140 / 205
カンペ―キ洞窟の秘密
しおりを挟む
謎の迷い人。
そう言えば見たことがあるような。
どこかで…… どこだったんだ?
「まさかあの時の酔っ払い? 」
確かカンペ―キと散歩した際に偶然通りかかったイカレた酔っ払い。
魔王様の変装だとも気づかずに失礼な態度を取り続けた愚か者。
挙句には怖い顔を何とかしろと絡んで来た。
カンペ―キもいたから堪えたがあの時の恨み決して忘れはしない。
ここで出会ったのも何かの縁…… 話を聞くことに。
「俺はシラフだ」
酔っ払いのくせに自分はシラフだと言い張る。ただの嘘つきじゃないか。
酒癖と往生際の悪い男。恨みを晴らしてやる。
おっと…… これは魔王様の記憶。勇者・ノアとしては被害を受けていない。
「それであなたは何でここに? 」
「ああ。俺はこの辺の洞窟を調査してる洞窟探検家だ。よろしくな」
どうやらただの酔っ払いではないらしい。
はっきり言ってどっちでもいいが貴重な情報が手に入るなら文句はない。
自己紹介を終え本題に入る。
「何でこんなところに? 」
この際この男の事情などどうでもいいが一応聞いてみる。
「実は彷徨ってしまって…… ここには誰も来ないだろ? だからそのままさ」
大した地図もなく超難度のカンペ―キ洞窟を探索しようなんて命知らずな探検家だ。
私も似たようなものだけど地図を持ってるからな。
「ちょうどいい。このカンペ―キ洞窟の秘密を教えてあげよう」
ようやく会えた人間に興奮しいろいろしてくれるのはありがたいが余計なこと。
どう断ろうか迷っていると勝手に長話を始めてしまう。
「元々この洞窟は異国に繋がっているらしいのだ。
異国がどこを指すのかは今のところ不明。
ただのよその国と言う訳ではないらしい。もっとこう超時空的な話。
詳しくは研究してみないと分からない。ただ一つ言えるのは常識は通用しないと。
とにかくこの洞窟をクリアすれば新たな世界が開けるのは間違いない。
それには情熱を傾け続けるしかない。どうだ二人で一緒に? 」
一緒にだと? 冗談じゃない!
間もなく崩壊しようかと言う時にのんびり洞窟の研究などしてられるかよ。
「ぜひとも。この世界が消滅の危機から回避できたら喜んで」
このおかしな爺さんにぐらいすべてを告白しても問題ないだろう。
偏屈で洞窟に生涯を捧げるような変人にならいくら言ってもパニックにならないさ。
「それでだ…… 昔ここにカンデとウミンチュの…… 」
またしても余計な話。どうでもいい話を延々と勘弁してくれよ。
こっちは時間がないんだ。
「そんなことよりどうして危ないと? 」
「ああそれか。実は仕掛けがあるんだよ」
第二ゾーン入り口の鉄の扉に触れると電流が流れる仕組み。
何も知らない奴が勝手に入らないようにそうなってるのだとか。
では実際に鉄の扉に触れてみる。
ビリビリ
ビリビリ
一瞬意識を失った気がした。
すぐに手を放し事なきを得る。
「どうすればよろしいのですか仙人様? 」
煽てて気持ちよくしてから話を聞く。
「フォフォフォ…… それは簡単なことよ。これをよく見るがいい」
そう言ってゴム手袋を手渡される。
これは一体?
「そのゴム手袋を嵌めればいいのだ。この手袋は電流を通さない」
洞窟探検隊を名乗る風変わりな男の言う通りにして急いで鍵を回す。
「ここを教えてくれた気のいいモンスターは私を嵌めようとした? 」
酔っ払いに聞いたところで分かるはずないのだがどうしても意見が欲しい。
「知らんな! 単にモンスターには効果がないから気にも留めなかったのでは」
そうこの仕組みは対人間用にできてる。
「ありがとう酔っ払い博士! 」
礼を述べて第二ゾーンへ通じる扉を開閉する。
さあ期待を胸に第二ゾーンへ。
「あの…… 一緒に行きませんか? 」
ここまでしてくれた者を放っておく訳には行かない。
「いやいい。俺は確かに洞窟探検家だがこれ以上進むのは違うと思ってる。
できればこの辺りの地図があると助かるんだけどな。ついでに酒も」
迷い人はもう不要となった地図をもらい受けて大喜び。
これで恩を返せただろうか?
第二ゾーン。
さあここからが本番。
しかし女神様も粋な演出してくれるぜ。
いくら出会えなかった二人だからって最後の最後まで会わせないんだから。
てっきり国王との再会を終えたらすぐにでもと思ったのに。
でもきっとすぐに会ったら後悔したんだろうな。
だってタイムリミットの深夜零時まで何時間あると思ってるんだ?
その間中葛藤し続けることになる。それは決して耐えられはしない。
だから私にとってはこれで正しかったんだろうな。
うん…… 待てよ? そうだった。姫を手にかけるだけではダメなんだ。
辛い現実から目を背けていた。
しかしよく考えれば姫だけでなく当然魔王様も倒さなければならない。
そのための剣はきちんと背中に。
秘剣である魔剣を魔王様に突き立てれば奴はあっけなく消滅するだろう。
この剣は国王の言うところの伝説の剣って奴だ。
魔剣を使い魔王城に乗り込んだ伝説の勇者が魔王城と共に魔王を消滅させた。
しかし魔剣は何者かの手によって復活。魔王城も新しく立った。
それを知った現国王の当時まだ王子。
父の国王と共に魔王城を攻め入り封印した魔剣を手に入れた。
魔王様が手が出せずに今に至る理由だ。
続く
そう言えば見たことがあるような。
どこかで…… どこだったんだ?
「まさかあの時の酔っ払い? 」
確かカンペ―キと散歩した際に偶然通りかかったイカレた酔っ払い。
魔王様の変装だとも気づかずに失礼な態度を取り続けた愚か者。
挙句には怖い顔を何とかしろと絡んで来た。
カンペ―キもいたから堪えたがあの時の恨み決して忘れはしない。
ここで出会ったのも何かの縁…… 話を聞くことに。
「俺はシラフだ」
酔っ払いのくせに自分はシラフだと言い張る。ただの嘘つきじゃないか。
酒癖と往生際の悪い男。恨みを晴らしてやる。
おっと…… これは魔王様の記憶。勇者・ノアとしては被害を受けていない。
「それであなたは何でここに? 」
「ああ。俺はこの辺の洞窟を調査してる洞窟探検家だ。よろしくな」
どうやらただの酔っ払いではないらしい。
はっきり言ってどっちでもいいが貴重な情報が手に入るなら文句はない。
自己紹介を終え本題に入る。
「何でこんなところに? 」
この際この男の事情などどうでもいいが一応聞いてみる。
「実は彷徨ってしまって…… ここには誰も来ないだろ? だからそのままさ」
大した地図もなく超難度のカンペ―キ洞窟を探索しようなんて命知らずな探検家だ。
私も似たようなものだけど地図を持ってるからな。
「ちょうどいい。このカンペ―キ洞窟の秘密を教えてあげよう」
ようやく会えた人間に興奮しいろいろしてくれるのはありがたいが余計なこと。
どう断ろうか迷っていると勝手に長話を始めてしまう。
「元々この洞窟は異国に繋がっているらしいのだ。
異国がどこを指すのかは今のところ不明。
ただのよその国と言う訳ではないらしい。もっとこう超時空的な話。
詳しくは研究してみないと分からない。ただ一つ言えるのは常識は通用しないと。
とにかくこの洞窟をクリアすれば新たな世界が開けるのは間違いない。
それには情熱を傾け続けるしかない。どうだ二人で一緒に? 」
一緒にだと? 冗談じゃない!
間もなく崩壊しようかと言う時にのんびり洞窟の研究などしてられるかよ。
「ぜひとも。この世界が消滅の危機から回避できたら喜んで」
このおかしな爺さんにぐらいすべてを告白しても問題ないだろう。
偏屈で洞窟に生涯を捧げるような変人にならいくら言ってもパニックにならないさ。
「それでだ…… 昔ここにカンデとウミンチュの…… 」
またしても余計な話。どうでもいい話を延々と勘弁してくれよ。
こっちは時間がないんだ。
「そんなことよりどうして危ないと? 」
「ああそれか。実は仕掛けがあるんだよ」
第二ゾーン入り口の鉄の扉に触れると電流が流れる仕組み。
何も知らない奴が勝手に入らないようにそうなってるのだとか。
では実際に鉄の扉に触れてみる。
ビリビリ
ビリビリ
一瞬意識を失った気がした。
すぐに手を放し事なきを得る。
「どうすればよろしいのですか仙人様? 」
煽てて気持ちよくしてから話を聞く。
「フォフォフォ…… それは簡単なことよ。これをよく見るがいい」
そう言ってゴム手袋を手渡される。
これは一体?
「そのゴム手袋を嵌めればいいのだ。この手袋は電流を通さない」
洞窟探検隊を名乗る風変わりな男の言う通りにして急いで鍵を回す。
「ここを教えてくれた気のいいモンスターは私を嵌めようとした? 」
酔っ払いに聞いたところで分かるはずないのだがどうしても意見が欲しい。
「知らんな! 単にモンスターには効果がないから気にも留めなかったのでは」
そうこの仕組みは対人間用にできてる。
「ありがとう酔っ払い博士! 」
礼を述べて第二ゾーンへ通じる扉を開閉する。
さあ期待を胸に第二ゾーンへ。
「あの…… 一緒に行きませんか? 」
ここまでしてくれた者を放っておく訳には行かない。
「いやいい。俺は確かに洞窟探検家だがこれ以上進むのは違うと思ってる。
できればこの辺りの地図があると助かるんだけどな。ついでに酒も」
迷い人はもう不要となった地図をもらい受けて大喜び。
これで恩を返せただろうか?
第二ゾーン。
さあここからが本番。
しかし女神様も粋な演出してくれるぜ。
いくら出会えなかった二人だからって最後の最後まで会わせないんだから。
てっきり国王との再会を終えたらすぐにでもと思ったのに。
でもきっとすぐに会ったら後悔したんだろうな。
だってタイムリミットの深夜零時まで何時間あると思ってるんだ?
その間中葛藤し続けることになる。それは決して耐えられはしない。
だから私にとってはこれで正しかったんだろうな。
うん…… 待てよ? そうだった。姫を手にかけるだけではダメなんだ。
辛い現実から目を背けていた。
しかしよく考えれば姫だけでなく当然魔王様も倒さなければならない。
そのための剣はきちんと背中に。
秘剣である魔剣を魔王様に突き立てれば奴はあっけなく消滅するだろう。
この剣は国王の言うところの伝説の剣って奴だ。
魔剣を使い魔王城に乗り込んだ伝説の勇者が魔王城と共に魔王を消滅させた。
しかし魔剣は何者かの手によって復活。魔王城も新しく立った。
それを知った現国王の当時まだ王子。
父の国王と共に魔王城を攻め入り封印した魔剣を手に入れた。
魔王様が手が出せずに今に至る理由だ。
続く
0
あなたにおすすめの小説
悲報 スライムに転生するつもりがゴブリンに転生しました
ぽこぺん
ファンタジー
転生の間で人間以外の種族も選べることに気付いた主人公
某人気小説のようにスライムに転生して無双しようとするも手違いでゴブリンに転生
さらにスキルボーナスで身に着けた聖魔法は魔物の体には相性が悪くダメージが入ることが判明
これは不遇な生い立ちにめげず強く前向き生きる一匹のゴブリンの物語
(基本的に戦闘はありません、誰かが不幸になることもありません)
セーブポイント転生 ~寿命が無い石なので千年修行したらレベル上限突破してしまった~
空色蜻蛉
ファンタジー
枢は目覚めるとクリスタルの中で魂だけの状態になっていた。どうやらダンジョンのセーブポイントに転生してしまったらしい。身動きできない状態に悲嘆に暮れた枢だが、やがて開き直ってレベルアップ作業に明け暮れることにした。百年経ち、二百年経ち……やがて国の礎である「聖なるクリスタル」として崇められるまでになる。
もう元の世界に戻れないと腹をくくって自分の国を見守る枢だが、千年経った時、衝撃のどんでん返しが待ち受けていて……。
【お知らせ】6/22 完結しました!
40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私
とうとうキレてしまいました
なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが
飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした……
スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます
僕のギフトは規格外!?〜大好きなもふもふたちと異世界で品質開拓を始めます〜
犬社護
ファンタジー
5歳の誕生日、アキトは不思議な夢を見た。舞台は日本、自分は小学生6年生の子供、様々なシーンが走馬灯のように進んでいき、突然の交通事故で終幕となり、そこでの経験と知識の一部を引き継いだまま目を覚ます。それが前世の記憶で、自分が異世界へと転生していることに気付かないまま日常生活を送るある日、父親の職場見学のため、街中にある遺跡へと出かけ、そこで出会った貴族の幼女と話し合っている時に誘拐されてしまい、大ピンチ! 目隠しされ不安の中でどうしようかと思案していると、小さなもふもふ精霊-白虎が救いの手を差し伸べて、アキトの秘めたる力が解放される。
この小さき白虎との出会いにより、アキトの運命が思わぬ方向へと動き出す。
これは、アキトと訳ありモフモフたちの起こす品質開拓物語。
気づいたら美少女ゲーの悪役令息に転生していたのでサブヒロインを救うのに人生を賭けることにした
高坂ナツキ
ファンタジー
衝撃を受けた途端、俺は美少女ゲームの中ボス悪役令息に転生していた!?
これは、自分が制作にかかわっていた美少女ゲームの中ボス悪役令息に転生した主人公が、報われないサブヒロインを救うために人生を賭ける話。
日常あり、恋愛あり、ダンジョンあり、戦闘あり、料理ありの何でもありの話となっています。
あの日、幼稚園児を助けたけど、歳の差があり過ぎてその子が俺の運命の人になるなんて気付くはずがない。
NOV
恋愛
俺の名前は鎌田亮二、18歳の普通の高校3年生だ。
中学1年の夏休みに俺は小さい頃から片思いをしている幼馴染や友人達と遊園地に遊びに来ていた。
しかし俺の目の前で大きなぬいぐるみを持った女の子が泣いていたので俺は迷子だと思いその子に声をかける。そして流れで俺は女の子の手を引きながら案内所まで連れて行く事になった。
助けた女の子の名前は『カナちゃん』といって、とても可愛らしい女の子だ。
無事に両親にカナちゃんを引き合わす事ができた俺は安心して友人達の所へ戻ろうとしたが、別れ間際にカナちゃんが俺の太ももに抱き着いてきた。そしてカナちゃんは大切なぬいぐるみを俺にくれたんだ。
だから俺もお返しに小学生の頃からリュックにつけている小さなペンギンのぬいぐるみを外してカナちゃんに手渡した。
この時、お互いの名前を忘れないようにぬいぐるみの呼び名を『カナちゃん』『りょうくん』と呼ぶ約束をして別れるのだった。
この時の俺はカナちゃんとはたまたま出会い、そしてたまたま助けただけで、もう二度とカナちゃんと会う事は無いだろうと思っていたんだ。だから当然、カナちゃんの事を運命の人だなんて思うはずもない。それにカナちゃんの初恋の相手が俺でずっと想ってくれていたなんて考えたことも無かった……
7歳差の恋、共に大人へと成長していく二人に奇跡は起こるのか?
NOVがおおくりする『タイムリープ&純愛作品第三弾(三部作完結編)』今ここに感動のラブストーリーが始まる。
※この作品だけを読まれても普通に面白いです。
関連小説【初恋の先生と結婚する為に幼稚園児からやり直すことになった俺】
【幼馴染の彼に好きって伝える為、幼稚園児からやり直す私】
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
魔道具頼みの異世界でモブ転生したのだがチート魔法がハンパない!~できればスローライフを楽しみたいんだけど周りがほっといてくれません!~
トモモト ヨシユキ
ファンタジー
10才の誕生日に女神に与えられた本。
それは、最強の魔道具だった。
魔道具頼みの異世界で『魔法』を武器に成り上がっていく!
すべては、憧れのスローライフのために!
エブリスタにも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる