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Dead End ユUキ・サクラ 妖闘桜散 (22)

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お爺ちゃんの我儘に対して一番見識が深いであろう奥様連合に助けを求めたら…これはこれで問題あり!だったんだよね。
名が欲しいのならこういうのはどうかしら?っという軽いノリで出てきた名前たちが…これまた悪辣悪臭漂いそうな悪意が込められた酷い名ばっかりが羅列された瞬間に悟ったよ、あっちの方も心配されてんだなぁって…そお爺ちゃんが家を出ることに対して反対していた理由の一つなんだろうなぁ…

奥様連合はね、たぶん、愛する旦那が、愛する息子と同じ運命をたどることに関しては、一切恐れていない。
死ぬことがある世界で生きてきたから、守るために死ぬことは、誉だと思っているんだろうね。

奥様連合とお爺ちゃん達の日常を見ているからこそわかる、あの家は上流階級として硬くない、奥様連合の人の中には、貴族の出自じゃない人もいるのにね、全員が出自を気にすることなくお互いを尊重して思いやりを持って平等に接している。当然、お爺ちゃんも奥様連合を平等に接し愛している。
郷に入っては郷に従えが通じない理由もそこにあるんだと思う、上流階級の家に嫁いだのであれば、貴族として振舞うのが普通だけれど、そういったことを一切強要もしていないし、家の中で貴族として考えると無作法なことをしていてもお爺ちゃんが奥様を怒ることは無い。
奥様達は、ありのままにお爺ちゃんと心豊かに人生を寄り添っていた。

それを見て、私もこういう家庭で生きたかったなぁ、ってね、思っちゃった…
誰が見ても理想とするようなステキな空間だった、優雅とか雅とか、そういうのじゃない…
なのに、キラキラとして眩い綺羅星が自由にできる空間にしか、私の瞳にはうつらなかった。

私だったら、そんな安らげる世界を紡いできた当主が世界を救うまで帰ってこないって覚悟を決めて出て行くなんて笑顔で送り出せない…
よそ様のお家の事情に深く突っ込む気は無かったけれど、やっぱり申し出があったときに…止めるべきだったのかな?
ううん、打算的な私では、止めることはできなかっただろうなぁ、お爺ちゃんはどう考えても戦力として有力すぎるから。
お爺ちゃんの気持ちを利用しているみたいで後ろめたい気持ちもあるんだよ?だって、お孫ちゃんのことが大好きで大好きで熱烈な感情を抱いてるんだもんなぁ、大好きなお孫ちゃんを守る為に共にこの街に来たんだと思うもん。世界を救う事よりも愛する孫を失わないためにね。

でもね、私には一つの疑問があるんだよね。
そのお孫ちゃんてさ、たぶん、ユキさんの事なんだよね…勇気くんとユキさんが別の魂だって知ってしまったら?……絶対に言えない。

っとと、いけない、つい思考がそれてしまった、それよりも名前だよ名前!思い返してみると…奥様連合が提案してくれた名前の酷さに笑ってしまいそうになる。意図を隠す気が無いんだもん。
今思い返してみても、奥様連合のウィットにとんだジョークにも程があるって名前、悪臭が酷過ぎて笑ってしまいそうになるよね、ホウセンカとか、カタバミとか、タンポポとか…一番ひどいのが若い子に手を出したら種を切るだったかな?ド直球すぎない?っていうか、その名前を受け止められてしまったら毎回その名前で呼ばないといけないっていう、此方サイドのことを忘れてない?

毎回、種を飛ばす人って意味が込められた名前で呼ぶのって。私としてはやだよ?

いやだけど…相談した手真似、一応ね、提案された名前の意味を知らない可能性もあったから一部は提案はしてみたよ?ホウセンカとか、カタバミとか、タンポポとかはどうかな?って、そしたら、ほほぉ、入れ知恵だろう?却下だ却下!って、直ぐに見破られちゃった。

お爺ちゃんの考えも直ぐに見抜かれる様にね、その逆も然り、奥様連合の悪辣な考えも直ぐに見破られちゃうって、わけだね。

ってなわけで、こうやって会うたびに名前を催促されるんだけど、彼が気に入るカッコいい名前が思い浮かばないんだよなぁ。
気に入りそうな名前かぁ、どんな系統が良いんだろう?例えば…彼にとって身近な人の名前を参考にしてみようかな?
確か、シヨウさんの名前の由来って…たぶんだけど日本語由来だよね?こっち側の発音だったらシヨウってヨを大きく発音せずにショーってなるよね?
何処かで日本語を見たのかな?上流階級だから、私達が知らない書物などで知った可能性はある。

でも、何処から?

…始祖様が何か残していった?いや、それはありえないよね?
だって、始祖様は今地球の日本にいる、んだよね?…実は、過去、日本に訪れていて、私たちがやり取りしていたと思われるものは実はやり取りできていなくて、加護の中に疑似人格でも作られていて、それが…駄目だ、確証を得ることが出来ない理論は渦の中に飲み込まれる、今考える事じゃない。
時間がある時にシヨウさんと親密な関係だった人に聞くのが一番早いよね。っとなると、名前の由来をお爺ちゃんかお母さんに聞いてみようかな?
でもなぁ、んー…やっぱり私が知る限り、シヨウって日本語が何なのかわからない、何かあったっけ?んー…だめだ、わかんない。
それに、安直に息子さんと同じ系統が良いのかなっていうのも疑問なんだよなぁ…
それとも、勇気くん系統が良いのかな?どっちが良いんだろう…あー、思い出した、そういえば、どんな感じの名前が良いのか意見を聞いた時ににさ、よしなにって、一言だけ言って笑顔で逃げたんだよなぁ、そんな感じで逃げるのはズルいよなー、何も言えなくなるじゃん!

っとなると、私が思いつく名前っとなるが…
過去に考えた名前で却下されたのが、翁とか、枯木とか、金木犀とか、松とか、七葉樹とかを提案してみたんだけど、はは、正気か?って引きつった笑顔で両方断られたんだよなぁ。嫌な理由は、そんな年齢ではない!って…

ん~もう、普段から生涯現役とかよく言ってるから、不死鳥とかでいいかな?不死鳥、えっと、フェニックスだから、フェニ爺っでどうかな?
あれ?良くない?彼ってさ、フェミニスト的な思想も持っているしダブルミーニングでいいんじゃね?これはピーンときたね!100点満点じゃね?

これはどうだと、自信満々に提案してみると、そもそも不死鳥っという概念がこの星に無いし、フェミニストって言葉も無いからピンときていない。

今回もダメっぽいかな。反応が良くない時点で察しちゃうよね。自信あったんだけどなぁ、良い閃きだぁ!って褒め称えたくなるのになぁ。
「ふむ、言葉の響きは何かこう…感じるものがあるが、姫ちゃんならもっと良い名に辿り着けそうな気がするのぅ…では、また良さそうな名前が浮かんだら提案してくれ心から楽しみにしておるぞ、ほれほれ、メイドのが呼んでおるぞ」
これ以上拘束するのは良くないと判断したのか、私で遊んで満足したのか…
どっちかわからないけれど、優しくぽんぽんっと肩を叩かれ、ようやく、掴まれた肩が彼の手から解放される。

んー、フェニ爺、アリだと思うんだけどなぁ。フェニックスがこの星に無くても、そういう概念があるで押し通せばよかったかなぁ?
わかんねー…文学に興味があるわけじゃないから、わかんねぇー…貴族が気に入る名前ってなにー?
はぁ、困ったことに自他ともに認めてるよ、ネーミングセンスってやつが終わっているって事実…そんなの重々承知だよもう、これが輝く日はこないっての。

こんな感じで、地味に難題難問で悩まされているんだよね。人に名前を授けるのって重大だし、相手が相手だから本当に大変なんだよなぁ…
こういうことに学があるお母さんに相談しても笑顔で逃げるからなぁ、かといって叔母様はお爺ちゃんの事、避けてる節があるから絶対に応じてくれない。

どうしたものかと、眉間に残ってしまった皺を伸ばしながらメイドちゃんの声がする場所に向かっていく。

メイドちゃんに呼ばれた理由なんて一つしかない、危険な実験の準備が整い、尚且つ、会場のセッティングも…うん、再確認しても完璧、問題なし。
ここからは危険を伴う兵装の実験だからね!気を引き締めて行かないとね!!

さぁ、お待たせしました細工は流々仕上げを御覧じろ!!ここからが本番!
やっと来てくれた貴重な意見を出してくれる人も傍に居る!っていうか、主にその人に見てもらいたい!どうせだったら、その人に褒めてもらいたいって欲もある!彼からの言葉は、どんな言葉でも、たくさんほしいからね!

気を引き締めていくよ!!っと、息巻くように研究員一同に檄を飛ばすと、はい!!っと、全員から気合と熱が籠った返事が返ってくる。
今までのが前哨戦って考えは良くないけれど、死の大地で命をがけで戦い抜いてきた私達からすれば、先の道具たち何てお遊戯会だもんね!

出来る事なら勇気くんに戦士長っていう忙しくなる立場には成ってほしくなかった、私と、ううん、ユキさんと一緒に研究してほしかった。
予想通り、普段の勇気くんは、戦士長として忙しく走り回っていて研究に対して顔を出す時間が殆ど無い。

戦士長になる前はね、余裕のある時は絶対に顔を出してくれてさ、あの場所だけ、ユキさんが唯一顔を出せる。会いたいな…唯一の友達。
今はね、忙しすぎて、中々時間が作れないから実験に付き合ってくれない。忙しいのはわかるけど、もうちょっと傍に居て欲しいよね?…
彼が傍に居る時だけが、私の中に渦巻く激しい炎のような、嵐のような感情が落ち着くから、っていうのもある…

他にも、彼と一緒に研究したい理由は勿論あるよ?研究者としても信頼を寄せることが出来るんだよね、勇気くんって。
勇気くんなら、私が気が付かない政治的な部分とか、構造的に致命的では無いけれども些細なミスとかも気が付いてしっかりとメスを入れてくれる。

幾度となく指摘してくれていて、なおかつ、的を得ているからこそ、研究者としても頼りにしてしまう。
彼の直観力の鋭さは本当に心の底から感心することが多い、細部にまで神経を通してくれる、その神経も多彩な角度から…
彼の言葉には、心の底から信頼を寄せることが出来る、ってのに、まったく、彼と初めて会った私はどうして直ぐに彼のことを信じなかったのか、我がことながら信じられないよね~?
って、過去の私を嘲笑って言いたくなるんだけれど、何も知らずに唐突な出来事が起きて更には、現場には新月の夜に一人ぽつんと…おまけに、あの魔眼と美貌でしょ?無理だって!罠としか思えれないって!!
ちょっといじったせいか、過去の私が頬を膨らませて睨んでくるので、逃げる様に思考を切り替える。

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