最前線

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とある人物達が歩んできた道 ~ ほくそ笑みながら待ち続ける ~

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部屋に戻ってからが地獄の始まりだった

自室に戻って最前線の街から持ってきたカバンの中身を見ると
色々な薬剤が入った瓶各種が出てくる、でてくる…量が減りすぎている、全ての薬物の量が変わっている。
こうなると現地でしっかりと往診して症状を見極めない限り毒の特定が出来ない。

あいつ、確実にカクテル(混ぜ合わせる)してる、これは、まずい、未知の組み合わせの新毒だったら下手な薬を飲ませると悪化する恐れがある


やられた、何と何をカクテルしたのかわからない、つまり、命を助けたかったら起こしてねってことだ、予想外、内なる私は切れ者だ
狂ったように見えていて心はクール、考えは冷静、私よりも思慮深い、罠が確実に何処かにある、その罠に気が付かないと詰む
いつか誰かを救う為に、起こさないといけない選択肢に迫られる時が確実に来る…それを避けるためにも考えをとめてはいけない。

いけないのに、私の心は停滞する…助けを求め叫ぶ、弱い私。

助けてよもう、どうして、こんなにも敵が多いの?私の人生って…とうとう自分自身までもが敵になるなんて誰も思わないじゃないの。

心が泣き叫ぶときは気が付いたら胸にあるネックレスを握ってしまっている。

握っている間は心が満たされていくのを感じる、心が平穏へと近づいていくと次にすることが思い浮かぶ。

…そうだ!あいつが持っていた暗器!そこに絶対に毒を仕込んである針があるはず!そこからでも推測ができ…ない
持って帰ってきたドレスの暗器が仕込めそうな場所を全部探すが、筒だけ出てきて針はない。
針は何処かに捨てられたか、落としたか、筒に付着していないか手袋して特殊な光を出す魔道具を使って薬品反応があるか確認する
私が作ってある毒には特殊な染料を入れてある、各瓶、それぞれに少しだけ色分けしてあるので、光に反応する色である程度、しぼれ…ない!
光に反応しない、あい、っつぅ!!!!めちゃくちゃ丁寧な仕事するわね!!!

八方ふさがり、これはもう、当日に全ての状態をチェックして本気で探って薬を調合しないとダメね
ベッドの上に全身の力を抜いて倒れるように乗る

脳裏に浮かぶのは、内なる私が何処まで罪を犯したのか?そして、誰に罪を擦り付けたのか…そうだ、新聞、号外、その手の紙媒体に何かしらの情報が残っている可能性がある。
お母様も、もしかしたらその手の何かを持っているかもしれない、後で確認しよう

ベッドで今後どうするのか考え、思考を巡らせていると、やっぱり体が無理をしていたみたいで、気が付くと、ゆっくりと微睡んでいく。

まどろんで、まどろ・・・






いいの? もう、 ねちゃっても?



ガバっと起きる、脳内に響いた声に心臓がバクバクと波をうち、全身の肌が泡立ち鳥肌になる。
寝たらだめ?ダメってこと!?意識を落とした瞬間に主導権を握られる、あいつ、起きてる!!起きてこっちを見てる!!
耳鳴りがする、小さく小さく耳鳴りがする

その音に意識を集中させると声のようなかんじがする


ヒィィィンっと鳴る、ひぃぃぃんとなる、ひいいいいんとなる

いいの わたしの こえに みみを かたむけても? とるよ? じゃ

バッと起き上がり意識を逸らす為に、その場で屈伸などをして目を覚ます。
耳鳴りが鍵となっている可能性がある、あれに意識を集中すると一瞬で持っていかれる、罠だらけじゃない…
もう、いや、誰でもいいから助けてよ、たすけてよ…

祈りを捧げるような姿勢でぎゅっと青い宝石を握りしめる、もう私を支えてくれる人はいない、私一人ではこんなにも弱いなんて
知っていたけど、騎士様がいないと何もできない弱い私なのは知っていたけれど、こんなにも臆病だったなんて…

恐怖で全身が震える、過剰なストレスに胃が逆流しそうになるし、腸が捻転しそうなくらい痛い…

呼吸だけでも落ち着かせようとするが落ち着く気配がない…

少しずつ、心も落ち着いてきて震えも収まっていく、吐き気やお腹が痛いのはまだあるけれど、動けはする
辛い、眠れないっていうのは非常につらい、睡眠をしっかりととれていないと脳が動かない、ボーっとしてたら毒を見極めれない。
どんなに頑張っても1日か2日が限界、それ以上は絶対に意識が落ちる。

何か、どんな方法でもいいから睡眠をとる方法を考えるしかない、だけど、アイツが起きている状況で策を講じても…見られているってことだよね?
第三者、恐らく、これが一番効果的だと思う、何かしらの拘束具によって動きを封じてもらって、眠ればいい。

あいつもやることが無ければ寝るはず、そうすれば体力だけでも回復できる。問題があるとすれば
誰が協力してくれるのかってこと、今の状況を伝えて協力してくれる人なんていない。

手持ちで使える道具がある…薬の中にしっかりと入ってた最前線の街でも、虎の子と呼ばれるくらい危険な薬がある。

薬、ある薬を体内に打ち込めば眠ることが出来なくなる。
薬とは名ばかり、人の寿命を削ってしまう毒…つかう?つかわないといけないの?
使用用途は寝てはいけない戦地で戦士達が極限の状況で体力も消耗していて意識が落ちない為に作られた過去の遺物…
非人道的すぎる薬の為、先輩と私しかこの薬を扱ってはいけないことになっている。

っふ、何を躊躇う必要性があるの?騎士様がいない世界に未練はない、長生き何てするつもりないじゃない。
使おう、体が疲れて横にならないといけないときに使おう、これを使えば意識はあるけれど、体は疑似的に眠らせることが出来る。

意識さえあれば、アイツに主導権を奪われることは無い…

使えば使う程、私の寿命はガリガリと大きく削られるけど、そんなの些事よ些事!負けるわけにはいかないのよ!内なる悪魔にね!!

注射器が絶対にあるはずなので探すとしっかりとある、使用されているのかしっかりと確認すると使用痕跡がある奴が一本、未開封のやつが一本。
この未開封のやつを専用にしましょう。開封されているけれど使用痕跡があるやつもあるから、混ざらないようにしっかりと管理しないとね。

取り出した注射器に紐を結ぶ、青い紐、お願い騎士様、守ってください。

未開封の注射器にある薬を入れ、自分の腕に刺し液体を注入する。持続時間は15時間、その間は絶対に寝れない。
眠ろうとする働き全てを阻害する。

…使い過ぎて不眠症になるかもしれないけれど、永遠に眠らなくなるかもしれないリスクがあるけれど!それがなによ!
全てを終わらせて、もう…全部が終わったら独り静かに死ぬからいいのよ。自分が蒔いた災いの種くらい、自分でどうにかするわよ。

誰も、だれもわたしをささえてくれないもの、たすけてくれないのもわかってるもの・・・・

心の支えが欲しい…生きる希望が欲しい…死んだ人が蘇るわけなんてないじゃない…夢物語なのよ…
きしさま、きしさま、、、きしさま、、、、どうして、どうして、どうして・・・・おいていっちゃったの?いくのなら私も連れて行って欲しかった・・・・

独りベッドの中央で膝を抱えて座り続ける、悲しみだけが胸の中に渦巻いて、希望という光が一つも見当たらない。
窓から差し込む月の光だけが唯一の光だった
縋る様に月の光に青い宝石を翳し、枯れ果てた涙が永遠と湯水のように湧き上がる。

この先に私が望む未来は無いのに、どうして、こんなにも苦しい思いをして、誰も傍にいてくれないのに頼りにしてくれないのに

生きないといけないの?

この先に待ち受ける絶望の日々を想像し、心が張り裂けそうになる。
こんなにも苦しいのに月の光だけはあの時と何も変わらない。変わらず優しく包み込むように傍にいてくれる。

嗚呼、始祖様、もし、月の裏側に騎士様とご一緒にいられるのでしたら、ほんの一時でいいので、会わせてください。
私の心が狂う前に会わせてください、私がまだ、私であるうちに…

死なないといけない、でも、死ぬ前にしっかりと責任を果たさないといけない。

矛盾した考えがずっと頭をぐるぐると走り続ける。はしりつづける、眠れないっということは脳は機能するということ、考えが永遠と終わることのないワルツを描き奏でていく。
そのメロディは破滅のメロディ、人を惑わし苦しませるメロディ、きっと、地獄の大穴、人類の敵が待ち受ける大穴から流れてくる、そんなメロディとなって

私を包み込む

いつか狂うその日を待ちわびて…


太陽の日が私を包み込む、眠れないのが辛いのは知っている、そういう人もあの街には居たから知っている。
知っているけれど体験するのは違う、こんなにも辛いのね、それはもう、心が折れてしまって病んでしまうのが理解できる。

仕事でやることがあって明日への為に徹夜するのと、眠らないといけないのに寝れないは大きく異なる…

取り合えず、シャワーでも浴びてから食事をとろうとベッドからのそのそと起き上がり鏡をみるとでっかい熊が住んでいた
化粧で隠せばいいのよ、問題は、これが永遠に続けば心よりも、体がもたないかもね。

冷たいシャワーを浴びて、ガウンを纏い庭にある日当たりのいいベンチで体を温める。
ふぅ、ベッドで座ったり横になったり疑似的に体に睡眠を与えた時間もあったので、体の疲労は無いのだけれど、脳からくる疲労感が抜けない。
全身がだるい。重い。動きが鈍い、腕とか指を動かしてみるとワンテンポ?少しだけ動きが遅れてくる…

よくない、でも、しょうがない、暫くはずっとこうなると思うから、後は脳を停止させる技を身に着けないと
たしか、騎士様が座禅っという心を研ぎ澄ます修業方法を実践されていたから、それを今日の夜は実戦しよう。

時間になると末席の王子の使いが迎えに来たので、昨日お借りした服をカバンに入れて、何処にでもいるような村娘の服装で出ていく。
ちゃんとね、服は返さないとね、いただいたわけではないですからね、我が物顔で着ていい服じゃないいもの。
本来であればちゃんと洗濯して返すのが正しいのでしょうが、どうも、洗濯しようにもめんど…大変そうな気がしたので、ほんの一時しか使ってないからいいよね?それどころじゃなかったし、気が回らなかったし、気が付いたときは朝方だったし?…いい、よねぇ?

付いて行くと教会の部屋に案内され、しっかりと私にピッタリサイズの修道服が用意されていたのだけど、いつサイズを計った?…考えないでおこう

修道服に身を包み、外に出ると末席の王子とよくいる使用人の方が居たので昨日お借りしたお洋服を返そうとするが、両手に重そうな大容量のカバンを持っていたのでどうしようかと悩んでいたら「昨日にお渡しした服に関しては返品しなくても良いそうです。主人も、頂き物で少々持て余していたものなので」首を横に振って受け取りを拒まれてしまったので
取り合えず、部屋に戻って置いていく、この先に持っていく必要性がないからね

使用人の方に何を持っているのか確認すると王都にある最新医療道具をかきあつめてもらったみたいで嬉しい心配りなんだけど…
使い方がわからなかったらどうしようっと内心冷や汗がとまらない…先輩であれば、どんな道具でもすぐに意図を掴むのに…私にそのような即決即断が出来るのだろうか?

やるしかないのよね、今までの経験と先輩に鍛えられた己が歩んだ切磋琢磨した歴史を信じましょう。

一軒一軒、貴族の家に訪問し、使用人含め全員の症状をメモし、身体の状況データを次々と取得していく
メモを取る人として、末席の王子が用意してくれた人物は、医療経験があり医療の知識がある人を用意してくれていたので、その人にサポートしてもらいながら着実に診察を終わらしていく

全ての人達の診察が終わると、次の家に訪問しに行く、中には全然関係のない症状の人もいたのでそれはそれでしっかりとデータととっていく。
問診表もかなりの束になってきている。サポートしてくれる人が非常に優秀で此方が診察をしている間に、問診表の裏に、かなり似ている似顔絵を描いてくれているので、この問診表のデータが誰なのかすぐわかるようにしてくれる。

優秀過ぎる、全てが終わったら引き抜きたいくらいだけど、王族に使えるほどのエリート!引き抜きは不可能だろう…

こうして1日目の診察が終わる。
持ち帰ったデータをすぐに家に帰って使われた毒の症状を見極めていく

色々とちょこざいな細工をされてしまったが、やっぱり初見通りの推察通りで問題ないとおもう、他の毒の症状がなく、別段、カクテルされたような症状もない。
時間経過によって出てくる症状もあるし、一定の薬物に過剰反応する毒もある、が、それらを投与した場合に出てくる初期症状もない。

うん、特に問題はなさそう。この毒の殆どが大元は大穴の獣から手に入れた毒で過去にこれらに汚染された戦士達の貴重なデータが私の中にある。
その莫大なデータをもとに割り出したのだから、間違いはない、ないと思いたい。

狡猾な内なる私が仕組んだ何かだから、何か落とし穴があるのかと思っていたら、そうでもないのかもしれない、殺すやつと殺さないやつをしっかりと選定している可能性が高い。

何故なら、道中で使用人に確認したところ、診察する人たちは、直接的な関与はしていないが、後ろ盾として機能している人達で、これをきっかけに派閥を衣替えしてもらえるようにしてもらいたい意図がある、だから、生かさず殺さずを考えての行動だと推測される

つまり、直接的に関与していたやつはこの手で殺している可能性が高いってことなのよね。

その時に、特製の毒をカクテルして打ち込んだ可能性が高い、だから、色んな毒が減っているのだとしたら、推測が正しいことになる。

毒の種類さえわかれば、薬の調合は非常に簡単だし、王都でもきっと材料が手に入るだろう、問題はその設備が王都にあるかどうか、なのよね~
結構、特殊な設備がいるし、腕のいい錬金術師が居ないと作成に失敗する恐れがあるのよね~…練度の高い優秀な人がいることを祈ろう。

今にして思えば、最前線の街で働く人たちって、意外と優秀な人が多いのだなって再認識してしまう。
どうしようもない生贄のような人ばかりなのかと最初は思っていたけれど、専門分野に関してはかなりのエリート集団だったのだと長い間働いて知っていったものね。

夜も当然、薬を投与して、眠れなくして、耳鳴りに一切に意識を取られないようにしてまずは、疑似的に睡眠をとる。
体を横にして目を閉じて、眠れないから負の感情が沸き上がることが多いので、それをさせないために、青い宝石を握りながら騎士様との思い出を一つ一つ古い順から思い出していく。

学生の頃に初めて見た時の感動
高貴過ぎる魂の高き純白で透き通るような一途な想いで自分で野道を選んだ素晴らしき男性
こんな私でも丁寧に接してくれて、紳士的に応対してくれた素晴らしい貴族らしからぬ心の持ち主

永遠に色あせない思い出、良かった、欠けていない、内なるアイツに奪われてしまったような感覚があったから、良かった。
騎士様との思い出はしっかりと魂に刻まれている

ほっとした瞬間に頭痛が走る。痛い、あり得ないほどズキズキする。あいつが攻撃しているのと、疲労の影響で頭痛がしている可能性が高い。

普通の人であればこの痛みに耐えかねて眠ろうとするが、薬の影響で寝るっという感覚が一切湧いてこない。
こういう時に座禅だ、月明りが一番当たる場所にクッションを置いてそのうえで騎士様がしていたように思考を停止させて
感覚を研ぎ澄ませていく、魔力が見れるレンズを見ていたので、その時は少しだけ普段よりも体外に魔力が放出されることなく静まっているような感じに見えたので
きっと、体内に魔力を循環させるのだろう

同じように目を閉じて魔力の流れを掴んでいく、よかった、あの時、魔力を感じ取れなかった時から一度も魔力を練ろうとしたことがなかったので、二度と感じ取れないのではって不安もあったけれど、魔力の波を感じ取れる、これを頭から足のつま先まで循環させるようにお腹のおへその下あたりで、騎士様の太ももをマッサージするような感じでこねて
ある程度、こねた魔力を流していく・・・・嗚呼、この感覚をあの時も見失わなければ、命を救えたのだろうか?

いいえ、それは不可能よ、だってあの時の騎士様は魔力を生み出す為に、何かを犠牲にしたと考えるのが妥当、意識が少しでもあるだけ救いだったのよ。

それを繰り返していると、気が付くと頬を優しく叩かれ体を揺すられる感覚でようやく、目を覚ます
はっとして顔を見上げるとお母様が「もう、座りながら寝てたの?お迎えの人がきてるわよ」困った顔で此方を見てくるので、時計を見ると
朝どころか、もう少しで昼になる時間!?

寝たわけでもないのに頭が凄くすっきりしている!これなら、眠らなくても大丈夫!!いい方法を編み出した、すごい座禅凄い!さすがは騎士様。

立ち上がって動き出すと実感する

駄目だ、すっきりとしているのはしているのだけれど、完全に絶好調ってわけではない疲労感が抜けないし、頭の芯が動いていない感覚も変わらず、指を動かそうとすると少しだけタイムラグがある感じがする。
ぐっぱぐっぱっと手を握ったり開いたりする感覚が鈍いが問題は無い、思考能力の低下も気になるが今はしょうがない、薬の副作用もあるだろうし…いこう。

準備を手早く終わらせて、時折、重心の感覚がずれて一瞬だけビクっと体が動かない感じがするが、気にせず進んでいく。

医療にかかわるものとしてわかる、この生活を続けていけば確実に1か月も経たないうちに死ぬと

それまでに、何かしらの対策を練らないとまずい、座禅は確かに脳を一時的に休ませれたと、思うけれど、アレは修練だと動き出すと実感する
魔力の流れをコントロールし続けたせいか、全身の今まで感じたことのない場所が痛い、めっちゃ痛い、筋肉痛なのかな?どこの器官が痛いのかわからない。

痛み止めを飲みたいが出来ない、きつい薬を体内にぶち込んでいるのだから確実に体の中で衝突する。
神経の働きを阻害されてしまっては本当に危険な状態になる。この薬を扱えるのは先輩と私だけ、先輩のいない場所で呼吸すらままならなくなってしまったら、誰も助けることが出来ずに息を引き取るだろう…

八方ふさがり、打つ手なし、常に危険な綱渡り…おかしいな、どうして私はこんな事態に巻き込まれてしまったのだろうか?何処で道を間違えたのだろうか?

一瞬だけよぎる言葉



愛した人が悪かったんじゃないの?



頬を全力で叩く、その光景を見た使用人が全員大丈夫ですか!?っと近寄ってくる「大丈夫、ちょっと甘い考えがよぎったから気合を入れただけよ」
きっと、今の私は死んだような目をしていると思う、生気が宿らない目を…苦しいよ騎士様。。。

ぎゅっと奥歯を噛んで涙を堪えて、自分のまいた種を綺麗に刈り取る!芽吹かせるわけにはいかないのよ悪意の華を!!

錬金術師達が待つ王族直轄の頭脳に会いに行く。

研究所の人達は先輩の奥様そっくりな人達ばっかりだった、それもそのはずで、その一族筆頭で回っている研究機関で
最前線の街から人が来るっということで一族総出で出迎えてくれた

若い女の子がいたので挨拶をすると、先輩と奥様にすっごく雰囲気が似てるなっと思っていたら実の娘さんだった。
娘さんは凄く聡明で学院での学びはもう殆ど終わらせていて、こちらで研究の手伝いや錬金術を学んでいるそうで、

いつか、時が来たらお父さんとお母さんが待ってるあの街にいくんだとはにかむように笑ってくれた
気が付くと抱きしめていた。こんなにも純粋な生き物がいるなんて、心の底から癒されたし、先輩と奥様に出会えた気がして心から安らぎを得られた。

きっと貴女はあの街を支えるエースとなるでしょう。楽しみに待っていますねっとハグをしながら囁き

薬の精製を大急ぎでお願いする
奥様のご家族であれば優秀も優秀、何も問題はない、安心して任せれる。

錬金術は専門外だけど、薬の精製方法は専門分野なので、一つ一つ1ミリグラムたりともミスが許されない配合に気を付けながら細かく指示を出していく。
夜になるころには診察した人たち全員分の一回分の薬を精製することが出来たので、使用人に渡して全員に行き渡るようにお願いする。

後は、この薬を30回分は用意してほしいとお願いし。私は自室に帰る。

帰らないといけないのだが

足元が覚束ない、ふらふらとする、視界も半分ほど、暗くなってきている、しまった、集中しすぎて薬を打ち忘れた…
限界が近い、今、意識が落ちてしまうときっと、帰ってこれない気がする。

今の状態で薬を打てば、私の心臓が耐えれない気がする…それでも、うたないと
ふらふらと自分のカバンに辿り着き薬を探すがみつからない、気が付くとその場で座り込んで手も止まり動くことが出来なくなってしまった

意識だけは残っている、ここで意識を閉ざすわけにはいかない、でも、体も脳も限界。
どうしよう、どうやって動けばいいのだろうか?



嗚呼、ここまでなのね、私の人生はここで終わる。。。




脳みその片隅で悪魔が笑っている…わたしは まつのは とくい だもの
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