぐにでも出来ることを古い戦士であれば出来ないから恥をかくからね、それがわかってるからこそ彼らは逃げる。
こうなってしまった経緯を推察し終えたとしても…彼から魔力が放出される様子はない。
額に大粒の汗を流しながら溜め込んだ魔力を外に放出しようと試みているが…このまま待っていても出来そうもない。
やっぱりっか、予想通り。
たぶんだけど、少量の魔力であれば問題なく放出できるのだろうけれど、圧縮した魔力を一度に放出するのは無理かな…
そこがベテランさんの課題、それが出来ないからこそ、死の一撃が放てないんだよね、体がそう理解しているからこそ、その局面に相対した時でも発動できない、なぜなら無駄に魔力を…ううん、肉体を犠牲にさせないために発動できない。
理由は単純に無駄死にさせないために、心がそれをやらせない、敵を倒すと奮闘するのであれば無駄に肉体を魔力へと昇華させない。
…魔力が空っぽになっても人は死ぬからね。
例えるなら魔力は血液と一緒、体内を循環する血液を致死量と思ってしまう程に大量に一気に体外へと飛び出したら人は生命を維持できない、死んでしまう。
それと同じ、心が、脳が、生きる本能がそれをさせない。
死の一撃は、己が死んでも構わない。
生にしがみついている限り発動は出来ない。
死んでも、死んだとしても!その先を、未来を、繋げる意志が無い限りできやしない。
そこがきっと、ベテランさんにとって至れない…難しい部分なんだろうね。
自分自身でどの程度、魔力を一度に放出しても命に危険性が無いのかその経験が無いからわからない。
未知が故にその一撃に賭けれない、失敗が怖くてできない。
多くの経験を積んでくれば加減が出来るんじゃないかって思うんだけれど、彼はそれが無いから、怖くて出来ないんだろうね。っま、その経験さえ積んでもらえれば問題ないかな。彼だったら、ね。
ふぅっと小さな溜息に近い呼吸音が聞こえてきたので
「はい、もういいよ」「まだ!吾輩はでき」眉間に皺を寄せて懇願してこようするその言葉を遮る
「無くても良いんだよ。ベテランさんがどの程度、魔力を扱えれるのか把握することが出来たから」
慰めだと感じたのか直ぐに口を開き
「それだと!吾輩は!」弁明しようとするのを遮る
「うん、それに関してはね、さっきも言った通り問題ないよ、魔力を放出できないのなら出来るようにするだけだから、問題は魔力をどの程度扱えれるのか、だから…合格だよ。その部分に置いてはね」
最後の言葉が予想外だったのか、弁明しようと開いた口が閉じることなく止まり、飲み込めたのか眉間から皺が取れ、言葉の意味を消化できたのか
「っぬ?っぐ、含みがある言い方である。その先に何があるのか今聞いても良いモノであるか?」
頭に血が上った様子もなく冷静に質問してくる
「うん、説明するつもりだよ。それが今回の会議の目的だから…これからのことは絶対に他言無用、ってわけにはいかないか。悩むと思うし家族も相談して欲しいだろうから、信用できて愛する人にだけ…これから話す内容について相談してもいいからね」
女将の方に視線を向けると神妙な顔で頷いてくれる。
一つ空席を挟んでベテランさんの奥様の顔を見ると何度も瞬きをして此方を見てくるので頷いてみせると頷き返してくれる。
「団長は」
後ろを振り向くと無言で頷いてくれる。私の記憶が流れ込んできたのだからある程度察することが出来ているんだろうね。
「聞くまでも無いってことだよね…」
なら説明しないといけない、なのに…
この後の事を喉に出そうとしても喉が動かない。
たった一言、ほんの一言だって言うのに…
何が私は冷酷で冷徹で人類の為なら何でもできるなんてね、言えたもんだよ。
激しく脈打つ不安定な心臓を意識の外へ放り投げ、喉の奥が震えそうになるのを強引に震えを止めさせる。
思考を、冷静に、冷酷に…シフトしてから口を開き前を向く。
だけど…ベテランさんと視線が交わると喉が閉まり声が出なくなる。
その情けなさに俯いてしまう。
小さく深呼吸をして
顔を上げる、視線の端に女将の顔がみえた瞬間
女将との楽しかった思い出が一気に蘇りこの先の言葉が言えなくなってしまう。
スカートの上にある拳を握り締め目を閉じて軽く深呼吸をすると優しく肩を撫でられ「私が…言おうか?」っと聞こえてきたような気がした。
妹に情けない姿を見せ続けるわけにもいかない。
泥の奥から多くの瞳が涙を流し、此方を見守っているような視線が伝わってくる。
それだけじゃない、
その奥から彼らと共に長年、戦士として歩み、戦場では背中を預け共に戦い、何時如何なる時も人類の未来を勝ち取るために共に切磋琢磨し続けてきた…人としての彼から受け流しきれない感情が伝わってくる。
ごめんね、弱い奥様で…私が強かったら、始祖様のように膨大な魔力を持ち、ありとあらゆる魔術を行使することが出来たのなら、こんな悲しい状況になんてさせないのに
全ての感情を受け止め、それでも、私が、託された私が前へ進む
「みんなの命をちょうだい」
言いたくない情けない言葉に
「あにいってんだい、元より、戦士として前へ出る以上、司令官に命を預けるさ」
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