最前線

とある人物達が歩んできた道 ～ 時の流れは② ～

昔に比べて、兵士の数も日に日に増えてきているのよね、それだけじゃないわよ、しっかりと装備も整えているし、連携を高めるための練度も日に日に向上している。
術士の部隊も姫ちゃんからの課題を熱心にこなしているから術士としての戦術性の幅が広がりつつあるけれども、基本的には、補助に留まっていることが多いわね。
敵から奪った魔道具は扱いが困難なので姫ちゃんが居ない時は基本的に使用しない方針よ。

誰でも簡単に扱えるような品物だったらね、問題はないのだけれど、簡単に扱えるものがないのよね～…
重かったり、大きかったり、魔力が足りなかったり、足りたとしても消費が激しかったりとね、扱いに困るものばっかりよ。

戦士の部隊もバリエーションが増えて、槍・剣・槌・斧・弓、これが今までの部隊の主な武装だけど、片手剣よりも少し短くなった短剣に、長剣、えっと、両手剣っていうのかしらね？とかも増えたりとね、人が増えた分、得意とする得物の種類も増えるわけなのよね。

得意とする特殊な得物を扱っている人が、興味のある人に伝えたりと、武器を選択する幅が増えたと坊や、もとい、ベテランのやつが言っていたわね。

術譜も扱い人によって戦略が大きく変わるみたいね、弓部隊には術譜を使った新しい闘い方も増えたのよ、弓矢に括りつけて放ち、当たった瞬間に火を発生させて、敵の視界を炎によって一瞬だけ、奪ったりとかね。

当然、他の武器でも術譜を使った良い方法が無いか、研鑽を重ねている。

銭湯面以外で活躍する魔道具、それの生産も順調よ、おかげ様で、医療班としても新しい体制へと切り替わったわよ。
切り替わってから、怪我による死者が、この1年で！…驚きのゼロ人よ。もう、死の街だなんて、言わせないわよ。

戦術面で言えば、小さな変化があるのよね、姫ちゃんが色々と模索しながら部隊の編成を、色々と変えたのが功を奏したのよね。
騎士部隊・戦士部隊・医療部隊・隠蔽部隊・解析部隊・術式部隊・補給部隊って感じで死の大地で働く人たちにわかりやすくこんな感じでって、枠組みを作ったのよね。
それのおかげもあって、機能的に効率よく、街を守れているし、敵の脅威を退けている。

各部隊での連携力も向上しているのよね、例として、普段は騎士部隊に所属していても、比較的安全な隠蔽部隊と共に活動してもらいながら、適度に休息を取って前線に戻ったりと、他の部隊に所属でも、他の部隊との関りはおろそかにしないのよね。

外で働く医療部隊は、ある意味、戦場よ、怪我した人を治す場所だから、かなりの激務よ…
全員がベテランの様に怪我をしないわけじゃないし、貴族上がりのボンボンなんて、人との戦闘訓練はしていても様々な獣達との闘い方を知るわけがないから、怪我人が続出しているのよね。
昔は、怪我をすると暫くは動けなくなるから、誰もが怪我を恐れて、慎重に時間をかけて戦うけれど、今は、即死させしなければ、何とかなる！っていう部分が戦士達に大胆な行動を取らしてしまっているのかもしれないのよね。
怪我なんてしないことに越したことは無いのよ？まったく、困ったことに、怪我した人を癒す過程で、気が付くと戦士と医療班の子達から恋の波動を感じる時があるのよね！！まったく、幸せになりなよ…

捕球部隊なんて、陣を通して隠蔽部隊に物資を置いて帰るだけ…なので、手が空いた人がしているわね、後はまだまだ、騎士部隊にも所属できない人とか、隠蔽部隊でも外に出すのが不安の人とかが担当してくれたりするわね…

そうよ、近隣諸国から送られてくる、人身御供の人達が主に担当しているわね…

補給部隊はお給金が低いから、あまりやりたがらない人が多いんじゃないかって思っていたけれど、したがる人もいるのよね。休みの日に暇だからって理由とかでね。

解析部隊と術式部隊は殆どの人が兼任しているわね、主に戦場にはいないわ、研究塔で働いていることが多い。
気が付くと術式研究所なんて部署も生まれているのよね～、もちろん、所長は姫ちゃんよ？

戦士部隊と騎士部隊の違いなんてないわよ？戦士部隊は昔からいる人達、騎士部隊は貴族のボンボン達、それくらいよ？
問題があるとすれば、坊や、おっと、ベテランよ、あいつが扱う剣技は騎士様からの物が多いのよ、動き方とか型とかを見た貴族たちがベテランは貴族だから騎士部隊だって言い始めたのが面倒な争いになったのよね～…

更に、面倒なのが、貴族に婿入りしちゃっているものだから、貴族でもあるのよ…

争いの結果、戦士部隊、騎士部隊を取りまとめる形に綺麗に収まったわね。まぁ、元々、そうだったけどね。

ここ迄、部隊が整ってきたのであれば、当然よね。
もう、姫ちゃんが前線に出ることは殆どないわね、出撃と言っても、人型が出てきたに解析部隊＆術式部隊として出撃することがある、くらいね。
ある程度の戦略と対策を伝えたら、後はもう、現場に任せてって感じで、二進も三進も行かないようだったら戦場に出て直に指揮を執るってくらいね。

先に説明した部隊は全部、死の大地で動く部隊よ

これを可能にしたのも、敵から奪った転移陣のおかげね、これのおかげで、ある程度の距離まで移動したとしても一瞬で帰還できる。
これが凄く重要なのよね、死の大地で闘う能力が無い人達でも、心にゆとりが生まれるのよ。
危ない！っと、判断したら即座に撤退出来るって、言うのが非常に大切なのよ。

転送陣の片割れは、主に隠蔽部隊が持っていて、全員が帰還した場合は、隠蔽部隊は、それをもって街に帰還するって流れなのよね。
人型からの強襲などの緊急事態であれば、隠蔽部隊も転送陣に乗って帰還し、後日、回収って流れなのよね。

陣そのものにも隠蔽の術式が組み込まれているから、敵に発見されることも無いし、予備も少ないけれど、一応あるのよ、仮に奪われたとしても遠隔で燃やすこともできる。
盤石の体制なのよね。

私も仕事内容に大きな変化があるようでないのよね。

私はね～、主に医療部隊に所属している、いるのだけれど、それよりも雑用が多すぎて、医療部隊として死の大地で勤務する頻度は少ないわね。
医療班として仕事をしている内容としては、浸透水式の練習会もしているし、新しく医療班の現場として外勤務という形が出てきたでしょ？それの為に外傷に対する治療方法の勉強会とかね。
回復を促し、向上させる陣が壊れた時の対処方法とかね、医療班団長として多くの人を指導しているわよ。

内勤の方にも当然、勉強会とか開いているわよ？毒とか薬とか、魔力譲渡研修とか、浸透水式の練習台になってもらったりとかね。

浸透水式の練習方法はね、片足を小さな水槽に入れてもらって特殊な水を足首まで入れて、対象の爪を切ったり、切った爪を繋いだり、毛を切ったり、抜いたり、毛根事、くり抜いてみたり人に対して何処まで出来るのかしっかりと、練習してるわよ？
これくらいであれば、命綱無しでも問題なく出来るようになったわね、足とか、手とかを綺麗にするから、実験になりたい人が多いのよね。無駄下の処理って、大変よね…

ふう、だいたいこんな感じかしら？1年の変化にしては変化し過ぎよ…

そんな、変化の日々が、一年経って、姫ちゃんも13歳になって。順風満帆で、心も余裕があるし、街全体を見ても最高の状態だと思うわよ？
だからね、何時でも試練来てもいいように身構えても居たわよ。

さぁ！試練はいつかしら！ってね！……こないのよ。

もしかしたら、気が付かない段階と言いますか、私の知らない所で試練を乗り越えている可能性って、高くないかしら？

試練ってわけではないけれど、報告では、数多くの人型は殺してきたわよ？危険性の高い、魔道具持ちも、ね。
全てってわけじゃないけれど、姫ちゃんがいるときは姫ちゃん指揮のもと殲滅してきたわよ。
姫ちゃんが居ない時に魔道具持ちと遭遇したけれども、しっかりと倒したわよ？それが、試練だと…

試練だと言われたら、納得はするわよ？昔の基準で考えれば、魔道具持ちなんて、何名犠牲になるか想像がつかないもの…

完全勝利っというか、無血とはいかなかったわよ？人型との戦闘で、数多くの人達が怪我をした。
けれども、新体制となり、新技術を扱えれるようになったおかげもあり、幾度の戦いを経ても、現状、死者ゼロで闘いを終えているわ。
医療の技術が向上したことによって戦線が大きく安定して、死者が出ないから先頭に必要な人員が減ることも無し。
むしろ、戦士の数は、日に日に増えていくから、確実に街の戦力が増強されていっているのよね…

…これ、試練、何時の間にか過ぎ去っているっぽくないかしら？

私では見えていない気が付いていない、危機があったのかもしれない、作戦を考えていたり戦況をよみきる姫ちゃんだったら、実は、あれは危険だったていうのも、あったのかも、しれないわね。

まぁ、無事、今日を生きれていることを感謝しましょう。
長い事、未来姫ちゃんにもお会いしていないし、未来も平穏なのでしょう。

紅茶を飲みながらここ一年を大雑把に振り返ってみる、みればみるほど…結果論ではあるけれど、街が滅ぶような大惨事や、窮することはなかったわね。

取り合えず、今は眠って、毎日の仕事に、明日に備えましょう。
ベッドで寝ている姫ちゃんも起きる気配がないので、ささっと服を着替えさせて…これは無理ね、抱きしめている力が緩まないわね、よっぽど嬉しかったのね。
しょうがない、スカートは脱がせれるから脱がして、上半身は諦めましょう。
えっと…いいやもう、面倒だし、このままタオルケットでもかけて一緒に寝れば風邪ひかないでっしょ。

寝巻に着替えて、タオルをかけてベッドに横になる、何時もだったら私が隣で寝ると、巻き付いてくるのに今日は無さそうね。

翌日に、姫ちゃんを起こして、昨日はお風呂に入っていなかったので、お風呂に行こうと誘い、スカートを穿かせてお風呂場に向かう。
お風呂に入ってい姫ちゃんの髪の毛を乾かしながら、今日や明日の仕事内容をどうするか考える…

特に急ぎの仕事が無いのよね。

そうなのよね、医療班としての仕事も落ち着いたと言えば、落ち着いて来てるのよ。
姫ちゃんのサポート（主に帳簿）としても、仕事が落ち着いたので、今だったら、何処かでゆっくりとお休みをいただいても問題ないのよね。

その事を、姫ちゃんに呟いたら、目を輝かせるのよ、言わなければよかったって後悔しそうになるのよね、こういう時って、仕事押し付けてくるから…
なんて無茶が飛んでくるのかと身構えていると
「明後日、王都に行くから一緒に行こうよ！」っと、肩透かしの内容にちょっと、驚いちゃったわ。
愛する娘に、抱き着かれて誘われちゃったらねぇ？こんなにも可愛くお願いされちゃったら、私もね？行くしかないって思うわけよ。

近寄りたくない人が多いけどね、二度と帰らない方が良いってわかってるわよ、でも、こんな風に誘われてしまったら、応じるべきなのよね、過去のしがらみなんて、ね。
会わなければいいのよ、近寄らなければいいのよ。

姫ちゃんからのお誘いを断ることが出来なかったので、久しぶりに実家に顔を出すことになったのよ。ついでに、お義父様にも、ご挨拶にいけたらいいわね。
あの地区とかは、ちょっと、近寄りがたいから、近寄らないようにしないとね、教会は…いけたら行く、それくらいで良いかもね。

まぁ、やる気は湧いてこないけれど、ちいさな帰省という名の旅行、その準備くらいはしないといけないわね。