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疑惑の希ちゃん
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ビーチバレーを終えついに本番。肝試しスタート。
お墓までの真っ暗な道を懐中電灯の僅かな光を頼りに二人で歩く。
ミッションは制限時間内に貝殻を置いて宿の刺繍入りのタオルを持ち帰ること。
これはチェックアウトの時に貰えるお土産。だからそのまま持ち帰っていい。
こうしてペアも決まり肝試し開始かと思われたが順番で揉めてしまう。
「おい副部長。ここはまず俺たちが行って手本を見せるのが筋だろう? 」
そう来たか? でも首を振る。希ちゃんの前では引き下がれない。
「何をそんなに焦ってるんですか部長? 」
一歩も引かない。その姿勢に恐らく希ちゃんもクラっとくるだろう。
「なあ希はどう思う? 」
部長が希ちゃんに迫る。せこい真似を。そこまでして一番がいいのか?
「私はやっぱり最初だと怖い。ごめんね海君」
まずい完璧だと思ったのに相手につけ入る隙を与えてしまった。
「よしだったら希のことも考えて俺たちが行くことにするわ」
こうして部長たちが初めに行く展開に。
仕方なく見守る。
貝を片手に希ちゃんと準備万端。
部長ペアを見送る。
肝試しなので前と時間を置く必要がある。
五分も置けばいいかな? それとも十分?
だが十分経ってもまだ待ての合図。
「おいまだかよ! 」
ついイライラが出てしまう。
俺ってそう言うタイプだったっけ? でもこれも焦りからくるもの。
部長は一番手で行って俺たちを驚かす気でいるんだろうと。
あれだけ強引に一番に行こうとしたのには意図がある。
それをどうにか阻止しようとしてるのであって俺は決して怒ってるのではない。
「ところでライトを照らさないといけませんか? 」
民宿の親父に聞いてみる。別に反則でもないなら構わないはずだ。
「いやしかしなあ…… 道もデコボコしてるし転びやすい上に滑りやすい。
夜だから余計さ。無理にとは言わないが安全を考えてつけるのを勧めるよ」
いかにもな勧め方だ。恐らくごねても出発させてくれないだけ。
だが俺は知ってる。これは部長たちがターゲットを見つけやすくするための印。
急がないと行ってしまう恐れがあるからな。
「ほらごねてないで二番手の二人行った! 」
ついに俺たちの出番だ。
早くしてと急かしたからたぶん数分は早くスタートできたと思う。
これで準備に間に合わずに隠れて終わりだろう。
まったく部員を脅かそうと隠れるんだから。子供か?
「よし行こうか」
「うん」
そう言うとギュッと腕を掴まれる。
まだ怖いところじゃないと思うんだけどな。
ああ嬉しいな。怖くなくてもこれだけ抱き着いてくれるんだもん。
いくらほぼ恋人でもこのシチュエーションは堪らない。
できるなら浴衣とか甚平でもっと和装で行けたらな。
雰囲気ぶち壊しだよな。ウインドブレーカーと短パンじゃ。
希ちゃんは白のタンクトップに一枚上にシャツを羽織る。
意外にも大胆だ。これが夜の希ちゃんスタイルか。
アイミの方が似合いそうだが逆にアイミはブルーのジャージ上下。
肌を出さない露出控えめなスタイル。
うーん。どちらも真っ暗だとよく見えないのでどうでもいいが答え。
「寒くない希ちゃん? 」
一言もしゃべらずにただ首を振る希ちゃん。
ライトがあっても暗くて近づかないと相手の表情が読み取れない。
これは相当怖がってるな。本当に大丈夫かな?
若干の不安がある。もしこのまま何もなければ肝試しは終わりだ。
だが怖がってしまい恐怖でとんでもない行動に出たらどうする?
俺は果たして彼女を助けられるだろうか? 導けるだろうか?
ガサガサ
ガサガサ
真っ暗な道を順路に沿って進む。この標識はいつ作ったんだ?
どうも手作り感満載だな。
風が吹いてきた。強風でもないのに墓の周りのものが音を立て始める。
これは幽霊出没の兆候。嫌な予感しかしない。
そこに白装束を纏った血の気のないぎょろっとした目で睨みつける幽霊登場。
あきらかにただの悪ふざけだが風と墓の雰囲気によって恐怖は何倍にも倍増。
一枚二枚三枚と数え始める。
どうやら幽霊の下は井戸になってると言う凝った仕掛け。
墓の近くに古井戸があっても何ら不思議はないがでも凝り過ぎかな。
これでは恐怖よりも凄さが勝ってしまう。
「きゃあ怖い! 」
純粋な希ちゃんは恐怖のあまり腕を抱え込む。
「大丈夫。ははは…… 怖くないよ」
でも痛いんですけど……
宥めるもどんどんエスカレートしていく。
少々痛いもののこれは男には堪らないシチュエーション。
部長ありがとうとは口が裂けても言えない。
これが怖いのか? それとも思いっきり怖がる振りをしてるのか?
どっちなんだ? 俺に悪いと思って?
きっとそんなことないよな。でもあり得ないことじゃない。
もしそうなら俺は希ちゃんの方が怖いし恐怖の対象は希ちゃんとなる。
「さあ急ごう! 近づかなければ無害だから」
もちろん近づいても大丈夫だけどね。夢を壊すようで気が引ける。
「きゃああ! いやああ! 」
それでも本気で怖がる希ちゃんだった。
ははは…… どれだけ臆病なんだよ?
これ以上は危険と判断して引き寄せることにした。
大胆だと思うだろうがこれは彼女が勝手にどこかに行かないようにしてるだけ。
こうして皿屋敷を通り抜け急いで例の一番目立つ立派な墓の前に。
続く
お墓までの真っ暗な道を懐中電灯の僅かな光を頼りに二人で歩く。
ミッションは制限時間内に貝殻を置いて宿の刺繍入りのタオルを持ち帰ること。
これはチェックアウトの時に貰えるお土産。だからそのまま持ち帰っていい。
こうしてペアも決まり肝試し開始かと思われたが順番で揉めてしまう。
「おい副部長。ここはまず俺たちが行って手本を見せるのが筋だろう? 」
そう来たか? でも首を振る。希ちゃんの前では引き下がれない。
「何をそんなに焦ってるんですか部長? 」
一歩も引かない。その姿勢に恐らく希ちゃんもクラっとくるだろう。
「なあ希はどう思う? 」
部長が希ちゃんに迫る。せこい真似を。そこまでして一番がいいのか?
「私はやっぱり最初だと怖い。ごめんね海君」
まずい完璧だと思ったのに相手につけ入る隙を与えてしまった。
「よしだったら希のことも考えて俺たちが行くことにするわ」
こうして部長たちが初めに行く展開に。
仕方なく見守る。
貝を片手に希ちゃんと準備万端。
部長ペアを見送る。
肝試しなので前と時間を置く必要がある。
五分も置けばいいかな? それとも十分?
だが十分経ってもまだ待ての合図。
「おいまだかよ! 」
ついイライラが出てしまう。
俺ってそう言うタイプだったっけ? でもこれも焦りからくるもの。
部長は一番手で行って俺たちを驚かす気でいるんだろうと。
あれだけ強引に一番に行こうとしたのには意図がある。
それをどうにか阻止しようとしてるのであって俺は決して怒ってるのではない。
「ところでライトを照らさないといけませんか? 」
民宿の親父に聞いてみる。別に反則でもないなら構わないはずだ。
「いやしかしなあ…… 道もデコボコしてるし転びやすい上に滑りやすい。
夜だから余計さ。無理にとは言わないが安全を考えてつけるのを勧めるよ」
いかにもな勧め方だ。恐らくごねても出発させてくれないだけ。
だが俺は知ってる。これは部長たちがターゲットを見つけやすくするための印。
急がないと行ってしまう恐れがあるからな。
「ほらごねてないで二番手の二人行った! 」
ついに俺たちの出番だ。
早くしてと急かしたからたぶん数分は早くスタートできたと思う。
これで準備に間に合わずに隠れて終わりだろう。
まったく部員を脅かそうと隠れるんだから。子供か?
「よし行こうか」
「うん」
そう言うとギュッと腕を掴まれる。
まだ怖いところじゃないと思うんだけどな。
ああ嬉しいな。怖くなくてもこれだけ抱き着いてくれるんだもん。
いくらほぼ恋人でもこのシチュエーションは堪らない。
できるなら浴衣とか甚平でもっと和装で行けたらな。
雰囲気ぶち壊しだよな。ウインドブレーカーと短パンじゃ。
希ちゃんは白のタンクトップに一枚上にシャツを羽織る。
意外にも大胆だ。これが夜の希ちゃんスタイルか。
アイミの方が似合いそうだが逆にアイミはブルーのジャージ上下。
肌を出さない露出控えめなスタイル。
うーん。どちらも真っ暗だとよく見えないのでどうでもいいが答え。
「寒くない希ちゃん? 」
一言もしゃべらずにただ首を振る希ちゃん。
ライトがあっても暗くて近づかないと相手の表情が読み取れない。
これは相当怖がってるな。本当に大丈夫かな?
若干の不安がある。もしこのまま何もなければ肝試しは終わりだ。
だが怖がってしまい恐怖でとんでもない行動に出たらどうする?
俺は果たして彼女を助けられるだろうか? 導けるだろうか?
ガサガサ
ガサガサ
真っ暗な道を順路に沿って進む。この標識はいつ作ったんだ?
どうも手作り感満載だな。
風が吹いてきた。強風でもないのに墓の周りのものが音を立て始める。
これは幽霊出没の兆候。嫌な予感しかしない。
そこに白装束を纏った血の気のないぎょろっとした目で睨みつける幽霊登場。
あきらかにただの悪ふざけだが風と墓の雰囲気によって恐怖は何倍にも倍増。
一枚二枚三枚と数え始める。
どうやら幽霊の下は井戸になってると言う凝った仕掛け。
墓の近くに古井戸があっても何ら不思議はないがでも凝り過ぎかな。
これでは恐怖よりも凄さが勝ってしまう。
「きゃあ怖い! 」
純粋な希ちゃんは恐怖のあまり腕を抱え込む。
「大丈夫。ははは…… 怖くないよ」
でも痛いんですけど……
宥めるもどんどんエスカレートしていく。
少々痛いもののこれは男には堪らないシチュエーション。
部長ありがとうとは口が裂けても言えない。
これが怖いのか? それとも思いっきり怖がる振りをしてるのか?
どっちなんだ? 俺に悪いと思って?
きっとそんなことないよな。でもあり得ないことじゃない。
もしそうなら俺は希ちゃんの方が怖いし恐怖の対象は希ちゃんとなる。
「さあ急ごう! 近づかなければ無害だから」
もちろん近づいても大丈夫だけどね。夢を壊すようで気が引ける。
「きゃああ! いやああ! 」
それでも本気で怖がる希ちゃんだった。
ははは…… どれだけ臆病なんだよ?
これ以上は危険と判断して引き寄せることにした。
大胆だと思うだろうがこれは彼女が勝手にどこかに行かないようにしてるだけ。
こうして皿屋敷を通り抜け急いで例の一番目立つ立派な墓の前に。
続く
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