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Dead End ユ キ・サクラ (41)

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その事を近衛騎士に伝えると、全員で仕留めた獲物を担いでセーフティーエリアに帰還する
セーフティーエリアの隠蔽部隊と医療班に現状で何か問題があるのかついでに確認してみたんだけど、概ね良好、攻めてくる敵も雑魚ばかりだから問題なし
寧ろ、転送で帰還する人がいなくて仕留めた獲物が積み上がっているので出来る限り持って帰ってほしいくらいってことね
OKOKっと言う意味を込めてうんうんっと頷いて、軽く激励の言葉をかけてから、転送の陣がひかれている場所に到着すると大量に積まれている獲物達

どのタイプの敵が進撃してきているのかついでに確認してみようかな

鹿は勿論、猪、角付兎、鼠っか、よく見るタイプ…じゃないのもいるじゃん、ぇ、数は少ないけれど鰐もいるし、蜥蜴もいるじゃん?
沼地にいるタイプの敵も進撃してきたってこと?かなり奥地に行かないといないのに?…何の意図があるんだろうか?
本来、自分のテリトリーから出て進撃してくるようなタイプじゃないのに?鰐なんて水辺じゃないと行軍スピードめっちゃ遅いよ?よくこれたな…

…なのに、もっと手前にある森林エリアにいる、大型の肉食獣タイプが一つも無いじゃん

熊、虎、豹、滅多にいないけれど狼、大型猪、などの一人で遭遇すると命の危険があるタイプが一機もいない…
ん~、敵の意図がまったくもって掴めない、何の意図があって?攻める目的じゃなくて誘導?私を街から離したい?いや、そもそも敵は私っという個を警戒している様子は無いと思っている、何故かわからないけれど、敵は私よりも他の何かを警戒している様な気がするから、そんなまだるっこしいことしないでしょ?

何に呼応しているのか、絞り込めない…

うーんっと、腕を組んで考えていると
「この数を運ぶの?…何往復いるの?」
いつの間にか隣にやってきたユキさんが呆れた表情で声を掛けてくる、きっと、大量に積まれている獲物を見て私がどうやって運んだらいいのか悩んでいるのだと感じたのだろう
「そうだねー、手に持って運べば相当だね、考えたくない程だよね」
それに乗ってあげてうんうんっと頷いてあげる、だよねー…っと、これから待っている往復作業を感じたのだろうか気怠そうな返事をしてくるので
「ところがどっこい!私達にはアレがある」
手を叩くと待ちに待っていたのか術式部隊が陣に魔力を注ぎ合図を此方に送ってくれる
「はい!転送陣の起動が開始されたので転送陣の上にどんどん獲物を運んじゃって」
その声を聞いた後方待機していた隠蔽部隊の人達がえっさほいさっと二人一組で獲物を運び始めるので、それを見た新兵達が真似るように獲物を自主的に運び始める
転送陣の上に置かれた獲物達がゆっくりと消えていく

その光景を腕を組んで見守る
私は運ばないのかって?こんなか弱い女児になんてことを言うんだってのってね!絶対にやらない!

全部放り込んだ後
「では、私達は街に帰還します、何かあれば伝令宜しく!」
ほら行くよっと新兵達に合図を送ると後ろを付いてくる
転送陣の上に乗ると、瞬時に視界に映る世界が変わる、うん、本当に便利だよね!
私達の街に帰ってくると、研究所のメンバーが必死に数名がかりで獲物をネコ車とかに乗せて運んでいる。

新兵達があれは手伝った方が良いですか?っとまだまだ体力あるんで!っとアピールしてくるのでお願いする。
若いっていいねぇ、活力やる気体力に溢れてる!

その光景をどっこらしょっと言いながらベンチに座って眺める。
久しぶりの遠征で足が痛い!たはー、最近ジョギングとかそういうのめんどくさくってサボっていたから完全に運動不足だなー足だっるぅ!
でも、そういう部分を新兵達に見せるわけにもいかないので偉そうに踏ん反り返ってすまし顔で眺め続ける。

全ての獲物を運び終えると流石に新兵達も疲れたのか辛そうな表情をしている。
っていうか、鎧脱いで運べばいいのに、何で鎧を着たまま運んでいたんだろうか?
そういう初々しい部分もまた若さだよね。

新兵達が運び終わったことを伝えに来たので
「おさらいするから、装備を外してここに再集合っていうか、街に帰ってきたら鎧脱いでいいからね?」
その一言に全員が鎧を脱いでもいいのかっと気が付いたみたい
「次からは脱いで軽装になってから運ぶのを手伝ったらいいじゃん、今回はトレーニングになったと思ってほら、項垂れてないで行動行動」
ぱんぱんっと手を叩いて気持ちを切り替えさせていく
新兵達がはーいっと素直だけれど、声の節々から気怠そうな空気を感じる。
若い子は素直でいいね~っと年寄り臭い感想しか出てこない昨今に自分自身でもやや呆れつつ若い子達が戻ってくるのを待ち続ける

ベンチに座っていると「お疲れ様」頬に冷たい感触が伝わってくる
冷たい感触を受け取り「ありがと」お礼を言うと「良いのよ、これから反省会でもするのでしょ?喉を潤わしときなさい」それじゃぁねっと頭をひと撫でしてさっていく。
受け取った瓶を口につけて、んぐんぐと水を喉に流し込む
冷えた水ってのは、ほんっと、運動した後には最高だね!…歩いていただけ、だけどね!

んふ~っと疲れた体に染み込むように水を体内に浸透させていると新兵達が戻ってくるので立ってないで座ってていいよっと声を掛けると各々が、地面にお尻を付け三角座りのような姿勢を取ったり、胡坐をかいたりと好きな姿勢で休憩を取り始める。

全員が揃ったみたいなので先ほどの戦いの解説を始めるよーっと声を出すと全員がはーいっと返事をする。素直で良い子達だねー…

敵の行動パターンや、戦士達の練度に合わせた連携を説明していき、最後は、各々が得意とする連携を身に着けていくようにと場を閉め解散っと手を叩くと皆がお疲れ様でしたー!っとフラフラになりながら部屋に戻っていくので、しっかりと飯食ってお風呂入って寝るんだよー!明日もあるからね!っと声を掛けるとはーいっと空元気が伝わってくる。
新兵達の後姿を見ていると、お母さん達が私を見つめている感情がこういうものなのかと感じてしまう。

さてっと、ベンチから立ち上がると私の騎士の姿は見えない、彼らはベテランさんこと、カジカさんの穴埋めで現地に残って活動してくれている。
術式部隊も同じように現地に残ってくれている、本来であれば私や新兵も現地に残って野営するのが基本なんだけど、新兵達に野営を経験させるのはもう少し後の方が良いんじゃないかなっと判断した。っていう風にして、帰ってきたんだよね!だって、ベッドで寝たいんだもん!お風呂に入りたいもん!!

私は良いの!特別だから!っと、野営という辛くてしんどい思いを回避するための言い訳を並べながら足を進めていく

ドアを開けて、無言で靴を脱ぎベッドにダイブして枕に顔を埋め乍ら
「足疲れた!揉んで!!」
我儘を言うと「あんたねー、先にお風呂入ってきなさい!」先ほど、優しく水を差し入れてくれたお母さんの呆れた声が聞こえてくる
「やーだー!疲れたー!」
お母さんのベッドの上で足をパタパタさせて我儘を言うとお尻をぺーんと叩かれる
「はいはい、少しだけマッサージしてあげるから、その後はお風呂入りに行くわよ」
なんだかんだ言いつつ甘えさせてくれるから好きー!

お母さんの好意に甘えながら、マッサージをしてもらい、ちょっと痺れるようなダル気も抜けたので一緒にお風呂に入りにいき、その後は食堂に顔を出して食事を二人で済ませた後は各々の部屋に向かって別れる。

さぁ、明日も外での勤務!早く寝て体をやすめないとなぁ…
こういう空いた時間に研究とかを進めたいけれど、今の状況で研究に手を出してうっかり朝を迎えるなんてするわけにはいかない。
新兵達に、眠そうにしてたら、変に心配されるわけにもいかないので、しっかりと寝る!明日に備える!

自室のベッドに倒れ込む様に横になると、直ぐに睡魔に襲われ眠ることが出来た。
偶には運動しないといけないなぁっと痛感した日でもあった…まーるっと…

目をシパシパとさせ、ぼんやりとする…
足が痛い、足だけじゃない、腰も、なんでか知らないけど痛い…っていうか、足首痛い、足裏も痛い…
思考が目覚めると同時に、色んな場所から痛覚と言う感じたくない感覚が次々とハーモニーを奏でるように訴えかけてくる。
体の痛みで起きるという、だっっっっるい!寝起き…

じんじんとする痛みを感じつつ、時計を見る、自国を確認したあと、念のために窓の外を見る、柔らかい明かりが部屋の中を照らしている
何時もよりも1時間も早く起きてる、っていうか、メイドちゃんに起こされずに起きるなんて珍しいって感じ。

ベッドから軋む音を出しながら降りるのだけど、その音は私の体から出ているような気がしてしまう。
だって、地面に足裏を付けるだけでいたいんだもん…痛みに対する耐性は強い方だと思っていたんだけど、そんなことなかったりするのかも?

うぎぎっと、一歩一歩、足を持ち上げるのも辛い状況の中、何とか体を動かして炊事場に辿り着く
薬箱を何とか取り出して、冷蔵庫から水を取り出し、飲もうと思ったけれど、まずは、口の中が気持ち悪いので漱ぐ
漱ぐついでに歯も磨きたくなったのでついでに磨く、うがいもしてから、炊事場を離れようとして思い出す

なんで、炊事場に向かったのかってこと~、寝ぼけているなぁ…

薬を飲みに来たのだったと、どうも寝起きの状態だと頭がしっくりこない、ぼけぼけだなぁっと思いながら薬箱から痛み止めを探し、苦い水薬を飲む。
ついでに、張り薬などが無いか探すと、患部に塗り込んで包帯を巻くタイプのやつが出てきたんだけど、これって火傷とかに使う奴じゃなかろうか?
成分を見ると炎症止めっぽいし、代用になるかもしれない

塗り薬が入った瓶と包帯を手に取り足を引きずりながらソファーに向かう

ソファー座って塗り薬を足裏などに塗ろうとするのだが…忘れていた、何でか知らないけどさ、腰も痛いんだった…
腰の痛みによって前かがみになることが出来ず、足裏に手が届かない。
胡坐をかく様な姿勢を取ろうとするが、股関節が痛くてできない!膝を外に向けて足裏を胸に近づけようとしたらびしーっと痛みが痛みが!

あれ?思っていた以上に筋肉痛酷くない?これ、外に出れるかな?

たかが筋肉痛で外に出れないなんて、そんな情けない理由ってある?それを聴いた新兵達って、超絶がっかりさせてしまうのでは?威厳もへったくれもなくない?
…最悪、劇薬を使って痛みを飛ばすという手も無くは無いけれど、ちっぽけなプライドの為に使ったってばれたらすっごい怒られそうな気がする…

何かよい解決策は無いかと策を巡らせる…嗚呼、筋肉痛くらいなら回復の陣を起動すれば問題ないじゃんっと直ぐに答えに辿り着く。
回復の陣を描くために必要なモノを探す、手元には紙とペンが無く、机まで歩かないといけない…あるかないと いけない…あるかないっと…

凄く近い場所にあるのに、今は凄く遠く感じてしまう…

はぁっと溜息が自然と漏れてしまう、どうして私の体はこんなにも脆いのだろうか?どうして私は…普通に産まれなかったのだろうか?
昨日の光景がフラッシュバックする。新兵達の元気な姿が脳裏に蘇り、泣きそうになる…比べたって意味が無いのはわかっている、でも、どうしても比べてしまう。

どうして、私達の一族は脆く短命なのだろうか?
どうして、世界の為に命を投げ出さないといけないのだろうか?
どうして、見知らぬ人を助ける為に短い人生を駆け抜けないといけないのだろうか?

どうして、お母様は、あんなにも慈愛に満ちて、死を目前としても慌てることなく、微笑みを絶やすことなく…
命の灯が消える直前まで、ううん、消えてゆくときまで私が寂しくならない様に抱きしめてくれたのだろうか?

私はその感情を一生理解できない、理解できるとは思えれない、理解できる瞬間に立ち会えないと思う。
次を宿すことが出来ないから、次を育む時間が残されていないから…

この答えを私は生涯、えることは、叶わないだろう…



お母様だったら、その答えを教えてくれるのに…会いたい…今すぐにでも会いたいよ、お母様…




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