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Dead End ユUキ・サクラ 妖闘桜散 (132)
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命だけならたぶん、何とかなる、でも、彼女の未来は失ってしまう。
新しい腕を用意することはできる、培養だけならセットすれば腕の一本くらいなら半日もあれば培養してみせる、でも、初期での処置を誤れば培養したとしても神経が綺麗に繋がらない可能性もある、その辺りの実用データが少ないから、何とも言えない…
医療班団長ことお母さんがいない今、あの街では誰も浸透水式のメインを担当することが出来る人物がいない。
全ての負傷者を見たわけじゃないから断言できないが、自爆タイプの爆発を何も装備していないのであれば…浸透水式で無いと救えない命があるかもしれない。
見捨てる?そんなこと、出来るわけがない。戦場がどうしようもない程に追い込まれていたら、その選択肢を選んでいたかもしれないけれど、現状であれば…
死者を出させないためにもするべきこと、決まっているよね。
集まってくれた戦士達、まだまだ戦えれると表情で語ってくれるのは嬉しいけれど、今は
「一時撤退、かな」
「そうだな、右拠点にいる人達も一時撤退だな」
思考がすれ違い駆け抜ける様に離れることなく私の至った結論、彼も同じとしてくれる。
でも、戦士達は右拠点も撤退という言葉に対ししかめっ面をしている。
たぶん、彼らには今の街の状況が伝わりきっていないのだと思う。
説明する時間があれば全て説明をするんだけど、この戦場で呑気に会話をしている時間が惜しい、少しでも早く街に帰還して救える命を溢さない様にしたい。
カジカさんとマリンさんに左部隊の拠点も撤退し、中部隊も下がり、沼地よりもかなり手前に迎撃拠点を作ってもらう方針を説明すると驚いた顔をしている。
まさか左側も撤退しているとは思ってもいなかったのだろう。
状況を理解してくれたのなら、次の指示も受け止めてくれる。
今後の指示を説明していく…
右側に造っておいたセーフティエリア、拠点そのものは解体せずそのままで。
待機している人達全員は帰還して欲しい、街の中で手伝って欲しい事が多いから。
少しでも人手というよりも…魔力が欲しいっというのは黙っておこう。
なので、空っぽになった拠点に敵が攻めてきたとしても放置って言うか寧ろ罠を設置して少しでも敵にダメージを負わせたい。
なので、二人の部隊は右拠点に向かって撤退作業の護衛をして欲しい
多くの戦士が頷いているが、一人だけ意にそぐわないのか頷くことなく口が開かれる
「その任、吾輩達だけで充分である」
反論する前に、その一言を聞いたマリンさんが即座にカジカさんの兜を叩き
「馬鹿いうんじゃねぇ、ついさっきの戦いを忘れちまったっていいたいのかい?」
睨みつけていると、カジカさんもマリンさんを真っすぐに見つめている。
まったく、姉弟弟子なんだから仲良くしなっての!
私としても、危険性を考慮すればカジカさん部隊とマリンさん部隊、揃った状態で動いて欲しい、この広場であれば敵が接近すれば、わかっ…る、よ、ね?
ぇ?ちょっとまって、この開けた場所で医療班達は爆発に巻き込まれた?
唐突に湧き上がる違和感
…後ろを振り返ってみる…
敵は、いない…はずなのに、死の大地特有の誰かに見られている感覚が消えない?
私達は死の大地に慣れ過ぎて、この感覚が普通であるとそれが日常であると思い込んでいる…あんなにも獣の数を減らしているの、どうしてこの感覚が消えないの?
背筋に流れる冷たい汗と嫌な考えたくない考えが心を埋めていく
「わがは…俺を心配してくれるのは俺が弱いからですか?」
カジカさんの怒気が込められた声に埋まっていく嫌な考えから抜け出る。
取り合えず、今はそんなプライドとか、信頼とか、そういうので揉めてる時間が惜しい!
揉めないの!っと、止めようとするのを勇気くんが私の肩を叩いて止められてしまう。なんで?そんな暇ないじゃん?
「ちげぇ!姫さ、司令官がそうしろっていうんだからそうするべきだろ!」
反論してきたことにマリンさんもイラついてるじゃん、止めた方が良いって!
こんな状況で不和は良くないんじゃないの?
じろっと睨む様に勇気くんを見つめると、何も言わず目を閉じている、でも、腕から繋がる感じが!まったくもう!唐突な魂の同調やめてね?
『先の自爆タイプ襲撃によって大きな被害が出た、俺が見た限り、カジカさんと長い付き合いの戦士が…激しく負傷した、そして、マリンさんとこの若手も負傷した』
っむ、声に出しにくい情報か、それなら許す!
…そっか、お互いの仲間が怪我しちゃったか
…もしかして、その戦士って槌が得意だったりする?
『すまない遠目だったから誰かわからなかった、その通りでな、その事をお互い悔いている、故の衝突だ。こういった蟠りを抑えつけると後にしこりとして残る、話させてあげるんだ』
何時になく饒舌じゃん、そこまで言うのなら待ってあげる、けど、長くはダメ、5分以上はダメ、それ以降は歩きながら話してもらう
「…俺は、心配されるほど弱く、ない、戦士長も、先輩も…妻も、俺を心配する俺は子供じゃない」
それってさー、単純にカジカさんが皆から可愛がられてたからであってさ、皆、カジカさんに怪我をして貰いたくない、失って欲しくないからであって、弱いから守ろうとしているんじゃない、傍に居て欲しいからじゃん、ね?
『彼の事を古くから知ってる人であれば保護欲もあるかもしれないが、其方の立場は置いといてで、カジカさんの立場も考えて欲しい、男として、永遠に認めてもらいたい人に認めてもらえないのは辛いものだ』
そういうもの?『そういうものだ』勇気くんも?『っふ、俺はもう認めてもらったさ、君にな』にへへ。のろけんない!ったく、もー。
「俺は、弱くない、そう、弱くない、虚勢を張る為に口調を貴族にかえたわけじゃない、成すべきことを成す、力ある者が力無き者を守る、武家の一族へと俺は踏み込む、踏み込んだんだ」
勇気くんのつま先に踵を当てて照れ隠しをしていると不穏な発言が聞こえてくる
て、ちょっと!?それはまずいって、その言い方だと奥さんを利用したみたいになるよ?ああ、もうほら
金属が衝突する音が周囲に広がっていく…
振り上げた拳がカジカさんの脳天を叩き兜が凹んでる…
「彼女に…愛する妻の隣に並んでも誰も文句を言わない、言わせれない程に…武家の貴族として相応しい男に、俺は成る、成らなければならない…先輩におんぶに抱っこじゃダメなんですよ」
殴られても一切動じることなく男らしく言い切る、言葉の内容もちゃんとしてる、これは早合点したマリンさんが悪いね?
早まったかとちょっとバツの悪そうな顔してる、マリンさんも結構短気だよね?
『そうだな、彼も途中で殴られると分かっていたんじゃないか?付き合いが長いからこそ、わかることもある、それに、殴られると分かっていれば耐えられるさ、兜が凹むほどの衝撃だろうと言葉を紡ぐことが出来る、二人が歩んできた道が物語っているな』
んー、私は嫌だなー兜が凹むほどの衝撃くらったら首が捻挫しそう。
「先輩、ここは俺達で大丈夫です」
「ああ、そうかい、ならヘタレに任せるとするさぁね!」
言いくるめられたのか、言葉の途中で殴ったことに罪悪感を感じてしまったのか、明後日の方へ視線を逃がしている。
腕を組んでそっぽをむいちゃって、マリンさんも素直じゃないね
「それにである!先輩は鈍足である!先輩の歩く速さに合わせていたら遅くなるのである」
「んだてめぇ!?」
拳を高く上げるころにはカジカさんが私の後ろに隠れるように逃げ
「司令官もそう思うのである、先輩は指揮官と共にトラックで移動したほうが早いのである」
人を盾にして相手を挑発する…
んーむ、そういうお茶目がところが年上の人に人気なのかな?
それはさておき、彼の言い分はもっともな部分がある。
機動力だけで見れば、カジカさんのいうことが正しいんだけど、どう思います?戦士長?
『はっきり言ってリスクが高い、予期せぬ襲撃が多すぎる、今回の一件で考えを改めさせられた、自分達は何か勘違いをしているのではないかとね…』
後ろを振り返り今すぐにでも音で話し合いたい衝動に駆られてしまう。
それって、もしかしてさ
『敵が何処から現れているのか…予測が出来ない、俺達は森の中に潜んでいるのだと思っていた、だが…それが見当違いだとしたら?そう思い込ませられていたとしたら?』
心が通じ合い思考が重なる時、言いようのない安心感を感じてしまう。
うん、その違和感、私も感じてた。
だって、転送の陣から抜け出た場所、冷静になって思い返してみても違和感しか感じないだもん、だって、多くの敵を殲滅してさ見渡す限り障害物なんて無い、潜む場所も無く見晴らしの良い場所、ここら一体は安全圏だと思っていた。
隠れるとしたら起伏のある場所、その陰くらい。
『先の自爆タイプ共もそうだ、応援に駆けつけている最中、警戒を怠っていなかったのにやつらは忽然と何処からともなく現れた、この広く見晴らしの良い場所で視認できる距離まで易々と接近を許すほど俺達は愚かじゃない』
流れてくる感情、彼から、初めて感じる感情が流れてくる。
私もこの不気味さに焦りを感じてしまっている。
何か、あるってことだよね。仕掛けや種がわからな…
唐突な閃きによって解が提示され、思考の棘が抜け落ちていく
わかったかもしれない
『何だ?ぜひ聞かせて欲しい、この考えても答えに辿り着く気配を感じない、気持ち悪い感覚、好きではない』
答えを求め乞われる、普段気丈に振舞ってはいるけれど、こういった未知の危険に関しては貪欲に答えを欲するのは戦場で苦い思いをしたからなのかな?
魂の奥底で彼に気づかれない様に感じたことに対して蓋をし、気が付いたことを表面いっぱいに押し出し彼に伝える、思考が逸れない様に気をつけないと。
…私達が知らないだけで、地下に道があるのかもしれない
『なるほど、ワームか…』
地下に道がある、それだけで一つの仮説に辿り着く、その頭の回転速度が頼りになる。
つい、笑みを浮かべてしまいたくなってしまう。
新しい腕を用意することはできる、培養だけならセットすれば腕の一本くらいなら半日もあれば培養してみせる、でも、初期での処置を誤れば培養したとしても神経が綺麗に繋がらない可能性もある、その辺りの実用データが少ないから、何とも言えない…
医療班団長ことお母さんがいない今、あの街では誰も浸透水式のメインを担当することが出来る人物がいない。
全ての負傷者を見たわけじゃないから断言できないが、自爆タイプの爆発を何も装備していないのであれば…浸透水式で無いと救えない命があるかもしれない。
見捨てる?そんなこと、出来るわけがない。戦場がどうしようもない程に追い込まれていたら、その選択肢を選んでいたかもしれないけれど、現状であれば…
死者を出させないためにもするべきこと、決まっているよね。
集まってくれた戦士達、まだまだ戦えれると表情で語ってくれるのは嬉しいけれど、今は
「一時撤退、かな」
「そうだな、右拠点にいる人達も一時撤退だな」
思考がすれ違い駆け抜ける様に離れることなく私の至った結論、彼も同じとしてくれる。
でも、戦士達は右拠点も撤退という言葉に対ししかめっ面をしている。
たぶん、彼らには今の街の状況が伝わりきっていないのだと思う。
説明する時間があれば全て説明をするんだけど、この戦場で呑気に会話をしている時間が惜しい、少しでも早く街に帰還して救える命を溢さない様にしたい。
カジカさんとマリンさんに左部隊の拠点も撤退し、中部隊も下がり、沼地よりもかなり手前に迎撃拠点を作ってもらう方針を説明すると驚いた顔をしている。
まさか左側も撤退しているとは思ってもいなかったのだろう。
状況を理解してくれたのなら、次の指示も受け止めてくれる。
今後の指示を説明していく…
右側に造っておいたセーフティエリア、拠点そのものは解体せずそのままで。
待機している人達全員は帰還して欲しい、街の中で手伝って欲しい事が多いから。
少しでも人手というよりも…魔力が欲しいっというのは黙っておこう。
なので、空っぽになった拠点に敵が攻めてきたとしても放置って言うか寧ろ罠を設置して少しでも敵にダメージを負わせたい。
なので、二人の部隊は右拠点に向かって撤退作業の護衛をして欲しい
多くの戦士が頷いているが、一人だけ意にそぐわないのか頷くことなく口が開かれる
「その任、吾輩達だけで充分である」
反論する前に、その一言を聞いたマリンさんが即座にカジカさんの兜を叩き
「馬鹿いうんじゃねぇ、ついさっきの戦いを忘れちまったっていいたいのかい?」
睨みつけていると、カジカさんもマリンさんを真っすぐに見つめている。
まったく、姉弟弟子なんだから仲良くしなっての!
私としても、危険性を考慮すればカジカさん部隊とマリンさん部隊、揃った状態で動いて欲しい、この広場であれば敵が接近すれば、わかっ…る、よ、ね?
ぇ?ちょっとまって、この開けた場所で医療班達は爆発に巻き込まれた?
唐突に湧き上がる違和感
…後ろを振り返ってみる…
敵は、いない…はずなのに、死の大地特有の誰かに見られている感覚が消えない?
私達は死の大地に慣れ過ぎて、この感覚が普通であるとそれが日常であると思い込んでいる…あんなにも獣の数を減らしているの、どうしてこの感覚が消えないの?
背筋に流れる冷たい汗と嫌な考えたくない考えが心を埋めていく
「わがは…俺を心配してくれるのは俺が弱いからですか?」
カジカさんの怒気が込められた声に埋まっていく嫌な考えから抜け出る。
取り合えず、今はそんなプライドとか、信頼とか、そういうので揉めてる時間が惜しい!
揉めないの!っと、止めようとするのを勇気くんが私の肩を叩いて止められてしまう。なんで?そんな暇ないじゃん?
「ちげぇ!姫さ、司令官がそうしろっていうんだからそうするべきだろ!」
反論してきたことにマリンさんもイラついてるじゃん、止めた方が良いって!
こんな状況で不和は良くないんじゃないの?
じろっと睨む様に勇気くんを見つめると、何も言わず目を閉じている、でも、腕から繋がる感じが!まったくもう!唐突な魂の同調やめてね?
『先の自爆タイプ襲撃によって大きな被害が出た、俺が見た限り、カジカさんと長い付き合いの戦士が…激しく負傷した、そして、マリンさんとこの若手も負傷した』
っむ、声に出しにくい情報か、それなら許す!
…そっか、お互いの仲間が怪我しちゃったか
…もしかして、その戦士って槌が得意だったりする?
『すまない遠目だったから誰かわからなかった、その通りでな、その事をお互い悔いている、故の衝突だ。こういった蟠りを抑えつけると後にしこりとして残る、話させてあげるんだ』
何時になく饒舌じゃん、そこまで言うのなら待ってあげる、けど、長くはダメ、5分以上はダメ、それ以降は歩きながら話してもらう
「…俺は、心配されるほど弱く、ない、戦士長も、先輩も…妻も、俺を心配する俺は子供じゃない」
それってさー、単純にカジカさんが皆から可愛がられてたからであってさ、皆、カジカさんに怪我をして貰いたくない、失って欲しくないからであって、弱いから守ろうとしているんじゃない、傍に居て欲しいからじゃん、ね?
『彼の事を古くから知ってる人であれば保護欲もあるかもしれないが、其方の立場は置いといてで、カジカさんの立場も考えて欲しい、男として、永遠に認めてもらいたい人に認めてもらえないのは辛いものだ』
そういうもの?『そういうものだ』勇気くんも?『っふ、俺はもう認めてもらったさ、君にな』にへへ。のろけんない!ったく、もー。
「俺は、弱くない、そう、弱くない、虚勢を張る為に口調を貴族にかえたわけじゃない、成すべきことを成す、力ある者が力無き者を守る、武家の一族へと俺は踏み込む、踏み込んだんだ」
勇気くんのつま先に踵を当てて照れ隠しをしていると不穏な発言が聞こえてくる
て、ちょっと!?それはまずいって、その言い方だと奥さんを利用したみたいになるよ?ああ、もうほら
金属が衝突する音が周囲に広がっていく…
振り上げた拳がカジカさんの脳天を叩き兜が凹んでる…
「彼女に…愛する妻の隣に並んでも誰も文句を言わない、言わせれない程に…武家の貴族として相応しい男に、俺は成る、成らなければならない…先輩におんぶに抱っこじゃダメなんですよ」
殴られても一切動じることなく男らしく言い切る、言葉の内容もちゃんとしてる、これは早合点したマリンさんが悪いね?
早まったかとちょっとバツの悪そうな顔してる、マリンさんも結構短気だよね?
『そうだな、彼も途中で殴られると分かっていたんじゃないか?付き合いが長いからこそ、わかることもある、それに、殴られると分かっていれば耐えられるさ、兜が凹むほどの衝撃だろうと言葉を紡ぐことが出来る、二人が歩んできた道が物語っているな』
んー、私は嫌だなー兜が凹むほどの衝撃くらったら首が捻挫しそう。
「先輩、ここは俺達で大丈夫です」
「ああ、そうかい、ならヘタレに任せるとするさぁね!」
言いくるめられたのか、言葉の途中で殴ったことに罪悪感を感じてしまったのか、明後日の方へ視線を逃がしている。
腕を組んでそっぽをむいちゃって、マリンさんも素直じゃないね
「それにである!先輩は鈍足である!先輩の歩く速さに合わせていたら遅くなるのである」
「んだてめぇ!?」
拳を高く上げるころにはカジカさんが私の後ろに隠れるように逃げ
「司令官もそう思うのである、先輩は指揮官と共にトラックで移動したほうが早いのである」
人を盾にして相手を挑発する…
んーむ、そういうお茶目がところが年上の人に人気なのかな?
それはさておき、彼の言い分はもっともな部分がある。
機動力だけで見れば、カジカさんのいうことが正しいんだけど、どう思います?戦士長?
『はっきり言ってリスクが高い、予期せぬ襲撃が多すぎる、今回の一件で考えを改めさせられた、自分達は何か勘違いをしているのではないかとね…』
後ろを振り返り今すぐにでも音で話し合いたい衝動に駆られてしまう。
それって、もしかしてさ
『敵が何処から現れているのか…予測が出来ない、俺達は森の中に潜んでいるのだと思っていた、だが…それが見当違いだとしたら?そう思い込ませられていたとしたら?』
心が通じ合い思考が重なる時、言いようのない安心感を感じてしまう。
うん、その違和感、私も感じてた。
だって、転送の陣から抜け出た場所、冷静になって思い返してみても違和感しか感じないだもん、だって、多くの敵を殲滅してさ見渡す限り障害物なんて無い、潜む場所も無く見晴らしの良い場所、ここら一体は安全圏だと思っていた。
隠れるとしたら起伏のある場所、その陰くらい。
『先の自爆タイプ共もそうだ、応援に駆けつけている最中、警戒を怠っていなかったのにやつらは忽然と何処からともなく現れた、この広く見晴らしの良い場所で視認できる距離まで易々と接近を許すほど俺達は愚かじゃない』
流れてくる感情、彼から、初めて感じる感情が流れてくる。
私もこの不気味さに焦りを感じてしまっている。
何か、あるってことだよね。仕掛けや種がわからな…
唐突な閃きによって解が提示され、思考の棘が抜け落ちていく
わかったかもしれない
『何だ?ぜひ聞かせて欲しい、この考えても答えに辿り着く気配を感じない、気持ち悪い感覚、好きではない』
答えを求め乞われる、普段気丈に振舞ってはいるけれど、こういった未知の危険に関しては貪欲に答えを欲するのは戦場で苦い思いをしたからなのかな?
魂の奥底で彼に気づかれない様に感じたことに対して蓋をし、気が付いたことを表面いっぱいに押し出し彼に伝える、思考が逸れない様に気をつけないと。
…私達が知らないだけで、地下に道があるのかもしれない
『なるほど、ワームか…』
地下に道がある、それだけで一つの仮説に辿り着く、その頭の回転速度が頼りになる。
つい、笑みを浮かべてしまいたくなってしまう。
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