異国の王子と結ばれるならどんな爵位でも構いません~家出王子との二十日間

二廻歩

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おかしな関係

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「待ってくれ! クレーラもぜひ協力して欲しい! 」
まだ言ってる。王子ったらしつこいんだから。
早く解放しなさいよね。物凄く疲れてるんだから。

「王子もご存じのようにあなたには良い感情を持ち合わせていません。
ですから行動を共になどとてもとても。どうか我がままを言わず」
なぜここまでしつこく頼み込むのか? 私である必要ないじゃない。
まさか本気でこの私を信頼してるとでも言うの? 
そうだとしたら王子の目は節穴に違いない。

「君の一族の名誉のためにも協力願いたい! 」
喰らいつく王子。
遠回しな言い方ではあるが私の現状を理解した上で断れないような汚いやり口。
どれだけ自分勝手なんでしょう。
その名誉を穢し一族を没落させた張本人が言うセリフではない。
ふざけてるとしか思えない挑発行為。

「頼むよクレーラ。もう君しかいないんだ」
「はいはい分かりましたよ。王子の熱意には負けました。
ただし一つだけ条件があります。同行する場合は命令に従ってもらいます。
それでよろしいですね? 」
どれだけ面倒を掛ければ気が済むの?
こっちにはお家復興が掛かってるんだから。
お気楽王子のお遊びに付き合ってる暇はない。

王子の言ったことが仮にすべて本当で陰謀が渦巻いてるとしてもそれがどうしたの?
没落した一族の娘の私には一切関係ないことじゃない。
どこの誰が国王になろうと知ったことではない。
でも王子をいたぶるのは悪くないかも。
あら私ったら心にもないことをつい……

「ああもちろん従うさ。王子と悟られてはいけないからね。好きに命令してくれ」
王子はあっさり条件を呑む。冗談でしょう?
「まさか今度の謁見も目的は私? 」
「いやそれはただの偶然だと言ったろ? 誰も魅力的で選べないと言うのが真実だ。
決してわざと選ばなかった訳ではない」
何だやっぱりただの欲張りで優柔不断なボンクラ王子だったらしい。
これを聞いてコーコはどう思うのか?
もう愛想が尽きた?
でもそれだと負担がすべて私に掛かってくる。

「はいはい分かりました。それではこちらこそよろしくお願いします」
こうして王子のお世話をする羽目になった。本当に私って押しに弱い。
王子に無理やり迫られたらどうなってしまうか分からない。
いけないいけない。おかしな妄想が止まらない。
まあ実際問題爵位詣には人数が多い方がいいに決まってる。
そうでなかったら断っていたでしょう。
切り替えが重要。いつまでもこだわっていてもね。
別に大したプライドもないから。

お父様と我が一族を何とかしてくれればそれでいい。
それから秘めた異国の王子への思いも叶えてくれるならもっといい。
それにしても何だかおかしな展開になってきました。

「それで王子が滞在するとして二つほど問題がありますよね? 」
コーコが王子の心配をする。まだ尽きてないらしい。人がいいんだから。
「王子行方不明では国中でパニックになるのではありませんか? 」
「そうだなコーコ。しかし私には優秀な影がいる。ほれ姿を見せよ」
そう言って手を叩くとどこからともなく王子の格好をした影が姿を見せる。
一言もしゃべらないのは声は似てないからだそう。

「こやつが私の不在の間王子になってもらう」
一言も発しない影。よく躾けられている。
こうして最初の問題はクリア。問題はもう一つの方。

「今晩からどちらへお泊りに? 」
「できたらどちらかの家に泊めてもらいたいが無理なら宿にでも」
「申し訳ありません王子! いくら王子とは言え殿方を迎え入れるのはご法度」
意外にも古風なコーコ。その断り方があったのか。

「ではクレーラは? 」
「だから泊められないって! お婆様がうるさいんですもの」
こちらにはお婆様と言う最強カードがある。
ついでに王子だって我が家は居心地が悪いはずだ。
失脚させた張本人なのだから。
いつ見つかって八つ裂きにされるとも知れないのに呑気に寝ていられないでしょう?

「そうか。では今晩は宿に泊まるとしよう。明日からまた改めて考える」
何とも前向きな王子だ。
こうして王子を引き連れてのおかしな爵位詣が始まる。

                  続く
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