紅心中 男女五人による愛と冒険と過去とミライ(学園編)

二廻歩

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謎多きサマー部

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サマー部の部室では夏合宿についての話し合いが行われているところ。
大会も近いので部長も気合充分。
それに対して部員はどうもやる気が感じられない。

現在サマー部は俺を含めて七名と部としても存続が危ぶまれる危機的状況。
顧問もほとんど来ないほったらかしのクラブだ。
もしこのことが生徒会にでも知れ渡ったらそれこそ存続に関わる。
一年生は二名確保したもののそいつらも掛け持ちだとか。
週に一度のミーティングにさえも顔を出しやしない。
先輩として注意してやりたいが辞められては困ると部長に止められる始末。
何だかすごく情けなく思えてくる。これでいいのか疑問。
夏を過ぎたらやめてしまうのではと心配で仕方ないらしい。
それはそれで仕方ない気もするが部長はそうは思わないのだろう。

三年生は部長を含めて二名。現在怪我で入院中と言う体たらく。
恐らく合宿には間に合わせるだろうと。
そのせいもあり副部長を任されることになった。

「ねえ希ちゃんはどうしてる? 」
希ちゃんはこの部の唯一の女の子。
性格は大人しく口数も少ない。そもそも声も小さく騒がしい部室では聞こえない。
もし彼女と二人っきりになったら何を話せばいいやら。少々不安に。
もちろんそんな時はほぼなく常に陸の奴が隣にいるから迷惑ではあるが安心だ。

奴など希ちゃんに惚れてるのでアプローチをかけるんだけどいつもごめんと一言。
別に決して嫌われてるとかではなくただ話が苦手で暗い。
でも慣れてしまえばかわいい女の子。
「彼女なら用があるから遅れてくるそうだ。ほら合宿について提案がある者は? 」
部長はいい加減早く決めろと激を飛ばす。これ以上引き延ばせないと即決を求める。
「もう部長の思う通りでいいのではありませんか? 」
一年生がやる気なくあくびを繰り返す。
俺も実際のところ眠たいよ。早く終わってくれないかなと思ってる。

「希ちゃんは俺のもんだ! 」
勝手に何か言いだしたと思ったら部室を出て行ってしまう陸。
行動が読めないから注意しないと。部長も扱いに困っている様子。
「うわ…… 汚ねえ逃げやがった! 」
こうして陸の逃走によって話は明日に持ち越しとなった。

まったくいい加減にしろよな。こっちが迷惑するじゃないか。
部長だって黙ってしまった。自分勝手な行動で俺たちが犠牲になる。
そんな理不尽なことがあるだろうか?
「よしもう今日はこれまでだ。明日で必ず決めるからな」
これがここ最近の部長の締め。
まずい。このままでは夏休み中まで掛かってしまう。
ただでさえ大会が近いのに。合宿の予定ぐらい決められないのかよ?

サマー部は創設三年目の部活。
大会とはサマー部に相応しいサマーフェスに参加すること。
そこで泳ぎやボートに船を使っての華麗なパフォーマンスを繰り広げる。
そしてお待ちかねの島一周のトライアスロン大会。
毎年これだけは参加することが大原則。
それ以外は部長を中心にその年に考えるのだがとにかく人が集まらない。
そのせいもあって参加が実現しない大会が多い。
俺たちは俺たちでやる気がないので部長が張り切るしかない。

夜。
「ただいま。帰って来たよ」
「そうかいそうかい。ほらこれお菓子だよ…… 」
我が家は三人暮らしだ。
小学校の時に祖父が亡くなり母と祖母の三人暮らし。
おっとパンがいるから四人暮らしか。
パンは中学の時に拾った猫で雑種だ。
お腹がすくとガシガシと襖と壁を引っ搔くから急いで食べさせないといけない。
何度壁紙を直したか分からない。最近はマスキングテープで隠すことにしている。
安くておしゃれでかわいらしいデザインだからついたくさん種類を集めてしまう。
ちょっとしたコレクターといったところか。

「母さんは? 」
せんべいとチョコとスナック菓子を食べな食べなと催促するので遠慮なく。
嬉しいんだけどたまにしけている時があるから気を付けなくてはいけない。
「今日も遅くなるってさ。確か十時過ぎるんじゃないかな。
そんな風なこと言ってたよ」
「だったらあのことはまだ話せないか」

ここのところ夜が遅い日が続いている。
何でも欠員が出て一時的にその穴を埋めなくてはいけないんだとか。
残業はありがたいと母さんは言うけど無理をしなければいいんだけどな。
シングルマザーでさほどの財産家でもないので三年前から働きに出ている。
以前は専業主婦だったのに今は遅くまで働くしかないらしい。

「来週は元に戻るって言うからその時に相談するんだね」
祖母にはもうすでに相談済み。でもいい顔はしなかった。
やっぱり反対なんだろうな。でもさあ俺だって会いたいんだ。
もちろんそれだけではない。他の目的がある。いやそれが主と言っていい。
理由がこれだけ不純だとどうも言い出し辛い。
それを隠して相談するのはどうなのかな? でもどうせ分かってくれないしな。

祖母は俺の母方の祖母でいつでも相談に乗ってくれる心強い味方。
「ねえばあちゃんもやっぱり反対なんでしょう? 」
思い切って聞いてみることに。どう思ってるのかも気になるから。
「そうだね…… お茶を入れておくから風呂に入りな。さっぱりするといいよ」
「ばあちゃん…… 」
いつもこのパターン。お茶を入れるとすぐに床に。
今日は眠いからもう眠ると逃げる。何度目か。

俺はもう子供じゃない。だからばあちゃんがその話したくないのは理解してるんだ。
だってここでは父さんの話は禁句だもんな。すれば急に不機嫌になる。
それでも俺が耐えてしまえば鬼の形相であの男はどうしようもない奴だと始まる。
実の息子の前でそれはないよな。

こうしてまた今日もはぐらかされる。
しかしそれでも聞かずにはいられない。
父さん。今どこにいるの?

                   続く
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