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とある人物が歩んできた道 ~ デッドライン 1 ~
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騎士様が王族の末席、件の王子、会話しにいくのだが、なぜか先輩と奥様も一緒についていく。
私も付いて行こうとしたのだけれど、前回の件があるので近寄らないほうがいいと騎士様に言われたので
医療用道具の点検や、薬の在庫の確認、補給部隊に薬の説明を念押し、戦士部隊にこの薬は死を覚悟した時以外は絶対に服用しないようにと徹底的に確認をとっていく。
坊やは独り、槍を持ちながら精神を研ぎ澄ましている様子だった。
坊やは、騎士様から数々の武器の扱いを指導してもらい、今では、何でも武器を扱える。
槍だって、剣だって、でも、もしかしたら一番得意なのは槍なのかもしれない。
王子と一緒に来た兵士たちは物見遊山がよろしく、のんきに街を見て回っている、なにこいつら?危機感ないの?死ぬ覚悟ないの?この先が死地だって理解してんの?
なんで、死地に向かう私達のことを見くびった目で下に見てるの?たかが相手は獣だろ?っとか思ってるわけ?
こんな奴らのせいで、私達の大切な仲間が傷つくなんて割に合わない。
君たちの命に危険が迫っても助けてやんないわよ?
って思ってみていたら、ちゃんと精神を統一をしようとじっと動かない人もい…あ、違うわ、あれ、私をガン見してるだけのスケベなおっさんだわ。じっと、私の胸とお尻みてるじゃないの。死ね
余りにもな人選に苛立ちが抑えきれない。
っかぁ!くそがよぉ!王国の騎士ってのは高貴な人しかいないと思っていたけど、何よこれ!俗ばかりじゃねぇーかよぉ~!!ふっざけんなよぉ!!
私の体を眺めて想像していいのは騎士様だけなのよ!あいつには絶対に毒もって人知れず殺してやる!覚えたからなてめぇの顔!!鎧も胸にばってんの傷がついているし!わかりやすいしな!
イライラしながらも、準備を進めていくと、会議室の方から誰かが歩いてくるのが見えたので視線を向けると
王子が広場に向かって歩いてくる、その姿を目視した烏合の騎士共が慌てて整列し始める。
王子が声明を出す場所に辿り着く頃には騎士共はきっちりと整列が終わっていた、その辺りの動きはとても洗練された卓越した動きだった。
あの動きが戦闘に生かされるのであれば信頼してもいいかもね、これくらい動けるのだから獣なんて塵芥とかって、慢心してるのだったら本気で見捨てる
救わねぇよ愚者は、っと呟いている戦士部隊の人がいて、そのつぶやきを聞いた人たちは全員頷いていた。
どうやら、みんなも同じ感想を抱いているご様子だった。
王子が演説を始める、内容は糞程どうでもいいので、殆ど覚えていない
お前さえいなければ、私たちが危険にさらされることなんてないのに。
人知れず殺意が膨れ上がってしまう。ついつい、殺意のこもった熱い目線で王子を見つめすぎてしまったのか、王子が私の視線に気が付き目と目が合う。
どうやら、私が熱のこもった視線を送っているのだと違う意味として汲み取ってしまったのか、私に向かってウィンクをしてくる。
はい、ころす、お前は、ころす。浮ついてんじゃねぇぞガキがよぉ!てめぇ、全てが終わったら覚悟しろよ!すべての力を利用して毒殺してやるからな!!
全ての演説が終わると歓声が沸き上がる。
心のこもっていない歓声だ、上辺だけの感情が一切なく、気持ちがない、気持ち良くないただのうるさいだけの声。
それがわからないで、自慢気に手を振るガキ。あれが次代の王になるの?王国滅びるんじゃない?
私達、あいつを謀殺するために利用されてない?はめられてない?…可能性が高いなぁ、あれってどう見ても、王様としての資質ゼロじゃない?
…本気であり得そう
他の次代の王候補があいつを蹴落とすためにあいつに無理難題をふっかけて、ついそれに乗ってしまった糞王子が後に引けなくなり、相手の策略に完全に乗っかってしまう。
その結果、私たちが巻き添えを食らい、デッドラインに向かうことになってしまう、結果、全滅して王子もろとも死滅するなんて、そんな糞みたいなシナリオを描いた糞野郎がいるって可能性もあるってことよね?
誰よその糞ごみ!!本当に居るのだとしたら絶対に殺す!!
糞王子が準備の為に一度、広場から離れる
その間に騎士様が私の近くに来て一言だけ呟く
「すまない、どうやら父の指導は失敗した様子だ」
一言だけ呟いた後、戦士部隊に最終確認をさせに声をかけにいった。
騎士様の一言で察する、相当なじゃじゃ馬っていうか、聞かん坊っていうか、本気で次代の王として欠落してる人物ってことね。
はぁ、責任を問われないのであれば、あいつだけ突撃させて死んでもらえないかなぁ?
騎士様も思っていた以上に王国の騎士が使い物にならないと判断したみたいで、戦士達にそのことを伝えている、頼りになるのは君たちしかいないと
戦士達もあのゴミみたいな連中を見てすぐに察しているので、「言わなくても大丈夫、あんなのを守るために死なないでくださいね戦士長」っと逆に騎士様のことを心配している様子だった。
王子が、派手な金色の鎧で出てきた瞬間、あ、これもうダメだあいつ死んだわっとその場にいる全員が思ってしまった。
そして、馬に乗って死地に向かおうとする、あいつ話も聞いてなかったのかよ!!それを見た騎士様も呆れた顔で呟く「もう知らん、俺は王族と縁を切る」っとこめかみに青筋を立てながら怒りをあらわにしていた。
糞王子が、先陣を切って颯爽と最前線の街から死の大地へと通じる門に向かっていく。
門を出てからたったの数歩で馬が動かなくなってしまった。
賢いねあの子、駄馬だともっともっと奥に行ってから危険な場所だと悟り、慌てて戻ろうとするころには、戻れなくなって死ぬのに、まだ余裕をもって引き返せれる場所で止まる。
少しでも前に進めば進むほど、自分の命が無いっということを理解できるほどの名馬じゃないの、死んでほしくないなぁ、あんな賢い馬。
糞王子が名馬に鞭を入れて強引に前に進ませる、その姿を見た騎士様がぐっと歯を食いしばっているのがわかる、だって、歯を食いしばる音が隣にいる私にも聞こえてくるもの
どうして、騎士様が糞王子の隣にいないで、私がいる後方部隊の隣にいるのかって?
糞王子が
「お前らのような愚鈍な愚者共に守られるなんて末代の恥だと言われてなぁ、喜べ!勇敢なるこの王族であり王家の秘宝である我が!前を歩いてやろう!!愚者は愚者らしく、媚び諂いながらついてくるがいい、人類未踏の大地に我が導いてくれる」っと、騎士様と先輩と奥様の前で言い切ったみたいで、それは危険だからと何度も説得したみたいだけど
「っは、愚者たるものの声など聴く必要があるか?ないな、黙れ下郎ども、我の機嫌を損ねる前にいね」っとしっしっと手首で払われてしまったから、戦士のみんなと同じ部隊にいる。
どうして先輩と奥様が一緒に、付いて行った理由が分かった。
王都でも信頼おける二人が、先の言葉の証人として付いて行ったのだろう。これで、政治的責任を取らされる可能性がぐんっと減ったわけだ。
騎士様もこれを提案してくれた医療の父に感謝していますっと言っていた。
そういうわけで、先陣は糞王子と糞王子を守るために選定された騎士たち(死んでも惜しくない人材なのだろう)が陣形なんてなく、ただ真っすぐ線になって行軍する。
サイドから挟撃されたら確実に死ぬ陣形…舐めてんのこいつ?
そして、その後ろでしっかりと陣形を維持し、警戒を怠らない最前線の強者達
前もって決めていた予定だと、騎士様は、王子の隣にいて絶対的守護をする予定だったのだけれど、断れてしまったので予定が変わる。
先ほどの会話内容がひどすぎたのか騎士様も「あれは死んでもいいだろ」っと見捨てる気満々だった。
なので、騎士様は絶対的守護の対象を糞王子から打って変わって、世界で一番安全な、騎士様の隣というポジションに私がいる。
私も騎士様があいつの代わりに命を落とさないって知れたので、凄くうれしかった。
街から出て、経ったの10分足らずで敵と遭遇する。
当然だろう、あんな大勢で何も警戒せずに馬鹿正直に行軍するなんて見つけてくれって言っているようなものだ。
騎士様が伝えた作戦はすべて却下され、ルートだけ採用された。
そりゃ、こうなるよね。
結論だけ言うと、この敵と遭遇してから落ち着くまでの間に出た被害は
糞王子を乗せた馬が死んだ、後、10名の人が死んだ
名馬は、糞王子が乗っていようがお構いなしに逃げようとした、だけど、糞王子の手綱のせいで、身動きが出来ず、
目の前にいる逃げないと絶対に殺される、獣からの攻撃から、避けようにも避けきれず、あっさりと首の急所を噛まれ、噛まれた状態で嚙む力によって首の骨を折られ名馬は即死した。
糞王子が落馬して、体制を整える時間を得るために、敵の牙から身を挺して守った人が犠牲になった。
盾も構えずに敵の前で大の字になって前に出れば、そりゃ、ねぇ?子供でもわかるよ?
首を噛まれて死ぬ、相手は獣だぞ?そんな馬鹿みたいに前に出たら死ぬしか選択肢ないじゃないの、子供でもわかることよ?
背中にしょってある盾使えよ、腰にさしてある片手剣構えろよ、戦闘訓練してないの?なにこれ?
その光景を見た騎士様も「ここまで酷いとは想定外だ」一言だけ落胆した表情と言葉を放つが、その場から動こうとしない、きっと、命令があるまで前に出る気はないのだろう。
噛まれて死んだ人の血しぶきが巻き上がる、当然、人の血の臭いに反応して他の獣も集まってくる
糞王子はまだ立ち上がってこない、腰が引けているのか鎧が重いのか立ち上がれていない、あ、落馬した時に馬と地面の間に足がある、挟まって動けないのか。どんくせぇなぁ…
「警戒態勢!索敵あり!」
後方に構えている私達にも、当然、敵が襲い掛かってくる、索敵班が敵を見つけたみたいで、戦士達が警戒態勢を取る。
出てきた獣たちは前にいる獣と同タイプの敵。
本来であれば密林エリアに生息する大型の肉食獣、通称、虎タイプが2体
本来であれば、群れをなして襲ってくるタイプじゃないが、血の匂いに釣られてきたのだろう。
戦士たちが陣形を組んで確実に仕留めていく。
この程度の敵であれば、最前線の戦士達なら寝起きでも目玉焼きを作るくらい簡単だ
こちら側に出てきた敵、二体を倒し終え、向こうの様子を見ると、三体の虎タイプに襲われており、既に阿鼻叫喚だった。
見てみると大地に転がって動かないで倒れているのが3名、一番最初に大の字で死んだ愚か者が1名
早くもこんな序盤で4名も戦線離脱なんて、先が思いやられるなぁって思いながら見ていると
一人が勇猛果敢に虎タイプの獣、飛び掛かった、比喩ではない、本当に両手を広げて飛び掛かった。
野生の虎であれば、ああやって大きな姿を見せて、飛び掛かって慄かせるのは有効よ、こっちは固い金属の鎧を着ているのだから。
それに首根っこを捕まえてしまうのも普通であれば、虎は慌ててしまうだろう、その慌てさせている間に槍などで虎の腹部などを突き刺してもらえば倒せるだろう
バカでしょ?ここが何処かまだわからないの?目の前で転がっている人達を見て、何も学ばないの?
ほら、案の定、鎧ごと、胴体をひと噛みで砕かれているじゃない、胴体をあの大きな口でガバっと内臓ごと持ってかれてしまったら即死ね、助けようがない。
この大地にいる獣がその辺に自然発生した獣と同一視してるの?そりゃ、野生の虎だったら金属の鎧ごと肉体を噛みちぎってくるなんて思わないよね?死の大地にいる獣がそんな常識通じるわけないでしょうに。
これで5人目
この光景を見て流石に、馬鹿どもでも警戒するようになって慌てて盾とか取り出してるけど、遅くない?判断、遅すぎない?あ、やっと糞王子が立ち上がって指揮をし始めているけどみんな、その指揮を聞いて困惑してるわね
何を言ったのだろうか?遠すぎてよく聞こえなかった
「いや、それはないよ、複数人で押さえつけて槍でさせだって」
さすが騎士様、兜を装着されていてもあんな遠くの音を拾えるなんて!…作戦が無謀すぎる。
大きな声で怒鳴り散らすからこれは、流石に聞こえました
「はやくやれ愚者どもがぁ!」ってのは聞き取れました、あーあ、あんな大声出して、声に反応して敵が集まってくるじゃないの~
「索敵あり!上空!」
索敵班が上空から鳥タイプの敵がこちらに向かってきていると望遠鏡で見つけ、更に「索敵あり!地中からも!」地面に耳をつけて、音を感知する索敵班からも反応があると。
これ、デッドラインに到着する前に全滅しない?
地中の敵は真っすぐに私達に向かってきているみたいで全員が警戒態勢を取る「きます!」の発言からコンマ数秒で地中から蛇のような敵が出てくる。
地中からくる獣なんて、モグラくらいかと思っていたら、こんなのも居るのね
出てくると同時に騎士様によって首らしき部分と胴体を二つに分断されてしまう蛇タイプの獣
それを皮切りに3体ほど出てくるけれど、モグラたたきの要領で出てきた瞬間に槍で突かれ、斧で頭をかち割られ、剣でたたっきられておしまい。
戦士達の練度が高すぎてここが、死の大地ってのを感じさせないくらい安全
上空の敵は警戒して近づいてこないので遠距離まで射貫ける遠弓で射貫いてもらう、一撃で確実に胴体を矢が貫いて撃墜。
ふと、前を見ると転がる人数が増えてる。でも虎を2体も撃破している。
残り一体も複数の槍に貫かれて沈黙する、あと少し槍が刺さるのが遅かったら虎の爪が糞王子に当たっていたので負傷した結果撤退という誰も悲しまないシナリオが発生したのに!惜しいなぁ…いや、既に、えっと、10名が倒れているし、名馬も失った。
誰かしらが悲しむ結果になってしまったわけだ。
街を出てからたったの数十分でしょ?何これ?被害でかすぎない?これって、誰もが思うよ。無理難題だって、ケガをする前に帰りたい…
この状況でまだ前に進もうとする糞王子を諫める人がいないのが致命傷
何とか、体制を立て直して前に進もうとするけどさ、被害状況の報告とか、この先も無事に進めるのか経験者である騎士様に聞かなくてもいいの?
騎士様も今なら手厚く保護してくれるわよ?ただし、そちらから折れない限り騎士様も助ける気はないみたいね。
貴方の無謀な作戦と指揮のせいで亡くなった人を置き去りにするの?
ああそう、置き去りにして進むんだ、人としても救いようがない。だからか。こんな無謀な作戦が罷り通ってしまったのね。
野ざらしにされた死体を見て、後方で待機している補給部隊が見かねて遺体を布袋に入れて最前線の街に運ばれていく。
騎士様も通り際に祈りを捧げて通り過ぎる、坊やも騎士様と同じく祈りを捧げる、巨躯の女性は握りしめる拳から怒気が伝わってくる。
相手が王族じゃなかったら確実にぶん殴りに走って行っていると思う。
前方にも、後方にも爆弾、騎士様が爆発することは無いと思いたいけれど、何時かは我慢の限界を迎えると思う。
1時間も歩いた先でも当然、接敵する、こちらは遠方からでも気が付いていたけれど糞王子は気が付いておらず、獣が待ち構えているにもかかわらず進んでいき、真横から猪タイプの獣に突進されてしまい、2名が負傷。
っていうか、行軍している人達もどうして警戒していないの?薬でもきめてて正常な判断ができないようにされているの?
負傷した2名を診察すると肋骨が折れているので戦線復帰はおすすめしないと伝令を飛ばすが却下される、列に並べと
骨が折れてても肉があれば、壁になるだろう?囮になるだろう?怪我をしたのは己の責任だ、職務を全うしろっと返事が返ってくる…
その返事を聞いた負傷した兵士たちは痛みに耐えながら最後尾で歩き始める…
痛み止めでも渡してあげたいけれど、騎士様に静止される、こちらの貴重な物資を渡す必要はない、それに事前に王子にも伝えてある
こちらの備品を使用してもよいのかと、事前に王子に確認を取ると、応えはNOだった、
「後で金銭を高くたか~~く請求するつもりだろう?そのような見え透いた悪徳商法などいらぬわ」
と言われてしまったので、何があろうとこちらの物資を使いたくても使えないそうだ。
その返答内容を聞いた巨躯の女性から物凄い怒気が全身から漂っているのがわかる。
糞王子の位置を確認し自身の得物をぶんぶんっと振る、うん、たぶん投げたら届く距離だと確認してるね、いざとなったら自分が処刑されてもいいから、みんなを守るために糞王子に向けて斧をぶん投げて、一撃で殺すつもりになっているのだと思う。
その前に私が毒殺してしまいそうよ。
私も付いて行こうとしたのだけれど、前回の件があるので近寄らないほうがいいと騎士様に言われたので
医療用道具の点検や、薬の在庫の確認、補給部隊に薬の説明を念押し、戦士部隊にこの薬は死を覚悟した時以外は絶対に服用しないようにと徹底的に確認をとっていく。
坊やは独り、槍を持ちながら精神を研ぎ澄ましている様子だった。
坊やは、騎士様から数々の武器の扱いを指導してもらい、今では、何でも武器を扱える。
槍だって、剣だって、でも、もしかしたら一番得意なのは槍なのかもしれない。
王子と一緒に来た兵士たちは物見遊山がよろしく、のんきに街を見て回っている、なにこいつら?危機感ないの?死ぬ覚悟ないの?この先が死地だって理解してんの?
なんで、死地に向かう私達のことを見くびった目で下に見てるの?たかが相手は獣だろ?っとか思ってるわけ?
こんな奴らのせいで、私達の大切な仲間が傷つくなんて割に合わない。
君たちの命に危険が迫っても助けてやんないわよ?
って思ってみていたら、ちゃんと精神を統一をしようとじっと動かない人もい…あ、違うわ、あれ、私をガン見してるだけのスケベなおっさんだわ。じっと、私の胸とお尻みてるじゃないの。死ね
余りにもな人選に苛立ちが抑えきれない。
っかぁ!くそがよぉ!王国の騎士ってのは高貴な人しかいないと思っていたけど、何よこれ!俗ばかりじゃねぇーかよぉ~!!ふっざけんなよぉ!!
私の体を眺めて想像していいのは騎士様だけなのよ!あいつには絶対に毒もって人知れず殺してやる!覚えたからなてめぇの顔!!鎧も胸にばってんの傷がついているし!わかりやすいしな!
イライラしながらも、準備を進めていくと、会議室の方から誰かが歩いてくるのが見えたので視線を向けると
王子が広場に向かって歩いてくる、その姿を目視した烏合の騎士共が慌てて整列し始める。
王子が声明を出す場所に辿り着く頃には騎士共はきっちりと整列が終わっていた、その辺りの動きはとても洗練された卓越した動きだった。
あの動きが戦闘に生かされるのであれば信頼してもいいかもね、これくらい動けるのだから獣なんて塵芥とかって、慢心してるのだったら本気で見捨てる
救わねぇよ愚者は、っと呟いている戦士部隊の人がいて、そのつぶやきを聞いた人たちは全員頷いていた。
どうやら、みんなも同じ感想を抱いているご様子だった。
王子が演説を始める、内容は糞程どうでもいいので、殆ど覚えていない
お前さえいなければ、私たちが危険にさらされることなんてないのに。
人知れず殺意が膨れ上がってしまう。ついつい、殺意のこもった熱い目線で王子を見つめすぎてしまったのか、王子が私の視線に気が付き目と目が合う。
どうやら、私が熱のこもった視線を送っているのだと違う意味として汲み取ってしまったのか、私に向かってウィンクをしてくる。
はい、ころす、お前は、ころす。浮ついてんじゃねぇぞガキがよぉ!てめぇ、全てが終わったら覚悟しろよ!すべての力を利用して毒殺してやるからな!!
全ての演説が終わると歓声が沸き上がる。
心のこもっていない歓声だ、上辺だけの感情が一切なく、気持ちがない、気持ち良くないただのうるさいだけの声。
それがわからないで、自慢気に手を振るガキ。あれが次代の王になるの?王国滅びるんじゃない?
私達、あいつを謀殺するために利用されてない?はめられてない?…可能性が高いなぁ、あれってどう見ても、王様としての資質ゼロじゃない?
…本気であり得そう
他の次代の王候補があいつを蹴落とすためにあいつに無理難題をふっかけて、ついそれに乗ってしまった糞王子が後に引けなくなり、相手の策略に完全に乗っかってしまう。
その結果、私たちが巻き添えを食らい、デッドラインに向かうことになってしまう、結果、全滅して王子もろとも死滅するなんて、そんな糞みたいなシナリオを描いた糞野郎がいるって可能性もあるってことよね?
誰よその糞ごみ!!本当に居るのだとしたら絶対に殺す!!
糞王子が準備の為に一度、広場から離れる
その間に騎士様が私の近くに来て一言だけ呟く
「すまない、どうやら父の指導は失敗した様子だ」
一言だけ呟いた後、戦士部隊に最終確認をさせに声をかけにいった。
騎士様の一言で察する、相当なじゃじゃ馬っていうか、聞かん坊っていうか、本気で次代の王として欠落してる人物ってことね。
はぁ、責任を問われないのであれば、あいつだけ突撃させて死んでもらえないかなぁ?
騎士様も思っていた以上に王国の騎士が使い物にならないと判断したみたいで、戦士達にそのことを伝えている、頼りになるのは君たちしかいないと
戦士達もあのゴミみたいな連中を見てすぐに察しているので、「言わなくても大丈夫、あんなのを守るために死なないでくださいね戦士長」っと逆に騎士様のことを心配している様子だった。
王子が、派手な金色の鎧で出てきた瞬間、あ、これもうダメだあいつ死んだわっとその場にいる全員が思ってしまった。
そして、馬に乗って死地に向かおうとする、あいつ話も聞いてなかったのかよ!!それを見た騎士様も呆れた顔で呟く「もう知らん、俺は王族と縁を切る」っとこめかみに青筋を立てながら怒りをあらわにしていた。
糞王子が、先陣を切って颯爽と最前線の街から死の大地へと通じる門に向かっていく。
門を出てからたったの数歩で馬が動かなくなってしまった。
賢いねあの子、駄馬だともっともっと奥に行ってから危険な場所だと悟り、慌てて戻ろうとするころには、戻れなくなって死ぬのに、まだ余裕をもって引き返せれる場所で止まる。
少しでも前に進めば進むほど、自分の命が無いっということを理解できるほどの名馬じゃないの、死んでほしくないなぁ、あんな賢い馬。
糞王子が名馬に鞭を入れて強引に前に進ませる、その姿を見た騎士様がぐっと歯を食いしばっているのがわかる、だって、歯を食いしばる音が隣にいる私にも聞こえてくるもの
どうして、騎士様が糞王子の隣にいないで、私がいる後方部隊の隣にいるのかって?
糞王子が
「お前らのような愚鈍な愚者共に守られるなんて末代の恥だと言われてなぁ、喜べ!勇敢なるこの王族であり王家の秘宝である我が!前を歩いてやろう!!愚者は愚者らしく、媚び諂いながらついてくるがいい、人類未踏の大地に我が導いてくれる」っと、騎士様と先輩と奥様の前で言い切ったみたいで、それは危険だからと何度も説得したみたいだけど
「っは、愚者たるものの声など聴く必要があるか?ないな、黙れ下郎ども、我の機嫌を損ねる前にいね」っとしっしっと手首で払われてしまったから、戦士のみんなと同じ部隊にいる。
どうして先輩と奥様が一緒に、付いて行った理由が分かった。
王都でも信頼おける二人が、先の言葉の証人として付いて行ったのだろう。これで、政治的責任を取らされる可能性がぐんっと減ったわけだ。
騎士様もこれを提案してくれた医療の父に感謝していますっと言っていた。
そういうわけで、先陣は糞王子と糞王子を守るために選定された騎士たち(死んでも惜しくない人材なのだろう)が陣形なんてなく、ただ真っすぐ線になって行軍する。
サイドから挟撃されたら確実に死ぬ陣形…舐めてんのこいつ?
そして、その後ろでしっかりと陣形を維持し、警戒を怠らない最前線の強者達
前もって決めていた予定だと、騎士様は、王子の隣にいて絶対的守護をする予定だったのだけれど、断れてしまったので予定が変わる。
先ほどの会話内容がひどすぎたのか騎士様も「あれは死んでもいいだろ」っと見捨てる気満々だった。
なので、騎士様は絶対的守護の対象を糞王子から打って変わって、世界で一番安全な、騎士様の隣というポジションに私がいる。
私も騎士様があいつの代わりに命を落とさないって知れたので、凄くうれしかった。
街から出て、経ったの10分足らずで敵と遭遇する。
当然だろう、あんな大勢で何も警戒せずに馬鹿正直に行軍するなんて見つけてくれって言っているようなものだ。
騎士様が伝えた作戦はすべて却下され、ルートだけ採用された。
そりゃ、こうなるよね。
結論だけ言うと、この敵と遭遇してから落ち着くまでの間に出た被害は
糞王子を乗せた馬が死んだ、後、10名の人が死んだ
名馬は、糞王子が乗っていようがお構いなしに逃げようとした、だけど、糞王子の手綱のせいで、身動きが出来ず、
目の前にいる逃げないと絶対に殺される、獣からの攻撃から、避けようにも避けきれず、あっさりと首の急所を噛まれ、噛まれた状態で嚙む力によって首の骨を折られ名馬は即死した。
糞王子が落馬して、体制を整える時間を得るために、敵の牙から身を挺して守った人が犠牲になった。
盾も構えずに敵の前で大の字になって前に出れば、そりゃ、ねぇ?子供でもわかるよ?
首を噛まれて死ぬ、相手は獣だぞ?そんな馬鹿みたいに前に出たら死ぬしか選択肢ないじゃないの、子供でもわかることよ?
背中にしょってある盾使えよ、腰にさしてある片手剣構えろよ、戦闘訓練してないの?なにこれ?
その光景を見た騎士様も「ここまで酷いとは想定外だ」一言だけ落胆した表情と言葉を放つが、その場から動こうとしない、きっと、命令があるまで前に出る気はないのだろう。
噛まれて死んだ人の血しぶきが巻き上がる、当然、人の血の臭いに反応して他の獣も集まってくる
糞王子はまだ立ち上がってこない、腰が引けているのか鎧が重いのか立ち上がれていない、あ、落馬した時に馬と地面の間に足がある、挟まって動けないのか。どんくせぇなぁ…
「警戒態勢!索敵あり!」
後方に構えている私達にも、当然、敵が襲い掛かってくる、索敵班が敵を見つけたみたいで、戦士達が警戒態勢を取る。
出てきた獣たちは前にいる獣と同タイプの敵。
本来であれば密林エリアに生息する大型の肉食獣、通称、虎タイプが2体
本来であれば、群れをなして襲ってくるタイプじゃないが、血の匂いに釣られてきたのだろう。
戦士たちが陣形を組んで確実に仕留めていく。
この程度の敵であれば、最前線の戦士達なら寝起きでも目玉焼きを作るくらい簡単だ
こちら側に出てきた敵、二体を倒し終え、向こうの様子を見ると、三体の虎タイプに襲われており、既に阿鼻叫喚だった。
見てみると大地に転がって動かないで倒れているのが3名、一番最初に大の字で死んだ愚か者が1名
早くもこんな序盤で4名も戦線離脱なんて、先が思いやられるなぁって思いながら見ていると
一人が勇猛果敢に虎タイプの獣、飛び掛かった、比喩ではない、本当に両手を広げて飛び掛かった。
野生の虎であれば、ああやって大きな姿を見せて、飛び掛かって慄かせるのは有効よ、こっちは固い金属の鎧を着ているのだから。
それに首根っこを捕まえてしまうのも普通であれば、虎は慌ててしまうだろう、その慌てさせている間に槍などで虎の腹部などを突き刺してもらえば倒せるだろう
バカでしょ?ここが何処かまだわからないの?目の前で転がっている人達を見て、何も学ばないの?
ほら、案の定、鎧ごと、胴体をひと噛みで砕かれているじゃない、胴体をあの大きな口でガバっと内臓ごと持ってかれてしまったら即死ね、助けようがない。
この大地にいる獣がその辺に自然発生した獣と同一視してるの?そりゃ、野生の虎だったら金属の鎧ごと肉体を噛みちぎってくるなんて思わないよね?死の大地にいる獣がそんな常識通じるわけないでしょうに。
これで5人目
この光景を見て流石に、馬鹿どもでも警戒するようになって慌てて盾とか取り出してるけど、遅くない?判断、遅すぎない?あ、やっと糞王子が立ち上がって指揮をし始めているけどみんな、その指揮を聞いて困惑してるわね
何を言ったのだろうか?遠すぎてよく聞こえなかった
「いや、それはないよ、複数人で押さえつけて槍でさせだって」
さすが騎士様、兜を装着されていてもあんな遠くの音を拾えるなんて!…作戦が無謀すぎる。
大きな声で怒鳴り散らすからこれは、流石に聞こえました
「はやくやれ愚者どもがぁ!」ってのは聞き取れました、あーあ、あんな大声出して、声に反応して敵が集まってくるじゃないの~
「索敵あり!上空!」
索敵班が上空から鳥タイプの敵がこちらに向かってきていると望遠鏡で見つけ、更に「索敵あり!地中からも!」地面に耳をつけて、音を感知する索敵班からも反応があると。
これ、デッドラインに到着する前に全滅しない?
地中の敵は真っすぐに私達に向かってきているみたいで全員が警戒態勢を取る「きます!」の発言からコンマ数秒で地中から蛇のような敵が出てくる。
地中からくる獣なんて、モグラくらいかと思っていたら、こんなのも居るのね
出てくると同時に騎士様によって首らしき部分と胴体を二つに分断されてしまう蛇タイプの獣
それを皮切りに3体ほど出てくるけれど、モグラたたきの要領で出てきた瞬間に槍で突かれ、斧で頭をかち割られ、剣でたたっきられておしまい。
戦士達の練度が高すぎてここが、死の大地ってのを感じさせないくらい安全
上空の敵は警戒して近づいてこないので遠距離まで射貫ける遠弓で射貫いてもらう、一撃で確実に胴体を矢が貫いて撃墜。
ふと、前を見ると転がる人数が増えてる。でも虎を2体も撃破している。
残り一体も複数の槍に貫かれて沈黙する、あと少し槍が刺さるのが遅かったら虎の爪が糞王子に当たっていたので負傷した結果撤退という誰も悲しまないシナリオが発生したのに!惜しいなぁ…いや、既に、えっと、10名が倒れているし、名馬も失った。
誰かしらが悲しむ結果になってしまったわけだ。
街を出てからたったの数十分でしょ?何これ?被害でかすぎない?これって、誰もが思うよ。無理難題だって、ケガをする前に帰りたい…
この状況でまだ前に進もうとする糞王子を諫める人がいないのが致命傷
何とか、体制を立て直して前に進もうとするけどさ、被害状況の報告とか、この先も無事に進めるのか経験者である騎士様に聞かなくてもいいの?
騎士様も今なら手厚く保護してくれるわよ?ただし、そちらから折れない限り騎士様も助ける気はないみたいね。
貴方の無謀な作戦と指揮のせいで亡くなった人を置き去りにするの?
ああそう、置き去りにして進むんだ、人としても救いようがない。だからか。こんな無謀な作戦が罷り通ってしまったのね。
野ざらしにされた死体を見て、後方で待機している補給部隊が見かねて遺体を布袋に入れて最前線の街に運ばれていく。
騎士様も通り際に祈りを捧げて通り過ぎる、坊やも騎士様と同じく祈りを捧げる、巨躯の女性は握りしめる拳から怒気が伝わってくる。
相手が王族じゃなかったら確実にぶん殴りに走って行っていると思う。
前方にも、後方にも爆弾、騎士様が爆発することは無いと思いたいけれど、何時かは我慢の限界を迎えると思う。
1時間も歩いた先でも当然、接敵する、こちらは遠方からでも気が付いていたけれど糞王子は気が付いておらず、獣が待ち構えているにもかかわらず進んでいき、真横から猪タイプの獣に突進されてしまい、2名が負傷。
っていうか、行軍している人達もどうして警戒していないの?薬でもきめてて正常な判断ができないようにされているの?
負傷した2名を診察すると肋骨が折れているので戦線復帰はおすすめしないと伝令を飛ばすが却下される、列に並べと
骨が折れてても肉があれば、壁になるだろう?囮になるだろう?怪我をしたのは己の責任だ、職務を全うしろっと返事が返ってくる…
その返事を聞いた負傷した兵士たちは痛みに耐えながら最後尾で歩き始める…
痛み止めでも渡してあげたいけれど、騎士様に静止される、こちらの貴重な物資を渡す必要はない、それに事前に王子にも伝えてある
こちらの備品を使用してもよいのかと、事前に王子に確認を取ると、応えはNOだった、
「後で金銭を高くたか~~く請求するつもりだろう?そのような見え透いた悪徳商法などいらぬわ」
と言われてしまったので、何があろうとこちらの物資を使いたくても使えないそうだ。
その返答内容を聞いた巨躯の女性から物凄い怒気が全身から漂っているのがわかる。
糞王子の位置を確認し自身の得物をぶんぶんっと振る、うん、たぶん投げたら届く距離だと確認してるね、いざとなったら自分が処刑されてもいいから、みんなを守るために糞王子に向けて斧をぶん投げて、一撃で殺すつもりになっているのだと思う。
その前に私が毒殺してしまいそうよ。
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