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Dead End ユUキ・サクラ (15)

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「疲れたぁなぁ~~…」
ソファに何時もの様に勢いよくドカっと背中から、全体重を預けるように背面ダイブしたい!!だが!!

不可能!やれば背骨が折れかねないッ!!…それが出来ないので~、勢いをしっかりと殺して、しだれ込むようにソファーの上で横になる。

横になると同時に自然と笑みが溢れ出てくる…この笑みが何を意味するのか…っへ、考えたくねぇや。
ぶっちゃけると、研究については、かなり順調!!必要な計算、改善、予想される失敗するファクターの洗い出し、その全てが思考超加速によって次々と演算されていく。
まさに、予測演算を可能としたコンピューターそのもの。

へっへっへ、地球のコンピューターがなんぼのもんじゃい!私が、私そのものがコンピーターじゃい!どんなもんじゃい!!
ソファーで横になりながらファイティングポーズを取る!!

へへへ…へへへ…へへ…

つい、ファイティングポーズを取ってしまったノリの良さからなのか、よくわからないがニヒルな笑みを浮かべてしまった。
はは…何してるんだろう…

誰に向けたのかわからない自慢や、行動が、虚空へと吸い込まれていくのを見て、胸の奥が痛くなる。

はぁ…ソファーの背もたればっかり見てるから気分が沈むんだ、ちょっと息抜きしよう。
念動力で体を浮遊させるようにゆっくりと持ち上げ、ソファーから起き上がり、ほぼ、空中に浮いている状態で移動し、ゆっくりと椅子に座る。

椅子に座って直ぐに手を伸ばす。触れてみると硬くて冷たい分厚い魔導書…そう、机の上に置いてある魔導書、著者は恐らく始祖様と行動を共にしていた聖女。
始祖様が私達の未来を案じて、残してくれた魔導書…理解不能で解読するのも一苦労な魔導書をペラペラとめくっていく…っと、思い入れのあるページに辿り着く。

『光をベースとした術』

私が唯一、自身の魔力で再現できるのがこれ…
始祖様の術式を研究していくまで、信じられなかった俗説がある。
そんなのあるわけがない、今の今まで、そんな事象にかち当たったことが無かったから俗説だと思っていた。

相性っと言う俗説だ。
魔術の種類によっては得意な奴と苦手なやつがあるという俗説が書かれていた古い魔導書を読んだことがある。

そんなこと、あるわけないだろうと思っていた、だって、知り得た術式の殆どが普通に起動するから…相性なんてものは無いと思っていた。
発動できないのは術式に対する理解度、経験などが足りてないだけだろうと思っていた。

だって、術式は、術式ってやつは!魔力さえあれば、誰でも扱えれる様に考案された素晴らしい生活の知恵だもん!

術を制御する文字列を把握して、定められた秩序と、与えられた法則に従って編み込んでいき、完成した術に魔力を流せば発動する。
術式にもいろんな種類がある。
例えば、音が重要な術式であれば音階と発声を熟練の域まで練習すれば、誰だって失敗することは無い。
儀式系統の魔術であれば条件を満たせば発動する。

得意不得意なんて無い!相性なんて無い!あるのは日々の努力!!
練習量だと思っていた…

だけど、始祖様が扱う術式は私達の概念とは大きく異なる。
根本的に、始祖様と私を比べたら、そりゃぁ、大きな違いがあるのはわかってる。
大きく違うのは魔力の総量に、それを制御する為の経験、膨大な魔力を放出しても影響がない肉体。

始祖様が扱う術式を発動するには、最低限必要な魔力ってのがあるのはわかっているが…思うところがある。
大雑把に計算して発動に必要な魔力を計算してはいるんだけど…計算が合わない時が多い…発動させる条件が、それだけじゃない気がする。

そりゃ、条件がそろってなくても予定していた計算が大きく狂ってしまっても発動はできるよ?
強引に強大で強烈な魔力を込めれば発動するんだけれど、何かこう…違う気がする。スマートじゃない!
術式が持つ儚さっというか、朧げっというか…美しさ、うん。強引に発動するのは、それが欠けている。

つまり、Aっという術を発動するのに100の魔力が必要だと計算したんだけど、いざ発動すると…
100必要だったり120必要だったり、人が変われば70で発動したりする…ムラが発生する。そのムラってやつの条件がわからなかった。
わかったのは、発動するのに舵取りをしていた人によって違うのと、時期や時間、そういったものも僅かではあるが関係性はありそうな気がした。

この一冊以外にも始祖様が残してくれた魔導書は他にも色々とある。この魔導書に書かれている中身をすべて理解したわけでは無いけれど、ある程度は理解している、この中で基本となる…
つまりは、ベースとなるっで、いいのかな?そのベース、基礎、基本…普通に考えれば初級、はじめてのじゅつしき!っと同レベルで考えるのが普通なのだろうが…書かれている内容がどう考えても超常現象、天変地異いや、人の手で起こすのだから、人変地異が如き現象がベースなのがもう、理解が出来ない。
幾度か、読んでは見たけれど、心の底から完全に納得できたわけじゃない、理解できない。私達の常識から離れすぎている。

発動できないのであれば、それを扱うのはやめた方が良いっと注意書きも書かれていた。暴発したら軽く街が半壊しそうな気がする…

なので、始祖様が残してくれた術を研究、実験するときは細心の注意を払って行う。
その一環として、発動するのに必要な魔力を確保するときは、それ専用の魔石を用意するとなると、幹部達に何の術式を実験するのか予め申請しておかないといけない、先にもいったけどさ、細心の注意を払って行いたいから、一部の幹部には絶対に内容を知られたくないんだよね!ほんっと…内容を見ると物見遊山が増えそうで危険なんだよね。色々と、ね…
なので!使用用途が問われない廃棄品であれば問題ないでしょ?ってことで、新しい魔石を産み出す為の研究をする際にどうしても破棄する魔石が出てくる。
新しく作った新構造の魔石は、どれ程の魔力を込めれるのか、何年も前からこの街では研究を続けてもらっている、魔石に込めた魔力を無駄にするのは良くない!ってわけで、本来は破棄する魔石を破棄したと見せかけて保管して、主に始祖様の術式を研究するのに使用していたってわ~け!賢いでしょ?にひひ。

無駄を省くという事は効率へと繋がるのだ!

さて、肝心の内容なんだけどね、実は…その、一応、始祖様が残した術式ってやつはね凄く素直っというか、力業っというか…
術を構築する方程式を正しく一切の間違いなく完璧に書き込めば陣であろうが、詠唱であろうが、脳内で構築すれば発動する。
発動は!…するんだけど、なぁ…どうしてか制御が上手くいかないことがあった、原因が完全に判明していないってのも本当に頭を抱えさせてくれる。

実験の手順を思い返してみても…おかしい所なんて無いんだけどなぁ。
魔石から魔力を放出する陣を描いて、その上に魔石をセットして、魔石から陣に向かって魔力が流れるんだけど、一部が漏れ出て、溢れ出ちゃうことがあるから、お母さん直伝の魔力に指向性を持たせる方法を使って空気中に霧散させない様に魔力を搔き集める、私が持つ魔力で、それらを御しながら始祖様が残した術を発動させる。
はっきりって、この方法はやり方としては非常に効率が悪い、だって、魔石から放出された魔力は…かなり無駄にしている、100が空中に漏れ出てしまった魔力を20くらいしか私は御しきれていない、まぁ、しょうがないよね、指向性や、役割を持たせていない魔力は、直ぐに霧散する。
かといって、魔力が霧散しないために魔石と同じ材質で小さな空間を作るっていう考えもあるんだけど、閉所で始祖様の術式を研究するのはリスクが高すぎる、下手に暴発すれば…背筋が凍り付きそうだよ、まったく…
まぁ、だいたいこんな感じで、おかしい所はない、残滓共の記録や記憶を幾度となく閲覧っと言うか垣間見てはいるんだけど、第三者からしてもおかしい所なんて見当たらないなんだよなぁ…

そんなわけで、秘密裏に始祖様の術は密やかに研究を続けてきたおかげで、私が勝手に恐らくこれがベースだろうと決めた数多くのベース的な立ち位置の魔術…始祖様からすれば初級みたいな位置づけの術式を長年研究してきた。残滓達が歩んできた道を含めてね。

ただ、今代の私は、残滓たちのように好き勝手に研究できていない、だから、残滓たちが残した記録だけを閲覧しているようなもの。
だから、今代の私は、正直に言えば術式に対しての理解度は残滓共に比べたら低いんじゃないかな?理論は知ってるけれど実践はしていないって感じ。
つまるところ頭でっかちって感じ~!

はぁ、今だったら魔力なんて残滓共とは比べ物にならない程、自由に出来るっていうのに…実験出来ないんだよなぁ…
…ここが地下室じゃなかったら思う存分、好き放題に術を発動させて遊ぶんだけど、出来ないんだよなぁ…
地下室じゃ狭すぎる、先もいったけどさぁ~威力が凄すぎんだよ…まったく、こんな閉所で発動したら一瞬で私が死ぬ。

普通はさ、初級って聞くと何をイメージする?
私はね、はじめてのじゅつしき!に書かれている内容が真っ先に思い浮かぶんだよね、初歩中の初歩だと、あ~懐かしい記憶が蘇る、どれだったかな?色々したもんなぁ~。確か指先に熱を産み出すじゅつしきだったかな?発動してみたら指先がほんのりと暖かくなったんだよね!
そういう感じのさ、簡単で怖くない様なモノが初級って思うじゃん?違うんだよなー!一通り読んでみてさ、この本に書かれていて単純原理なモノってこれだよね?って答えに辿り着くわけじゃん?そうなると導き出された答え。

ぇ、じゃぁ、これが…その初級?ぇ、初級で、こ、これなの?

って、衝撃を受けたもんだよ!私達からすれば最上級、神の座、神域の魔術としか思えれないって、やつばっかり…
だって…私が扱うほーりーばーすとが…光に対しての初級だよ?へへ、ぶっとんでるぜ…初級であの威力かよ…
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