最前線

TF

文字の大きさ
上 下
15 / 214

おまけ のんべんだらり

しおりを挟む
久しぶりに完全なるお休みを貰えました!!やった!研究に没頭しよう!!!!
なんて思って~私室で準備をして、いざ研究へ!

研究所がある扉の前には、全身しっかりと清掃員の服装をしたスタッフが箒を片手に立っている。
嫌な予感しかしない、予定が狂う予感しかしない、恐る恐る確認するとにっこりとした笑顔で

「姫様?今日は非番ですよね?術式研究所ですけれど、徹底的に掃除することになっていまして、入れませんよ?」
覆すことの出来ない、怒りの感情が裏に見え隠れしている素敵な笑顔。

私の心のオアシスである、第二の家、研究が、優秀なスタッフ総出で大掃除を行うことが決まっていたそうですぅぅぅ
なんでよ!掃除なんて、掃除なんて・・・あれ?いつしたっけ?でも、掃除だけなら、別にー私が隅っこで研究してても問題なんてなくない?なくなくなくない?

「姫様、ここに居ると皆様から
『どうして片付けができないの!?』『元の場所に戻す!!』『これって騎士部の備品じゃないの!?どうしてここに!?』等々の罵倒を
一身に受けてしまう恐れがありますけれど、そのお覚悟があるのでしたら、どうぞ中へ」
一瞬だけ、笑顔が凍り付きそうなほどの殺気を感じたのは気のせいだよね?私、そんなに悪い事してないよねぇ~?

…今現在進行形で、扉の奥から罵倒の数々が聞こえてくる、過去に罵倒され続けてきた言葉が脳内で何度も何度もリフレインされる、、、そんな詩的なものじゃないけれどね

「姫様、仕事熱心なのはとても!とぉっても!関心で素晴らしいですわ、街の財政を潤わしていらっしゃる画期的な数々、品々それらを大量に発明する姫様の手腕、それを盾にした各都市への機能向上としてのおぞましい話術によって、かなりふっかけた取引を成立させる話術、そんな姫様に、私達も罵詈雑言を姫様の耳に触れさせるのは少々、心苦しいのです。」

なら、言わなければいいじゃないの?なんで口を滑らしちゃうの?黙々と仕事してればいいじゃないの?感謝の精神で施してくれても良くないかしら?

「姫様?早々にここから立ち去った方が姫様の心の平穏を保ちましてよ?」

ぐぐぅ、確かに、皆が善意でしてくれているのを知っているし、本当の仕事でもないのも知っているから、あまりきつく言えない。でもぉでもぉ、

「はぁ、姫さまぁ?まだ心折れないのですかぁ?粘り強いのは人として良いことですけど、ここは、お引き取りください。」

箒でしっしっと払われてしまっては、観念するべきなのだとわかるけど~、はぁ、私の野望の為にも、皆の心証をこれ以上悪化させるのは良くないのはわかっているのよ!!
でも!気になるの!あと少しでなんかこう、繋がりそうな感覚があるの!喉に小骨が引っかかってる状態なのよぉ!!研究したいのぉぉぉ!!

「・・・はぁ、今回は本当に粘り強いですわね、仕方がありませんわ、皆さま出番でしてよ!」
パンパンと手を叩くと、私の両腕を屈強な戦士に捕まれてしまう
「ぁ!これ!パワハラ!これって今話題のパワハラでしょ!?パワーなハラスメント!!はなして!!」

「はいはい、そうですね、行きますよ」ズルズルと物理的なパワーで引きずられていく、やだぁ!研究以外することがないのー!暇なのー!やだぁ!!!
観念できずにジタバタとするが、筋骨隆々な騎士には勝てず、ズルズルとみんなのオアシスである公園に連行されていく。

公園に到着するとぽいっと放り出されてしまう、眉間に皺を寄せながら連行してきた騎士を見ると「休むときは休むですよ。姫様」それではと一言の後、持ち場に帰っていった。
ぐぐぅそれはそう、その言葉を言われてしまうと何も言い返せないのよ。

はぁっと、溜息をつきながら公園の中に入っていく。
それにしても、あの騎士達わざわざ、私を連れていくためだけにアソコに配置されていたのかと思うと、ちょっと申し訳ない気持ちになるけれども

嫌なのよ、この暇な時間が!!

私にとって、術式を開発する研究するのが一番の休憩なの!心のオアシスなのよぉ!ぁーもう!やだやだ!凡人共はどうして、この感覚がわからないのかしら!?

プンプンプリプリとしていても、何も始まらないし、どうしようかな?そうだな~せめて、何か本でも読もうかしら、なんとなく図書館がある方向に向かって歩いていく、

今私が歩いている、公園にはいくつかのエリアが分かれているの、中には、ハンモックが用意されてて、森林浴を優雅に楽しむ場所があるのよね、そこを通り過ぎようとしたら

あらぁ?私と同じように暇そうにしている方がいらっしゃいますわねー

ハンモックでゆったりと過ごされている医療班のエース、誰が呼んだが医療班の団長!がハンモックで寝てますわねー…

小さな悪戯心がすくすくと育ち、沸き上がっていく、抑えることが出来なくなってしまった。
きっと、予定が狂わされて少しでもいいから何かに鬱憤をぶつけたくなってしまったのよ。

音を立てずに近寄る為に、ふっと足元に息を吹きかける、消音の術式である、音を消してさらに、気配も殺してゆっくりと獲物を狙うキャットな気分で近づいていく。

ハンモックの真下に到着する、相手の寝起きが聞こえる程、接近する事に成功した、そのまま、ハンモックの隙間から手を入れそっと脇腹に手を近づけていく

両手が、相手の両脇腹をいつでも掴むことが出来る場所まで持っていく、耳を澄ませる、すーすーっとリズムよく心地よさそうな寝息が聞こえる!

ここ!!

ズバっとガっと!!両脇を掴むと「きゃぁあ!?」乙女チックな甲高い悲鳴が聞こえる!!団長ったらおっとめなんだからもうかわいいなぁ。
「や、なに!?だれ!?やめ、わきばら、だめなの、ちょ、くるし、、、いきでき、、、」ジタバタとハンモックから落ちないように気様に身悶える

私の手から逃れようとするが、私もやめない!とまらない!楽しいから!!

本来なら、森林浴を楽しみ、普段の激務から解放されてのんびりと心の平穏を保つ、癒しの空間が一人の悲鳴で場の空気を徹底的に乱されていく

たまらん!このしてはいけない場所でのやってはいけない背徳的な行為がたまらん!悶え苦しみ、そして、この場の雰囲気をぶちこわせぇえ!!

調子に乗っていると、私の両手が振り払われると同時にハンモックから降りてきたと同時に脳天チョップによる衝撃で調子に乗った私の蛮行は終了となった。

はぁはぁと呼吸を整えている団長を見ながらじっとしているときっと睨まれながら「なによ!起こすなら優しく起こしてよ!!」きしゃー!っと声を荒げている。団長~?素がでてるよー?

「・・・姫様、いったい、何用でございますか?」膝に着いた木の葉をぱ、ぱっと払いながら平穏を装っている、もう何時もの気丈な高貴な団長ムーブに戻っているわねー

私としては素の方が好きなんだけどね~、まぁいっか、鬱憤も晴らしたし!!!
・・・団長が悪いわけじゃないけれどね!完全に八つ当たり!!

団長に朝からの経緯を説明すると呆れたような声で「八つ当たりじゃん…」はい、その通りです!おかげで心の平穏は保たれました!医療班のお心遣い感謝感謝!
笑顔でにっこにこしていると「はぁ、目が覚めちゃったよもう、私も、この後どうしようかしら」あきれ顔で二度寝は出来ない発言をいただきましたので、起こしてしまった責任として

団長を暇させるわけにはいかないよね?ちゃんと起きててよかったーって思わせないとねー?

「だ~んちょ!せっかくだし二人で遊びにいこうよ!」
呆れた顔の後、少し微笑んだ後、しょうがないねっと呆れた声で了承してくれた、そういう付き合いの良いところ大好き!

基本的に、私達の仕事は三日仕事で四日休みということになっている、そして、お給金も非常に良く、自身の暮らしていた実家のある街で働くよりかはこっちで働いた方が数倍は給料に差がある、命かけてるから当然と言われたらその通りだけど、命がけの現場なんてこの街以外でも多くある、その全ての仕事が給料の支払いが良いのかと言われれば良くないのがこの大陸の常識でもある、どうせ、命懸けなら給料が良くて誇りにもなって、栄光を称えられる場所の方がよくない?

死ぬ確率、他の街での12倍以上あるけれど(笑)

それにね、最前線の街とはいえ、産業が無いわけではないの、各々、趣味で経営しているお店があったりするし、前線で戦わなくても店の売り子とかで儲けてる人たちもいる。
ご飯処を営んでいる方も居れば、お酒を提供しているお店もある、

最近は無くなったけれども、時折、上空からいきなり炎の塊が飛んできたり、岩が降ってきたり、氷塊の雨霰が飛んできたりしていた時期があるせいで、店が崩壊して廃業

爆発に巻き込まれて店主死亡により廃業なんてのも日常的な世界だったせいもあって、本当に、一時期、この街で働くのは命が軽すぎるといわれていたのよ~

今はね、もちろん違うわよ?
ちゃんと遠見の術式で敵を常に監視しているし、敵からの隠者が潜んでいないかしっかりとパトロールもしている。

敵に隙なんて与えないようにしている!はず!敵は賢くない獣ばっかりだけれど、二足方向の敵だけは油断出来ないのよ、今のところ、そいつらだけが術式を展開して遠距離から攻撃してくるのよ!過去にあった襲撃事件の殆どが二足歩行タイプ、通称人型によって起こされているのよね~

そんな死が身近すぎるこの街だけれど!自身の店を構えたくて稼ぎに来て叶えた方も非常に多いの!そんな私だって、自分の夢、野望の為に!ここで働ているの。

稼げるだけ稼いだからどこか安全な街で研究する事だって出来る!でもね、野望の為に必要なものをそろえるにはここでしか、出来ないの。

隣で、仕事中で尚且つ同じ隊員には、絶対に見せないであろうルンルンなご機嫌で、ミルクアイスを食べている団長も、自分の夢の為に頑張っている。

お金は、既に集めきっているみたいだけれど、技術力とか時勢だとかが、まだ、追いついていないみたいだから、夢に向けてのアクションができなーい!って言ってたけど~

あれからは、どうなったんだろう?夢が叶えれる状態になったら声をかけてくれるみたいだけど~、その話題が無いあたり、まだなんだろうなぁ~

じとーっと見ていると「?食べたいの?」すっとアイスをこっちに傾けてくれる、私も手に持っているストロベリーのアイスを傾けて食べやすくしてあげる

お互いのアイスを一口食べる、アイスおいし♪ここのお店のミルクは濃くって最高♪この街で唯一畜産を頑張ってくれている系列なだけあって、ミルクが美味しいの!

アイスを食べながらやっぱり、団長の夢が何かってのは昔から気になってる、なんとなく、そうじゃないかな~って思っている部分はあるけれど

確証は得てないから~気にはなってるのよね~。

「次どこいこっかー?」こうやって巣の状態だと本当に可愛いのになぁ、どうして、団長として動いているときはあんなに手厳しくするんだろう?
「お洋服みたーい♪」お手手繋いで二人でルンルンに街を見て回っていく。お互い気心が知れていて気も合うからこそ、私だけにこんな笑顔を見せてくれるのかな?って

思うときもがあるけれど、

たぶん違う、

根っこに引っかかってる部分がある、一緒に居るからこそ察している部分ではあるけれど、きっと、そこをどうにかしないと

ダメなんだろうなぁ。

二人でお洋服を見ていくと、ふりふりのついたドレスとか凄い興味津々で見てるのになぁ、目もすっごいキッラキラで輝いているのに絶対に買わない

お金あるのに、

良いと思うけどなーそんなに周りの視線って大事?
大事なのは自分の気持ちじゃないのかなぁ?
普段から自分を律し過ぎじゃないの?

傍で見てると、いつか自分の気持ちに感情に圧し潰されてしまいそうで怖いんだよなぁ。
変なお薬つくってキメないでよー?って思うときがあるの。

心の芯がすっごい強い人だから、薬物に依存するとかは有り得ないと思うけれど、カフェインとか~そっち方面には、ほんっと頼りまくってるから、何かの気の迷いで手を出しそうで怖いなー、現にこの街にはそういう類の薬は普通に保管されてたりするの、だって、フィアー対策に大量に生産されたのがまだまだ多くあって、死ぬかもしれない現場に出るときにそっと持たされたりするの、トランス状態の方が生きて帰ってくる可能性が高いから。

それにしても、今日の団長は感情表現のリミッターが外れちゃってるねぇ、色々と溜まってたんだろうなぁ、すっごいご機嫌じゃないのー可愛いなぁ、こんな可愛い姿見せれば、意中の人なんて秒殺ノックアウトケーオーで即挙式じゃーんって思うんだけどなぁ、上手いこと行かないのが人生ってかー?ほんっと神様が居たら、こればっかりはちょっと特大な試練を用意しすぎじゃないのー?会ったら絶対に文句言っちゃうなー。

ストレスがすっごい溜まってるから普段居ない森林浴エリアで、ハンモック森林浴を楽しんでいたんだろうなって今になって思うよ。

朝見たときは珍しさでちょっかいかけちゃったけど、かけて良かったかなーいい感じにストレス発散出来てみるみたいだし!

私くらいだもんなーここまで、全力で素の状態をさらけ出してくれるの、もっと出せる相手が居ればフラストレーションも溜まらないと思うけれど

居ないんだろうなー、

私だって、ここまでの関係になるまですっごい時間掛かったもんなー心の壁というかドアが分厚すぎるのよ!心配だな、心が壊れないか、心配だよ。

二人でぶらぶらとあてもなく、のんびりとだらだらと休暇を楽しむ、これはこれで、私自身もすっごい良い息抜きになってるからWinWinの関係だねー。


気が付くと夜も暮れてきたら、お互いお腹が空いてきたので、どうしよっかー?って話をしていると、お互い、今日から休み見たいでお酒を飲んでも大丈夫!
次の日に影響でても問題がないとくれば!二人の行きつけの酒場に行くことに!

これはもう、飲みにケーションでしょ!

うっわ!久しぶりに二人っきりでお酒飲める!ちょっとこれは、絶好の機会かも!?
気になってたあれやこれを聞き出す最高のタイミングじゃん!・・・ちゃ~んす♪

心の中でとびっきりの笑顔でごっついむっきむきの私好みの体系している女将が待っている酒場にれっつごー!!

酒場での出来事は次回のおまけで!!みんなー楽しみにまっててねー!
しおりを挟む

処理中です...