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とある人物達が歩んできた道 ~ 振り払えぬ心 ~ ①

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肩と首をグルグル回しながら、ソファーから立ち上がり、先ほどまで飲み物が入っていたコップを片付ける。
姫ちゃんは基本的に片づけをしない、メイドちゃんが来るまでは全部私がしていたのよね…嫁入りしたとしても、メイドは必須でしょうね。
…姫ちゃんで思い出したけれど、そういえば、術式の研究新着はどうなのかしら?確認し忘れたわね、まぁ、焦る必要はないわね…ぁ!あと、私達の検査結果ってどうなったのよ?

むー、しまったわね、違う事に気が取られ過ぎて聞きそびれちゃったじゃない。
まぁ、急ぐ内容でも無し、結果が届けばすぐに知らせてくれるでしょうね。

洗い終えて乾拭きもして棚にコップを戻すと、腰と肩から小さな悲鳴が聞こえてくる…
ぁー。それにしても肩が凝るわねー…かといって、これをあの子に相談すると…

嫌な出来事を思い出してしまう…あの子がこの前してくれた治療方法を、もう一度しようか?って言われたら嫌よ。痛かったもの…

あの子が、ある力?現象?よくわからない術式をずっと、ずっと、長い事研究していて、未だに制御が出来ておらず、どうやればよいのか、悩まされ続けているのよね。
姫ちゃん曰く、これが制御出来たら、更に世界は発展し豊かになる力、確か、電気って力だったわね。

姫ちゃん曰く、天空を走る光が電気で、鉄にくっつく不可思議な石が電気だそうよ。
大自然が生み出す大きな力を人のようなちっぽけな存在が扱えれるとは、思えれないのよね?
そりゃ、火をおこしたり、風を生み出したりは出来るけれど、台風のようなものは生み出せないわよ?

医療に関係のない話なので、あまり興味が無さそうに話を聞いていたものだから、すねちゃって、医療にも応用が出来る!って私を実験台にしたのよ。
結果的に言えば痛い、感じたことのない痛みだったわね…筋肉がつるかと思ったわ。

人の体には、神経って呼ばれているモノがあって、それが脳という場所から伸びていて全身に繋がっている、脳から伸びた神経が電気というモノを走らせて筋肉を動かしているっていうのが姫ちゃんから教えてもらった電気と人の関係性
その神経を電気を用いればある程度、干渉することが出来る…つまり、神経に電気を流せば痛みを感じる閾値というのをコントロールできるらしい…

言葉だけじゃ、何もピンとこないし、閾値をコントロール?痛みを感じにくくする?それなら、痛み止めの薬を服用すればいいじゃない?
それだと、全身に作用されるし、薬が体から抜けるまでは痛みが感じにくくなるから、直ぐに戦闘に復帰できない、うん、それはごもっともね、言いたいことはわかるわね。
なら、患部だけに注射で適量を施せばよくないかしら?薬そのものが無理やり痛みを抑えたりするし耐性がつく可能性があるから、多用し過ぎたり、頼りにし過ぎてはいけない…ううん?そういうものなのかしら?

確かに、薬を使い続けてきたら多少、効きにくい人がいることはいたけれど…そういう人って稀だったし、そのころには、引退を考える年齢になっていることが多いでしょう?何を気にする必要があるのかしら?

百聞は一見に如かず?取り合えず、体験してみろって?…しょうがないわね
上半身の服を脱いで?…何をするのかちょっと怖いけれど、言われたとおりにする。見やすいように鏡を前にして実践してくれるのね。
毎日、肩が凝るっていうから、それに対してしてくれるの?本当に、針でよくなるの?

肉体に刺す針がどんなものなのか、鞄から金属の針を取り出して見せてくれたのよね。
見た感じ、病院で注射針として使ってる針とは別物。縫い針よりも少し細いかしら?
その先を火であぶって熱を冷ましてから針を筋肉に差すみたい、場所としては、筋肉の開始と終わりに近い場所に刺すのね。

その針を刺すだけなら、まぁ細いから左程痛くなかったから、別にいいのよ?問題はその後よ…

筋肉に刺された二本の針を指でつまんだと思ったら、ビクっと筋肉がはねたと思ったら、グっと勝手に力がはいって、そのまま筋肉が強張りそうな程、力が入ってしまってつりそうになったのよね…

姫ちゃんが言うには、金属の針と金属の針との間にある筋肉に電気っと言う力の概念を流して筋肉に刺激を与えたって言うけれど…痛すぎるわよ!
私が痛がる姿を見て慌てて中止してくれたみたいだけど、もう少し、刺激を弱めれることはできないのか確認してみたら、あれで最弱なのね…
肩に刺されている針を抜いて服を着ながら説明を受けるのだけれど、まだまだ、コントロールが難しそうなのね。

どうやら、電気を生み出す術式は始祖様の秘術に記載されているみたいで、そこを足掛かりにして何度もトライ&エラーの末に、何となくだけど生み出すことが出来たみたい。

視認できる方法もあるみたいで見せてくれたのよね。
金属で作られた針に電気という力を貯めて指先で触れてみる視認が出来るみたいなので、試しに触れてみるとパチって小さな音と光が一瞬だけ見えたし、指先が痛かったのよね。これで、何が出来るというのか私には理解できそうも無いわね。

姫ちゃんが悩まされている内容って言うのが、電気って言う力を生み出すことはできても、制御する術、出力の調整、力の流れのコントロールが出来ないみたいでこの力を応用して何かに転用するという技術の開拓、発表会は程遠いって嘆いていたのよね。

後、電気を生み出す術式は効率が悪いみたいで、あの程度でも相当な魔力を消費するみたいで、直ぐに魔力補充をお願いしてきたのよね。

体験してみて、私でも電気という概念がどういうものなのか理解は、したけれど…うーんって感じなのよね。
それに、姫ちゃんも完全に、扱いきれるまでは電気という名前すら公表する予定はなく、今後も研究を続けていくって、段階なのよね。

説明を受けながらこの力をどの様に有効活用するのか、考えてみたけれど…使い道って何があるのかしら?って感じなのよね。
長い年月をかけてまで、研究する必要があるのかしら?

一通り説明を聞いて、二人で有効活用するための案を提案しあったのよね。
私が考えた内容としては、魔力の消費が激しすぎるという前提は置いといて、電気という性質、先ほどの針のように触れると音が鳴る、なら、それを使って何かを知らせたりする?

…音で知らせるだけなら他の方法が山ほどあるわね。

後は音と共に一瞬だけ光ったように見えたから、灯りの代わり?
…灯りであれば、純粋に光を灯す魔道具を使えばよくないかしら?松明でもいいわね、ランタンだってあるわよ?

筋肉が勝手に反応するから、敵に向けて当てることが出来たら動きを鈍くさせれる?
…人に向けるのであれば、体温低下を狙った方法で事足りるわよね?

…ん?これ、必要かしら?今一つ有用性、有効性が見いだせないわね。
私が知らない情報がまだまだあるのでしょうけれども、現時点で必要だとは思えないのよね。
姫ちゃんからしたら未知の部分だから解き明かしたい、制御できないのなら出来るようになりたいっていう、探求心、好奇心だけで研究していてもおかしくないのよね。

ただ、人外の理である人型が電気を使った攻撃手段を使ってこないとは限らない、なら、その性質を理解するという事は防衛として正しい考えなのは、間違いないわね。
姫ちゃんが言うには、地球に住む生物の中には、自身の体内で電気を生み出して放出する生き物がいるみたい…
そして、私達の敵は、地球にいる獣達の特性・特徴が一致する敵が数多くいる、つまりは、そういう敵が今後、出てくる可能性がある

なら、対抗する手段や、敵からの攻撃を防ぐための対策も必須ってことね。その為にも、その敵が現れる前にある程度、性質は把握するべきね。
…その一つとしてレジストポーションがある?麻痺に対するやつが大元はそれの為?なるほど…既に未来では遭遇していることね。

電気の事は今後も姫ちゃんが研究を続けていくとして、先ほどの針を使っての治療方法っていう技術、効果や内容を聞くと、確かに医療に使えそうだし、今後も技術として確立出来たら、有効そうよね?

なので、姫ちゃんの知りえる全ての情報を本にまとめてもらって、医療班でも、色々と研究している段階よ。

問題があるとすれば、細い針が安価で作れないってところかしら?そこの問題がクリア出来たら、今後、医療班以外にも、王都とかに、特殊技術って項目で広めて行こうかと思っているのよね。
活用方法として健康促進、疲労軽減、薬物を使用しないでの鎮痛&麻痺と、たかが針だっていうのに応用の幅が広いのよね。

効果の一つとして、肩こりにも効くみたいだけど、あまり実感がわかないのよね~…熟練度が低いからかしら?

そうね、こういったものってのは、扱う人によって効果が違って感じるものよね…純粋に技術力が伴っていないって考えれば、まだまだってことよ、ちょっと知った程度の技術で誰にでも効果が出せるくらい簡単な技術だったら広めやすいけれど、経験を積んでいかないとダメとなると特殊技能って項目になってしまうわね。
それにね、姫ちゃん曰く、度重なる経験が重要となる技術みたいって言っていたのよね、なので、今後とも研鑽して、技術を高めて行けばいいのだけれど、そんな時間、私にはないので、医療班の中で興味がある人が練習したり研究したりしてくれている。

うんうん、未知数の技術ってのは知識だけじゃ、どうにもならないことがままあるわね。私が体験したってのはこんな感だったわけよ!
電気の性質もある程度、把握できているみたい、だからこそ敵がその力を使って攻撃してきた時に備えて準備は整えようとしているわよ?
その一つとして、ゴムというものを既に見つけているけれど…まぁ取り合えず数が必要なのよ。
戦士達の鎧に電気という力に対する対策を施す為に、数多く採集するために地方から搔き集めないといけないって、段階なのよね。
一応ね、ゴムという材質を採取できる花を見つけてはいるけれど、この周囲に生えている花だと圧倒的に採取量が少なすぎる…ゴムをどうやって安定して供給するのかってのが、今後の課題なのよね。

今のところ、採取できる花は色んな場所で咲いているから見つけるのは難しくないけれど、花の茎からしか採取できないから微々たる量なのよ…
姫ちゃんが言うには木からも採取できるみたいだけど、見つかっていないのよね~。

うん、ぼんやりと昔の事を思い出していないで、仕事を再開しましょう…溜まっていいのはお金だけってね。

仕事を再開する前に…
肩こりを解消しましょう、こういうのはちょっとでも隙間時間にマメにするのが一番なのよね、さてっと、腕を挙げたり、下げたり、両手を伸ばして手首を返したり軽く運動して、広背筋や僧帽筋などを念入りに伸ばす様にストレッチしてっと、うん、体も適度に熱を持ち、血流の流れ良くなったように感じる。
さぁ、仕事を再開しようかしらっと…

椅子に座って、机の上を占拠している不埒者たちに目を落とす…何処から手を付けたらいいのか、悩まされる日々ね。

一番近くにある不埒者…書類を手に取り、文字を読もうとするが…駄目だ、集中できない…これじゃ仕事にならないわね。
肩こりのせいじゃないわよ?…精神的なものね。

騎士様の息子さんがこの街に来るという点が気になって気になって集中できない。騎士様からは強く勇気のある子に育って欲しいっと言っていたのと…
誰かと争い、闘うを喜びとするような子ではなく、とても純粋で純真で優しく、誰かを傷つけることなんて出来そうもない子だと言っていた…
そして、奥様の仕事に興味があるみたいだったから、家の仕事を継いでくれたり、近隣の農業を手伝い、それらを生業として生きていくほうが性に合っているんじゃなかって言っていた…

話を聞くだけだったら、どうしてそんな、温和そうな子が、この街に?…父親の敵討ち?仇討ち?
優しい子供が父親を亡くして、壮絶な人生を歩んでいたのだとしたら、騎士様が知っている子供のままってわけではないでしょうね。

…あんな事をしでかしていなかったら、私が…いいえ、あんな事をしていなかったとしても、この忙しさの中、時間を割いて王都にまで、出向いて傍にいるなんてこと、出来なかったわね。出来るとは思えれない。だって、でも、もしも…無駄よ、過去を嘆いたところで今は変わらない。

どんな顔をして、息子さんに会えばいいのかしら?…
あの人が私の事を何て、息子さんに伝えているのかしら?…

…考えるだけ無駄ね、なるようになる!っとしか、考えてはダメ、墓穴だけは掘らないように私の過去については語らないようにしましょう。
どこでボロがでるかわかったものじゃないわね!来て早々に軽蔑されてたり敵視されたりしちゃったらもう、逃げ出したくなるもの…
ええ、そうよ!ぽろっと下ネタが出ないように気を付けないといけないわね!

後、家名…騎士様の恋物語は、多くの人達が知っている。次の筆頭騎士として最も近く、学園の女性といいえ、男性も憧れてやまない、麗しの騎士。
その騎士が全てを、栄えある未来を捨ててまで恋に向かって駆けだした物語。

その意中の相手が平民ってところがまた、貴族の間では話題が尽きなかったもの…

だから、あの人は平民であるはずであるべきなのよ、どうして、家名を持っているの?…
不可思議な家名の件も気になるし、ここに来る目的も気になる。
それと…もう、そんな年齢になっていたっていう部分も、ね…時間の流れって速いのね。今でも目を瞑ると騎士様があいつはまだまだ子供でな、もう少しお父さんに甘えて欲しいけど、甘えてくれないんだよっていう悩みを打ち明けてくれていたのを思い出せる。
それに、身近にいる姫ちゃんを見ていると…時間の流れが遅く感じるのよね。
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