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Dead End ユ キ・サクラ (66)
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敵の魔力を奪う為に何をするべきか?
恐らく敵は、魔道具から水を産み出して、それを纏って防御に徹していると推測される。
なら、こっちはひたすら攻撃あるのみ!防御に徹し続けてくれるのなら遠慮なく攻撃してやろうじゃん?
それも、此方のスタミナの消費を抑えて、尚且つ、敵の魔力を削ぎ落す…効率よくね…
方針が固まったので、手早く周囲の騎士達に指示を出していく。
手が空いている騎士達は、ひたすら敵に向かって全力で!必殺の威力を込めた弓を撃ち続けてもらう。
弓を構えたところで、敵が弓兵を攻撃することはできないから、安心して渾身の力を込めて目一杯弓を引いて矢をぶちかましてもらう。
槍を持った騎士には、攻撃の仕方を変えてもらう。
槍で敵を突くのではなく、纏っている水を槍先で削ぐようなイメージで槍先を敵の体に当てる様に見せかけて水の膜に突き刺して、槍の腹で水面の水を救い上げるような感じで攻撃を、ひたすら、執拗に繰り出してもらう。これによって、敵が纏った水の膜が薄くなるので、敵は慌てて水を纏う為に魔力を消費するだろう。
敵の魔力を枯渇させる目的で尚且つ、それを悟らせない様に連撃を繰り出させる。
確実に殺すつもりで放たれる連携波状攻撃によって敵が攻撃という選択肢を忘れるほどに、防御を固める様に息をつく暇もない連携!
GOサインの指示を出すと、騎士達が動き出す、戦士の二人にも近くで戦っている槍を持った騎士が作戦概要を伝える。
戦士達が作戦を理解したみたいで、一瞬だけ、私に見える様に指先で合図を送ってくれる。
弓兵が全力矢を放つと人型は水を纏った腕で防ぐ、その隙を逃さず、戦士と騎士が手に持っている得物で水を払う。
直接、武器で肉体を攻撃してこないことに一瞬だけ思考が停止したかのように不思議そうな表情をしているので、此方の作戦の意図を気取られない様にする為に指示を出す。
弓兵だけに聞こえる様に声を飛ばす!削られた水の膜、そこを狙って矢を撃ってっと。
弓矢を構えていた弓兵が直ぐに、指示通りに削られた箇所に向けて強烈な矢を飛ばす!
敵は、怪我をしたくないのか全力で水を産み出し矢が飛んでくる箇所に水を集中させ尚且つ、飛んでくる矢を腕で払おうとする。
放たれた矢は敵にあたるが、水によって衝撃は吸収されて尚且つ、当たったと思った瞬間には腕で払い飛ばされていた。
敵の行動パターンで在れば、それを熟知している戦士がその行動を塞ごうとするが、戦士はその場から動かず様子を伺っている。
相手の動きがいつも違ったからね。
何故なら、敵が弓兵に向かって飛び掛かるようなことが無かった。怯える様な瞳で睨むだけだ。
魔道具を持たない、いや、持っていても、あいつらは敵意に過剰に反応する、必殺の想いを込められた殺意満タンの矢を放った相手に飛び掛かるのがいつものパターン。
それをしないのはどうして?考える迄も無い?
与えられた役目が敵を引き付ける事だから?そういう風に命令を出されているから?目的があり役目があるのであれば、その行動原理は正しく合っている。
そういうことなら、先ほどの行動も納得が出来るし、人型が防御に徹するのも理解できる。
敵が攻撃優先よりも、必死に溢れる様に水を産み出して此方の攻撃を防ぎ続けて防御に徹している理由が分かる。
なら、どうして、このタイプにその指示をだしたのか?配属するタイプを間違えただろ?って言いたくなる。
こういう爪の甘い所を幾度となく目撃しているから、私達は敵が知恵無き物、って認識をしてしまう…それすらも作戦だったら足元をすくわれる、って感じだよね…ほんっと狡猾すぎて腹が立つ。
後、こいつがどうして、時間稼ぎをしているのか、その理由が何ひとつ掴めないのも腹が立つ!お前らが時間稼ぎをする必要なんてないだろう?私達なんてゴミ屑同然のように扱えれる程の駒を持っているくせに!
敵の作戦が読めないことに、腸が煮えくり返りそうな程の苛立ちが全身を駆け巡り、ついつい、殺気が溢れ出てしまい、敵を睨む様に観察していると…
一瞬だけ此方を見た敵の顔が…怯えてるような表情をしているような気がしたのはきっと気のせいだろう。
怯えたところで加減する気も無いし、許す気も無い、お前たちを殲滅し尽くすまで私達は止まらない。お前たちだってそうだろう?
その後も手を緩めることはしない!
執拗に敵の魔力を削ぎ落すことを前提とした攻撃をし続ける!
敵が防御に徹しているのであれば、此方としても都合が良い!
何れ、魔力が枯渇して、何時もの様に発狂するだろう、手を緩める気はない。
防御に徹して、此方に攻撃をしてこない、仮に攻撃しようとしたら封じるつもりで連携を繰り返し、敵の身動きを封鎖し続けていると
ベストタイミング!吉報が届く!
決戦魔道具一式を抱えた補給部隊が到着した!
補給部隊が到着したので次の指示を出す。共についてきた戦士達は直ぐに状況を理解し頷いてくれる。
決戦用魔道具のセッティングをするために、現場の指揮を、親衛隊である戦士達に任せて、少しだけ後退するが、絶対に人型から目を離さない。バックステップでゆっくりと下がる。背を見せたら何をされるかわかったもんじゃない!
ゆっくりと離れ補給部隊と合流するくらいに距離を離すと直ぐに作業に取り掛かる。
私達の街から補給部隊がこの現場まで決死の覚悟で運んできてくれた魔力ケーブルを筒型の魔道具に、接続させる。
さらに、大量の素材が詰まった箱と筒型の魔道具を接続させ、箱の中身が装填されるのを確認する、特に問題なし!
後方を確認すると、遠くに箱をこっちに向かって運ぼうとしている補給部隊の姿が見える。
予定通り、重たいけれど何とか運べているみたい、打ち出す為の素材が大量に入っている箱は、次々と街から運び込まれてくる。
つまり、弾切れの心配なし!残量の問題もなし!魔力も皆の祈りによって満たされているので魔力切れも無し!作戦完了まで問題なく稼働させ続ける条件は完璧に無敵にクリアってね!
ただ一つ、問題があるとすれば…耐久地だね。
筒から放たれる物質が筒の内部を激しく消耗させるってことだけど…念のための予備はしっかりと準備してある!問題はないはずだ…
手元に決戦用魔道具がある、今からこれを稼働させるって考えるだけで腕が震えてしまう。この震えは魂が、感情が昂るからだろう。
笑みが自然と零れそうになるのを、何とか引き締める
さぁ、お互い何分持つのか…考えるだけで背筋がぞくりとする、駄目だワクワクが止まらない!どうやら研究者としての探求心が湧き上がってきてテンションぶちあがってくる!それだけじゃない、やっと、やっとあいつらに試せるって想像するだけで涎が出てしまいそうな程に脳が蕩けそうになっている!!
ちょっと?ううん、凄く!楽しみ!
最終確認!
起動確認、魔力装填問題なし、圧縮魔道具特に問題なし!オールグリーン!何時でもどうぞ!
完璧にセッティングが出来たこと、ぶっつけ本番って状況だけど不安なんて消し飛ぶくらいに昂るパッション!!
溢れ出るパッションを表に出さない様に気を付け乍ら、準備が出来たという合図を親衛隊の一人に伝えると、急いで此方に走ってくる。
筒状の魔道具を見せ、起動方法、どの様な魔道具で、どういった役割があるのか基本的な説明をしてから、魔道具の扱い方を説明すると、驚いた表情をしている。
彼が驚くのもわかる、魔道具なのに魔力を込めなくても良い、しかも、複雑な操作も要らないし、複雑な術式を扱う必要も無い。ランタンに火を灯すほどに簡単。
筒の先を敵に向けて構えるだけ!準備が整った後は、スイッチを押すだけっという、今まで戦士達が抱いていた魔道具の概念全てを覆した品物
さぁ、鋼鉄の砂を敵に向けてぶち込んでやろうじゃん!敵の全てを削ぎ落してやろうぜ!!
戦士と共に敵の近くに戻ると、現場では一つの変化が起きていた。
念願?計算通り?不敵な笑みが零れてしまう。
敵は魔力切れが近いのかぎゃぁぎゃあと奇声を荒げながら両手を伸ばしてぐるぐると旋回している。
魔道具を持った人型は総じて、魔力がつきかけてくると発狂することが多い。
こうも易々とパターンに入るのを見て、違う戦法でも良かったんじゃないかっていう意見が湧き上がってくるけれども、ついでに、半年も間、尽きることなくエンドレスに波状攻撃を仕掛け続けている敵共を一瞬、一時的とはいえ、がっつりと一掃するって考えたら、これが最良だろう。疲弊してきている戦士達に希望を見せて士気を向上させたいし、敵を一掃することで少しでも戦士達を休ませれることが出来るからね。
継戦能力を低下してきているこの現状を、この流れを変えるためには必要。
理不尽には理不尽を!物量戦で来るのならこっちはお前たちが想定していない技術で攻めるってね!
今も発狂し続けて、両腕を伸ばしきってグルグルと旋回しては纏っていた水が周囲に吹き飛び、気が来るかったかのように腕を地面に叩きつける度に、纏っていた水が飛び、キャッキャッキャっと歯をむき出しにして小さなジャンプをするたびに、どんどんと、己の身に纏っている水が弾け、徐々に乾いていく…
こいつに魔道具を持たした意味などないっと言わんばかりの奇行…
所詮は知恵無き猿ってことだと言わんばかりの行動…
この行動を長年、幾度となく何度も、見てきた人達にあいつらは知恵があって作戦通りに動いているなんて言っても絶対に信じてくれないんだろうなぁ…
敵の奇行に付き合ってあげたいけれどさ、悪いけれど時間が無い!ってなわけで、手短に!お前の相手をする時間なんてないよ!
戦士や騎士達、全員が配置についたのを確認すると同時に、魔道具を持った戦士が人型の近くへと向かい、筒型の魔道具を肩に乗せ敵に攻撃が届く範囲に入る前に魔道具を発動させるスイッチを押す。
魔道具を持った戦士が前に出るのと同時に、先ほどまで人型と対峙していた騎士達が少しだけ敵から離れつつも弓矢などで敵を挑発する。
筒型の魔道具を持った戦士から注意を背ける為に。
っていっても、起動はしてあるから、スイッチを入れたらすぐに動き出す!注意を逸らすのは一瞬で良い!
周囲から放たれる弓矢を腕ではたき落している間に、魔道具が空気を圧縮し終わり、凄い音と共に物凄い勢い、私じゃないと何が飛ばされているのか見えない速度で砂が渦巻く様に人型に向かって放たれていく!
筒から凄まじい速度で射出される砂は、未曽有の嵐が如く!
強烈な勢いと速さで前方へと放たれ、今も僅かではあるが、薄っすらと水の膜を纏っている敵に激しくぶつかっていく。
筒から放たれる物凄い勢いの砂による攻撃が痛いのか、腕を顔の前にクロスさせ必死に耐えようとしている。
だが、その様な防御など無意味!前に出した腕が見る見るうちに変化していく!
物凄い勢いで飛ばされていく砂によって、腕の毛が吹き飛ぶ、直ぐに露になった皮膚を削ぎ、筋肉を露出させたと思ったら、直ぐに骨が見えた。
そして、無情にも、骨が見えたと思ったら隠された敵の顔が見え、見えたと思ったら顔もまた、前に突き出した腕と同じような結末を辿る。
この間、戦士が上段に構えた武器を敵に振り下ろすよりも速いと感じてしまう程に一瞬の出来事だった。
その凄まじい威力に周囲の騎士達が慄いている。
私だって、こんなにえげつない威力だとは思っていなかった…これが人に向けられてしまったらって、考えるとぞっとしちゃう…
背筋に冷たい何かが伝っていくのを感じながらも、これが至極当然だと言わんばかりに冷静に、冷淡に、感情を殺して声を出そう。
私が開発した魔道具を恐れていないで、周囲を警戒する様に声を出すが、魔道具から出る音によって搔き消され指示が伝わっていない。
近くにいる手が空いていそうな補給部隊を近くに呼び寄せ、紙に指示を書いて持たせ、周囲の騎士達に見せる様に指示を出す。
視線を敵に向けると、敵は肘から先の両腕が無くなり、顔も消し飛んでいた。
倒れる瞬間に薄っすらと敵の首元に何かが見えた、恐らくネックレス型の魔道具なのだろう、ただ、此方の攻撃によって破損して使い物にならないだろうね。
水を産み出す程度の魔道具だったら別に欲しいとは思わない、色んな種類の水を産み出したら上空に生み出したり、そういった力が無いのであれば、術譜で同じようなことは再現できるので、この程度の魔道具ならどうとでもなるから、別に要らないからいいけどね。
戦士に魔道具を停止させ、地面に置いてもらう。
誤作動を防止するために魔力ケーブルを一旦外してから、筒の中を見て、損傷具合を確認する。
一瞬しか稼働させてなかったら、損傷は軽微っていうか、細かい傷が出来てるだけ特に問題はない。
問題は無いがこの先の事を考えると…う~ん、この程度だったら、まだまだ、持ちそうな感じはする。
一瞬で敵が溶ける様に削り取ったから、稼働時間も短かった、現状だと砲身は、まだまだ余裕がありそう。
先ほどの流れを見て問題を感じたのが、ある程度近距離まで近づかないといけないってところかな?
恐らく敵は、魔道具から水を産み出して、それを纏って防御に徹していると推測される。
なら、こっちはひたすら攻撃あるのみ!防御に徹し続けてくれるのなら遠慮なく攻撃してやろうじゃん?
それも、此方のスタミナの消費を抑えて、尚且つ、敵の魔力を削ぎ落す…効率よくね…
方針が固まったので、手早く周囲の騎士達に指示を出していく。
手が空いている騎士達は、ひたすら敵に向かって全力で!必殺の威力を込めた弓を撃ち続けてもらう。
弓を構えたところで、敵が弓兵を攻撃することはできないから、安心して渾身の力を込めて目一杯弓を引いて矢をぶちかましてもらう。
槍を持った騎士には、攻撃の仕方を変えてもらう。
槍で敵を突くのではなく、纏っている水を槍先で削ぐようなイメージで槍先を敵の体に当てる様に見せかけて水の膜に突き刺して、槍の腹で水面の水を救い上げるような感じで攻撃を、ひたすら、執拗に繰り出してもらう。これによって、敵が纏った水の膜が薄くなるので、敵は慌てて水を纏う為に魔力を消費するだろう。
敵の魔力を枯渇させる目的で尚且つ、それを悟らせない様に連撃を繰り出させる。
確実に殺すつもりで放たれる連携波状攻撃によって敵が攻撃という選択肢を忘れるほどに、防御を固める様に息をつく暇もない連携!
GOサインの指示を出すと、騎士達が動き出す、戦士の二人にも近くで戦っている槍を持った騎士が作戦概要を伝える。
戦士達が作戦を理解したみたいで、一瞬だけ、私に見える様に指先で合図を送ってくれる。
弓兵が全力矢を放つと人型は水を纏った腕で防ぐ、その隙を逃さず、戦士と騎士が手に持っている得物で水を払う。
直接、武器で肉体を攻撃してこないことに一瞬だけ思考が停止したかのように不思議そうな表情をしているので、此方の作戦の意図を気取られない様にする為に指示を出す。
弓兵だけに聞こえる様に声を飛ばす!削られた水の膜、そこを狙って矢を撃ってっと。
弓矢を構えていた弓兵が直ぐに、指示通りに削られた箇所に向けて強烈な矢を飛ばす!
敵は、怪我をしたくないのか全力で水を産み出し矢が飛んでくる箇所に水を集中させ尚且つ、飛んでくる矢を腕で払おうとする。
放たれた矢は敵にあたるが、水によって衝撃は吸収されて尚且つ、当たったと思った瞬間には腕で払い飛ばされていた。
敵の行動パターンで在れば、それを熟知している戦士がその行動を塞ごうとするが、戦士はその場から動かず様子を伺っている。
相手の動きがいつも違ったからね。
何故なら、敵が弓兵に向かって飛び掛かるようなことが無かった。怯える様な瞳で睨むだけだ。
魔道具を持たない、いや、持っていても、あいつらは敵意に過剰に反応する、必殺の想いを込められた殺意満タンの矢を放った相手に飛び掛かるのがいつものパターン。
それをしないのはどうして?考える迄も無い?
与えられた役目が敵を引き付ける事だから?そういう風に命令を出されているから?目的があり役目があるのであれば、その行動原理は正しく合っている。
そういうことなら、先ほどの行動も納得が出来るし、人型が防御に徹するのも理解できる。
敵が攻撃優先よりも、必死に溢れる様に水を産み出して此方の攻撃を防ぎ続けて防御に徹している理由が分かる。
なら、どうして、このタイプにその指示をだしたのか?配属するタイプを間違えただろ?って言いたくなる。
こういう爪の甘い所を幾度となく目撃しているから、私達は敵が知恵無き物、って認識をしてしまう…それすらも作戦だったら足元をすくわれる、って感じだよね…ほんっと狡猾すぎて腹が立つ。
後、こいつがどうして、時間稼ぎをしているのか、その理由が何ひとつ掴めないのも腹が立つ!お前らが時間稼ぎをする必要なんてないだろう?私達なんてゴミ屑同然のように扱えれる程の駒を持っているくせに!
敵の作戦が読めないことに、腸が煮えくり返りそうな程の苛立ちが全身を駆け巡り、ついつい、殺気が溢れ出てしまい、敵を睨む様に観察していると…
一瞬だけ此方を見た敵の顔が…怯えてるような表情をしているような気がしたのはきっと気のせいだろう。
怯えたところで加減する気も無いし、許す気も無い、お前たちを殲滅し尽くすまで私達は止まらない。お前たちだってそうだろう?
その後も手を緩めることはしない!
執拗に敵の魔力を削ぎ落すことを前提とした攻撃をし続ける!
敵が防御に徹しているのであれば、此方としても都合が良い!
何れ、魔力が枯渇して、何時もの様に発狂するだろう、手を緩める気はない。
防御に徹して、此方に攻撃をしてこない、仮に攻撃しようとしたら封じるつもりで連携を繰り返し、敵の身動きを封鎖し続けていると
ベストタイミング!吉報が届く!
決戦魔道具一式を抱えた補給部隊が到着した!
補給部隊が到着したので次の指示を出す。共についてきた戦士達は直ぐに状況を理解し頷いてくれる。
決戦用魔道具のセッティングをするために、現場の指揮を、親衛隊である戦士達に任せて、少しだけ後退するが、絶対に人型から目を離さない。バックステップでゆっくりと下がる。背を見せたら何をされるかわかったもんじゃない!
ゆっくりと離れ補給部隊と合流するくらいに距離を離すと直ぐに作業に取り掛かる。
私達の街から補給部隊がこの現場まで決死の覚悟で運んできてくれた魔力ケーブルを筒型の魔道具に、接続させる。
さらに、大量の素材が詰まった箱と筒型の魔道具を接続させ、箱の中身が装填されるのを確認する、特に問題なし!
後方を確認すると、遠くに箱をこっちに向かって運ぼうとしている補給部隊の姿が見える。
予定通り、重たいけれど何とか運べているみたい、打ち出す為の素材が大量に入っている箱は、次々と街から運び込まれてくる。
つまり、弾切れの心配なし!残量の問題もなし!魔力も皆の祈りによって満たされているので魔力切れも無し!作戦完了まで問題なく稼働させ続ける条件は完璧に無敵にクリアってね!
ただ一つ、問題があるとすれば…耐久地だね。
筒から放たれる物質が筒の内部を激しく消耗させるってことだけど…念のための予備はしっかりと準備してある!問題はないはずだ…
手元に決戦用魔道具がある、今からこれを稼働させるって考えるだけで腕が震えてしまう。この震えは魂が、感情が昂るからだろう。
笑みが自然と零れそうになるのを、何とか引き締める
さぁ、お互い何分持つのか…考えるだけで背筋がぞくりとする、駄目だワクワクが止まらない!どうやら研究者としての探求心が湧き上がってきてテンションぶちあがってくる!それだけじゃない、やっと、やっとあいつらに試せるって想像するだけで涎が出てしまいそうな程に脳が蕩けそうになっている!!
ちょっと?ううん、凄く!楽しみ!
最終確認!
起動確認、魔力装填問題なし、圧縮魔道具特に問題なし!オールグリーン!何時でもどうぞ!
完璧にセッティングが出来たこと、ぶっつけ本番って状況だけど不安なんて消し飛ぶくらいに昂るパッション!!
溢れ出るパッションを表に出さない様に気を付け乍ら、準備が出来たという合図を親衛隊の一人に伝えると、急いで此方に走ってくる。
筒状の魔道具を見せ、起動方法、どの様な魔道具で、どういった役割があるのか基本的な説明をしてから、魔道具の扱い方を説明すると、驚いた表情をしている。
彼が驚くのもわかる、魔道具なのに魔力を込めなくても良い、しかも、複雑な操作も要らないし、複雑な術式を扱う必要も無い。ランタンに火を灯すほどに簡単。
筒の先を敵に向けて構えるだけ!準備が整った後は、スイッチを押すだけっという、今まで戦士達が抱いていた魔道具の概念全てを覆した品物
さぁ、鋼鉄の砂を敵に向けてぶち込んでやろうじゃん!敵の全てを削ぎ落してやろうぜ!!
戦士と共に敵の近くに戻ると、現場では一つの変化が起きていた。
念願?計算通り?不敵な笑みが零れてしまう。
敵は魔力切れが近いのかぎゃぁぎゃあと奇声を荒げながら両手を伸ばしてぐるぐると旋回している。
魔道具を持った人型は総じて、魔力がつきかけてくると発狂することが多い。
こうも易々とパターンに入るのを見て、違う戦法でも良かったんじゃないかっていう意見が湧き上がってくるけれども、ついでに、半年も間、尽きることなくエンドレスに波状攻撃を仕掛け続けている敵共を一瞬、一時的とはいえ、がっつりと一掃するって考えたら、これが最良だろう。疲弊してきている戦士達に希望を見せて士気を向上させたいし、敵を一掃することで少しでも戦士達を休ませれることが出来るからね。
継戦能力を低下してきているこの現状を、この流れを変えるためには必要。
理不尽には理不尽を!物量戦で来るのならこっちはお前たちが想定していない技術で攻めるってね!
今も発狂し続けて、両腕を伸ばしきってグルグルと旋回しては纏っていた水が周囲に吹き飛び、気が来るかったかのように腕を地面に叩きつける度に、纏っていた水が飛び、キャッキャッキャっと歯をむき出しにして小さなジャンプをするたびに、どんどんと、己の身に纏っている水が弾け、徐々に乾いていく…
こいつに魔道具を持たした意味などないっと言わんばかりの奇行…
所詮は知恵無き猿ってことだと言わんばかりの行動…
この行動を長年、幾度となく何度も、見てきた人達にあいつらは知恵があって作戦通りに動いているなんて言っても絶対に信じてくれないんだろうなぁ…
敵の奇行に付き合ってあげたいけれどさ、悪いけれど時間が無い!ってなわけで、手短に!お前の相手をする時間なんてないよ!
戦士や騎士達、全員が配置についたのを確認すると同時に、魔道具を持った戦士が人型の近くへと向かい、筒型の魔道具を肩に乗せ敵に攻撃が届く範囲に入る前に魔道具を発動させるスイッチを押す。
魔道具を持った戦士が前に出るのと同時に、先ほどまで人型と対峙していた騎士達が少しだけ敵から離れつつも弓矢などで敵を挑発する。
筒型の魔道具を持った戦士から注意を背ける為に。
っていっても、起動はしてあるから、スイッチを入れたらすぐに動き出す!注意を逸らすのは一瞬で良い!
周囲から放たれる弓矢を腕ではたき落している間に、魔道具が空気を圧縮し終わり、凄い音と共に物凄い勢い、私じゃないと何が飛ばされているのか見えない速度で砂が渦巻く様に人型に向かって放たれていく!
筒から凄まじい速度で射出される砂は、未曽有の嵐が如く!
強烈な勢いと速さで前方へと放たれ、今も僅かではあるが、薄っすらと水の膜を纏っている敵に激しくぶつかっていく。
筒から放たれる物凄い勢いの砂による攻撃が痛いのか、腕を顔の前にクロスさせ必死に耐えようとしている。
だが、その様な防御など無意味!前に出した腕が見る見るうちに変化していく!
物凄い勢いで飛ばされていく砂によって、腕の毛が吹き飛ぶ、直ぐに露になった皮膚を削ぎ、筋肉を露出させたと思ったら、直ぐに骨が見えた。
そして、無情にも、骨が見えたと思ったら隠された敵の顔が見え、見えたと思ったら顔もまた、前に突き出した腕と同じような結末を辿る。
この間、戦士が上段に構えた武器を敵に振り下ろすよりも速いと感じてしまう程に一瞬の出来事だった。
その凄まじい威力に周囲の騎士達が慄いている。
私だって、こんなにえげつない威力だとは思っていなかった…これが人に向けられてしまったらって、考えるとぞっとしちゃう…
背筋に冷たい何かが伝っていくのを感じながらも、これが至極当然だと言わんばかりに冷静に、冷淡に、感情を殺して声を出そう。
私が開発した魔道具を恐れていないで、周囲を警戒する様に声を出すが、魔道具から出る音によって搔き消され指示が伝わっていない。
近くにいる手が空いていそうな補給部隊を近くに呼び寄せ、紙に指示を書いて持たせ、周囲の騎士達に見せる様に指示を出す。
視線を敵に向けると、敵は肘から先の両腕が無くなり、顔も消し飛んでいた。
倒れる瞬間に薄っすらと敵の首元に何かが見えた、恐らくネックレス型の魔道具なのだろう、ただ、此方の攻撃によって破損して使い物にならないだろうね。
水を産み出す程度の魔道具だったら別に欲しいとは思わない、色んな種類の水を産み出したら上空に生み出したり、そういった力が無いのであれば、術譜で同じようなことは再現できるので、この程度の魔道具ならどうとでもなるから、別に要らないからいいけどね。
戦士に魔道具を停止させ、地面に置いてもらう。
誤作動を防止するために魔力ケーブルを一旦外してから、筒の中を見て、損傷具合を確認する。
一瞬しか稼働させてなかったら、損傷は軽微っていうか、細かい傷が出来てるだけ特に問題はない。
問題は無いがこの先の事を考えると…う~ん、この程度だったら、まだまだ、持ちそうな感じはする。
一瞬で敵が溶ける様に削り取ったから、稼働時間も短かった、現状だと砲身は、まだまだ余裕がありそう。
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